加給年金は、厚生年金に原則20年以上加入した人の老齢厚生年金に、一定の配偶者や子がいる場合に上乗せされる加算です。
老齢厚生年金を受ける人の年金額に加算されます。配偶者本人へ直接支払う手当ではありません。
2026年度の配偶者分は年額24万3,800円です。年金を受ける本人の生年月日に応じて特別加算が付き、年額42万3,700円になる場合があります。
配偶者に一定の老齢厚生年金を受ける権利があると、実際に受給していなくても加給年金は停止されます。
加入期間・家族・配偶者の年金を確認する6項目
| 確認項目 | ポイント |
|---|---|
| 本人の厚生年金期間 | 原則20年以上あるか |
| 加算開始時点 | 原則65歳時点、またはその後の年金額改定時 |
| 配偶者の年齢 | 原則65歳未満か |
| 子の年齢 | 18歳到達年度末まで、または一定の障害がある20歳未満か |
| 生計維持 | 生計同一と収入要件を満たすか |
| 配偶者の年金 | 所定の老齢厚生年金・退職共済年金を受け取る権利があるか、障害年金を受けられる間か |
加給年金は年金受給者本人の年金に加算される
加給年金は、要件を満たす家族がいる年金受給者本人の老齢厚生年金に加算されます。「年金の家族手当」と説明されることもありますが、配偶者や子の名義で別に振り込まれる制度ではありません。
夫が年金受給者で妻が対象になる場合も、妻が年金受給者で夫が対象になる場合もあります。
対象かどうかは、厚生年金の加入期間、家族の年齢、生計維持関係、配偶者自身の年金受給権で判断します。性別で決まるものではありません。
加給年金の対象条件
加給年金を確認する人は、本人の加入期間と、家族についての次の条件を確認してください。
- 老齢厚生年金を受ける本人の厚生年金保険の被保険者期間が原則20年以上ある
- 本人が65歳になった時点などで、生計を維持している配偶者または子がいる
- 配偶者は原則65歳未満である
- 子は18歳になった年度の3月31日まで、または障害等級1級・2級の状態にある20歳未満である
厚生年金20年以上が基本ですが、生年月日と加入時期によって15年から19年で対象になる中高齢者の特例があります。
特例は年金記録で判定されるため、加入年数が20年未満の人も年金事務所へ確認してください。
「生計を維持している」の収入条件
日本年金機構は、生計維持を、原則として次の両方を満たす状態と説明しています。
- 同居している、または別居でも仕送りや健康保険の扶養関係などがあり、生計を同じくしている
- 配偶者や子の前年の収入が850万円未満、または所得が655万5,000円未満
配偶者が働いていても、対象になる場合があります。同居していても家計が完全に別の場合などは、個別に確認されることがあります。
2026年度の加給年金額
| 対象者 | 2026年度の年額 | 年齢条件 |
|---|---|---|
| 配偶者 | 24万3,800円 | 原則65歳未満 |
| 1人目・2人目の子 | 各24万3,800円 | 18歳到達年度末まで、または障害等級1級・2級の状態にある20歳未満 |
| 3人目以降の子 | 各8万1,300円 | 同上 |
配偶者と対象となる子がいる場合は、それぞれの加給年金額を合算します。年度ごとに金額が改定されることがあるため、年金を受ける人は翌年度以降の最新額を確認してください。
配偶者分には特別加算が付く場合がある
配偶者分の特別加算は、老齢厚生年金を受ける本人の生年月日で決まります。配偶者の生年月日ではありません。
| 年金受給者本人の生年月日 | 特別加算 | 配偶者分の合計 |
|---|---|---|
| 昭和9年4月2日~昭和15年4月1日 | 3万6,000円 | 27万9,800円 |
| 昭和15年4月2日~昭和16年4月1日 | 7万1,900円 | 31万5,700円 |
| 昭和16年4月2日~昭和17年4月1日 | 10万8,000円 | 35万1,800円 |
| 昭和17年4月2日~昭和18年4月1日 | 14万3,900円 | 38万7,700円 |
| 昭和18年4月2日以後 | 17万9,900円 | 42万3,700円 |
65歳以降に加入期間が20年以上になると加算される場合がある
65歳になった後も厚生年金に加入して働き、加入期間が20年以上になった人は、在職定時改定、退職改定、または70歳到達時の年金額改定で、加給年金が加算される場合があります。
加算が始まる時点で、配偶者や子の年齢と生計維持関係を満たすことが必要です。「65歳のときに20年未満だったから今後も対象外」とは限りません。
配偶者自身の年金による支給停止を確認する
