男性従業員が子の出生後8週間以内に育児休業を始める中小企業は、2026年度(令和8年度)の両立支援等助成金「出生時両立支援コース」を申請できる可能性があります。1人目の支給額は20万円で、雇用環境整備の措置を4つ以上実施した場合は30万円です。
ただし、育休を取った後から社内制度を整えればよいわけではありません。就業規則、育休を取りやすくする雇用環境整備、休業者の業務を見直す規定などは、原則として対象者の育児休業開始日の前日までに準備する必要があります。申請期限も、対象となる育児休業が終わった日の翌日から2か月以内です。
| 制度名 | 両立支援等助成金・出生時両立支援コース |
|---|---|
| 主な対象 | 男性従業員の育児休業取得を支援する中小企業事業主 |
| 1人目 | 20万円(雇用環境整備を4つ以上実施すると30万円) |
| 2人目・3人目 | 各10万円 |
| 情報公表加算 | 2万円(いずれか1回限り) |
| 申請期限 | 対象となる育児休業終了日の翌日から2か月以内 |
出生時両立支援コースとは
出生時両立支援コースは「子育てパパ支援助成金」とも呼ばれます。男性従業員が育児休業を取得しやすい職場環境と業務体制を整え、実際に子の出生後8週間以内に始まる育児休業を取得した場合に、事業主へ支給される助成金です。
育児休業給付金や出生後休業支援給付金は原則として休業する従業員本人に支給されますが、この助成金は職場環境を整えた事業主が申請します。従業員本人が申請する制度ではありません。
2026年度の支給額
| 区分 | 育児休業の要件 | 支給額 |
|---|---|---|
| 1人目 | 連続5日以上、うち所定労働日4日以上 | 20万円 |
| 1人目・環境整備を4つ以上実施 | 上記に加え、所定の雇用環境整備措置を4つ以上実施 | 30万円 |
| 2人目 | 連続10日以上、うち所定労働日8日以上 | 10万円 |
| 3人目 | 連続14日以上、うち所定労働日11日以上 | 10万円 |
日数は暦日で数えるため、土日などの休日を含められます。ただし、休業期間内に表の所定労働日数が含まれていることが必要です。産後パパ育休を複数回に分けて取得した場合でも、必要日数を連続して取得した休業が対象になります。
育児休業等に関する情報公表加算は2万円です。男性労働者の育児休業取得(1~3人目)または後述する取得率上昇の申請のいずれか1回に限って加算できます。1人目で雇用環境整備を4つ以上実施し、情報公表加算も受ける場合は合計32万円になります。
対象になる中小企業
男性労働者の育児休業取得に対する助成は、中小企業事業主が対象です。業種ごとに、資本金または常時雇用する労働者数の基準があります。個人事業主でも、雇用保険の適用事業主で要件を満たせば対象になり得ます。
- 対象の男性従業員が雇用保険被保険者である
- 育児休業開始から支給申請日まで継続雇用している
- 育児休業と育児のための短時間勤務制度を就業規則等に定めている
- 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定・届出・公表・周知している
- 雇用関係助成金に共通する不支給要件に該当しない
一般事業主行動計画は、申請日時点で計画期間内にあることが必要です。プラチナくるみん認定事業主は、行動計画の策定・届出がなくても対象になり得ます。
育休開始前に必要な雇用環境整備
助成対象になるには、次の5項目から必要数の措置を実施します。単に方針を決めるだけでなく、研修案内、相談窓口の周知資料、イントラネットの掲載画面など、実施した日と内容が分かる証拠を残してください。
- 労働者に対する育児休業の研修
- 育児休業に関する相談体制の整備
- 自社の育児休業取得事例の収集・提供
- 育児休業制度と取得促進方針の周知
- 育休申出者の業務配分または人員配置に関する措置
| 対象人数 | 産後パパ育休の申出期限が2週間前まで | 申出期限が2週間前より長い |
|---|---|---|
