2026年度の在職老齢年金は、計算に使う給与・賞与と老齢厚生年金の合計が月65万円を超えると、超過額の半分が支給停止になります。老齢基礎年金はこの調整では減りません。退職後は、支給停止の解除と、加入期間を追加する再計算が年金額に反映されます。
計算に使う年金の月額を「基本月額」、厚生年金の給与・賞与を月額にしたものを「総報酬月額相当額」と呼びます。年金の対象部分と、勤務先が届け出た報酬・賞与の金額で計算してください。
まず確認|自分は支給停止になるか
「働くと年金が減る」と一括りにされがちですが、減額されるのは老齢厚生年金だけです。老齢基礎年金は支給停止の対象になりません。
Q1 基本月額と総報酬月額相当額の合計は、2026年度の基準額65万円を超えますか?
Q2 退職する予定はありますか?
Q3 退職したのに年金額がすぐ増えないと感じていますか?
- 在職中と退職後の違い
- 在職老齢年金の仕組み|2026年度の基準額65万円と減額の計算
- 対象は、老齢厚生年金を受けながら厚生年金に加入して働く人など
- 2026年度の基準額は月65万円
- 何が65万円を超えると調整されるのか
- 在職老齢年金の計算方法
- 計算例:給与だけでなく、年金の基本月額も見る
- 賞与を入れた計算例
- 賞与を受け取った後に確認すること
- 老齢基礎年金は、在職老齢年金で減らされない
- 働きながらでも、年金額が増える場合がある
- 在職定時改定の対象者
- 毎年10月分から見直し、通常は12月の支払いで確認する
- 在職定時改定で1年間働くといくら増える?
- 給与が変わったとき、年金はいつ見直される?
- 年金を受け取るには、別途請求手続きが必要
- 年金の振込額が変わったときに確認するもの
- 70歳前後で変わること(厚生年金と健康保険)
- 70歳以降も在職老齢年金の対象になる
- 70歳以降も任意加入できる例外
- 健康保険は、加入条件を満たせば原則75歳まで
- 年金生活者支援給付金とは、別の制度
- 自分の金額は、年金事務所やねんきんダイヤルへ相談する
- 年金の内訳と、給与・賞与を照合する順番
- 公式情報
- 関連記事
- 退職後はいつ増えるか|退職改定と振込月
- 公式情報・相談先
在職中と退職後の違い
| 在職中 | 退職後 | |
|---|---|---|
| 判定 | 基本月額と総報酬月額相当額の合計が2026年度の基準額65万円を超えると、超えた分の2分の1が支給停止 | 退職により在職老齢年金の支給停止が解除される |
| 年金額の見直し | 在職定時改定により、原則として毎年1回反映される | 退職改定により、年金額にまだ反映されていない、退職までの厚生年金加入期間が年金額に反映される |
| いつ反映されるか | 毎年決まった時期 | 退職して1か月経過後などの条件を満たしてから。振込月に注意 |
「働くと年金が減る」と一括りにされがちですが、減額されるのは老齢厚生年金だけです。老齢基礎年金は在職老齢年金による支給停止の対象になりません。
- 基準額を超えなければ支給停止は発生しません
- 支給停止された分は、退職後に遡って支払われるものではありません
- 退職改定の反映時期と振込月がずれるため、すぐに増えないことがあります
在職老齢年金の仕組み|2026年度の基準額65万円と減額の計算
受け取っている年金の種類と、勤務先での厚生年金の加入状況を確認してください。
老齢厚生年金を受け取りながら厚生年金に加入して働く人などは、年金と給与・賞与の合計額で支給額が調整されます。この仕組みが「在職老齢年金」です。
2026年度(令和8年度)の基準額は、月51万円から65万円に上がりました。計算には、勤務先が届け出た給与の区分「標準報酬月額」と、賞与の計算額「標準賞与額」を使います。手取り額と分けて確認してください。
ここでは、2026年4月からの対象者と計算方法を説明します。年金額が変わったときの確認方法と、退職後の見直し時期も順に確認できます。
対象は、老齢厚生年金を受けながら厚生年金に加入して働く人など
在職老齢年金は、老齢厚生年金を受け取りながら厚生年金保険に加入して働く人などを対象に、老齢厚生年金の一部または全部を調整する制度です。
70歳未満で厚生年金に加入して働く人に加え、70歳以上でも厚生年金の適用事業所で働く人は、在職による支給停止の対象となる場合があります。
