「服を買い取る」と言われて業者を家に呼んだら、指輪やネックレスまで見せるよう迫られた――。
このように、最初に聞いていた話と違う品物を出すよう求められたり、断っているのに勧誘を続けられたりするトラブルがあります。一般に「押し買い」と呼ばれる問題です。
法律上は「訪問購入」と呼ばれます。すべての訪問買取が違法という意味ではありませんが、購入業者には守るべきルールがあります。生活費を補うために不用品を売ろうとするときも、知らない業者に急かされて、大切な品物まで渡さないでください。
状態:訪問購入の勧誘・売却を迫られている
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不用品買取の業者を呼んだ、または売るつもりのない貴金属を出すよう迫られている人
公式出典
次に取る行動:業者を家に入れず、予定していなかった品物は見せないでください。契約書面・売った物・業者名を残し、8日以内か確認して、困ったときは消費者ホットライン188へ相談します。危険を感じる場合は警察へ連絡してください。
押し買いとは? 「訪問購入」がトラブルになるケース
消費者庁の特定商取引法ガイドによると、訪問購入とは、購入業者が消費者の自宅などを訪問し、物品を買い取る取引です。
「押し買い」は法律上の正式な取引類型の名前ではありません。一般には、次のような強引な訪問購入を指して使われます。
- 「何でも買い取る」と言って来たのに、貴金属や宝石を出すよう迫る
- 売るつもりのなかった指輪、ネックレス、時計などを買い取ろうとする
- 「今売らないと損をする」と急かす
- 断っているのに家に上がろうとする、長時間帰らない
- 契約書面を渡さない、または品物や価格の記載が不十分
国民生活センターの訪問購入に関する相談傾向ページにも、「不用品や和服の買い取りのはずが貴金属を買い取られた」という相談が掲載されています。PIO-NETの相談件数は、2025年度が7,523件、2026年度は2026年5月31日までに826件(前年同期823件)です。なお、この件数には特定商取引法上の訪問購入に該当しない相談も含まれます。
訪問購入には、業者が守るルールがある
消費者庁の特定商取引法ガイドでは、訪問購入について次のルールが示されています。
| ルール | 読者が知っておきたいこと |
|---|---|
| 事業者名などの明示 | 勧誘の前に、業者名、契約を勧める目的、買い取る物品の種類を告げる必要があります。 |
| 依頼していない人への勧誘禁止 | 頼んでいない訪問購入の勧誘はできません。査定だけを依頼したのに、その範囲を超えて別の品物を勧める行為も問題になります。 |
| 断った後の再勧誘禁止 | 契約しない意思を示した人に、その場で勧誘を続けたり、後日あらためて勧誘したりすることは禁止されています。 |
| 書面の交付 | 物品名、購入価格、業者の名称・住所・電話番号などを記載した書面を渡す必要があります。 |
「法律違反かどうか分からないから、断りにくい」と考える必要はありません。売る気がないなら、家に入れず、はっきり断って大丈夫です。
突然の訪問や電話が来たときの断り方
1. 突然来た業者は、家に入れない
玄関を開けて対応する必要はありません。インターホン越しに、次のように伝えます。
「買取は依頼していません。家には入れません。お帰りください」
相手の会社名や身分証を確認しようとして、ドアを開ける必要もありません。不安を感じたら、家族や近所の人に連絡してください。
2. 電話で安易に訪問を承諾しない
「不要な服はありませんか」「どんな物でも買い取ります」と電話がかかってきても、住所、家族構成、貴金属の有無を答えないようにします。必要がなければ、その場で電話を切って構いません。
3. 依頼する場合も、売る物を先に決める
出張買取を利用する場合は、買い取ってもらう物品を事前に限定します。予定していない貴金属を見せたり、家の中を見せたりしないでください。できれば家族などに同席してもらい、品物と価格が書面に正しく記載されているか確認します。
すでに売ってしまった場合は、8日以内か確認する
訪問購入では、法律で定められた書面を受け取った日から数えて8日以内であれば、書面または電磁的記録によってクーリングオフできる場合があります。国民生活センターの解説では、訪問購入のクーリングオフ期間を8日間と案内しています。
クーリングオフをすると、契約を解除し、引き渡した品物があれば返還を求めます。逆に、受け取った売却代金は返すことになります。
また、クーリングオフ期間中は、売主が品物の引渡しを拒むこともできます。業者が「もう転売した」「契約書に解約不可と書いてある」と言っても、それだけでクーリングオフができなくなるとは限りません。
クーリングオフをするときに残すもの
- 契約書、領収書、業者の名刺
- 売った品物の名前、特徴、写真
- 契約日、書面を受け取った日、支払われた金額
- 電話番号、メール、訪問時のやり取り
- 通知を送った記録や、メール・フォーム送信後の画面
通知方法や宛先は契約書面を確認します。書き方が分からない、書面を受け取っていない、品物が返ってこないといった場合は、自分だけで解決しようとせず、すぐに消費者ホットライン188へ相談してください。
クーリングオフには例外もある
訪問購入でも、政令で定められた一部の物品は、訪問購入の規制の対象外となることがあります。自動車(二輪を除く)、家具、家電、書籍、CD・DVDなどが例として挙げられていますが、具体的な適用は品物や取引の状況で変わります。
「8日以内だから必ず大丈夫」「8日を過ぎたから絶対に無理」と決めつけず、迷った時点で188に確認することが大切です。業者が事実と違う説明をしたり、脅してクーリングオフを妨げたりした場合は、期間を過ぎてもクーリングオフできることがあります。
困ったときの相談先
消費者ホットライン「188」
188に電話すると、住んでいる地域の消費生活センターなどを案内してもらえます。消費者庁の消費者ホットライン案内によると、消費者庁につながる番号ではなく、身近な相談窓口につなぐための全国共通番号です。
相談するときは、契約書や業者の情報、品物を渡した日時などを手元に用意しておくと話が進みやすくなります。本人だけでなく、家族や見守りをしている人から相談できる場合もあります。
警察への相談
業者が帰らない、威圧されて怖いなど、緊急性がある場合は110番を利用します。緊急ではない不安や困りごとは、警察相談専用電話「#9110」に相談できます。
まとめ:押し買い対策は「入れない・見せない・渡さない」
押し買いから身を守るために、覚えておきたいのは次の3つです。
- 入れない:突然の訪問業者を家に入れない
- 見せない:予定していない貴金属や家の中を見せない
- 渡さない:迷ったら、その場で品物を渡さない
もし契約してしまっても、訪問購入にはクーリングオフや、期間中に品物の引渡しを拒める制度があります。早めに書類を集め、消費者ホットライン188へ相談してください。
給付金や生活支援を探しているときも、急いで現金を作ろうとして、大切な品物や個人情報を知らない業者に渡す必要はありません。焦らず、まず公的な相談窓口を確認しましょう。
参考・相談先
- 消費者庁・特定商取引法ガイド「訪問購入」
- 国民生活センター「訪問購入(各種相談の件数や傾向)」
- 国民生活センター「クーリング・オフ」
- 国民生活センター「不用なお皿の買い取りのはずが、大切な貴金属も強引に買い取られた!」
- 消費者庁「消費者ホットライン」
- 警察庁「ご意見・ご要望」
情報確認日:2026年8月2日
※制度や相談窓口は変更されることがあります。契約や被害の状況に応じた判断は、消費生活センターなどに確認してください。


