最終確認:2026年8月24日
勤務先が休業した、給料が出ない、一時的に離職した、地震でハローワークへ行けない。令和8年熊本地震では、この状態ごとに確認する制度が異なります。
最初に確認するのは「雇用関係が続いているか」「休業中の賃金が出るか」「勤務先が直接被災したか」の3点です。退職届に署名すると使える制度や手続きが変わるため、その場で決めず、会社からの通知や給与明細を持って窓口へ相談してください。
先にやること:会社へ3点を確認
- 休業の開始日と終了見込み
- 雇用関係・復職予定が続いているか
- 賃金または休業手当が支払われるか
退職届はまだ出さない:自己都合退職として処理される前に、ハローワークまたは労働相談窓口へ確認します。
まず、自分の状態を1つ選ぶ
| 現在の状態 | まず確認する制度 | 最初の相談先 |
|---|---|---|
| 雇用は継続、会社から休業を命じられた | 賃金・休業手当、雇用保険の休業特例 | 会社、ハローワーク、労働基準監督署 |
| 一時離職だが再雇用の予定がある | 雇用保険の一時離職特例 | ハローワーク |
| 解雇・雇止め・通常の離職 | 雇用保険の基本手当、解雇等の相談 | ハローワーク、総合労働相談コーナー |
| すでに働いた分の給料が未払い | 賃金請求、倒産時の未払賃金立替払 | 労働基準監督署 |
| 仕事中・通勤中にけがをした | 労災保険 | 労働基準監督署 |
| 従業員を休業させる事業主 | 雇用調整助成金 | 労働局・ハローワーク |
同じ「休業」でも、会社が支払う休業手当、国が労働者へ支給する雇用保険の基本手当、事業主へ支給される雇用調整助成金は別の制度です。
休業手当が出るか|一律には決まりません
「地震だから出ない」「建物が壊れていないから必ず出る」のどちらも間違いです。原因と会社の対応で判断が変わります。
Q1 休業を命じたのは会社ですか?
Q2 事業所の建物や設備が、地震で直接被害を受けましたか?
あり通常の注意を尽くしても休業を避けられなかった場合は、不可抗力として法定の休業手当が不要になることがあります。Q3へ進みます。
道路の寸断代替手段があったか、会社がどこまで回避努力をしたかで判断が変わります。自動的に不可抗力とはなりません。Q3へ進みます。
なし会社側の都合による休業として、休業手当の対象になる可能性が高くなります。
Q3 就業規則やこれまでの労使慣行では、不可抗力の休業でも賃金・手当を支払う扱いでしたか?
いた適切な変更手続きをせずに支払いを止めることはできません。厚生労働省もそう説明しています。就業規則の該当箇所を確認してください。
Q4 休業手当が出ない、または足りない場合は?