自分が対象になるかは、次の3点で確認してください。
- 受け取っている年金が老齢厚生年金か
- 厚生年金保険の加入状況、または70歳以上なら適用事業所での勤務状況がどうなっているか
- 老齢厚生年金の基本月額と、給与・賞与を含む総報酬月額相当額がいくらか
| 状況 | 在職老齢年金による調整 |
|---|---|
| 老齢厚生年金を受け取り、厚生年金保険に加入して働いている | 対象になる場合がある |
| 70歳以上で、厚生年金保険の適用事業所に勤務している | 対象になる場合がある |
| 老齢基礎年金だけを受け取っている | 在職老齢年金による調整の対象外 |
| 厚生年金保険に加入しない働き方をしている | 原則として在職老齢年金の調整対象外。ただし年金の種類などを確認 |
2026年度の基準額は月65万円
2026年4月から、在職老齢年金の支給停止調整額は月65万円です。
2025年度までは月51万円が基準でした。古い解説や検索結果には51万円と書かれている場合があるため、2026年4月以降の確認では、令和8年度の65万円を使います。
基準額は、毎年度の賃金の変動に応じて改定されます。翌年度以降の計算では、読む年度に対応した日本年金機構の案内を確認してください。
何が65万円を超えると調整されるのか
判定に使うのは、次の2つを合計した金額です。
基本月額は、加給年金を除く年金の報酬比例部分
基本月額は、加給年金額を除いた老齢厚生年金のうち、報酬比例部分の月額です。
基本月額に使うのは、老齢厚生年金の対象部分です。振込通知書に載る年金総額や、老齢基礎年金と分けて確認してください。
総報酬月額相当額は、給与と1年分の賞与を月額にする
総報酬月額相当額は、次の計算で求めます。
その月の標準報酬月額 + その月以前1年間の標準賞与額の合計 ÷ 12
この式では、過去1年間の賞与を12で割り、給与側の月額に加えます。手取り額や単純な年収ではなく、厚生年金の計算に使う報酬額で計算します。
勤務先が届け出た標準報酬月額と標準賞与額を確認してください。総報酬月額相当額を計算し、年金の基本月額と合算して65万円と比べます。
在職老齢年金の計算方法
合計が65万円以下なら、在職による調整はない
「基本月額」と「総報酬月額相当額」の合計が65万円以下なら、在職老齢年金による老齢厚生年金の支給停止はありません。
合計が65万円を超えると、超えた分の2分の1が停止
合計が65万円を超える場合の支給停止額は、次の式で計算します。
支給停止額(月額)=(基本月額+総報酬月額相当額-65万円)÷2
調整後の老齢厚生年金は、次の式で確認できます。
調整後の老齢厚生年金=基本月額-支給停止額
計算結果がマイナスになる場合は、老齢厚生年金が全額支給停止になることがあります。ただし、老齢基礎年金は在職老齢年金による支給停止の対象ではなく、原則として全額支給されます。
計算例:給与だけでなく、年金の基本月額も見る
例1:合計が65万円以下の場合
- 基本月額:12万円
- 総報酬月額相当額:50万円
- 合計:62万円
- 支給停止額:0円
この場合、在職老齢年金による老齢厚生年金の調整はありません。
例2:合計が65万円を超える場合
- 基本月額:18万円
- 総報酬月額相当額:55万円
- 合計:73万円
- 65万円を超える額:8万円
- 支給停止額:4万円
- 調整後の老齢厚生年金:14万円
この場合も、老齢基礎年金は在職老齢年金の計算とは別に支給されます。
実際の年金額には、加給年金、基金の代行部分、他の制度による調整などが関係することがあります。上の例は、制度の基本的な計算を理解するための単純化したものです。
賞与を入れた計算例
基本月額が12万円、標準報酬月額が38万円、過去1年間の標準賞与額の合計が120万円だったとします。
- 賞与の月額換算:120万円÷12=10万円
- 総報酬月額相当額:38万円+10万円=48万円
- 基本月額との合計:12万円+48万円=60万円
合計が65万円以下なので、この例では在職老齢年金による支給停止はありません。
同じ基本月額12万円、標準報酬月額38万円でも、過去1年間の標準賞与額の合計が240万円なら、賞与の月額換算は20万円です。
- 総報酬月額相当額:38万円+20万円=58万円
