居住支援事業とは|住む場所がない・ネットカフェ生活の相談先

住まい・生活

今夜から泊まる場所がない。ネットカフェ代が尽きそう。知人宅を転々としているが、もう居られない。

このようなときは、賃貸住宅を自分で探す前に、地域の自立相談支援機関へ「今日から住む場所がない」と伝えてください。生活困窮者自立支援制度の居住支援事業では、一定期間の宿泊場所や食事を提供し、その後の住まいと生活を整える支援を行います。

ただし、誰でも使える無料ホテルや、家賃を現金で受け取る制度ではありません。自治体が本人の状況、収入・資産、緊急性、受入先の空き状況などを確認して利用を判断します。

居住支援事業は2025年4月に名称が変わった

生活困窮者自立支援法の「一時生活支援事業」は、2025年4月から「居住支援事業」に改称されました。

以前は、住居のない人へ一時的な宿泊場所を提供するシェルター事業が中心でした。現在は、宿泊場所を確保する支援に加え、住宅へ入った後の見守りや生活支援も含む制度として位置づけられています。

古い自治体ページや案内には「一時生活支援事業」という名称が残っている場合があります。名前が違っても、まず自立相談支援機関へ現在利用できる支援を確認してください。

居住支援事業には2つの支援がある

現在の居住支援事業は、シェルター事業と地域居住支援事業を合わせたものです。

支援 主な対象 主な内容
シェルター事業 住居がない、または住居を失うおそれがある生活困窮者 一定期間の宿泊場所、食事、日用品などを提供する
地域居住支援事業 シェルター等の退所者、住居を失うおそれがあり地域から孤立している人 入居支援、訪問、見守り、生活相談、地域とのつながりを支援する

「泊まる場所を確保したら終わり」ではありません。自立相談支援事業と連携し、仕事、家計、福祉制度、医療、次の住まいを一緒に整理します。

生活困窮者自立支援制度の総合記事では、家計改善、就労、生活保護を含む相談の全体像を説明しています。

路上生活だけでなく、ネットカフェや知人宅を転々とする人も相談できる

居住支援の対象は、屋外で生活している人だけではありません。

  • ネットカフェ、サウナ、24時間営業の店舗で夜を過ごしている
  • 知人宅や親族宅を転々としている
  • 家賃滞納や契約終了で退去が迫っている
  • 失業して社員寮や住み込み先を出なければならない
  • 家庭内の暴力などで自宅に居続けることが難しい
  • シェルターや自立支援センターを出た後、一人で生活を続けることに不安がある

ただし、このような事情があれば自動的に利用できるわけではありません。相談員が住居の状況、経済的な困窮、心身の状態、生活保護の必要性などを確認し、支援の方法を判断します。

暴力や虐待があり、今すぐ身の危険がある場合は、安全確保を優先して警察へ連絡してください。一般のシェルターでは対応が難しい場合があるため、女性相談支援機関や配偶者暴力相談支援センターなど、専門の保護先と調整されることがあります。

住民票がない・住所が分からない場合も現在地で相談する

住所がないため相談先が分からない場合は、現在いる場所の自治体へ相談します。

厚生労働省の手引きでは、基本的には自治体の区域内に居住地がある人へ対応し、居住地がない場合は現在地で対応するとしています。住民票が以前の住所に残っている、住所を失って住民登録ができていない、といった事情だけで相談を諦める必要はありません。

市区町村の代表電話へ「生活困窮者自立支援制度の相談窓口につないでください」と伝えます。窓口名が分からない場合は、厚生労働省の住まい相談サイト「すまこま。」から地域の相談先を探せます。

今夜の宿泊場所がないときは緊急性を最初に伝える

最初の連絡では、制度名より現在の状況を具体的に伝えます。

「今日の所持金は2,000円です」 「ネットカフェに泊まれるのは今夜までです」 「明日の午前中に社員寮を退去します」 「子どもと一緒に今夜の宿泊先がありません」

シェルター事業は緊急性が高いケースを想定しています。厚生労働省の手引きでは、緊急時には通常の支援調整会議より前に利用を開始し、後から速やかに対象要件を確認する対応も可能とされています。

一方、受入先の空室がない、本人の身体・精神状態に合う部屋を用意できないなど、当日に利用できない場合もあります。連絡しただけで宿泊場所が確約される制度ではありません。

シェルターで受けられる支援

自治体や施設によって異なりますが、制度上は次の支援が想定されています。

  • 宿泊場所の提供
  • 食事、入浴、衣類、日用品など生活に必要な支援
  • 健康状態の確認や医療相談への接続
  • 収入、借金、家族関係など生活課題の整理
  • 求職や福祉制度の利用支援
  • 低家賃の住宅など、退所後の住まい探し
  • 退所後に再び住居を失わないための見守り

本人がホテルを予約して代金を立て替え、後で払い戻してもらう制度ではありません。自立相談支援機関が必要性を確認し、自治体や委託先が受入施設を調整します。

利用までの基本的な流れ

通常は次の順で進みます。

  1. 自立相談支援機関または市区町村へ相談する
  2. 住居、所持金、収入・資産、健康、家族状況を聞き取る
  3. 宿泊支援が必要か、生活保護など別の支援が必要かを確認する
  4. 自治体が支援を決定し、受入可能な施設を調整する
  5. 利用条件や施設のルールについて説明を受ける
  6. 宿泊場所、食事などの支援を受ける
  7. 利用中に、仕事、家計、福祉、退所後の住まいを相談する

