会社都合退職の失業給付|自己都合との違い・給付日数・離職票の確認方法

仕事・失業

会社から退職を勧められた、解雇された、賃金の未払いが続いた、長時間労働やハラスメントで辞めざるを得なかった。そのような場合、会社が離職票を「自己都合」と記載しても、それだけで離職理由が確定するわけではありません。

雇用保険上の離職理由は、本人と事業主の主張、証拠書類などを確認したうえで、住所地を管轄するハローワークが判断します。

会社都合に近い事情がある人は、次の3点を先に確認してください。

  1. 離職証明書・離職票の離職理由が実態と合っているか
  2. 退職勧奨、解雇、賃金未払い、長時間労働などを示す記録が残っているか
  3. 記載に異議があることを、受給手続きの際にハローワークへ伝えたか

この記事では、一般に「会社都合退職」と呼ばれる離職のうち、雇用保険の特定受給資格者に該当する主なケースと、自己都合退職との違い、必要書類、離職理由に納得できないときの手続きを整理します。

先に結論|会社都合かどうかはハローワークが判断する

一般に「会社都合退職」と呼ばれていても、雇用保険では主に「特定受給資格者」に該当するかどうかが問題になります。

特定受給資格者とは、倒産や解雇などにより、再就職の準備をする時間的余裕がないまま離職を余儀なくされた人です。退職勧奨、著しい労働条件の相違、一定の賃金未払い、予見できなかった大幅な賃金低下、一定の長時間労働、繰り返される著しい嫌がらせなども対象になる可能性があります。

一方、契約満了による雇い止めや、病気・介護・通勤困難などのやむを得ない自己都合は、「特定理由離職者」に該当する場合があります。特定受給資格者とは範囲や給付日数の扱いが異なるため、「会社都合か自己都合か」の二択だけで判断しないことが大切です。

最終的な離職理由は、会社が一方的に決めるものではありません。ハローワークが本人の説明、会社の説明、客観的な資料を確認して決定します。

自己都合退職との違い

確認項目特定受給資格者正当な理由のない自己都合退職
必要な被保険者期間離職前1年間に通算6か月以上でも可原則、離職前2年間に通算12か月以上
受給手続き後の待期離職理由にかかわらず7日間離職理由にかかわらず7日間
離職理由による給付制限原則なし2025年4月1日以降の退職は原則1か月
所定給付日数年齢・加入期間により90~330日一般の離職者は原則90~150日
離職理由の決定本人・会社双方の説明と資料を基にハローワークが判断同左

会社都合でも、受給手続きをした日から7日間の待期はあります。「会社都合なら申請直後に振り込まれる」という意味ではありません。待期満了後、指定された失業認定を経て支給されます。

また、基本手当の日額の計算方法は、会社都合か自己都合かで変わるわけではありません。違いが出やすいのは、受給資格に必要な加入期間、給付制限、所定給付日数です。

自己都合退職の給付制限については、自己都合退職の失業給付|給付制限は原則1か月、リスキリングで解除される条件で整理しています。

特定受給資格者になる可能性がある主なケース

倒産・事業所の廃止・通勤困難な場所への移転

破産、民事再生、会社更生などの倒産に伴う離職、事業所の廃止に伴う離職、事業所の移転で通勤が困難になった場合などです。

会社が倒産し、給与や退職金が未払いになっている場合は、失業給付とは別に未払賃金立替払制度も確認してください。

解雇・退職勧奨

解雇は、本人の重大な責任による解雇を除き、特定受給資格者に該当する可能性があります。

会社から退職を勧められて応じた場合も、実態が退職勧奨であれば対象になる可能性があります。ただし、恒常的に設けられている早期退職優遇制度へ本人が自発的に応募した場合など、同じ扱いにならないケースがあります。

退職届を書くよう求められた場合は、提出前に「自分から辞める意思を示した書類として扱われないか」を確認してください。退職勧奨の通知、面談記録、メールなどは保存しておきます。

労働条件が明示内容と著しく違っていた

採用時に示された賃金、職種、勤務地などと実際の労働条件が著しく違い、それを理由に離職した場合です。求人票だけでなく、労働条件通知書、雇用契約書、給与明細、辞令などをそろえます。

賃金未払い・予見できなかった大幅な賃金低下

賃金の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかった場合や、賃金が従来の85%未満へ低下し、その低下を予見できなかった場合などは、特定受給資格者に該当する可能性があります。

未払いの金額、支払日、実際の入金額が分かる給与明細や預金口座の記録を残してください。

一定の長時間労働が続いた

離職直前6か月間に、次のいずれかに当たる時間外労働があったことを理由に離職した場合は、対象になる可能性があります。

  • 連続する3か月で各月45時間を超えた
  • 1か月で100時間を超えた
  • 連続する2か月以上の平均が月80時間を超えた

タイムカード、勤怠システムの画面、業務メール、パソコンのログ、給与明細など、勤務時間を示す資料を確保します。

著しい嫌がらせ・ハラスメントを繰り返し受けた

上司や同僚から、故意の排除、著しい冷遇、暴力・暴言などを繰り返し受けて離職した場合は、特定受給資格者に該当する可能性があります。

一度の注意や通常の業務指導だけで直ちに該当するわけではありません。日時、場所、発言、同席者、会社への相談内容と対応を記録し、メール、録音、配置転換の辞令、就業規則などを保存してください。