- 基本月額との合計:12万円+58万円=70万円
- 支給停止額:(12万円+58万円-65万円)÷2=2万5,000円
この場合、老齢厚生年金は月9万5,000円が支給される計算です。老齢基礎年金はこの計算によって減りません。
賞与を受け取った後に確認すること
- 賞与の支給日と標準賞与額
- 過去1年間の賞与の合計額
- 老齢厚生年金の基本月額
- 65万円基準を超えた月と支給停止額
- 老齢基礎年金が別に支給されているか
賞与支給後に年金額が変わったら、勤務先が届け出た標準報酬月額・標準賞与額と、年金の通知書を照合してください。給与の総支給額と、日本年金機構が計算に使う報酬額は異なる場合があります。
計算に使う賞与額は、給与明細の総支給額そのものではありません。実際の税引前賞与から1,000円未満を切り捨てた額が「標準賞与額」です。厚生年金では1か月150万円が上限で、同じ月に賞与を2回以上受けたときは合算して上限を適用します。在職老齢年金の試算が合わないときは、日本年金機構の計算方法と勤務先が届け出た標準賞与額を照合してください。
老齢基礎年金は、在職老齢年金で減らされない
在職老齢年金で調整されるのは、基本的に老齢厚生年金です。
老齢基礎年金は、給与と老齢厚生年金の合計が65万円を超えた場合でも、在職老齢年金の計算によって停止されません。
振込額が変わったときは、次の内訳を確認してください。
- 老齢基礎年金はいくらか
- 老齢厚生年金はいくらか
- 厚生年金保険の支給停止額はいくらか
- 加給年金など、別の項目に変更がないか
変更された部分は、年金額改定通知書や支給額変更通知書の内訳で確認してください。年金の総額に加え、老齢厚生年金と支給停止額を見ます。
働きながらでも、年金額が増える場合がある
厚生年金保険に加入して働いた期間は、条件に応じて将来の年金額に反映されます。
65歳以上70歳未満で厚生年金に加入しながら老齢厚生年金を受けている人には、毎年の加入実績を年金額に反映する「在職定時改定」があります。9月1日時点で厚生年金の被保険者である場合、前年9月から当年8月までの加入期間が追加され、通常は10月分から年金額が見直されます。
加入期間の追加による年金額と、給与・賞与による支給停止額は、別に確認してください。働き続けて年金の計算額が増える一方、停止額が変わる場合もあります。
在職定時改定の対象者
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 年齢 | 65歳以上70歳未満 |
| 年金 | 老齢厚生年金を受ける権利がある |
| 働き方 | 厚生年金保険の被保険者として働いている |
| 基準日 | 原則として9月1日に被保険者である |
老齢基礎年金だけを受けている人や、厚生年金に加入しない働き方の人は、在職定時改定の対象ではありません。
毎年10月分から見直し、通常は12月の支払いで確認する
原則として、毎年9月1日を基準に再計算し、翌月の10月分から新しい年金額になります。年金は後払いなので、10月分・11月分が振り込まれる12月の年金支払で増額を確認するのが基本です。
年金額改定通知書などが届いたら、「改定年月」と「年金額」を確認してください。前年9月から当年8月までのうち、まだ年金額へ反映されていない厚生年金加入期間が計算に加えられます。
日本年金機構は、9月1日に厚生年金に加入している人の年金額を、10月分から見直すと案内しています。9月1日前の資格喪失や短期間の再加入では扱いが変わる場合があります。通知書の改定年月と、厚生年金の加入記録を確認してください。
在職定時改定で1年間働くといくら増える?
平成15年4月以降の加入期間に対応する報酬比例部分は、おおむね「平均標準報酬額×5.481÷1000×加入月数」で計算されます。
| 賞与を含む平均標準報酬額 | 12か月加入した場合の単純概算・年額 |
|---|---|
| 20万円 | 約1万3,200円 |
| 30万円 | 約1万9,700円 |
| 40万円 | 約2万6,300円 |
これは再評価率や経過的加算などを省いた目安です。実際の増額は、標準報酬月額、標準賞与額、加入記録、生年月日によって異なります。正確な見込額は年金事務所やねんきんネットで確認してください。
給与が変わったとき、年金はいつ見直される?