配偶者分の加給年金は、次の老齢厚生年金・退職共済年金を受け取る権利があるとき、または障害年金を受けられる間に、原則として支給停止されます。
- 厚生年金の加入期間が20年以上など、所定の期間を満たす老齢厚生年金
- 組合員期間が20年以上の退職共済年金
- 障害基礎年金、障害厚生年金、障害共済年金などの障害年金
2022年4月以降は、配偶者の老齢厚生年金が在職などにより全額停止され、実際には振り込まれていなくても、受給権があれば加給年金は原則停止されます。
一部には、改正前からの経過措置があります。
配偶者の厚生年金加入期間が20年未満など、停止要件に当てはまらない場合は、配偶者が自分の老齢年金を受け始めても、65歳になるまで加給年金が続く場合があります。
加給年金が終了する主なケース
- 配偶者が65歳になった
- 配偶者または子が亡くなった
- 離婚した
- 生計維持関係がなくなった
- 子が年齢条件を外れた
- 配偶者が支給停止対象となる老齢厚生年金・退職共済年金の受給権を得た
- 配偶者が障害年金を受けられるようになった
離婚、死亡、配偶者の年金受給開始などがあった人は、年金事務所へ届出の要否を確認してください。状況が変わったのに届け出ないと、後から過払い分の返納を求められることがあります。
配偶者が65歳になると振替加算の条件と金額を確認する
配偶者が65歳になると、年金受給者本人に付いていた配偶者加給年金は終了します。
一定の条件を満たす配偶者には、自身の老齢基礎年金に「振替加算」が付く場合があります。
加給年金の年24万3,800円や特別加算が、そのまま配偶者へ移るわけではありません。振替加算の金額は配偶者の生年月日で決まります。
昭和41年4月2日以後生まれの人には、振替加算がありません。
通常は、老齢基礎年金を請求するときに配偶者の基礎年金番号などを記入して、振替加算の対象か確認されます。
配偶者が65歳になった後に本人の加入期間が20年以上になった場合などは、別途「老齢基礎年金額加算開始事由該当届」が必要です。
加給年金の届出と必要書類
年金を請求する人は、対象となる配偶者・子を届け出ます。
年金請求時に確認されていなかった場合や、65歳以降に加入期間が20年以上になった場合などは、「老齢厚生年金・退職共済年金 加給年金額加算開始事由該当届」を提出します。
届け出る人は、次の添付書類を確認してください。
- 戸籍謄本または戸籍抄本:本人と配偶者・子の続柄を確認
- 世帯全員の住民票:生計同一関係を確認
- 配偶者・子の所得証明書または非課税証明書:収入要件を確認
戸籍・住民票は原本で、加算開始日より後に発行され、提出日から6カ月以内のものが必要です。
本人と対象者のマイナンバーを届書に記載すると、一部の添付書類を省略できる場合があります。
年金証書・加入月数・家族の状況で加算を確認する
- 年金証書や年金額改定通知書で加給年金額の記載を確認する
- ねんきんネットや年金事務所で本人の厚生年金加入月数を確認する
- 配偶者の年齢、厚生年金加入期間、老齢・障害年金の受給権を確認する
- 加算漏れが疑われる場合は、戸籍や所得証明を準備する前に年金事務所へ相談する
加給年金を確認する人は、ねんきん定期便の見込額に加えて、将来の家族状況と配偶者の受給権も確認してください。見込額だけで加給年金の可否は確定できません。
家族状況が変わったときの関連記事
日本年金機構の2026年7月31日更新案内では、厚生年金の被保険者期間が原則20年以上のほか、40歳以降(女性・坑内員・船員は35歳以降)の期間が15〜19年で要件を満たす場合があります。
また、65歳後に被保険者期間が20年以上となったときは、在職定時改定・退職改定・70歳到達時に加給年金が加算されることがあります。
加給年金の加算・終了は届出が必要になる場合があるため、年金事務所へ確認してください。
中高齢者の特例を確認する人は、共済組合等の加入期間を除いた厚生年金の期間を確認してください。
公式情報
- 日本年金機構「加給年金額と振替加算」
- 日本年金機構「加給年金額を受けられるようになったとき」
- 日本年金機構「生計維持」
- 日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」
- 日本年金機構「令和4年4月から加給年金の支給停止の規定が見直されました」
※制度内容と金額は2026年8月11日時点。加算・停止・振替加算の可否は、本人と配偶者の年金記録、生年月日、家族状況によって異なります。
配偶者の年金による支給停止と、中高齢者の特例の加入期間を、2026年10月10日に日本年金機構の案内で確認しました。


