従業員の待遇改善や人材育成に取り組む事業主が使える、厚生労働省の主な助成金3つを1本にまとめました。いずれも労働者本人ではなく事業主が申請する制度です。
まず確認|自社が使えるのはどれか
3つに共通するのは「先に計画を出す」ことです。正社員に転換してから、訓練を始めてから、設備を買ってから申請しても対象になりません。
Q1 これから取り組むのはどれですか?
正社員化キャリアアップ助成金(正社員化コース)。転換後の賃金3%以上の増額が要件です。正社員転換日の前日までにキャリアアップ計画を提出してください。
訓練人材開発支援助成金。研修費用に加え、訓練中の賃金の一部も対象になるコースがあります。訓練開始前に訓練計画を提出します。
設備投資業務改善助成金。事業場内最低賃金を50円・70円・90円以上引き上げる計画と、生産性向上のための設備投資が必要です。
Q2 業務改善助成金|設備の購入や契約はまだですか?
3つの助成金の比較
| 助成金 | どんなときに使うか | 支給の中心 | 申請前に必ず必要な準備 |
|---|---|---|---|
| キャリアアップ助成金 (正社員化コース) | パート・契約社員・派遣社員などを正社員に転換する | 正社員化コース。転換後の賃金3%以上の増額が要件 | 正社員転換日の前日までにキャリアアップ計画を提出 |
| 人材開発支援助成金 (人材育成支援コース) | 従業員に職務に直接関係する訓練を受けさせる | 研修費用に加え、訓練中の賃金の一部も対象になるコースあり | 訓練開始前に訓練計画を提出 |
| 業務改善助成金 | 事業場内最低賃金を引き上げ、あわせて設備投資する | 賃上げ額(50円・70円・90円以上)と生産性向上のための設備投資 | 交付決定を受けてから実施。先に購入・契約すると原則対象外 |
3つに共通するのは「先に計画を出す」ことです。正社員に転換してから、訓練を始めてから、設備を買ってから申請しても対象になりません。取組を始める前に、計画の提出が間に合うかを最初に確認してください。
- いずれも受け取るのは事業主で、労働者本人へ直接支給される制度ではありません
- 業務改善助成金は2026年9月1日に交付申請の受付が始まり、締切は地域別最低賃金の発効日の前日または2026年11月30日の早い方です
- 予算の範囲内で交付されるため、申請期間内でも募集が終了することがあります
キャリアアップ助成金|非正規雇用の正社員化
更新日:2026年8月2日
キャリアアップ助成金は、パート・契約社員・派遣社員などの非正規雇用労働者を、正社員に転換したり、賃金や待遇を改善したりする事業主を支援する制度です。労働者本人に直接振り込まれる給付金ではありません。
この記事では、2026年度版で利用を検討する人が多い正社員化コースを中心に、対象者、助成額、正社員転換前に必要な準備、申請期限、対象外になりやすいケースを整理します。
状態:正社員化・助成金の申請前
このページを確認する人
非正規雇用の正社員化を考える事業主・労働者で、転換前の準備と申請時期を確認したい人
公式出典
次に取る行動:正社員転換日の前日までにキャリアアップ計画の提出状況を確認し、転換前の雇用区分、就業規則、賃金台帳をそろえます。転換後6か月分の賃金を支払った後、基本は翌日から2か月以内に事業主が申請します。労働者本人が直接申請する制度ではありません。
先に確認するポイント
| 確認項目 | 2026年度のポイント |
|---|---|
| 誰が申請するか | 対象労働者を雇用する事業主。労働者個人が直接申請する制度ではありません。 |
| 中心となるコース | 有期雇用・無期雇用の労働者を正規雇用労働者へ転換する「正社員化コース」 |
| 助成額 | 中小企業の有期雇用労働者では、重点支援対象者に該当すると1人最大80万円。それ以外は40万円。 |
| 最初にすること | 正社員転換日の前日までに、キャリアアップ計画を提出する。 |
| 転換後の条件 | 正社員転換後6か月分の賃金を支払った後、転換前6か月分より3%以上増額されていること。 |