在職老齢年金の支給停止額は、総報酬月額相当額が変わった月などに変更されます。
退職した場合は、退職して1カ月を経過したときに、退職した翌月分から年金額が見直されます。ただし、退職後1カ月以内に再就職して厚生年金保険に加入した場合などは、扱いが異なります。
給与変更後や退職後の反映時期が分からない人は、勤務先の給与情報と年金の通知書を用意し、年金事務所へ相談してください。
在職老齢年金の基準額は年度ごとに改定されるため、2026年度の月65万円を将来年度にもそのまま使わないでください。日本年金機構は、基本月額と総報酬月額相当額の合計に対する支給停止調整額を毎年度案内しています。給与・賞与が変わったときは、年金振込通知書だけでなく、勤務先の標準報酬月額・標準賞与額も確認し、最新の日本年金機構の計算式で照合してください。日本年金機構「在職老齢年金制度が改正されました」
年金を受け取るには、別途請求手続きが必要
働き続ける人も、老齢年金を受け取るには請求手続きが必要です。
受給開始年齢に達した人は、年金請求書を提出して受取りを始めます。在職老齢年金による支給停止は、請求後の給与や厚生年金への加入状況に応じた調整です。
まだ請求していない人は、請求書の提出時期と提出先を確認してください。受取りを始めるか、繰下げを希望するかも、別に判断します。
年金の振込額が変わったときに確認するもの
年金額が変わったときは、次の書類を確認します。
年金額改定通知書・支給額変更通知書
年金額や支給停止額が変更された場合は、年金額改定通知書や支給額変更通知書に理由と内訳が記載されます。
2026年4月の制度改正によって支給停止額が変わった人には、厚生年金保険の支給停止額欄に「#」が表示される案内もあります。
年金振込通知書
実際の振込額は、年金振込通知書で確認してください。支給停止の計算を確かめるときは、給与・賞与の情報も必要です。
振込額の変化に疑問があるときは、年金額改定通知書や支給額変更通知書とあわせて、標準報酬月額・標準賞与額の反映状況を確認します。
70歳前後で変わること(厚生年金と健康保険)
| 項目 | 65歳以上70歳未満 | 70歳以上 |
|---|---|---|
| 厚生年金の資格 | 条件を満たせば加入 | 原則として資格喪失 |
| 厚生年金保険料 | 労使で負担 | 原則として負担なし |
| 働いた期間の年金反映 | 在職定時改定などで反映 | 原則として増額に反映されない |
| 在職老齢年金 | 対象 | 適用事業所で働けば対象になり得る |
70歳到達時には、それまで年金額へ反映されていない厚生年金加入期間が再計算されます。
70歳以降も在職老齢年金の対象になる
70歳以降は厚生年金の被保険者ではなくなっても、厚生年金の適用事業所で働く「70歳以上被用者」として、賃金情報が在職老齢年金の計算に使われます。
2026年度は、老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計が月65万円を超えると、超過額の2分の1が老齢厚生年金から支給停止されます。老齢基礎年金は停止対象ではありません。
日本年金機構は、2026年4月から在職老齢年金の支給停止基準を月51万円から65万円へ引き上げ、70歳以上被用者についても標準報酬月額・標準賞与額に相当する額を計算に使うと案内しています。給与だけでなく賞与が出た月も含め、年金事務所の支給停止額と会社の届出内容を照合してください。
70歳以降も任意加入できる例外
老齢年金の受給資格期間を満たしていない人が70歳を過ぎても働く場合は、受給資格を満たすまで「高齢任意加入」ができることがあります。
高齢任意加入は、老齢年金の受給資格を満たしていない人が対象です。適用事業所では、事業主が保険料の折半に同意すれば労使折半となり、同意がない場合は本人が全額負担する扱いがあります。年金額の増額だけを目的に、誰でも選べる制度ではありません。
健康保険は、加入条件を満たせば原則75歳まで
厚生年金の資格は原則70歳で終わりますが、勤務先の健康保険は加入要件を満たす限り75歳になるまで続く場合があります。75歳になると原則として後期高齢者医療制度へ移ります。
厚生年金、健康保険、在職老齢年金は年齢の境界が異なるため、それぞれ分けて確認してください。
年金生活者支援給付金とは、別の制度
在職老齢年金の支給停止基準と、年金生活者支援給付金の所得要件は別の制度です。
給付金も確認したい人は、年金生活者支援給付金の所得条件、対象となる年金の種類、請求方法を調べてください。在職老齢年金とは別の判定です。