「会社都合」とならない可能性があるケース

次のような場合は、本人が会社都合だと考えていても、特定受給資格者に該当しないことがあります。

  • 職場への不満はあるが、客観的な退職強要や基準に該当する事情が確認できない
  • 本人が自発的に早期退職優遇制度へ応募した
  • 更新の確約がない有期契約が満了しただけで、別の離職区分に該当する
  • 本人の重大な責任を理由とする解雇だった
  • すぐに働く意思や能力がなく、基本手当の「失業の状態」に当たらない

有期契約の雇い止めは、契約期間や更新の明示、本人が更新を希望していたかによって、特定受給資格者または特定理由離職者となる可能性があります。契約書を持参してハローワークで確認してください。

離職票が「自己都合」になっていたときの手続き

1.在職中に離職証明書を確認する

会社がハローワークへ提出する離職証明書は、離職前に本人が内容を確認する機会があります。離職理由が実態と違う場合は、その場で会社へ確認してください。

内容に納得できないまま、空欄の書類へ署名したり、事実と異なる退職理由を認めたりしないようにします。

2.離職票-2の離職理由を確認する

離職後に届く離職票-2には、会社が申告した離職理由が記載されています。退職勧奨なのに自己都合となっているなど、実態と違う場合は、受給手続きの際に「離職理由に異議がある」と伝えてください。

会社から離職票が届かない場合や、会社と連絡が取れない場合も、住所地を管轄するハローワークへ相談できます。

3.離職理由を示す資料を提出する

事情に応じて、次の資料を準備します。

  • 解雇通知書、退職勧奨通知書、退職に関するメールや面談記録
  • 雇用契約書、労働条件通知書、就業規則、辞令
  • 給与明細、賃金台帳、預金口座の入金記録
  • タイムカード、勤怠記録、業務メール、パソコンのログ
  • ハラスメントの記録、録音、会社や相談窓口へ申し出た記録
  • 有期契約の契約書、更新通知、更新を希望したことが分かる記録

資料が一つもないから申立てできない、という意味ではありません。まず事実関係を時系列で書き出し、手元にある資料を持って相談してください。

4.ハローワークの調査・判定を受ける

ハローワークが本人と会社双方の説明、提出資料などを確認して離職理由を決定します。会社の記載と本人の説明が違う場合でも、会社の記載が自動的に優先されるわけではありません。

ハローワークの処分に不服がある場合は、雇用保険審査官へ審査請求できる場合があります。対象となる処分によって起算日が異なりますが、原則として処分を知った日の翌日から3か月以内です。窓口で処分日と申立期限を確認してください。

所定給付日数は90~330日

特定受給資格者の所定給付日数は、離職時の年齢と雇用保険の加入期間によって決まります。

離職時の年齢1年未満1年以上5年未満5年以上10年未満10年以上20年未満20年以上
30歳未満90日90日120日180日
30歳以上35歳未満90日120日180日210日240日
35歳以上45歳未満90日150日180日240日270日
45歳以上60歳未満90日180日240日270日330日
60歳以上65歳未満90日150日180日210日240日

65歳以上で離職した人は、一般の基本手当ではなく高年齢求職者給付金の対象になることがあります。詳しくは、高年齢求職者給付金|65歳以上で離職した人の30日分・50日分と申請期限をご覧ください。

受給手続きに必要なもの

ハローワークが案内している基本的な持ち物は次のとおりです。

  • 雇用保険被保険者離職票-1、離職票-2
  • マイナンバー確認書類
  • 運転免許証などの本人確認書類
  • 写真2枚(マイナンバーカードの提示で省略できる場合があります)
  • 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
  • 離職理由に異議がある場合は、その理由を示す資料

受給期間は原則として離職日の翌日から1年間です。手続きが遅れると、所定給付日数を受け終わる前に受給期間が終わる可能性があります。離職票が届いたら、早めに住所地を管轄するハローワークへ相談してください。

失業給付以外に確認する制度

倒産・解雇・雇い止めなどで離職した人は、国民健康保険料の軽減対象になる場合があります。対象となる離職理由コードと手続きは、会社都合・雇い止めで国民健康保険料が軽くなる|対象の離職理由コードで確認できます。

退職後には、健康保険、国民年金、家賃、職業訓練などの手続きも発生します。退職したら何を確認する?失業給付・健康保険・年金・住まいの支援をまとめて解説もあわせて確認してください。

退職前・退職直後・受給中に関係する雇用保険制度の全体像は、【2026年版】退職・休業時に確認する雇用保険制度で時系列に整理しています。

まとめ|離職票の理由が実態と違えば、その場で相談する

会社都合退職で最初に確認するのは、失業給付の金額ではなく離職理由です。

  1. 離職証明書と離職票-2の離職理由を確認する
  2. 実態と違う場合は、受給手続きで異議を伝える
  3. 退職勧奨、解雇、賃金、勤務時間などの資料を持参する
  4. 会社の記載だけで諦めず、ハローワークの判定を受ける
  5. 受給期間を使い切れなくならないよう、早めに手続きする

「会社が自己都合と書いたから変更できない」とは限りません。退職に至った経緯を時系列で整理し、住所地を管轄するハローワークへ相談してください。

公式情報

※この記事は2026年8月3日時点の公表情報を基に整理しています。離職理由は個別事情と資料により判断されます。受給資格、給付制限、所定給付日数は、住所地を管轄するハローワークで確認してください。

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