休業中の賃金・休業手当は原因で変わる
会社側の都合による休業が労働基準法26条の「使用者の責に帰すべき事由」に当たる場合、会社は平均賃金の60%以上の休業手当を支払う必要があります。
ただし、事業所の建物や設備が地震で直接被害を受け、通常の注意を尽くしても休業を避けられなかった場合は、不可抗力として法定の休業手当が不要になることがあります。取引先の被災や道路の寸断による休業も、代替手段の有無や会社がどこまで回避努力をしたかで判断が変わります。
「地震だから休業手当は一切出ない」「建物が壊れていないから必ず出る」と一律には決まりません。就業規則やこれまでの労使慣行で、不可抗力による休業にも賃金や手当を支払う扱いだった場合、適切な変更手続きをせずに支払いを止めることはできないと厚生労働省は説明しています。
3つの制度を混同しない
| 制度 | 誰に支払われるか | 主な条件 |
|---|---|---|
| 休業手当 | 会社から労働者 | 使用者の責任による休業に当たる場合など |
| 雇用保険の基本手当の特例 | 国から要件を満たす労働者 | 被災事業所の休業・一時離職、加入期間など |
| 雇用調整助成金 | 国から事業主 | 事業主が休業等を行い、休業手当を支払うことなど |
雇用調整助成金は、休業した本人が直接申請して受け取る給付金ではありません。事業主が雇用を維持し、支払った休業手当等の一部を助成する制度です。
雇用保険の基本手当には災害特例がある
令和8年熊本地震では、災害救助法や激甚災害法に基づく雇用保険の特例が案内されています。対象地域、勤務先の被害、雇用保険の加入期間などを確認したうえで、ハローワークが個別に判断します。
雇用関係を維持したまま休業している人
激甚災害法25条の対象地域にある事業所が災害を受け、やむを得ず休業し、働く意思と能力があるのに就労できず、賃金を受けられない人は、実際には離職していなくても失業したものとみなして基本手当を受けられる場合があります。
一時離職し、再雇用を予定している人
災害救助法の適用市町村にある事業所が災害で休止・廃止し、一時的に離職した人は、事業再開後に同じ会社へ再雇用される予定でも、基本手当を受けられる場合があります。
いずれも雇用保険の被保険者期間が6か月以上であることなどの受給要件があります。また、特例で給付を受けると、再び離職したときの給付日数や、離職前の被保険者期間の通算に影響する場合があります。会社へ退職届を出す前に、休業扱いと一時離職扱いのどちらになるのかをハローワークへ確認してください。
認定日に行けない・書類がない場合
- 地震の影響で失業認定日に行けないときは、来所できる日へ認定日を変更できます。
- 事前の申し出や、やむを得ない理由を証明する書類は不要と案内されています。
- 来所日の前日までをまとめて失業認定する取扱いがあります。
- やむを得ない場合は、求職活動実績がなくても支給対象になる取扱いがあります。
- 避難先など、管轄外のハローワークでも手続きできる場合があります。
- 本人確認書類や必要書類を失った場合も、手続き自体を諦めず窓口へ相談します。
退職・解雇・有給休暇を迫られたとき
災害を理由にした解雇や雇止めが、無条件に認められるわけではありません。会社から「出勤できないなら退職届を出して」「自己都合にしてほしい」と言われた場合は、その場で署名せず、日時、相手、説明内容を記録します。
年次有給休暇は、原則として労働者が取得時季を指定する制度です。労使協定による計画年休などを除き、会社が地震後の休業日を一方的に有給休暇へ振り替えることはできないと、厚生労働省のQ&Aは説明しています。
会社へ確認する文例
「令和8年熊本地震の影響による休業について、雇用関係、休業期間、賃金・休業手当、有給休暇の扱い、復職予定を書面かメールで教えてください」
働いた分の賃金が未払いの場合
地震で会社が被災しても、すでに働いた分の賃金の支払義務がなくなるわけではありません。給与明細、出勤簿、タイムカード、シフト表、銀行の入金履歴、会社とのメッセージを保存し、労働基準監督署へ相談します。
会社が倒産し、賃金が未払いのまま退職した場合は、未払賃金立替払制度の対象になる可能性があります。令和8年熊本地震では、この制度の申請手続きが一部簡略化されています。ただし、単なる支払い遅れのすべてを国が立て替える制度ではありません。
仕事中・通勤中のけがは労災を確認
