国民健康保険の窓口負担が払えないときは、市区町村の国保窓口に「一部負担金の減免・徴収猶予」を相談してください。失業、事業の休廃止、災害などで生活が急に苦しくなり、受診や入院をためらっている人が相談できる制度です。
この制度では、医療費の窓口負担を減らす、免除する、支払いを待ってもらう、という支援を受けられます。国保の保険料を安くする制度とは別です。加入先が事情や収入・預貯金を審査して認定するため、申請すれば誰でも無料になるものではありません。入院・外来の対象範囲も加入先によって異なります。
具合が悪いときは受診を優先してください。書類をそろえるために受診を遅らせず、病院に支払いの不安を伝えて、国保窓口への相談も進めてください。
最終確認日:2026年9月4日。この記事は主に市区町村の国民健康保険を対象にしています。勤務先の健康保険や後期高齢者医療に加入している人は、それぞれの保険者に確認してください。
払えないのは国保料か、病院の窓口負担か
| 困っている支払い | 確認する制度と窓口 |
|---|---|
| 国保料・国保税の納付書 | 保険料・保険税の軽減や納付相談。市区町村の国保料・収納担当へ |
| 病院・薬局の保険診療分 | 一部負担金の減免・徴収猶予。市区町村の国保給付担当へ |
| 同じ月の医療費が高額 | 高額療養費・限度額適用。加入している医療保険へ |
| 入院中の食事代 | 食事療養費の減額。加入している医療保険と病院の会計窓口へ |
注:国保料の減免が認められても、病院の窓口負担が自動で免除されるわけではありません。給付担当・収納担当の名称は自治体によって異なります。
確認日:2026年9月4日
国保料の減免と、病院で払う医療費の減免には、それぞれの認定が必要です。国保料の納付書については、国民健康保険料を払えないときの減免・猶予・分割相談に分けて整理しています。
国民健康保険法第44条は、特別な理由で一部負担金の支払いが難しい人に対し、保険者が減額・免除・徴収猶予を行えると定めています。具体的な認定は、加入先の基準に沿って行われます。
出典:厚生労働省法令等データベース「国民健康保険法」第44条、厚生労働省「一部負担金の徴収猶予及び減免等の取扱いについて」
厚生労働省の取扱通知では、原則として保険者へ事前に申請します。急患など緊急でやむを得ない場合は、徴収猶予について事後申請の例外があります。支払い後の返金は保証されないため、受診・入院前、または請求を受けた時点で相談してください。
災害や失業などの事情と、世帯の収入・資産で審査する
自治体は、災害による大きな被害、失業や廃業による収入の急減、病気やけがによる生活の困窮などを審査します。「失業した」「住民税が非課税」という情報に加え、次のような生活状況も判断に関わります。
- 収入が減った原因と、その出来事が起きた時期
- 本人だけでなく、世帯全体の収入や預貯金
- 医療費を支払うと生活費がどれだけ不足するか
- 近いうちに給与、年金などの収入や資力が回復する見込み
- 対象となる診療が入院なのか、外来なのか
加入先には、収入・預貯金の基準に加え、対象となる事情、期間、入院・外来の範囲を確認してください。資産基準を超える場合や、事情・期間が条件に合わない場合は、減免の対象外になることがあります。利用できるかは、全国共通の「年収○万円以下」という一つの数字では決まりません。
出典:厚生労働省「一部負担金の徴収猶予及び減免等の取扱いについて」、横浜市「一部負担金の減免及び徴収猶予」
いくら軽くなる?減額・免除・猶予は別の扱い
| 認定の種類 | 支払いはどうなるか | 注意点 |
|---|---|---|
| 減額 | 対象の一部負担金のうち、認められた割合・額が軽くなる | 残りは支払う。減額割合は加入先の基準による |
| 免除 | 認められた範囲の一部負担金の支払いが不要になる | 病院の請求書にある費用すべてが無料になるとは限らない |
