65歳前後の退職と雇用保険・社会保険|退職日の選び方、高年齢求職者給付金、2社勤務、月末退職

退職と雇用・社会保険について、退職日、雇用保険、社会保険を示した図解 仕事・失業

65歳になる月に退職する人は、退職日を確認してください。雇用保険では、離職日時点で65歳未満なら原則として「基本手当」、65歳以上なら「高年齢求職者給付金」の対象を検討します。

ここで注意したいのは、65歳になる日です。雇用保険では、誕生日の当日ではなく、誕生日の前日に満年齢へ達したものとして扱います。

たとえば、11月14日が65歳の誕生日なら、11月13日に65歳へ達します。11月13日を離職日とすると、離職日時点では65歳です。65歳未満での離職として扱われるには、原則として11月12日以前の離職であることが必要です。

ただし、退職日を早めれば必ず有利になるわけではありません。雇用保険だけでなく、賃金、賞与、退職金、健康保険、厚生年金、会社の就業規則、再就職予定も変わる可能性があります。会社へ退職日の変更を求める前に、ハローワークと年金事務所へ確認してください。

  1. 65歳未満で離職した場合
  2. 65歳以上で離職した場合
  3. 比較表
  4. 退職前に確認する5項目
  5. 高年齢求職者給付金:支給額は30日分または50日分
  6. 高年齢求職者給付金:主な受給要件
  7. 高年齢求職者給付金:対象外になりやすい人
  8. 高年齢求職者給付金:失業認定は原則1回
  9. 高年齢求職者給付金:申請期限は離職日の翌日から1年
  10. 高年齢求職者給付金:年金を受けていても相談できる
  11. 高年齢求職者給付金:手続きの入口
  12. 64歳退職と65歳到達:離職時の年齢で給付の種類が分かれる
  13. 64歳退職と65歳到達:受給期間は65歳の誕生日で延びない
  14. 64歳退職と65歳到達:65歳前の年金調整も確認する
  15. 64歳退職と65歳到達:手続き前にそろえるもの
  16. 64歳退職と65歳到達:まず確認する順番
  17. 65歳以上で2社勤務:対象になる3つの条件
  18. 65歳以上で2社勤務:3社以上で働く場合
  19. 65歳以上で2社勤務:申出の流れ
  20. 65歳以上で2社勤務:離職したら高年齢求職者給付金を確認
  21. 65歳以上で2社勤務:社会保険は別々に判定する
  22. 退職日と社会保険料:3月30日退職と3月31日退職の違い
  23. 退職日と社会保険料:最終給与から2か月分引かれることがある
  24. 退職日と社会保険料:退職後の保険を含めて比較する
  25. 退職日と社会保険料:厚生年金の加入月も1か月変わる
  26. 退職日と社会保険料:退職日を決める前の確認項目
  27. 退職日と社会保険料:手続きと相談先
  28. 相談先
  29. 関連記事
  30. 公的資料

65歳未満で離職した場合

65歳未満で雇用保険の一般被保険者として離職し、加入期間や失業状態などの要件を満たすと、基本手当の対象になります。

基本手当は、決められた日数分を失業認定ごとに受け取る仕組みです。所定給付日数は、年齢、雇用保険の加入期間、離職理由によって異なります。自己都合退職、定年、契約期間満了、会社都合では扱いが同じとは限りません。

基本手当を受けるには、退職しただけでは足りません。働く意思と能力があり、求職活動をしているのに就職できない「失業」の状態であることが必要です。

また、65歳になるまでの老齢厚生年金、たとえば特別支給の老齢厚生年金や繰上げた老齢厚生年金を受けている人は、ハローワークで求職申込みをすると、基本手当との調整により年金が全額支給停止となる期間があります。

求職申込みをした月の翌月から、基本手当の受給期間が終わった月、または所定給付日数を受け終わった月までが調整の対象です。実際に基本手当を受けなかった月がある場合は、後から年金が精算されることがあります。

65歳の境界は、ハローワークへ行く日ではなく離職日で確認します。厚生労働省の案内も給付額などを「離職時の年齢」で区分しています。誕生日付近で退職する人は、離職票の離職年月日を使って基本手当か高年齢求職者給付金かを窓口で確認してください。基本手当の受給期間は原則として離職日の翌日から1年間なので、申請を遅らせても期限は後ろにずれません。厚生労働省のQ&Aでは早めの手続きを案内しています。

