雇用保険の傷病手当は、失業給付の受給手続きをした後、病気やけがで15日以上引き続き働けなくなった人が、基本手当に代えて受ける給付です。1日当たりの金額は、本人の基本手当日額と同じです。
名前が似ている健康保険の「傷病手当金」とは別制度です。雇用保険の傷病手当は、会社を休職している人ではなく、離職後にハローワークで求職申込みを済ませた人が対象になります。
病気やけがで働けない日数が14日以内、15日以上、30日以上のどこに当たるかで手続きが変わります。まず日数を確認し、認定日を待たずに管轄ハローワークへ連絡してください。
最初に確認する5項目
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 受給手続き | ハローワークで基本手当の受給資格決定と求職申込みを済ませたか |
| 発症時期 | 求職申込みをした後に病気・けがで働けなくなったか |
| 働けない日数 | 14日以内、15日以上、30日以上のどれに当たるか |
| 現在の期間 | 7日間の待期中や離職理由による給付制限中ではないか |
| 他制度の給付 | 健康保険の傷病手当金や労災の休業補償給付などを受けられないか |
このうち一つでも分からない項目があれば、雇用保険受給資格者証または受給資格通知を手元に用意して、住居所を管轄するハローワークへ確認しましょう。
14日以内・15日以上・30日以上で手続きが変わる
| 働けない期間 | 主な扱い | 行動 |
|---|---|---|
| 14日以内 | 傷病手当ではなく、傷病の認定を受けて基本手当が支給される場合がある | 認定日の変更や証明書をハローワークへ確認 |
| 15日以上 | 雇用保険の傷病手当の対象になる可能性がある | 傷病手当支給申請書を準備 |
| 30日以上 | 傷病手当のほか、基本手当の受給期間延長も選べる | どちらを使うか早めに相談 |
「15日以上」は、病気やけがのため引き続き職業に就けない状態が続くことが必要です。体調不良で求職活動を休んだ日が合計15日になれば自動的に対象になる、という意味ではありません。
傷病手当を受けるための主な条件
主な条件は次のとおりです。
- 雇用保険の基本手当の受給資格がある
- 離職後、ハローワークで求職申込みを済ませている
- 求職申込み後に病気やけがで職業に就けなくなった
- その状態が15日以上引き続いている
- 基本手当の受給期間内である
- 同じ期間について、併給できない給付を受けられない
傷病手当は、病名だけで決まる制度ではありません。医師等の証明を基に、病気やけがのため職業に就くことができなかった期間をハローワークが認定します。
求職申込み前から働けない人は受給期間延長を確認
傷病手当は、ハローワークで求職申込みをした後に病気やけがで働けなくなった人を対象とする制度です。
退職した時点ですでに病気やけがで働けず、すぐに求職活動を始められない場合、そもそも基本手当の「いつでも働ける」という条件を満たしません。働けない状態が30日以上続くときは、傷病手当ではなく失業給付の受給期間延長を確認します。
受給期間延長は給付日数を増やす制度ではありません。病気やけがが回復し、仕事を探せるようになった後に基本手当を受けられるよう、受給できる期限を先送りする手続きです。
支給額は基本手当日額と同じ
傷病手当の1日当たりの金額は、雇用保険受給資格者証または受給資格通知に記載された基本手当日額と同額です。
たとえば、基本手当日額が6,000円で、傷病手当の対象として20日が認定された場合の計算は次のとおりです。
6,000円 × 20日 = 12万円
実際に認定される日数は、働けなかった期間、待期・給付制限、すでに受けた基本手当、他制度の給付などを確認して決まります。単純に通院日数や入院日数を掛けるものではありません。
雇用保険の給付は非課税です。傷病手当を受けたことだけを理由に、所得税の確定申告をする必要はありません。
傷病手当を受けた日数だけ基本手当の残日数が減る
傷病手当は、基本手当に追加してもらえる給付ではありません。傷病手当を受けた日数は、基本手当を受けた日数として扱われます。
たとえば、基本手当の支給残日数が60日ある人に傷病手当が20日分支給された場合、原則として残る基本手当の日数は40日です。
| 項目 | 日数 |
|---|---|
| 申請前の基本手当の支給残日数 | 60日 |
| 傷病手当として認定された日数 | 20日 |
| 回復後に残る基本手当の日数 | 原則40日 |
傷病手当を選ぶか受給期間延長を選ぶかは、病気の見通し、基本手当の残日数、受給期間の残りによって判断が変わります。
待期中・給付制限中の日は支給されない
求職申込み後の7日間は待期期間です。また、正当な理由のない自己都合退職などでは、待期後に給付制限が付く場合があります。
病気やけがで働けなくても、待期期間中や給付制限期間中の日について傷病手当は支給されません。給付制限がある人は、受給資格者証やハローワークから渡された案内で制限期間を確認してください。
働けない状態が長引き、給付制限終了後も続くと見込まれる場合は、どの期間が認定対象になるかをハローワークへ確認します。
健康保険や労災の給付とは併給できない