| 1人目 | 2つ以上 | 3つ以上 |
| 2人目 | 3つ以上 | 4つ以上 |
| 3人目 | 4つ以上 | 5つすべて |
1人目について4つ以上実施すると、支給額は20万円から30万円になります。申出期限を2週間より長く定めている企業では必要数が増えるため、自社の労使協定と就業規則を先に確認してください。
業務見直しの規定と体制整備も必要
雇用環境整備とは別に、育児休業取得者の業務を代替する従業員の負担を軽くするため、業務整理・引継ぎと引継ぎ対象業務の見直しを行う規定が必要です。就業規則、労使協定、内規、または必要事項を含む育休復帰支援プランで定めます。
- 休止・廃止できる業務を洗い出す
- 作業手順を簡素化し、マニュアルを作る
- 担当者や実施体制を変更する
- 必要に応じて外注や代替要員を検討する
規定は育休開始日の前日までに策定します。規定に基づく実際の業務体制整備は育休開始前が望ましく、遅くとも育児休業の終了日までに行う必要があります。周囲へ業務を渡しただけで負担調整の検討記録がない場合、要件を説明できないおそれがあります。
申請期限は育休終了日の翌日から2か月以内
男性労働者の育児休業取得で申請する場合、期限は申請対象となる育児休業の終了日の翌日から起算して2か月以内です。郵送は消印日ではなく労働局への到達日で判断されるため、期限内必着となります。
分割取得では、初回の育児休業だけで必要日数を満たした場合、その休業の終了日の翌日から申請期間が始まります。2回目の休業が終わるまで待つと期限を過ぎることがあるので注意してください。
主な申請書類
- 出生時両立支援コース支給申請書(様式第1~4号)
- 支給要件確認申立書
- 就業規則、労働協約、関連する労使協定
- 雇用環境整備措置の内容と実施日が分かる資料
- 業務見直しの規定と実施内容が分かる資料
- 対象者の育児休業申出書、出勤簿、賃金台帳
- 雇用契約期間・所定労働日が分かる書類
- 子の出生日を確認できる母子手帳の該当部分や住民票など
- 一般事業主行動計画策定届
申請先は、登記上の本店とは限らず、人事労務管理の機能を持つ本社等の所在地を管轄する都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)です。電子申請は雇用関係助成金ポータルから行えます。
取得率が上がった事業主は60万円の区分も
出生時両立支援コースには、個々の男性従業員の育休取得とは別に、男性の育児休業取得率が上昇した場合の区分があります。申請年度の前年度を基準に、前々年度から30ポイント以上上昇して50%以上となった場合などは60万円です。申請時にプラチナくるみん認定事業主であれば15万円が加算されます。
この区分は特定事業主が対象で、1事業主につき1回限りです。申請期限は、要件を満たした事業年度の翌事業年度が始まってから6か月以内です。同じ事業年度に男性労働者の育休取得分と取得率上昇分の両方を申請することはできず、取得率上昇分の受給後に個人の育休取得分を申請することもできません。
申請前に確認したい注意点
- 社内制度や雇用環境整備を育休開始後に実施していないか
- 休業日数だけでなく、期間内の所定労働日数も満たしているか
- 一般事業主行動計画が申請日時点で有効か
- 対象者を申請日まで雇用保険被保険者として継続雇用しているか
- 同じ育休で育児休業等支援コースを申請していないか
- 郵送書類が期限内に労働局へ到着するか
同じ男性従業員の同じ育児休業について、出生時両立支援コースと育児休業等支援コース(育休取得時・職場復帰時)の併給はできません。どのコースで申請するか迷う場合は、育休開始前に管轄労働局へ相談すると安全です。
公式情報・申請先
あわせて確認したい記事
※本記事は2026年8月24日時点の厚生労働省公式情報をもとに作成しています。助成金は予算、法改正、申請時期、過去の受給歴などによって取り扱いが変わる場合があります。実際の申請前に最新の支給要領・申請様式を確認し、管轄の都道府県労働局へお問い合わせください。