緊急時は順番が前後することがあります。自分で制度の対象かを判断してから相談する必要はありません。

相談時に伝えること・持っていくとよいもの

全国共通の必要書類一覧があるわけではなく、自治体や状況によって確認方法が異なります。最初の相談では、次の情報を分かる範囲で伝えます。

  • 今夜泊まれる場所があるか
  • 現在いる場所と連絡可能な電話番号
  • 手元の現金と預貯金
  • 給与、年金、手当などの収入
  • 退去日や社員寮を出る日
  • 同行する家族や子どもの有無
  • 持病、服薬、障害、介助の必要性
  • 暴力、虐待、債権者からの追跡など安全上の不安

手元にあれば、本人確認書類、通帳や口座履歴、給与明細、退去通知、雇用終了の書類、薬やお薬手帳を持参します。書類をすべてそろえるまで相談を待つのではなく、宿泊場所を失う時刻や期限を先に伝えてください。

シェルターの利用期間は原則3か月以内

厚生労働省の手引きでは、シェルター事業の利用期間は原則として3か月を超えない期間とされています。自治体が必要と認めた場合は、本人の状況に応じて6か月以内まで延長できます。

これは全員が3か月利用できるという意味ではありません。次の住まいが決まった、生活保護の施設や別の支援へ移る、本人が終了を希望するなど、状況に応じて利用期間は変わります。

居住支援事業の相談自体に、給付金のような全国共通の申請締切はありません。ただし、退去日や宿泊費が尽きる日は待ってくれません。住居を失う前でも相談できます。

住居確保給付金とは目的が違う

居住支援事業と住居確保給付金は、どちらも住まいの支援ですが役割が異なります。

制度 主な状況 支援の中心
居住支援事業 すでに住居がない、住居を失うおそれがあり緊急の支援が必要 一時的な宿泊・食事、入居支援、見守り
住居確保給付金 離職や収入減少などで家賃の支払いが難しい 要件を満たす場合に家賃相当額を家主等へ支給
住居確保給付金の転居費用補助 家計改善のため、家賃の安い住宅へ移る必要がある 要件を満たす場合に転居費用を補助

現在の賃貸住宅に住み続けられる可能性があるなら、住居確保給付金の対象と申請方法を確認します。家賃を下げるための住み替えが必要な場合は、住居確保給付金の転居費用補助も相談します。

居住支援法人・セーフティネット住宅とも別の仕組み

名称が似ていますが、「生活困窮者居住支援事業」と「居住支援法人」は同じ制度ではありません。

居住支援法人は、低額所得者、高齢者、障害者、子育て世帯、被災者など、住宅を借りにくい人へ、物件情報、入居相談、家賃債務保証、見守りなどを行う法人として都道府県が指定します。法人によって対応する対象者、地域、支援内容、費用が異なります。

セーフティネット住宅は、住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅として登録された民間賃貸住宅です。登録住宅だから家賃が無料になるわけではなく、空室や入居審査、家賃補助の有無は個別に確認します。

今夜の住まいがない場合は、物件検索から始めるのではなく、自立相談支援機関へ緊急性を伝えます。その後の住まい探しで、居住支援法人やセーフティネット住宅を紹介される場合があります。

貸付は宿泊支援や給付金とは異なる

臨時特例つなぎ資金は、住居がなく、公的な給付や貸付の申請結果を待っているなどの条件を満たす人向けの貸付です。返済が必要で、居住支援事業を利用すれば自動的に借りられるわけではありません。

生活福祉資金の福祉費にも転居などに使える貸付がありますが、審査があり、緊急の宿泊場所をその場で提供する制度ではありません。

家賃、借金、公共料金の支払いも重なっている場合は、家計改善支援事業で、給付、減免、分納、法律相談を含む支払計画を整理します。

最低限の生活費もない場合は生活保護も同時に相談する

住まいだけでなく、食費や医療費もなく、収入・資産を活用しても最低限度の生活を維持できない場合は、福祉事務所へ生活保護も相談します。

居住支援事業は、生活保護を申請できなくする制度ではありません。相談員は、シェルター事業の利用だけでよいか、生活保護など別の制度が必要かも確認します。

生活保護の対象と申請方法では、収入・資産・扶養照会、申請から決定までの流れを整理しています。

実施状況と受入条件は自治体によって違う

居住支援事業は、福祉事務所を設置する自治体が直接、または民間団体などへ委託して実施します。2025年4月の制度改正後も、地域の実情に応じてシェルター事業と地域居住支援事業のどちらか、または両方を実施する仕組みです。

そのため、宿泊施設の種類、対象者、家族での利用、ペット、飲酒・喫煙、門限、日用品、受入可能な健康状態などは全国一律ではありません。厚生労働省は、自治体ごとのシェルター事業と地域居住支援事業の実施状況・委託先一覧を公表しています。

一覧で「未実施」となっていても、自治体が他地域と広域連携している場合や、生活保護、女性相談、民間支援など別の方法を案内できる場合があります。自分で利用不可と決めず、現在地の自治体へ相談してください。

最初の電話では3点を伝える

窓口へ連絡するときは、最初に次の3点を伝えます。

  1. いつ住む場所を失うのか
  2. 今夜泊まれる場所と所持金があるか
  3. 一緒にいる家族、健康、安全上の問題があるか

「居住支援事業を利用したい」だけでなく、「今夜から泊まる場所がなく、所持金は○円です」と伝えると、緊急性が伝わりやすくなります。

相談先は、現在いる地域の自立相談支援機関または市区町村です。閉庁時間の場合にどこへ連絡するかも自治体ごとに異なるため、できるだけ早い時間に確認してください。

公式情報

※制度名、実施事業、受入先、対象確認、利用期間、施設のルールは自治体や本人の状況によって異なります。この記事は2026年8月3日時点の国の制度を基に作成しています。緊急時は書類をそろえる前に、現在いる地域の自治体へ相談してください。

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