| 徴収猶予 | 保険者が一部負担金を直接徴収する扱いに切り替え、一定期間その徴収を待つ | 免除ではない。猶予後は保険者へ支払う |
減額が認められたら、決定通知で対象の費用と減額の割合・額を確認してください。「3割負担の人が2割負担になる制度」という固定の扱いではありません。差額ベッド代、文書料、食事代などは、保険診療の一部負担金と分けて相談してください。
横浜市の例:収入減少世帯・有病世帯は入院分を対象に判定
横浜市の収入減少世帯・有病世帯の案内では、承認期間の開始月から数えて3か月以内に生じた、入院の一部負担金が対象です。世帯の収入、生活費の基準、必要な一部負担金から減免を判定し、全額免除のほか2割・4割・6割・8割の減額があります。
横浜市では、一定以上の預貯金等があると対象外です。収入が近く回復する見込みがある場合は、徴収猶予になることもあります。外来診療や他の市区町村の扱いは、それぞれの加入先に確認してください。
申請方法:受診先と国保窓口の両方へ早めに相談する
- マイナポータルの資格情報や資格確認書などで、加入先の保険者名を確認する。
- 病院の会計・患者相談窓口に、支払いが難しい事情と支払期限を伝える。
- 市区町村の国保窓口へ「保険料ではなく、医療費の一部負担金の減免・徴収猶予を相談したい」と伝える。
- 対象事由、入院・外来の範囲、必要書類、適用開始日を聞き、申請する。
- 認定されたら、対象期間・医療機関・費用の範囲と、病院へ示す書類を確認する。
窓口で事情を伝えるため、次のような相談メモを用意してください。正式な申請には、加入先が指定する申請書を使います。
○月に失業して世帯の収入が減りました。○月○日に受診・入院予定で、病院の支払期限は○日です。国保の一部負担金の減免か徴収猶予に該当するか、申請日と必要書類を教えてください。
必要書類と申請期限
必要書類は加入先と申請理由によって異なります。最初の相談では、加入先が分かる書類、医療機関の請求額・支払期限、世帯の収入や預貯金の状況が分かる資料を手元に用意してください。そのうえで、正式に提出する書類を窓口に聞いてください。
申請書の様式、医師の意見書が必要な場面、代理申請の方法も、加入先に聞いてください。最初の相談には、病院名、入院予定期間、請求額が分かる資料も用意しておくと事情を伝えやすくなります。
申請期限や適用開始日は、加入先の決まりを確認してください。全国一律の募集締切はなく、対象となる事情が起きてからの期間も判断に関わります。過去の支払いに適用できるかも確認が必要なので、支払い前に相談してください。
よくある疑問
住民税非課税なら自動で医療費が無料になりますか?
なりません。特別な事情、収入・資産、対象となる診療などの審査があります。非課税の情報だけでなく、支払いに困っている具体的な事情を伝えてください。
既に払った医療費も戻りますか?
過去分を返金できるかは、加入先に確認が必要です。支払日、診療日、申請できなかった事情を伝えてください。高額療養費の払い戻しとは別に判断されます。
無料低額診療と同じ制度ですか?
別制度です。一部負担金の減免は加入先の国保に申請し、無料低額診療は実施している医療機関へ相談します。受診先で使える支援を探す場合は、無料低額診療の対象・相談先と薬代の注意点も確認してください。
困っている支払いに合わせて、次の相談先を選ぶ
- 医療費が高額:医療費が高い・病気で働けないときの支援一覧
- 国保料の納付が難しい:国民健康保険料の減免・納付相談
- 診察代の支払い自体が難しい:無料低額診療
病院からの請求書と国保料の納付書は、相談する制度が違います。「何が払えないか」「いつまでに払う必要があるか」を分けて伝えることから始めてください。
この記事は公式資料を基にした一般的な制度案内です。認定の可否は加入先が審査します。申請時は居住地・加入保険の最新の案内を確認してください。