65歳以上で離職した場合

離職日時点で65歳以上の高年齢被保険者だった人は、一定の要件を満たすと高年齢求職者給付金の対象になります。

高年齢求職者給付金は、基本手当のように複数回の失業認定で受け取るのではなく、原則として1回の失業認定後に一時金として支給されます。

  • 被保険者期間が1年以上:基本手当日額の50日分
  • 被保険者期間が1年未満:基本手当日額の30日分

算定対象期間は原則として離職前1年間で、被保険者期間が通算6カ月以上必要です。さらに、働く意思と能力があり、求職しているのに就職できない状態でなければなりません。

65歳以上の人に支給される年金は、高年齢求職者給付金を手続きしたことだけを理由に支給停止にはなりません。高年齢求職者給付金と65歳以上の老齢年金は併給できます。

一方、高年齢求職者給付金には、基本手当の受給者を対象とする再就職手当はありません。また、病気やけがなどですぐ働けない場合でも、基本手当のような受給期間延長はできません。手続きできる期間は離職日の翌日から1年間です。

比較表

確認項目65歳未満で離職65歳以上で離職
主な給付基本手当高年齢求職者給付金
受け取り方失業認定ごと原則一時金
給付日数年齢・加入期間・離職理由などで決定30日分または50日分
再就職手当条件を満たせば対象なし
受給期間延長条件を満たせば可能なし
年金との関係65歳前の老齢厚生年金と調整あり65歳以上の年金と併給可能

退職前に確認する5項目

  1. 離職票に記載される離職年月日
  2. 65歳の誕生日と、その前日
  3. 雇用保険の加入期間
  4. 離職理由と離職理由コード
  5. 受けている年金の種類

最終出勤日と離職日は同じとは限りません。有給休暇を消化した場合は、最後に出勤した日ではなく、雇用契約が終了した日が離職日になります。

高年齢求職者給付金:支給額は30日分または50日分

  • 雇用保険の被保険者であった期間が1年未満:基本手当日額の30日分
  • 1年以上:基本手当日額の50日分

基本手当日額は、原則として離職前6か月の賃金を基礎に計算されます。実際の金額は離職票に基づいてハローワークが決定します。

高年齢求職者給付金:主な受給要件

  1. 65歳以上の高年齢被保険者として離職した
  2. 働く意思と能力があるのに就職できていない
  3. 原則として離職前1年間に雇用保険の被保険者期間が通算6か月以上ある
  4. ハローワークで求職申込みをし、高年齢受給資格の決定と失業認定を受ける

ハローワークの現行案内では、離職による資格確認、働く意思・能力、算定対象期間(原則として離職前1年間)の被保険者期間が通算6か月以上であることが必要です。高年齢求職者給付金は失業認定をした日に支給決定されるため、離職票が届いたら求職申込みと失業認定の日時を先に管轄ハローワークへ確認してください。

高年齢求職者給付金:対象外になりやすい人

  • 退職後すぐに働く予定がなく、休養だけを考えている
  • 病気やけがなどで、現在は働ける状態にない
  • 雇用保険の加入期間が足りない
  • すでに次の就職先が決まり、失業状態にない

高年齢求職者給付金:失業認定は原則1回

一般の基本手当は複数回の失業認定がありますが、高年齢求職者給付金の失業認定は原則1回です。認定日に失業状態が確認されると、支給決定が行われます。

高年齢求職者給付金:申請期限は離職日の翌日から1年

受給期限は離職日の翌日から1年です。待期や給付制限がある場合、手続きが遅いと受給期限までの日数が不足し、本来の日数分を受け取れない可能性があります。離職票が届いたら早めに管轄ハローワークへ相談してください。

高年齢求職者給付金:年金を受けていても相談できる

65歳以上の高年齢求職者給付金は、老齢年金を受けていることだけを理由に申請できなくなる制度ではありません。ただし、働く意思と能力、雇用保険期間などの要件は別に審査されます。

高年齢求職者給付金:手続きの入口

離職票、本人確認書類、マイナンバー確認書類、写真、本人名義の口座情報などを準備し、住所を管轄するハローワークで求職申込みをします。必要書類は個別事情で変わるため、来所前に確認しましょう。

64歳退職と65歳到達:離職時の年齢で給付の種類が分かれる

離職時の年齢主な求職者給付支給の形
65歳未満基本手当認定日ごとに支給
65歳以上高年齢求職者給付金30日分または50日分の一時金

基本手当の所定給付日数は、離職理由、雇用保険の加入期間、離職時の年齢で決まります。受給中に誕生日を迎えたことだけを理由に、残りの日数が30日分・50日分へ置き換えられることはありません。

ただし、基本手当を受けるには、働く意思と能力があり、求職活動を続けている「失業の状態」である必要があります。65歳になれば自動的にもらい続けられる制度ではありません。