自分の金額は、年金事務所やねんきんダイヤルへ相談する
自分の金額を確認する人は、年金の種類、標準報酬月額、賞与、厚生年金基金の加入歴などを伝え、次の窓口で相談してください。
相談前に、次のものを揃えておくと確認しやすくなります。
- 年金証書や年金額改定通知書
- 年金振込通知書、支給額変更通知書
- 給与明細と賞与の支給明細
- 勤務先と勤務期間が分かる資料
- 基礎年金番号を確認できる書類
相談する電話番号と予約方法は、日本年金機構の公式サイトで確認してください。連絡先が更新される場合があるため、最新の案内を使います。
年金の内訳と、給与・賞与を照合する順番
計算に使う金額と通知書を、次の順に確認してください。
- 自分が老齢厚生年金を受け取っているか確認する
- 厚生年金保険に加入して働いているか確認する
- 老齢厚生年金の基本月額を確認する
- 標準報酬月額と、過去1年間の標準賞与額から総報酬月額相当額を確認する
- 2つの合計が2026年度の基準額65万円を超えるか確認する
- 年金額改定通知書や支給額変更通知書で、停止額の内訳を見る
- 分からない場合は、年金事務所や日本年金機構に相談する
2026年度の計算では、基準額65万円を使います。年金の計算上の月額と報酬額を合算し、支給停止額を確認してください。51万円は2025年度の基準です。
老齢厚生年金と老齢基礎年金の内訳を分け、給与・賞与が計算に反映されているか確認してください。振込額と支給停止額の違いも、通知書で照合します。
公式情報
日本年金機構は、厚生年金に加入して働く60歳以上の人について、計算に使う賃金と老齢厚生年金の合計が月65万円を超えると、老齢厚生年金の一部または全部が停止される場合があると案内しています。基準額は毎年度改定され、老齢基礎年金は停止計算の対象外です。退職や勤務時間変更の前に、給与月額、賞与の12分の1、年金月額を分け、年金事務所で試算してください。日本年金機構「在職老齢年金制度が改正されました」
- 日本年金機構|在職老齢年金の計算方法
- 日本年金機構|在職中の年金(在職老齢年金制度)
- 日本年金機構|60歳以降も引き続き勤めます。勤めていても年金は受けられますか
- 厚生労働省|制度変更(令和8年4月)
- 日本年金機構|令和8年4月分からの年金額をお知らせする通知書の発送
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退職後はいつ増えるか|退職改定と振込月
厚生年金に加入して働きながら老齢厚生年金を受けている人が退職すると、在職老齢年金による支給停止額は、原則として退職日の翌月分から見直されます。
8月に退職し、9月分から見直される場合、最初に対象となり得る定期支払いは10月です。年金は原則、偶数月15日に前月分と前々月分が支払われます。金額が変わる月と、振り込まれる月を分けて確認してください。
| 確認項目 | 原則 |
|---|---|
| 支給停止額が変わる月 | 退職日の翌月分から |
| 厚生年金加入期間の再計算 | 70歳未満で退職し、1カ月が経過したとき |
| 定期支払日 | 偶数月15日。土日祝日は直前の平日 |
| 定期支払いの対象 | 前月分と前々月分 |
| 退職後1カ月以内に再就職 | 再び厚生年金へ加入した場合、原則として退職改定なし |
| 2026年度の在職老齢年金基準額 | 基本月額と総報酬月額相当額の合計65万円 |
退職すると年金が変わるのは2つの仕組み
退職後の見直しは、支給停止額の変更と、加入期間を追加する再計算です。次の二つを分けて確認してください。
1.在職老齢年金の支給停止額が見直される
在職老齢年金は、働きながら老齢厚生年金を受ける人について、賃金と老齢厚生年金の合計に応じて年金の一部または全部を止める仕組みです。
2026年度は、老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計が月65万円以下なら全額支給です。65万円を超えると、超過額の2分の1が老齢厚生年金から支給停止されます。退職して厚生年金の被保険者でなくなれば、原則として退職日の翌月分からこの停止額が見直されます。
在職中に合計額が65万円以下で、支給停止がなかった人は、加入期間を追加する再計算を確認してください。もともと停止されていた額はないため、停止解除による増額はありません。
2.退職改定で加入期間を追加して再計算する
