75歳になると、原則として誕生日当日から後期高齢者医療制度の被保険者になります。会社で働き続けている人も、国民健康保険や任意継続に加入している人も、誕生日の前日までの医療保険から切り替わります。
月末まで今の健康保険を使えるわけではありません。誕生日当日以降に以前のマイナ保険証の資格情報や資格確認書を使うと、保険者が負担した医療費の返還を求められることがあります。
特に注意が必要なのは、75歳になる人に扶養されている75歳未満の家族です。後期高齢者医療には、会社の健康保険のような扶養制度がありません。本人が移行した日と同じ日に被扶養者資格を失うため、別の健康保険へ加入する手続きが必要です。
確認日:2026年8月28日
- 75歳の誕生日を境に健康保険が変わる
- 75歳になる本人の加入申請は原則不要
- 2026年8月以降に届く書類を確認する
- 働き続ける人も健康保険資格は誕生日当日に喪失する
- 本人が被扶養者なら、移るのは本人だけ
- 本人が被保険者なら、扶養家族も同日に資格を失う
- 75歳未満の扶養家族は新しい加入先を決める
- 国保へ移る65歳以上の旧被扶養者は減免を確認する
- 後期高齢者医療保険料は誕生月から計算される
- 同じ月に2種類の納付書が届いても二重払いとは限らない
- 窓口負担は1割・2割・3割のいずれか
- 75歳の誕生月は高額療養費の限度額が半分になる
- 入院・透析・継続治療中は認定情報も確認する
- 誕生日後に以前の資格で受診しない
- 誕生日前後の手続き一覧
- よくある質問
- 相談先を分けて確認する
- 公式情報
75歳の誕生日を境に健康保険が変わる
| 時期 | 使う医療保険 | 確認するもの |
|---|---|---|
| 75歳の誕生日前日まで | 会社の健康保険、国民健康保険、任意継続など | 現在のマイナ保険証の資格情報・資格確認書 |
| 75歳の誕生日当日から | 後期高齢者医療制度 | 新しい資格情報・資格確認書 |
たとえば9月20日が75歳の誕生日なら、9月19日までは以前の医療保険、9月20日からは後期高齢者医療です。9月1日生まれなら、8月31日までが以前の医療保険で、9月1日から後期高齢者医療になります。
65歳以上75歳未満で一定の障害があり、広域連合の認定を受けた人は、75歳になる前から後期高齢者医療へ加入している場合があります。生活保護を受けている世帯に属する人など、法律上の適用除外もあります。
75歳になる本人の加入申請は原則不要
75歳到達による後期高齢者医療への移行は、原則として自動です。本人が市区町村の窓口で加入申請をしなければ資格が始まらない、という制度ではありません。
ただし、現在加入している健康保険側の資格喪失手続きや、資格確認書の返却、扶養家族の切替は別です。会社の健康保険に加入している人は勤務先、任意継続の人は加入している健康保険、国民健康保険の人は市区町村から届く案内を確認してください。
2026年8月以降に届く書類を確認する
後期高齢者医療でもマイナ保険証を利用できます。2026年8月1日以降は、マイナ保険証の利用状況などに応じて、資格確認書または資格情報のお知らせが交付されます。交付対象や郵送方法は、都道府県の後期高齢者医療広域連合と市区町村の案内で確認します。
- マイナ保険証で受診する人:新しい資格情報が登録されているか確認する
- マイナ保険証を使わない人:資格確認書が届いているか確認する
- マイナ保険証での受診が難しい人:資格確認書の交付対象や申請方法を確認する
多くの広域連合では、誕生日までに必要な書類を送付すると案内しています。誕生日が近いのに何も届かない場合や、入院・通院の予定が誕生日をまたぐ場合は、住民票のある市区町村の後期高齢者医療窓口へ連絡してください。
働き続ける人も健康保険資格は誕生日当日に喪失する
会社で働き続けていても、75歳の誕生日当日から勤務先の健康保険は使えません。協会けんぽの場合、事業主が資格喪失届を日本年金機構へ提出します。75歳到達による健康保険の資格喪失日は、誕生日当日です。
勤務先から資格確認書、高齢受給者証、限度額適用認定証などの返却を求められたら、案内に従います。健康保険組合や共済組合では手続きが異なる場合があるため、人事・給与担当へ次の3点を確認してください。
- 以前の健康保険を使える最終日
- 返却する資格確認書・認定証
- 給与から控除される最後の健康保険料が何月分か
75歳以降も働く場合、後期高齢者医療へ移っても、給与と老齢厚生年金の関係は別に確認が必要です。詳しくは、在職老齢年金と2026年度の基準額をご覧ください。
本人が被扶養者なら、移るのは本人だけ