雇用保険の傷病手当と、健康保険の傷病手当金・労災の休業補償は、名前が似ても別制度です。雇用保険の傷病手当は、基本手当の受給手続き後に病気やけがで15日以上職業に就けない場合の制度で、申請先はハローワークです。仕事中・通勤中の負傷なら労災、健康保険の被保険者として休業する場合は健康保険者へ先に確認し、同じ傷病について自己判断で申請先を一つに決めないでください。ハローワーク「基本手当について」
同じ病気やけが、同じ日について、次のような給付を受けられる場合、雇用保険の傷病手当は支給されません。
- 健康保険の傷病手当金
- 労働基準法による休業補償
- 労災保険の休業補償給付
- 労災保険の複数事業労働者休業給付
- 労災保険の休業給付
- 船員保険や共済制度などの類似給付
健康保険の傷病手当金を退職後も継続して受けている人や、仕事・通勤が原因のけがで労災給付を受ける人は、雇用保険の傷病手当ではなく、基本手当の受給期間延長が関係することがあります。
健康保険の「傷病手当金」との違い
| 比較 | 雇用保険の傷病手当 | 健康保険の傷病手当金 |
|---|---|---|
| 主な対象 | 離職後、求職申込み後に働けなくなった人 | 業務外の病気・けがで会社を休み、給与を受けられない被保険者など |
| 日数の基準 | 15日以上引き続き職業に就けない | 連続3日の待期後、4日目以降 |
| 1日当たりの額 | 基本手当日額と同額 | 原則として標準報酬を基にした額の3分の2相当 |
| 申請先 | 住居所を管轄するハローワーク | 加入している健康保険 |
| 主な確認書類 | 雇用保険受給資格者証・受給資格通知 | 健康保険の資格と勤務・給与状況 |
退職後に健康保険の傷病手当金を継続受給できるかは、退職前の加入期間や退職日の状態など、別の条件で判断されます。詳しくは「健康保険の傷病手当金」で確認してください。
30日以上なら傷病手当と受給期間延長を比較する
| 比較 | 傷病手当 | 受給期間延長 |
|---|---|---|
| 療養中の支給 | 認定された日について支給される | 療養中の基本手当は支給されない |
| 基本手当の残日数 | 支給された日数分だけ減る | 延長手続きだけでは減らない |
| 受給期限 | 原則の受給期間内で支給 | 原則1年の受給期間に働けない期間を加え、最長4年まで延長できる |
| 向いている状況 | 療養中の生活費として給付を受けたい | 回復後の求職活動に基本手当の日数を残したい |
上の「向いている状況」は考え方の目安です。自由に好きな方を選べるとは限らず、受給期間、残日数、他制度の給付状況によって扱いが変わります。
また、受給期間を延長した後、同じ病気やけがを理由に傷病手当を申請しても、延長によって傷病手当の支給可能日数が増えるわけではありません。30日以上続きそうだと分かった時点で、両方の扱いをハローワークへ確認してください。
申請期限は回復後最初の認定日まで
傷病手当の申請期間は、原則として病気やけがが治癒した直後の認定日までです。通常の給付のように「発症から何日以内」と一律の日数で覚える制度ではありません。
ただし、申請を回復するまで放置してよいという意味ではありません。申請書には診療担当者の証明が必要になるため、働けない状態が15日以上続きそうな時点でハローワークへ連絡し、対象期間と用紙を確認してください。
受給期間の終わりまで回復しない場合などは、通常と期限の扱いが異なります。受給期間満了日が近い人は、必ず期限前に相談しましょう。
申請に必要な書類
厚生労働省の案内で示されている主な書類は次の二つです。
- 傷病手当支給申請書
- 雇用保険受給資格者証または雇用保険受給資格通知
申請書では、職業に就けなかった期間、傷病名や症状、他の類似給付、内職・手伝いと収入などを申告します。診療担当者の証明を依頼するときは、記入にかかる日数や文書料を医療機関へ確認してください。
受給資格通知を使う人は、マイナンバーカードの提示方法などを提出先へ確認します。個別事情により追加書類を求められることがあります。
申請の流れ
- 病気やけがで働けなくなったら、管轄ハローワークへ連絡する
- 14日以内、15日以上、30日以上の見込みを伝える
- 傷病手当と受給期間延長のどちらを確認するか相談する
- 傷病手当支給申請書を用意する
- 診療担当者へ証明を依頼する
- 受給資格者証または受給資格通知をそろえる
- 回復後最初の認定日までに申請する
認定日に出向けないと分かった時点で連絡しておけば、認定日の変更や必要な証明書について案内を受けられます。連絡せず認定日を欠席すると、別の手続きが必要になる場合があります。
本人が窓口へ行けないときは郵送・代理人も可能
傷病手当支給申請書は、本人以外の代理人または郵送でも提出できます。代理人による申請には委任状が必要です。
郵送する場合は、提出先、本人確認、受給資格者証の扱い、原本・写しの区分を管轄ハローワークへ事前に確認してください。提出書類の控えを残し、追跡できる郵送方法を使うと手続き状況を確認しやすくなります。
公式情報
- ハローワークインターネットサービス「基本手当について」
- 雇用保険の基本手当・傷病手当に関するQ&A(厚生労働省)
- 傷病手当支給申請書と入力時の注意事項
- 受給期間の延長申請について(兵庫労働局)
- 健康保険の傷病手当金(協会けんぽ)
※制度内容は2026年8月11日時点。個別の認定期間、支給日数、必要書類は、住居所を管轄するハローワークへ確認してください。
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