退職したら何を確認する?失業給付・健康保険・年金・住まい

仕事・失業

会社を退職すると、給与は止まります。しかし、健康保険や年金の手続き、住民税の支払いまで自動的に止まるわけではありません。

失業給付も、退職した人全員が自動的に受け取れる制度ではありません。働く意思と能力があり、仕事を探しているのに就職できない状態であることなど、一定の条件があります。

この記事では、退職後に確認したい公的支援を、手続きの順番に沿って整理します。

※制度や金額は変更されることがあります。申請前に必ず公式窓口で確認してください。

退職後に最初に確認する5つ

  1. 会社から離職票や退職に関する書類を受け取る
  2. 健康保険をどうするか決める
  3. 国民年金への切り替え、または保険料免除を確認する
  4. ハローワークで失業給付や職業訓練を相談する
  5. 家賃や生活費が足りない場合は、早めに生活相談窓口へ行く

特に注意したいのは、健康保険と国民年金です。手続きをしないまま放置しても、保険料の負担が消えるとは限りません。

1.失業給付は「退職した人全員」がもらえるわけではない

雇用保険の失業給付の正式名称は、基本手当です。失業中の生活を支えながら、再就職を目指す人に支給されます。

主な受給要件は、次のとおりです。

  • 積極的に就職しようとしている
  • いつでも就職できる健康状態・環境にある
  • 仕事を探しているが、現在は就職していない
  • 原則として、離職前2年間に雇用保険の被保険者期間が12か月以上ある

倒産・解雇などによる離職や、やむを得ない理由による離職では、離職前1年間に被保険者期間が6か月以上あれば受給資格を満たす場合があります。詳しくは、厚生労働省の雇用保険Q&Aを確認してください。

失業給付はいくら受け取れる?

基本手当日額は、原則として退職前6か月間の賃金をもとに計算されます。おおむね賃金日額の50~80%が目安ですが、年齢や賃金額によって異なります。

受給できる日数は、年齢、雇用保険の加入期間、離職理由などによって決まり、一般的には90日から360日の範囲です。正確な金額と日数は、ハローワークで確認する必要があります。

7日間の待期期間と給付制限がある

失業給付は、ハローワークで離職票を提出し、求職の申し込みをした日から7日間の待期期間があります。

正当な理由のない自己都合退職では、2025年4月1日以降の離職の場合、原則として1か月の給付制限があります。過去5年間に2回以上、正当な理由のない自己都合退職をしている場合などは、給付制限が3か月になることもあります。ハローワークの案内で確認してください。

そのため、退職直後から失業給付が振り込まれるとは限りません。最初の生活費や保険料をどうするか、別に考えておく必要があります。

離職理由が違っていたら、そのままにしない

離職票に「自己都合」と書かれていても、実際には解雇、雇い止め、長時間労働、病気、家族の介護などが退職の原因だったという場合があります。

離職理由に納得できない場合は、ハローワークで受給手続きをするときに伝えましょう。退職届、会社とのメール、勤務記録、医師の診断書など、事情を確認できる資料があれば持参します。

離職理由は、本人の主張と会社側の説明、証拠資料を確認したうえでハローワークが判断します。

失業給付の受給期間は原則1年間

基本手当を受け取れる期間は、原則として離職日の翌日から1年間です。受給できる日数が残っていても、受給期間を過ぎると支給されない場合があります。

病気やけが、妊娠、出産、育児、家族の介護などで30日以上働けない場合は、受給期間を延長できることがあります。すぐに働けない状態であれば、失業給付の手続きを急ぐのではなく、ハローワークに受給期間延長を相談してください。

ハローワークで必要になる主な書類

  • 離職票-1、離職票-2
  • マイナンバー確認書類
  • 本人確認書類
  • 写真、またはマイナンバーカード
  • 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード

離職票が届かない場合でも、会社に処理状況を確認したうえで、ハローワークへ相談できます。

2.退職後の健康保険は3つの選択肢を比較する

退職後の健康保険には、主に次の3つの選択肢があります。

選択肢 手続き先 主な特徴
健康保険の任意継続 退職前の健康保険者 会社員時代の健康保険を続ける
国民健康保険 市区町村 世帯人数や前年所得などで保険料が決まる
家族の健康保険の被扶養者 家族が加入する健康保険 条件を満たせば本人の保険料負担がない

