失業給付の受給中は、「収入が少ないから申告しなくてよい」「求人を見ていれば求職活動になる」と自己判断しないことが大切です。
パートやアルバイト、業務委託、家業の手伝いなどをした場合は、収入の有無にかかわらず失業認定申告書への記載が必要になることがあります。指定された認定日に行かなかったり、必要な求職活動実績が不足したりすると、その認定対象期間の基本手当が支給されない場合もあります。
受給中は、次の三つを一冊の手帳やスマートフォンに記録しておくと申告漏れを防げます。
- 次回の失業認定日
- 求職活動をした日、利用した機関、活動内容
- 働いた日、労働時間、勤務先、収入額と支給日
この記事は、65歳未満の一般被保険者が受ける基本手当を中心に解説します。高年齢求職者給付金など、認定方法が異なる給付については、交付されたしおりとハローワークの案内を優先してください。
先に確認|受給中に起きたことと手続き
| 受給中に起きたこと | まず行うこと | 基本手当への主な影響 |
|---|---|---|
| 求人へ応募・職業相談をした | 日付、相手先、活動内容を記録 | 求職活動実績として申告 |
| アルバイトや手伝いをした | 労働日、時間、収入を記録して申告 | 4時間未満は収入により減額・不支給の場合あり |
| 1日4時間以上働いた | 働いた日を申告 | 原則、その日の基本手当は不支給 |
| 週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みで働く | 就職の手続きを相談 | 原則として雇用保険の被保険者となり、就職扱い |
| 認定日に行けない | 分かった時点でハローワークへ連絡 | 理由と証明書類により認定日を変更できる場合あり |
| 再就職が決まった | 採用日前にハローワークへ連絡 | 就職日前日までの認定、再就職手当を確認 |
| 病気やけがで働けなくなった | 日数を確認して早めに相談 | 15日以上は傷病手当、30日以上は受給期間延長の可能性 |
名称が「アルバイト」「研修」「ボランティア」であっても、実態によって扱いが決まります。表だけで判断できない働き方は、始める前か次回認定日前にハローワークへ確認してください。
失業認定日は原則4週間に1回
基本手当は、自動的に振り込まれるものではありません。原則として4週間に1回、指定された日にハローワークで失業の認定を受けます。
認定日には、通常、次の書類を提出します。
- 雇用保険受給資格者証
- 失業認定申告書
- 就労、面接、病気などの事実確認を求められた場合の証明書類
指定日に行かなかった場合、認定日前日までの期間について失業の認定を受けられず、基本手当が支給されないことがあります。認定日を忘れた場合も、そのまま次回まで待たず、すぐに管轄のハローワークへ連絡してください。
就職の面接、資格試験、本人の病気・けが、親族の看護や死亡など、やむを得ない理由がある場合は、認定日を変更できることがあります。面接証明書、受験票、医療機関の領収書など、理由を確認できる資料が必要になる場合があります。
予定が事前に分かっているときは認定日前に相談し、急病などで連絡できなかったときは、できるだけ早く電話で指示を受けてください。
求職活動は原則2回以上|求人を見るだけでは足りない
基本手当を受けるには、認定対象期間中に原則2回以上の求職活動実績が必要です。最初の認定対象期間は原則1回です。給付制限がある場合などは必要回数が異なることがあるため、自分の失業認定申告書と受給資格者のしおりを確認してください。
求職活動実績になる主な活動は次のとおりです。
- 求人への応募
- ハローワークでの職業相談・職業紹介
- 許可・届出のある民間職業紹介事業者などでの職業相談・職業紹介
- 公的機関などが行う就職セミナーや、個別相談ができる企業説明会への参加
- 再就職に役立つ国家試験・検定などの受験
求人サイトへの登録、知人への紹介依頼、インターネットや新聞で求人情報を見ただけでは、原則として求職活動実績になりません。
応募メール、相談日、セミナー名、担当機関、受験票などを残しておきます。ハローワークが利用先へ事実確認をする場合もあるため、実際に行った活動だけを記載してください。
アルバイトは収入がなくても申告する
受給中や給付制限中にパート・アルバイトなどをした場合は、仕事をした日を失業認定申告書へ記載します。まだ給料を受け取っていない場合や、無償の手伝いであっても、申告が必要になることがあります。
申告対象には、次のような活動が含まれる場合があります。
- パート、アルバイト、日雇い
- 研修、見習い、試用期間
- 業務委託、請負による仕事
- 家業や知人の仕事の手伝い
- 内職、在宅での作業
- 自営業を始めるための準備
- ボランティア活動
働き方の名称ではなく、労働時間、継続性、報酬、就職できる状態にあるかなどで判断されます。「少額だから」「現金を受け取っていないから」と省略せず、迷った活動も記載して窓口で説明する方が安全です。
1日4時間未満と4時間以上で扱いが変わる
週20時間未満の仕事では、原則として1日の労働時間が4時間未満か、4時間以上かで扱いが分かれます。
4時間未満は「内職・手伝い」
1日の労働時間が4時間未満の場合は、原則として「内職・手伝い」として扱われます。基本手当が支給される場合がありますが、収入額によって減額または不支給になることがあります。