| 申請時期 | 取組後6か月分の賃金を支払った日の翌日から2か月以内が基本です。 |
助成金は、正社員にした事実だけで自動的に支給されるものではありません。転換前の雇用区分、就業規則、賃金台帳、計画書の提出日を先に確認してください。
キャリアアップ助成金とは
厚生労働省のキャリアアップ助成金は、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者などの企業内でのキャリアアップを促すため、正社員化や処遇改善を行う事業主に助成する制度です。
正社員化だけでなく、非正規雇用労働者の基本給を引き上げる「賃金規定等改定コース」、正規雇用労働者と共通の賃金規定を導入するコース、賞与・退職金制度を導入するコースなどがあります。
この記事では、転換を検討する事業主と、勤務先に正社員化を相談したい労働者が最初に確認しやすい正社員化コースに絞ります。
正社員化コースの助成額
2026年度版の正社員化コースでは、正社員転換前の雇用形態、企業規模、重点支援対象者に該当するかで助成額が変わります。
| 転換前 | 区分 | 中小企業 | 大企業 |
|---|---|---|---|
| 有期雇用労働者から正規雇用労働者 | 重点支援対象者 | 80万円(40万円×2期) | 60万円(30万円×2期) |
| 無期雇用労働者から正規雇用労働者 | 重点支援対象者 | 40万円(20万円×2期) | 30万円(15万円×2期) |
| 有期雇用労働者から正規雇用労働者 | 上記以外 | 40万円(1期) | 30万円(1期) |
| 無期雇用労働者から正規雇用労働者 | 上記以外 | 20万円(1期) | 15万円(1期) |
重点支援対象者は、正社員転換後6か月の定着を確認した第1期に加え、さらに6か月雇用した場合の第2期も申請できます。1年度・1事業所あたりの支給申請上限人数は20人です。同じ労働者の2回目の申請は、この上限人数の数え方から除かれます。
重点支援対象者に該当する人
| 区分 | 主な要件 |
|---|---|
| a | 雇入れから3年以上の有期雇用労働者 |
| b | 雇入れから3年未満で、過去5年間の正規雇用期間が合計1年以下、かつ過去1年間に正規雇用されていない有期雇用労働者 |
| c | 派遣労働者、母子家庭の母等・父子家庭の父、人材開発支援助成金の特定の訓練修了者など |
雇用期間が通算5年を超える有期雇用労働者は、無期雇用労働者とみなされる扱いがあります。また、新規学卒者は、申請事業主に雇い入れられてから1年を経過するまで支給対象外となる場合があります。個別の判定は、最新のQ&Aと対象者確認票で確認してください。
2026年度から確認したい加算
| 加算の対象となる取組 | 中小企業 | 大企業 |
|---|---|---|
| 正社員転換制度を新たに規定し、その区分へ転換 | 20万円 | 15万円 |
| 勤務地限定・職務限定・短時間正社員などの多様な正社員制度を新たに規定し、その区分へ転換 | 40万円 | 30万円 |
| 転換制度などの所定の情報を、自社サイトまたは「しょくばらぼ」に公表 | 20万円 | 15万円 |
情報公表加算は、2026年4月8日以降に対象労働者を転換する場合が対象です。加算は取組の内容、計画期間、公表場所などの要件を満たす必要があり、1事業所あたり1回のみです。
対象労働者の主な条件
「契約社員を正社員にした」というだけでは足りません。正社員化コースでは、転換前後の雇用区分と就業規則、採用時の約束、賃金の変化を確認します。
| 確認する条件 | チェックポイント |
|---|---|
| 転換前の雇用区分 | 原則として、正規雇用労働者と賃金の額または計算方法が異なる就業規則等の適用を、通算6か月以上受けていること。 |
| 派遣労働者 | 派遣先での直接雇用など、派遣労働者向けの要件を確認すること。 |
| 採用時の約束 | 最初から正規雇用労働者として雇用することを約束して採用された人ではないこと。 |