64歳退職と65歳到達:受給期間は65歳の誕生日で延びない

基本手当を受けられる期間は、原則として離職日の翌日から1年間です。65歳の誕生日を迎えても、この期限が最初から数え直されることはありません。

60歳以上の定年などで退職し、しばらく休養してから求職したい場合は、受給期間へ休養期間を加える特例があります。申請が遅いと所定給付日数を受け切れないことがあるため、離職日の翌日から2カ月以内を目安にハローワークへ相談してください。

64歳退職と65歳到達:65歳前の年金調整も確認する

65歳になる前の特別支給の老齢厚生年金などは、基本手当の受給手続きをすると支給停止の対象になる場合があります。この調整は「65歳になるまでの老齢厚生年金」が中心です。

65歳からの老齢基礎年金・老齢厚生年金の請求時期と、雇用保険の残日数は別に確認します。年金請求を遅らせれば必ず有利になるわけではありません。年金事務所には雇用保険受給資格者証を持参し、支給停止期間を照会してください。

64歳退職と65歳到達:手続き前にそろえるもの

  • 離職票1・2
  • マイナンバーと本人確認ができる書類
  • 本人名義の振込口座を確認できるもの
  • 年金を受けている場合は年金証書や年金通知書

必要な写真や追加書類は手続方法によって異なるため、住所地を管轄するハローワークの案内を確認してください。

64歳退職と65歳到達:まず確認する順番

  1. 離職票の離職年月日を確認する
  2. 基本手当の受給期間満了日を確認する
  3. ハローワークで残日数と認定日を確認する
  4. 65歳前の年金停止がある人は年金事務所へ照会する

ハローワークの現行案内では、基本手当の給付日数は離職理由・離職時年齢・被保険者期間などで決まります。65歳の誕生日を迎えたことだけで、すでに受給中の基本手当が高年齢求職者給付金へ置き換わるわけではありません。離職票の離職日と受給資格者証を持って、残日数・受給期間満了日・年金停止の有無を別々に照会してください。

65歳以上で2社勤務:対象になる3つの条件

条件内容
年齢65歳以上
労働時間2社の週所定労働時間を合計して20時間以上
雇用見込み2社とも31日以上働く見込みがある

対象にする2社では、それぞれ週5時間以上20時間未満で働いている必要があります。1社で週20時間以上なら、その会社で通常の雇用保険の加入対象を確認します。

厚生労働省のQ&Aでは、雇用保険に加入できるのは2つの事業所までで、対象にする2社は異なる事業主であることも条件です。3社以上で働く場合は本人が組み合わせを選び、勤務先が同じ法人の別店舗か、1社が週20時間以上かで扱いが変わるため、2社分の労働条件通知書を持ってハローワークへ相談してください。

65歳以上で2社勤務:3社以上で働く場合

3社以上に勤める人は、加入条件を満たす2社を本人が選んで申し出ます。選んだ2社のうち1社を離職しても、別の勤務先との組み合わせで条件を満たせば、変更手続きによって加入を続けられる場合があります。

勤務先の追加や離職で週所定労働時間が変わったときは、放置せずハローワークへ確認してください。

65歳以上で2社勤務:申出の流れ

  1. 住所を管轄するハローワークで申出書類を確認する
  2. 対象にする2社へ勤務証明などの記載を依頼する
  3. 本人が必要書類をハローワークへ提出する
  4. 資格取得の確認通知を本人と事業主が受け取る

会社は本人から証明を求められた場合、必要事項の記載に協力します。勤務先の一方だけで手続きを完結させる制度ではありません。

65歳以上で2社勤務:離職したら高年齢求職者給付金を確認

マルチ高年齢被保険者が離職し、求職の意思・能力などの条件を満たすと、高年齢求職者給付金の対象になる場合があります。被保険者期間が1年未満なら基本手当日額の30日分、1年以上なら50日分が一時金として支給されるのが基本です。