収入を受け取った直後の認定日には、収入を得た日、金額、何日分の収入かを申告します。時給だけでなく、交通費などの扱いを含め、記入方法が分からない場合は窓口で確認してください。
4時間以上は「就労・就職」
1日4時間以上働いた日は、原則として「就労・就職」として扱われ、その日の基本手当は支給されません。
ただし、その日数分が直ちに消えるとは限りません。受給期間満了日までに再び失業している日があれば、支給残日数として後日に支給される場合があります。受給期間は原則として離職日の翌日から1年間なので、満了日が近い人は先送りされた日数を受け切れない可能性があります。
同じ4時間以上でも、自営、請負、家業、ボランティアなどは報酬額や活動実態によって判断が異なる場合があります。個別の扱いは管轄のハローワークで確認してください。
週20時間以上・31日以上の見込みなら「就職」を確認する
アルバイトという名称でも、原則として週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがある場合は、雇用保険の被保険者となる条件に該当し、就職の手続きが必要になります。
「週20時間未満に抑えれば必ず受給できる」という意味でもありません。短時間就労だけを希望し、フルタイムを含む一般的な就職に応じる意思がない場合などは、基本手当の前提である「失業の状態」に該当しない可能性があります。
雇用契約書を受け取ったら、次の項目を確認してください。
- 採用日
- 契約期間と更新の見込み
- 週の所定労働時間
- 勤務日数
- 仕事内容と賃金
契約前と実際の勤務時間が違う場合もあります。週20時間前後になる働き方は、勤務開始前に雇用保険給付窓口へ相談します。
再就職が決まったら、採用日前に連絡する
再就職が決まった場合、採用日が次回認定日より前なら、原則として就職日の前日にハローワークで就職の申告をします。前日が土日祝日の場合は、その前の開庁日が目安です。
採用証明書の提出を求められるため、就職先へ記入を依頼します。就職日前日までの失業認定を受け、支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あるなどの要件を満たせば、再就職手当の対象になる可能性があります。
詳しい要件と申請期限は、再就職手当|早く就職するといくら?8つの要件・計算方法・申請期限で確認できます。
就職が決まったことを隠して基本手当を受け続けると、不正受給になる可能性があります。採用日と次回認定日の前後関係が分からない場合は、採用が決まった時点で連絡してください。
病気やけがで働けない日が続いたら制度を切り替える
基本手当は、「すぐに働ける能力」がある人を対象とする給付です。病気やけがで働けない状態が続く場合は、日数によって別の手続きが必要になります。
- 14日以内:基本手当の認定を受けられる場合がある
- 15日以上継続:雇用保険の傷病手当の対象になる可能性
- 30日以上継続:受給期間延長を選べる可能性
15日以上働けない場合は、雇用保険の傷病手当|失業中に15日以上働けないときの対象と申請方法をご覧ください。
30日以上働けない場合は、失業給付の受給期間延長|病気・妊娠・育児・介護で働けないときの手続きで、延長理由と必要書類を確認できます。
傷病手当と受給期間延長は、同じ期間について自由に重ねて選べる制度ではありません。医師の証明が必要になる場合もあるため、働けない期間が長くなりそうな時点で相談してください。
申告しないと「3倍返し」になる場合がある
実際には働いた、求職活動をしていない、就職や自営を始めたといった事実を隠して基本手当を受けると、不正受給と判断される場合があります。
不正受給とされた場合は、不正行為があった日以後の基本手当が支給停止となり、不正に受け取った額の返還に加えて、その2倍以下の納付を命じられることがあります。返還額と納付額を合わせて、いわゆる「3倍返し」と呼ばれる処分です。
意図的に隠したつもりがなくても、申告漏れに気づいたら放置せず、次の認定日を待たずにハローワークへ相談してください。
認定日前のチェックリスト
認定日前日までの状況について、次を確認します。
- 失業認定申告書の対象期間が合っている
- 求職活動の回数、日付、相手先、内容を記載した
- 働いた日と1日ごとの労働時間を記載した
- 収入を受け取った日、金額、何日分かを記載した
- 無償の手伝い、研修、自営準備なども窓口へ説明できるようにした
- 就職・内定・事業開始の予定を申告した
- 面接証明書、受験票、医療機関の領収書など必要な資料を用意した
- 雇用保険受給資格者証と失業認定申告書を用意した
- 受給期間満了日と支給残日数を確認した
判断に迷うものは、申告書から省くのではなく、メモを添えて雇用保険給付窓口で確認します。
まとめ|働いた日・活動した日・認定日を記録する
失業給付の受給中は、次の三つを記録してください。
- 働いた日、時間、収入
- 求職活動をした日と内容
- 次の失業認定日
アルバイトは収入の有無を問わず申告が必要になることがあり、1日4時間と週20時間が扱いの大きな境目です。認定日に行けない、採用が決まった、病気で働けないといった変化があれば、次の認定日まで自己判断で待たず、管轄のハローワークへ連絡します。
退職から受給中までの雇用保険制度全体は、【2026年版】退職・休業時に確認する雇用保険制度で時系列に整理しています。
退職理由ごとの受給開始時期は、自己都合退職の失業給付と会社都合退職の失業給付で確認できます。