75歳になる人自身が、配偶者や子の会社の健康保険の被扶養者だった場合は、その人だけが誕生日当日から後期高齢者医療へ移ります。健康保険の被保険者である配偶者や子、ほかの被扶養者まで資格を失うわけではありません。
被扶養者だった本人は、それまで健康保険料を個別に負担していなくても、75歳になると後期高齢者医療保険料が本人ごとに計算されます。
本人が被保険者なら、扶養家族も同日に資格を失う
75歳になる人が会社の健康保険や任意継続の被保険者本人で、その人に扶養されている75歳未満の家族がいる場合は注意が必要です。
被保険者本人が後期高齢者医療へ移ると、扶養家族も誕生日当日に以前の健康保険の被扶養者資格を失います。後期高齢者医療へ家族を扶養のまま連れていくことはできません。
| 75歳になる人の立場 | 本人 | ほかの家族 |
|---|---|---|
| 会社の健康保険の被保険者 | 後期高齢者医療へ移行 | その人の被扶養者は同日に資格喪失 |
| 会社の健康保険の被扶養者 | 後期高齢者医療へ移行 | 被保険者とほかの被扶養者は原則そのまま |
| 国民健康保険の加入者 | 後期高齢者医療へ移行 | 同じ世帯の75歳未満の国保加入者は国保を継続 |
75歳未満の扶養家族は新しい加入先を決める
被扶養者資格を失う家族は、次のいずれかへ切り替えます。
- 自分の勤務先の健康保険へ加入する
- 別の家族が加入する健康保険の扶養に入る
- 住民票のある市区町村の国民健康保険へ加入する
国民健康保険へ加入する場合は、以前の健康保険の資格喪失証明書が必要です。市区町村により、本人確認書類、マイナンバーを確認できる書類、口座情報なども求められます。
手続きが遅れても、国保の資格と保険料は資格喪失日にさかのぼるのが原則です。手続き前に受診すると医療費をいったん全額支払う場合があるため、加入先を誕生日前に決めておきます。
別の家族の扶養へ入る場合は、年金収入や給与収入を含む年間収入見込みで審査されます。詳しくは、65歳以上の扶養認定と180万円基準をご確認ください。
国保へ移る65歳以上の旧被扶養者は減免を確認する
会社の健康保険の被保険者が後期高齢者医療へ移ったため、その被扶養者だった65歳以上75歳未満の人が国民健康保険へ加入する場合は、「旧被扶養者」の減免対象になることがあります。
厚生労働省が示した2026年度の取扱い例では、旧被扶養者本人の所得割・資産割は当分の間免除し、均等割や、旧被扶養者だけの世帯にかかる平等割は、資格取得月から2年を経過する月まで軽減する仕組みです。均等割などの軽減割合は、世帯に適用される法定軽減によって変わります。
実際の減免は市区町村の条例で決まり、申請が必要な自治体もあります。国保加入手続きの際に、資格喪失証明書を示して「旧被扶養者減免の対象か」を必ず確認してください。
後期高齢者医療保険料は誕生月から計算される
後期高齢者医療保険料は、原則として75歳の誕生月から年度末までの月数で計算されます。所得に応じる所得割と、加入者が負担する均等割を基に計算しますが、保険料率や上限額は都道府県の広域連合で異なります。
75歳になったばかりの人は、年金からの天引きがすぐに始まらず、当初は納付書や口座振替で納めることがあります。国民健康保険で登録していた口座振替が、後期高齢者医療へ自動的に引き継がれない地域もあります。
保険料通知が届いたら、金額だけでなく、対象月と納付方法を確認してください。
同じ月に2種類の納付書が届いても二重払いとは限らない
以前の医療保険の請求と後期高齢者医療保険料の納付書が同じ月に届くことがあります。ただし、納付月と保険料の対象月は同じとは限りません。
| 以前の医療保険 | 75歳到達時の考え方 | 確認先 |
|---|---|---|
| 会社の健康保険 | 原則、資格喪失月分の健康保険料はかからない。給与控除が前月分のことがある | 勤務先の給与担当・健康保険 |
| 協会けんぽの任意継続 | 原則、75歳到達月の前月分まで。前納分は還付対象になる場合がある | 協会けんぽ都道府県支部 |
| 国民健康保険 | 75歳到達月の前月分まで再計算される | 市区町村の国保窓口 |
| 後期高齢者医療 | 75歳の誕生月分から計算される | 市区町村の後期高齢者医療窓口 |
同じ月に支払いが重なったように見えたら、各納付書の「対象年度」「対象月」「変更後の年額」を見比べます。過払いがある場合は、以前の保険者から還付通知が届くことがあります。
窓口負担は1割・2割・3割のいずれか
75歳以上の窓口負担は原則1割ですが、一定以上の所得がある人は2割、現役並み所得者は3割です。75歳になれば全員が1割になるわけではありません。