2社のうち1社だけを辞め、もう1社で働き続ける場合の失業認定は個別確認が必要です。離職票を受け取ったら、現在の全勤務先と労働時間をハローワークへ伝えてください。

65歳以上で2社勤務:社会保険は別々に判定する

マルチジョブホルダー制度は雇用保険の特例です。健康保険・厚生年金の加入条件は勤務先ごとに判定され、2社の労働時間を単純合算して加入する制度ではありません。

退職日と社会保険料:3月30日退職と3月31日退職の違い

退職日資格喪失日会社の社会保険料
3月30日3月31日原則として3月分はかからない
3月31日4月1日3月分までかかる

保険料は日割りではなく月単位です。資格喪失日の属する月の前月分まで納めます。

退職日と社会保険料:最終給与から2か月分引かれることがある

会社が当月の給与から前月分の保険料を控除している場合、月末退職では、最終給与から前月分と退職月分の2か月分が控除されることがあります。

控除額が急に増えても二重払いとは限りません。給与明細で何月分の健康保険料・厚生年金保険料なのかを確認し、不明なら会社の給与担当者へ内訳を聞いてください。

退職日と社会保険料:退職後の保険を含めて比較する

月末前日に退職すると、その翌日から会社の健康保険は使えません。退職月の末日に別の健康保険へ加入することになるため、次の保険料が発生する場合があります。

  • 国民健康保険
  • 会社の健康保険の任意継続
  • 再就職先の健康保険
  • 60歳未満の場合は国民年金

家族の健康保険の扶養に入れれば本人の健康保険料は通常発生しませんが、収入条件や加入日の確認が必要です。65歳以上では国民年金の強制加入は原則ありませんが、健康保険の切替は必要です。

退職日と社会保険料:厚生年金の加入月も1か月変わる

月末退職で退職月分の厚生年金保険料を納めれば、その月は厚生年金の加入期間として年金額へ反映されます。月末前日退職で退職月分を納めない場合、その月は会社の厚生年金加入月になりません。

保険料の差だけでなく、将来の老齢厚生年金額、障害厚生年金・遺族厚生年金の要件、再就職日との空白も確認してください。

日本年金機構のQ&Aでは、資格を取得した月に資格を喪失する「同月得喪」では、厚生年金保険料の納付が必要になると案内しています。転職直後に短期退職した場合は、月末退職の比較だけで判断せず、前職・次の勤務先の資格取得日と喪失日を年金事務所で確認してください。

退職日と社会保険料:退職日を決める前の確認項目

  1. 就業規則や雇用契約で退職日を選べるか
  2. 最終給与から控除される保険料の対象月
  3. 退職翌日から入る健康保険とその保険料
  4. 60歳未満なら国民年金の加入手続き
  5. 有給休暇、退職金、賞与、失業給付への影響

退職日は本人だけで自由に動かせない場合があります。会社と合意した正式な退職日が離職票や資格喪失届へ記載されます。

退職日と社会保険料:手続きと相談先

退職後の健康保険は原則として退職翌日から切替が必要です。任意継続は資格喪失日から20日以内に申請します。国民健康保険は市区町村、家族の扶養は家族の勤務先、厚生年金の加入記録は年金事務所へ確認してください。

相談先

  • 雇用保険の給付:住所地を管轄するハローワーク
  • 年金の支給停止・再開:年金事務所、街角の年金相談センター
  • 退職日・就業規則:勤務先の人事・労務担当

関連記事

公的資料

65歳以上で離職した人は、一般の基本手当ではなく高年齢求職者給付金の対象になることがあります。雇用保険の被保険者期間が1年未満なら基本手当日額の30日分、1年以上なら50日分が目安ですが、離職前1年間に通算6か月以上の被保険者期間などの要件と、求職申込み・失業認定が必要です。誕生日の前後で制度区分が変わり得るため、離職票を持って住所地を管轄するハローワークに確認してください。ハローワーク「基本手当について」

  • ハローワークインターネットサービス「基本手当について」
  • 沖縄労働局「よくある質問②」

沖縄労働局「よくある質問②」(PDF)

  • 日本年金機構「年金と雇用保険の失業給付との調整」

次に確認すること

制度は、対象・金額・期限・申請先の4点がそろって初めて動けます。次のページで残りを確認してください。

迷ったときの相談先

最終的な支給の可否・金額は、お住まいの市区町村の窓口、年金事務所、ハローワークなどの公的機関が判断します。当サイトは公式情報をもとに整理していますが、申請前に必ず窓口でご確認ください。制度の内容は変更されることがあります。

この記事の調査・編集について

調査・執筆・編集確認:カネさん(給付金プラス運営者)

2021年3月から、給付金・助成金・公的支援制度の情報発信を行っています。記事は、制度の実施機関が公開する案内・募集要項・申請書、所管省庁の法令・通知・公表資料、実施機関の公式FAQを確認して作成しています。AIは調査と構成の補助に使うことがありますが、公開前に運営者が公式資料と照合しています。

本文中の「確認日」は、その時点で公式資料を確認した日付です。最終更新日は記事冒頭に表示しています。制度改正や受付終了が判明した場合は、公開済みの記事も修正・追記します。

記事の誤り、古くなった情報、リンク切れを見つけた場合は、お問い合わせフォームからご連絡ください。内容を確認のうえ修正します。なお、最終的な支給の可否・金額は、市区町村の窓口、年金事務所、ハローワークなどの公的機関が判断します。

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