任意継続は20日以内の手続きが必要

協会けんぽの場合、任意継続を利用するには、退職日までに健康保険へ継続して2か月以上加入しており、退職日の翌日から20日以内に申請する必要があります。

加入期間は原則2年間です。退職後は会社負担分も自分で負担するため、在職中の健康保険料のおおむね2倍が目安になります。ただし、保険料の上限などにより、実際の金額が単純に2倍にならない場合もあります。

詳しくは、協会けんぽの任意継続制度を確認してください。

国民健康保険が安いとは限らない

国民健康保険の保険料は、市区町村、世帯人数、前年所得などによって変わります。退職直後は収入がなくても、前年の所得が保険料の計算に影響する場合があります。

一方で、自治体によっては保険料の軽減や減免制度があります。国民健康保険を選ぶ場合は、市区町村の窓口で保険料を試算してもらいましょう。協会けんぽの比較案内も参考になります。

家族の扶養に入れるかも確認する

配偶者や親など、家族が会社の健康保険に加入している場合、被扶養者になれる可能性があります。ただし、収入見込みや家族との生計関係など、健康保険者ごとの認定条件があります。

家族が勤務する会社だけでなく、加入している健康保険組合や協会けんぽに確認してください。

任意継続・国民健康保険・家族の扶養を、保険料の決まり方や期限、必要書類まで比較したい場合は、退職後の健康保険はどれが安い?任意継続・国民健康保険・扶養を比較もご覧ください。

3.国民年金への切り替えと保険料免除

日本国内に住む20歳以上60歳未満の人が会社を退職し、厚生年金に加入しない期間ができた場合、原則として国民年金への切り替えが必要です。

手続き先は住所地の市区町村役場、または年金事務所です。提出期限の目安は、退職日の翌日から14日以内です。日本年金機構の退職時手続き案内で必要書類を確認してください。

2026年度の国民年金保険料は月額17,920円です。ただし、保険料額は年度によって変わります。

支払いが難しいときは、未納のままにしない

退職して収入が減り、国民年金保険料の支払いが難しい場合は、保険料免除や納付猶予を申請できます。

免除には、全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除があります。納付猶予は、20歳以上50歳未満の人が対象となる制度です。

失業、倒産、廃業などの場合は、失業した本人の前年所得を審査から除外する特例があります。ただし、世帯主や配偶者の所得が審査される場合があります。

失業特例を利用する場合は、離職票や雇用保険受給資格者証など、失業の事実を確認できる書類が必要です。国民年金保険料の免除・納付猶予制度を確認してください。

免除や猶予は「現金がもらえる制度」ではない

年金保険料の免除や納付猶予は、保険料の支払いを軽くしたり、後回しにしたりする制度です。失業給付のように現金が支給されるわけではありません。

免除や猶予を受けた期間は、将来の老齢基礎年金額に影響します。ただし、承認された期間の保険料は原則として10年以内なら追納できます。

未納のまま放置すると、将来の老齢年金だけでなく、障害年金や遺族年金を受けられない可能性があります。支払いが難しいときほど、早めに免除や猶予を申請しましょう。

4.家賃や生活費が足りないときの支援

退職後、失業給付がまだ始まっていない、または雇用保険の対象外で生活費が足りない場合は、生活困窮者向けの相談窓口を利用できます。

住居確保給付金

離職や収入減少によって家賃の支払いが難しくなった場合、住居確保給付金の対象になる可能性があります。

申請・相談窓口は、住んでいる地域の自立相談支援機関です。支給要件、対象となる家賃、支給期間、必要書類は自治体や世帯状況によって異なります。

家賃を滞納してからではなく、支払いが難しいと感じた段階で相談することが重要です。窓口は厚生労働省の住居確保給付金相談ページから確認できます。

生活困窮者自立支援制度

生活困窮者自立支援制度では、就労支援、家賃相当額の支援、家計改善、住まいの支援などを受けられる場合があります。

相談員が家計状況を整理し、必要な支援を組み合わせる制度です。生活費、家賃、仕事、借金など複数の問題を抱えている場合は、生活困窮者自立支援制度の地域相談窓口に相談しましょう。