受給開始後に、厚生年金に加入して働いた期間を年金額に加える見直しが「退職改定」です。加入しながら老齢厚生年金を受ける70歳未満の人が退職し、1カ月経過すると、まだ年金額に入っていない加入期間を加えて再計算されます。
通知書では、変更後の年金額、支給停止額、計算に使われた加入月数を確認してください。停止の解除による増額と、加入期間を追加した増額を分けて見ます。
何月分から変わり、何月に振り込まれるのか
制度上の改定月は「退職日の翌月分」です。退職日の翌日が厚生年金の資格喪失日になります。
| 退職日 | 資格喪失日 | 見直し対象 | 最初に対象となり得る定期支払い |
|---|---|---|---|
| 2026年8月15日 | 8月16日 | 9月分から | 10月支払い(8月・9月分) |
| 2026年8月31日 | 9月1日 | 9月分から | 10月支払い(8月・9月分) |
| 2026年9月30日 | 10月1日 | 10月分から | 12月支払い(10月・11月分) |
たとえば8月31日退職なら、9月分が見直し対象です。年金の定期支払いは、原則として10月15日に8月分と9月分が振り込まれます。そのため、制度上は10月の定期支払いが最初の対象です。
実際の振込は、勤務先の資格喪失届や日本年金機構の処理状況で遅れる場合があります。制度上の改定月はそのままで、後の支払いに差額が含まれることがあります。年金支払通知書などで、支払額と対象期間を確認してください。
8月退職で9月分を見直すと、10月支払いの対象になる
年金の定期支払いは、2月に12月・1月分、4月に2月・3月分、6月に4月・5月分、8月に6月・7月分、10月に8月・9月分、12月に10月・11月分という順番です。
8月退職で9月分から見直される場合、9月分は10月支払いの対象です。処理が遅れて入金が後になった場合も、通知書の改定月と差額の入金日を分けて確認してください。
退職後1カ月以内に再就職した場合
退職しても、1カ月以内に別の会社へ再就職し、再び厚生年金に加入した場合は、原則として退職改定は行われません。在職老齢年金は、転職先の標準報酬月額や直近1年間の賞与を含む総報酬月額相当額を使って計算されます。
「いったん会社を辞めたから、止まっていた年金が必ず全額戻る」とは限りません。再就職日と厚生年金の資格取得日を確認してください。
働き続ける65~69歳は在職定時改定
65歳以上70歳未満で厚生年金へ加入しながら老齢厚生年金を受けている人は、退職しなくても毎年、加入期間が年金額へ反映されます。基準日は9月1日で、前年9月から当年8月までの加入期間を加え、10月分から年金額を見直す仕組みです。これを在職定時改定といいます。
| 状況 | 見直しの仕組み | 年金額が変わる月 |
|---|---|---|
| 65~69歳で働き続ける | 在職定時改定 | 毎年10月分から |
| 70歳未満で退職し、1カ月経過 | 退職改定 | 退職日の翌月分から |
| 厚生年金に加入したまま70歳に到達 | 70歳到達時の改定 | 70歳到達月の翌月分から |
在職定時改定で年金本体が増えても、賃金と年金の合計が65万円を超える場合は、在職老齢年金による支給停止が続くことがあります。
増額は、停止の解除額と、加入期間による再計算額で変わる
退職後に増える可能性がある金額は、次の2つの合計です。
- 在職老齢年金で止まっていた部分のうち、退職によって停止されなくなる額
- 受給開始後の厚生年金加入期間を追加して再計算した増額分
加入期間による増額分は、働いた月数、標準報酬月額、標準賞与額などで変わります。自分の加入記録と報酬額で確認してください。
通知書で、老齢厚生年金の年額と支給停止額を確認してください。老齢基礎年金は、在職老齢年金の支給停止の対象外です。通帳の振込額と、年金ごとの内訳を分けて見ます。
加給年金が新たに付く場合は届出を確認
退職改定によって厚生年金の加入期間が20年以上となり、生計を維持している配偶者や子などの条件を満たす場合は、加給年金額が加算されることがあります。
65歳到達後に加入期間が20年以上になった人も、退職改定や在職定時改定などで加給年金の対象となる場合があります。加算には届出が必要です。年金事務所で、対象と手続きを確認してください。
65歳未満で失業給付を申し込む人は別の支給停止に注意
65歳未満で老齢厚生年金を受けている人が、基本手当を受けるためにハローワークで求職申込みをすると、その翌月から老齢厚生年金が全額支給停止となります。停止の終わりは、受給期間が経過した月、または所定給付日数を受け終わった月です。