負担割合は本人だけの年金額で決まるとは限らず、住民税課税所得や同じ世帯の後期高齢者医療被保険者の収入などを使って判定されます。資格確認書や資格情報のお知らせに記載された割合を確認し、疑問がある場合は広域連合または市区町村へ問い合わせます。
75歳の誕生月は高額療養費の限度額が半分になる
月の途中で75歳になると、誕生日前と誕生日後で医療保険が分かれます。そのままでは、それぞれの制度で高額療養費の自己負担限度額が適用され、1か月の限度額が実質2倍になるおそれがあります。
この負担を防ぐため、75歳到達月は、移行前と移行後の医療保険で自己負担限度額をそれぞれ本来額の2分の1にする特例があります。月全体では、通常月と同程度の限度額になるように設けられた仕組みです。
ただし、1日生まれの人は月初から後期高齢者医療だけに加入するため、この半額特例の対象外です。65歳以上75歳未満で障害認定によりすでに後期高齢者医療へ加入していた人も、75歳到達による制度移行がないため、原則として対象外です。
被保険者本人の75歳到達に伴って、月の途中から国保へ移る被扶養者にも限度額の特例があります。高額な治療中の家族がいる場合は、本人だけでなく扶養家族についても以前の保険者と国保窓口へ確認してください。高額療養費の全体像は、高額療養費の所得別上限と申請方法で整理しています。
入院・透析・継続治療中は認定情報も確認する
誕生日をまたいで入院する人、人工透析などの特定疾病で治療中の人、限度額適用・標準負担額減額の対象になっている人は、医療保険の切替だけでなく、認定情報の引継ぎも確認します。
マイナ保険証で所得区分を確認できる場合でも、長期入院該当や特定疾病などは新しい制度で申請が必要になることがあります。以前の認定証や受療証を持って、市区町村の後期高齢者医療窓口へ相談してください。
誕生日後に以前の資格で受診しない
75歳の誕生日当日以降に、以前の健康保険の資格確認書や古い資格情報で受診すると、以前の保険者が負担した医療費の7~9割を後から返還するよう求められることがあります。
新しい資格確認書がまだ届かない、マイナ保険証に新しい資格が反映されていない場合は、受付で「75歳になり、後期高齢者医療へ切替中」と伝えてください。医療機関の取扱いと、市区町村が発行できる資格確認書などを確認します。
誕生日前後の手続き一覧
| 時期 | 本人が確認すること | 扶養家族がいる場合 |
|---|---|---|
| 誕生日の1か月ほど前 | 広域連合・市区町村からの郵便、資格確認方法、保険料の案内を確認 | 新しい加入先を決め、資格喪失証明書の発行方法を確認 |
| 誕生日前日 | 以前の医療保険を使える最終日を確認 | 以前の被扶養者資格を使える最終日を確認 |
| 誕生日当日 | 後期高齢者医療の資格で受診 | 新しい健康保険の資格開始日 |
| 誕生日後 | 保険料通知、負担割合、口座振替を確認 | 国保なら原則14日以内を目安に届出。旧被扶養者減免も確認 |
よくある質問
75歳になっても会社で働けば、会社の健康保険を続けられますか?
続けられません。75歳の誕生日当日から後期高齢者医療へ移ります。働き続ける場合でも、健康保険の資格は誕生日当日に喪失します。
誕生日が月末なら、その月末まで以前の健康保険を使えますか?
使えません。誕生日の前日までです。たとえば9月30日が誕生日なら、以前の保険を使えるのは9月29日までで、9月30日から後期高齢者医療になります。
75歳未満の妻は、そのまま後期高齢者医療の扶養に入れますか?
入れません。後期高齢者医療には扶養制度がないため、妻自身の勤務先の健康保険、別の家族の扶養、国民健康保険のいずれかへ切り替えます。
国保の口座振替は後期高齢者医療にも引き継がれますか?
自動的に引き継がれない地域があります。最初は納付書での普通徴収になる場合もあるため、保険料通知に記載された納付方法を確認してください。
75歳になった月は医療費の上限が2倍になりますか?
月の途中で75歳になった人には、移行前後の医療保険で高額療養費の自己負担限度額をそれぞれ半分にする特例があります。1日生まれなど対象外となる場合があります。
相談先を分けて確認する
- 後期高齢者医療の資格、資格確認書、保険料、負担割合:市区町村の後期高齢者医療窓口
- 勤務先の健康保険の資格喪失、最後の給与控除:勤務先の人事・給与担当
- 任意継続の資格喪失と前納保険料の還付:加入している健康保険
- 扶養家族の国保加入と旧被扶養者減免:市区町村の国民健康保険窓口
- 高額療養費:誕生日前の保険者と後期高齢者医療の双方
退職後の健康保険を比較している段階なら、任意継続・国保・扶養の比較も参考にしてください。国保料の支払いが難しい場合は、国保料の減免・猶予・分割相談で相談時に用意する書類を確認できます。


