DVから避難したら住民票はどうする?住所を守る「支援措置」の申出方法と注意点

住まい・生活

今すぐ危険がある場合は、この記事を読み進めるより先に110番へ通報してください。緊急ではない警察相談は「#9110」、DVの相談先が分からない場合は「#8008」を利用できます。

DVやストーカー被害から避難した後、「住民票を移すと相手に新しい住所を知られるのではないか」と不安になる人は少なくありません。

市区町村には、相手が住民票や戸籍の附票を使って転居先を探すことを防ぐ制度があります。正式名称は「住民基本台帳事務における支援措置」です。

一般に「住民票の閲覧制限」と呼ばれますが、申出をすればすべての住所情報が自動的に隠れる制度ではありません。対象になる人、手続き、保護されない情報まで確認しておきましょう。

今すぐ危険がある場合は110番へ

相手が近くにいる、暴力を受けている、家に押しかけられているなど、警察官に来てもらう必要がある場合は110番に通報してください。

緊急ではないものの、警察にDVやストーカー被害を相談したい場合は、警察相談専用電話「#9110」を利用できます。警察庁は、緊急通報は110番、緊急でない相談は#9110と案内しています。

  • DV相談ナビ:#8008
  • DV相談プラス:0120-279-889(電話は24時間受付)
  • 警察相談専用電話:#9110
  • 緊急通報:110番

「#8008」は、電話をかけた地域に近い配偶者暴力相談支援センターにつながります。受付時間は接続先によって異なり、通話料がかかります。DV相談プラスは、電話のほかチャットや10言語での相談にも対応しています。「これがDVに当たるのか分からない」という段階でも相談できます。

加害者にスマートフォンやパソコンを確認される可能性がある場合は、履歴を消すこと自体が危険につながる場合もあります。安全な端末や連絡方法を使えるか、支援機関と相談してください。

「住民票の支援措置」とは

支援措置は、DV、ストーカー、児童虐待などの相手が、住民票や戸籍の附票から被害者の住所を探すことを防ぐ制度です。

支援の必要性が確認されると、主に次の請求が制限されます。

  • 住民基本台帳の一部の写しの閲覧
  • 住民票や住民票の除票の写しの交付
  • 戸籍の附票や戸籍の附票の除票の写しの交付

申出書に記載された相手から請求があった場合、市区町村は原則として閲覧や交付を認めません。第三者から請求された場合も、なりすましや相手から依頼された請求ではないか、本人確認や利用目的が通常より厳しく審査されます。

子どもなど、同じ住所で生活する家族も危険にさらされる場合は、一緒に支援措置を申し出られることがあります。

対象になる可能性がある人

主な対象は、次のような被害を受け、今後も生命や身体に危害を受けるおそれがある人です。

  • 配偶者や元配偶者からDVを受けている
  • ストーカー行為を受けている
  • 児童虐待を受けている
  • 交際相手や親族などから、これらに準じる暴力や支配を受けている

申出をしただけで必ず支援措置が始まるわけではありません。市区町村が警察、配偶者暴力相談支援センター、児童相談所などに意見を聴き、必要性を確認します。

「保護命令を取っていない」「被害届を出していない」という理由だけで、自分は対象外だと決めつけないでください。必要な確認方法は状況や自治体によって異なります。まずはDV相談窓口や警察、市区町村に相談してください。

申出までの流れ

1.警察やDV相談窓口に相談する

警察署、配偶者暴力相談支援センターなどに、受けている被害と今後の危険について相談します。避難前の場合は、住民票だけを先に動かしてよいか、自分で相手に別居を伝えてよいかなども含め、安全な避難方法を相談してください。

2.市区町村の窓口へ事前に連絡する

現在住民票がある市区町村、または転入予定の市区町村に連絡し、「DV等の支援措置を申し出たい」と伝えます。

窓口の名称は、住民課、市民課、戸籍住民課など自治体によって異なります。安全への配慮が必要なことを伝え、来庁時間や待機場所についても確認しておくと安心です。

3.申出書と必要書類を提出する

一般的に確認される書類は次のとおりです。

  • 住民基本台帳事務における支援措置申出書
  • 運転免許証、マイナンバーカードなどの本人確認書類
  • 相談機関の意見や相談状況を確認できる書類
  • 保護命令決定書など、被害や危険性を確認できる書類

すべての人に保護命令決定書が必要という意味ではありません。必要書類と確認方法は自治体や事情によって異なるため、来庁前に確認してください。

4.支援開始日と対象範囲を確認する

市区町村から支援開始の連絡を受けたら、開始日、対象となる市区町村、子どもなど同居家族の扱い、請求を制限する相手、終了日と更新時期を確認します。

支援期間は原則1年間

支援措置の期間は、原則として支援開始から1年間です。危険が続いていても自動更新されるとは限りません。継続する場合は、期限前に改めて申出と必要性の確認を受けます。

延長手続きの受付開始日は自治体によって異なります。支援開始時に終了日を控え、転居や家族構成の変更があった場合も窓口に確認してください。

支援措置だけでは住所を完全に隠せない

支援措置は、住民票などを使った住所探索を防ぐ制度です。学校、勤務先、医療機関、裁判・登記関係の書類、郵便物、民間サービスの登録住所、SNSやスマートフォンの位置情報などまで、すべて自動的に保護するものではありません。

また、正当な理由がある第三者からの請求まで一律に拒否する制度ではありません。警備や一時保護を行う制度でもないため、危害を受けるおそれがある場合は、警察や配偶者暴力相談支援センターと安全確保の方法を相談する必要があります。

住民票を移せない場合でも相談できる支援がある

住所を知られる危険が高く、すぐには住民票を移せない場合でも、利用できる可能性がある制度があります。

内閣府は、実際に生活している場所を管轄する福祉事務所への生活保護の相談、現在住んでいる市区町村での児童手当・児童扶養手当の申請、国民健康保険への加入などが可能な場合があると案内しています。

個別の条件や必要書類があるため、現在いる自治体の福祉窓口に「DVから避難しており、住民票を移せない」と伝えて相談してください。

生活福祉資金など、名前に「支援」が付いていても返済が必要な貸付制度があります。給付と貸付を混同せず、返済条件まで確認することが大切です。

一人で全部の手続きを進めなくてよい

DVからの避難では、住民票だけでなく、子どもの学校、健康保険、年金、児童手当、勤務先、郵便物など、住所につながる手続きが複数あります。

すべてを一人で判断せず、まず相談窓口に連絡し、安全に進める順番を一緒に考えてもらってください。

  • 今すぐ危険がある:110番
  • 警察への緊急でない相談:#9110
  • 最寄りのDV相談窓口:#8008
  • 24時間の電話相談:0120-279-889
  • 住民票の支援措置:市区町村の住民登録担当窓口

制度の運用や必要書類は市区町村によって異なります。この記事だけで自分が対象外だと判断せず、現在いる地域の窓口に確認してください。

公式情報

ほかの生活支援制度を探す場合は、「給付金プラスの使い方|自分に合う支援を探す入口」もご覧ください。

※この記事は2026年8月3日時点の公的情報をもとに作成しています。

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