住居確保給付金は、自由に使える現金を一括でもらう制度ではありません。主に、離職・廃業や本人の責めによらない収入減少で住まいを失うおそれがある人を対象に、自治体が家主・管理会社へ家賃相当額を支給する制度です。家賃以外の費用まで自動的に補われるわけではないため、申請前に「何が対象で、何が対象外か」を確認しましょう。
住居確保給付金で支払われるもの
原則として対象になるのは、現在住んでいる住宅の家賃相当額です。支給額は世帯人数、世帯収入、家賃、自治体が定める住宅扶助額の上限などで決まり、上限を超える家賃の全額が支給されるわけではありません。支給は申請者の口座に自由に振り込まれるのではなく、自治体から家主や管理会社へ直接行われる運用が一般的です。
家賃の支払いが難しいと感じたら、滞納してからではなく、自治体の自立相談支援機関へ早めに相談してください。相談先や提出書類は自治体ごとに案内が異なります。
対象になる主な条件
細かな基準は自治体の審査で決まりますが、主な確認項目は次のとおりです。
- 主たる生計維持者が、離職・廃業後2年以内である、または本人の責めによらない収入減少により離職・廃業と同程度の状態にある
- 世帯の収入が、自治体の基準額に家賃額などを加えた基準を下回る
- 世帯の預貯金などが、自治体が定める資産額の基準以下である
- 申請後も、就職活動や自立に向けた活動を行い、自治体への報告ができる
自営業者、パート・アルバイト、休業などのケースも一律に対象外とは限りません。収入減少の理由、現在の就労状況、世帯の収入・資産を資料で確認してもらうことが重要です。
厚生労働省の制度概要では、自営業者はハローワーク等への求職申込みに代えて、事業再生のための活動を行える場合があります。売上減少や休業中の個人事業主も一律に対象外と決めつけず、収入減少の資料・事業再生の活動内容・世帯の収入と資産をそろえ、住んでいる市区町村の自立相談支援機関に確認してください。
支給額と支給期間の考え方
支給額は自治体ごとの上限を超えない範囲で、世帯収入に応じて計算されます。おおまかには、収入が基準額以下なら実際の家賃相当額(上限以内)、基準額を超える場合は「基準額+家賃-世帯収入」で算定されます。共益費や駐車場代などは、家賃と同じようには扱われません。
支給期間は原則3か月です。要件を満たし、就職活動などの報告を続けている場合は延長・再延長により最長9か月まで認められることがあります。延長は自動ではないため、終了前に自立相談支援機関へ確認してください。
家賃に含められない費用
厚生労働省のFAQでは、次の費用は住居確保給付金の家賃として扱われないとされています。
- 共益費・管理費
- 駐車場料金
- 敷金・礼金、更新料、前家賃などの一時費用
- 光熱水費、通信費、滞納家賃の返済分
- 事業用物件の賃料(店舗兼住宅は居住部分のみ対象となる場合があります)
- 自治体の上限を超える家賃の超過分
契約書で家賃と共益費が一括表示されていると、対象額の確認に時間がかかります。申請前に賃貸借契約書、家賃の内訳、振込先をそろえておくと確認がスムーズです。
2025年4月からの転居費支援は家賃給付とは別
2025年4月から、家計改善のために家賃の安い住宅へ転居する人を対象に、住居確保給付金の転居費が設けられました。家賃を支援する制度と目的・対象経費が異なるため、転居費が必要な場合は最初の相談で必ず申し出てください。
自治体の要件を満たせば、引っ越し運搬費、礼金、仲介手数料、保証料、火災保険料、退去時の原状回復費、鍵交換費などが対象になり得ます。一方、敷金、前家賃、家具・家電の購入費などは対象外です。相談前に契約・発注・引っ越しをすると、対象外になることがあります。
転居費支援で補助される費用・されない費用
対象になるのは、引っ越し業者などによる家財の運搬費、礼金、仲介手数料、家賃債務保証料、住宅保険料、鍵交換費用、ハウスクリーニングなどの原状回復費用です。
敷金、契約時に支払う前家賃、家財・家電や設備の購入費は対象外です。対象費用でも、自治体の決定前に契約・支払いをすると認められない場合があるため、先に相談してください。
転居費支援の支給上限
原則として、転居先の自治体における生活保護の住宅扶助基準額の3倍が上限です。世帯人数や地域によって金額が異なります。実際の支給額は見積書などをもとに決定されます。
申請前に準備する書類
- 本人確認書類
- 世帯全員の収入が分かる資料(給与明細、年金通知、売上資料など)
- 預貯金額が分かる通帳や取引明細
- 賃貸借契約書、家賃・共益費の内訳、家主や管理会社の連絡先
- 離職・廃業、休業、収入減少を確認できる資料
- 就職活動や自立に向けた活動の状況が分かる資料
必要書類は世帯状況や自治体で変わります。書類が一部そろっていなくても、まず相談先に事情を伝え、代わりに使える資料を確認してください。
相談から支給までの流れ
- 住んでいる市区町村の自立相談支援機関を探す
- 家賃給付か転居費か、世帯の収入・資産・住居状況を相談する
- 申請書と必要書類を提出する
- 自治体の審査後、支給決定と支給方法を確認する
- 支給期間中は、就職活動などの報告と家賃の支払い状況を管理する
申請日、支給開始月、延長申請の期限、転居費の契約前相談の要否は、自治体の案内で必ず確認してください。制度の利用可否や支給額は、この記事だけで確定できません。
公式資料と相談先
- 厚生労働省「住居確保給付金:制度概要」
- 厚生労働省「住居確保給付金:よくある質問」
- 厚生労働省「住居確保給付金の制度変更(令和7年4月)」
- 厚生労働省「住居確保給付金のご案内」
- 自立相談支援機関の一覧
生活全般の困りごとは、生活困窮者自立支援制度もあわせて確認できます。転居を検討している場合は、住居確保給付金の転居費の記事も参考にしてください。
※制度内容は2026年8月9日時点。対象要件、上限額、必要書類、支給開始時期は自治体や世帯状況で異なるため、申請前に自立相談支援機関へ確認してください。