仕事中に地震でけがをした場合は、通常、労災保険の業務災害として扱われます。出張中、外回り中、会社の管理する建物内での休憩中も、私的な行為中を除き対象になる可能性があります。
自宅が使えず避難所やホテルから通勤している場合、その避難先が「住居」と認められ、通勤中のけがが通勤災害になる場合もあります。地震で会社や医療機関の証明を受けられないときは、証明がなくても請求書を受け付ける取扱いです。最寄りの労働基準監督署へ相談してください。
相談前に保存する資料
- 雇用契約書、労働条件通知書、就業規則
- 給与明細、賃金台帳、銀行口座の入金記録
- タイムカード、シフト表、出勤記録
- 会社からの休業・復職・退職に関する通知
- メール、LINE、SMSなど会社とのやり取り
- 事業所、通勤経路、けがの状況が分かる写真
- 相談した日時、担当者名、説明の要点
書類がないから相談できないわけではありません。手元にある資料だけで先に窓口へ連絡し、不足分の整え方を確認します。
事業主向け:雇用調整助成金の特例
令和8年熊本地震に伴う経済上の理由で事業活動を縮小し、従業員を休業させて休業手当を支払う事業主には、雇用調整助成金の特例があります。
通常、建物や設備の直接被害だけによる休止は助成対象になりません。ただし、修理業者の手配や修理部品の調達が地震の影響で遅れるなど、経済上の理由があれば対象になる可能性があります。
- 生産指標の確認期間を通常の3か月から1か月へ短縮
- 最近3か月の雇用量が増加していても対象になり得る
- 2026年7月28日時点で設置1年未満の事業所も対象になり得る
- 休業等の計画届を事後提出できる
- 熊本県内の事業所は、残業相殺と教育訓練実施率による助成率引下げを撤廃
対象期間は、2026年7月28日から2027年1月27日までに開始した休業等です。申請書類や支給要件は、労働局またはハローワークへ早めに確認してください。
事業主向け:労働保険料の期限延長・納付猶予
2026年8月24日時点で、熊本県の八代市、宇土市、宇城市、八代郡氷川町に所在地がある事業場は、2026年7月28日以降に期限が来る労働保険料等の申告・納付・徴収期限が延長されています。延長後の期限は未定で、後日告示されます。
この指定地域以外でも、災害により財産へ相当の損失を受け、一時に納付できない場合は、申請により納付猶予を受けられることがあります。自動適用ではないため、都道府県労働局の労働保険徴収室へ相談してください。
相談内容ごとの窓口
| 相談内容 | 主な窓口 |
|---|---|
| 雇用保険、失業認定日、休業・一時離職の特例 | ハローワーク |
| 休業手当、働いた分の賃金、労災 | 労働基準監督署 |
| 解雇、雇止め、労働条件、相談先が分からない | 熊本労働局の特別労働相談窓口・総合労働相談コーナー |
| 雇用調整助成金 | 労働局・ハローワーク |
| 労働保険料の期限延長・猶予 | 都道府県労働局の労働保険徴収室 |
熊本市民は社会保険労務士へ無料相談できる
熊本市は、市内に住む人を対象に、社会保険労務士による無料の労働相談を実施しています。雇用保険、労災保険、労働条件、労働保険料などを面談で相談できます。
- 相談日:毎週水曜日(祝日を除く)
- 時間:14時~17時
- 2026年8月中の場所:熊本市役所本庁舎1階、正面玄関から右側、パスポートセンター向かい
- 2026年9月以降の場所:本庁舎1階北側エレベーター近く、高年齢者無料職業相談コーナー内
- 相談方法:先着順。直接会場へ
- 問い合わせ:熊本市 雇用対策課 096-328-2377
会場や日程が変更される場合があるため、来庁前に熊本市の案内を確認してください。
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公式情報・更新確認先
- 厚生労働省|令和8年熊本地震の雇用・労働に関する特例措置
- 厚生労働省|災害時における雇用保険の特例措置
- 熊本労働局|令和8年熊本地震で被災された方へ(労働行政関係)
- 厚生労働省|雇用調整助成金の特例
- 熊本市|令和8年熊本地震 被災者支援制度
※制度は2026年8月24日時点の公式情報で確認しています。対象地域、勤務先の被害、雇用形態、雇用保険の加入期間、会社の回避努力などで結論が変わります。申請や退職の判断前に、ハローワーク、労働局、労働基準監督署へ個別に確認してください。