生活保護

資産や収入、働く能力などを活用しても生活が成り立たない場合は、生活保護の対象になる可能性があります。

生活保護は世帯単位で判断され、相談・申請窓口は現在住んでいる地域を担当する福祉事務所です。必要書類がすべてそろっていない場合でも申請できると厚生労働省は案内しています。生活保護制度の公式案内を確認してください。

住民税や家賃の納付書が届いている場合は、期限を確認し、支払いが難しければ市区町村の担当窓口へ早めに相談します。

5.失業給付を受けられない場合は職業訓練も確認する

雇用保険に加入していなかった人、失業給付の受給資格がない人、給付期間が終わった人などは、求職者支援制度を利用できる場合があります。

求職者支援制度では、無料の職業訓練を受けながら、条件を満たせば月10万円の職業訓練受講手当を受け取れます。

主な要件には、次のようなものがあります。

  • ハローワークに求職の申し込みをしている
  • 雇用保険の被保険者や受給資格者ではない
  • 働く意思と能力がある
  • 本人収入が月8万円以下
  • 世帯全体の収入が月30万円以下
  • 世帯の金融資産が300万円以下
  • 訓練に原則として出席する

給付金の条件を満たさない場合でも、無料の職業訓練だけ利用できる場合があります。厚生労働省の求職者支援制度を確認してください。

訓練期間中の生活費について貸付を案内されることがありますが、貸付は返済が必要です。給付金と混同しないようにしましょう。

6.病気や高額な医療費がある場合

退職後すぐに病気やけがで働けない場合、失業給付の基本手当は原則として受け取れません。基本手当は、いつでも働ける状態で求職活動をしている人を対象にするためです。

30日以上働けない状態が続く場合は、受給期間の延長をハローワークに相談します。働ける状態になってから、失業給付の手続きを行える場合があります。

医療費が高額になったときは、高額療養費制度の対象になる可能性があります。自己負担限度額は年齢や所得によって異なり、加入している健康保険が相談先になります。厚生労働省の高額療養費制度案内を確認してください。

給付・免除・貸付は別の制度

退職後に利用できる支援は、すべて「お金がもらえる制度」ではありません。

制度 役割 注意点
雇用保険の基本手当 失業中の生活を支える給付 受給資格・求職活動が必要
求職者支援制度 職業訓練と生活支援 収入・資産・出席要件がある
住居確保給付金 家賃を支える支援 家賃や世帯状況などの要件がある
年金保険料の免除・猶予 保険料の負担を軽くする 将来の年金額に影響する場合がある
生活保護 最低限度の生活を保障する 世帯の収入・資産などを調査
各種貸付 一時的な資金を借りる 原則として返済が必要

給付ごとの詳しい解説

退職後の相談先

  • 失業給付・再就職手当・職業訓練:住所地を管轄するハローワーク
  • 任意継続:退職前に加入していた健康保険者
  • 国民健康保険:市区町村の国民健康保険窓口
  • 国民年金・保険料免除:市区町村の年金窓口または年金事務所
  • 家賃や家計の相談:自立相談支援機関
  • 生活保護:福祉事務所
  • 高額療養費:加入している健康保険者
  • 住民税の納付相談:市区町村の税担当窓口

まとめ

退職後の支援は、失業給付だけではありません。

健康保険の選択、国民年金の切り替え、保険料の免除、家賃の支援、職業訓練、生活困窮者向けの相談など、状況に応じて確認する制度が変わります。

まずは次の3つを同時に進めましょう。

  1. 離職票を確認してハローワークへ行く
  2. 健康保険を任意継続・国民健康保険・家族の扶養で比較する
  3. 国民年金の切り替えと、支払いが難しい場合の免除を相談する

退職後は、手続きを先延ばしにするほど選択肢が狭くなる場合があります。収入、家賃、保険料のどれか一つでも不安があれば、早めに公的窓口へ相談してください。

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