基本手当を受けていない月の年金は、すぐには支給されず、3カ月程度後に支給される案内です。基本手当の受給期間が経過した後も、年金の支払い開始は3カ月程度後となります。
失業給付による支給停止は、退職改定とは別の仕組みです。在職老齢年金による停止が外れた後も、基本手当の求職申込みで年金が止まる場合があります。詳しくは、雇用保険と年金の調整で確認してください。
通常は勤務先の資格喪失届で見直し、加給年金などは別手続き
通常は、勤務先の資格喪失届が日本年金機構で処理されると、その記録を基に年金額が見直されます。受給者が「退職改定申請」を出す手続きはありません。
加給年金の届出が必要な人は、別の手続きを確認してください。雇用保険の被保険者番号が年金記録に未登録の場合や、勤務先の資格喪失届が未処理の場合も、確認や手続きが必要になることがあります。
届いた通知書で確認する4項目
| 確認欄 | 見るポイント |
|---|---|
| 変更年月 | 退職日の翌月分から変更されているか |
| 厚生年金の加入月数 | 受給開始後に働いた期間が追加されているか |
| 老齢厚生年金の年額 | 退職改定後の年金本体はいくらか |
| 支給停止額 | 在職による停止が解除または変更されているか |
年金決定通知書・支給額変更通知書の変更理由欄では、退職により加入期間を追加して再計算した場合、「39」と表示される例があります。通知書の形式や記載内容は受けている年金の種類によって異なります。
年金が増えていないときの確認順
- 退職日と厚生年金の資格喪失日を確認する
- 退職後1カ月以内に厚生年金へ再加入していないか確認する
- 勤務先へ資格喪失届を提出したか確認する
- 年金決定通知書・支給額変更通知書の変更年月と理由を見る
- ねんきんネットで厚生年金の加入記録を確認する
- 65歳未満なら、失業給付の求職申込みによる停止がないか確認する
- 解決しなければ年金事務所またはねんきんダイヤルへ相談する
振込額を確認するときは、介護保険料、国民健康保険料、住民税などの特別徴収額も確認してください。年金から差し引く額が変わると、年金本体の増額と手取りの増額に差が出ます。
よくある質問
8月31日に退職したら、いつから年金が増えますか?
制度上は9月分から見直し対象です。定期支払いでは10月に8月分と9月分が支払われるため、処理が間に合えば9月分の変更が10月の振込に含まれます。処理が間に合わない場合は、後日の通知と支払いで対象期間を確認してください。
月の途中で退職しても翌月分からですか?
原則として退職日の翌月分からです。たとえば8月15日退職でも8月31日退職でも、見直し対象は9月分からです。
退職したら在職老齢年金は必ず増えますか?
増える額は、在職中の支給停止額と、追加する厚生年金加入期間で変わります。支給停止がなかった人は、加入期間の再計算による増額があるかを確認してください。停止解除による増額はありません。
1カ月以内に転職したらどうなりますか?
転職先で厚生年金へ再加入した場合、原則として退職改定は行われません。新しい賃金などを基に、在職老齢年金の支給停止額が計算されます。
退職したのに年金が止まったのはなぜですか?
65歳未満で基本手当のために求職申込みをすると、原則として翌月から、受給期間が経過した月または所定給付日数を受け終わった月まで、老齢厚生年金が止まります。基本手当を受けない月の扱いと支払い再開時期は、本文の失業給付の説明を確認してください。勤務先の届出処理、再就職、失業給付の順に調べます。
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本記事は2026年8月24日時点の日本年金機構の案内を基に作成しています。個別の改定額や実際の支払時期は、厚生年金の加入記録、標準報酬、退職後の再就職、雇用保険の受給状況、手続きの処理状況によって異なります。通知書とねんきんネットを確認し、不明な場合は年金事務所へ相談してください。
公式情報・相談先
- 日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」
- 日本年金機構「退職改定」
- お近くの年金事務所・ねんきんダイヤル
※本記事は2026年8月25日時点で確認できる日本年金機構の公表資料をもとに整理しています。基準額は年度ごとに改定されます。個別の金額は年金事務所へご確認ください。
退職改定で追加する加入期間の説明は、2026年10月8日に補足しました。
失業給付による年金の支給停止期間と支払い再開時期も、2026年10月8日に補足しました。