| 転換後の雇用区分 | 同じ事業所の正規雇用労働者に適用される就業規則が適用されること。 |
| 昇給・賞与等 | 転換時点で、昇給と、賞与または退職金の制度が適用される正規雇用労働者であること。 |
| 新規学卒者 | 申請事業主に雇い入れられてから1年を経過していない新規学卒者は対象外となる場合があること。 |
特に注意したいのは、就業規則などに正規・非正規の賃金差が明記されているかです。実際の支給額に差があっても、就業規則等から雇用区分の違いを確認できない場合は、対象外となる可能性があります。
賃金3%以上の増額を確認する
正社員転換後6か月分の賃金は、転換前6か月分の賃金と比べて3%以上増額されている必要があります。転換日だけの給与や、雇用契約書の記載だけで判断せず、実際に支払った賃金台帳などで確認します。
| 時期 | 確認すること |
|---|---|
| 転換前6か月 | 非正規雇用労働者としての賃金、雇用区分、就業規則の適用状況を保存 |
| 正社員転換日 | キャリアアップ計画の期間内か、転換制度の規定があるかを確認 |
| 転換後6か月 | 正規雇用労働者として雇用し、賃金を支払う |
| 6か月分の賃金支払後 | 転換前6か月分より3%以上増額されているか計算し、支給申請する |
賃金の計算方法や対象となる手当は、個別の雇用契約や賃金規程によって判断が変わることがあります。迷った場合は、転換前に管轄の都道府県労働局またはハローワークへ確認してください。
申請から助成金を受け取るまで
| 段階 | 事業主が行うこと |
|---|---|
| 1 | 対象になり得る労働者、転換前6か月の雇用区分、就業規則、賃金の状況を確認する。 |
| 2 | 労働者の意見を聴き、キャリアアップ計画を作成する。 |
| 3 | 正社員転換などのコース実施日の前日までに、計画を管轄の労働局へ提出する。 |
| 4 | 就業規則などに基づき、正社員転換を実施する。 |
| 5 | 転換後6か月分の賃金を支払い、転換前との3%以上の増額を確認する。 |
| 6 | 6か月分の賃金を支払った日の翌日から2か月以内に、支給申請書と添付書類を提出する。 |
支給申請先は、事業所の所在地を管轄する都道府県労働局です。ハローワークを通じて提出できる場合もあります。郵送の場合は、申請先への到着日が期限内である必要があります。
電子申請を利用する場合は、雇用関係助成金ポータルとGビズIDの準備が必要です。電子申請を選ぶ場合の計画書の提出方法や、紙で提出済みの計画から電子申請へ切り替える場合の扱いは、最新のQ&Aを確認してください。
対象外になりやすいケース
| よくある行き違い | なぜ注意が必要か |
|---|---|
| 正社員に転換してから計画を提出する | 原則として、コース実施日の前日までの計画提出が必要です。 |
| 転換前の雇用区分を6か月確認できない | 就業規則等の適用期間や賃金の違いを確認できないと対象外となる可能性があります。 |
| 賃金の増額が3%未満 | 転換後6か月分と転換前6か月分を比較して、要件を満たす必要があります。 |
| 正社員の制度に昇給や賞与・退職金制度がない | キャリアアップ助成金上の正規雇用労働者の定義を満たさない可能性があります。 |
| 新規学卒者を雇入れから1年以内に転換する | 新規学卒者には別の対象外期間があります。 |
| 申請期限を過ぎる、賃金台帳などが不足する | 到着日や添付書類の不足によって、不受理や不支給となる場合があります。 |
年収の壁を理由に探している場合は別コースも確認
2026年度以降に、短時間労働者を新たに社会保険へ加入させ、労働時間の延長や賃金の増額を行う場合は、正社員化コースとは別に「短時間労働者労働時間延長支援コース」を確認します。
従来の「社会保険適用時処遇改善コース」は、2026年3月31日までに社会保険を適用した取組が対象です。2026年4月1日以降に新たに社会保険へ加入させる取組を予定している場合、古いコースの情報だけで判断しないでください。
| 目的 | 確認するコース |
|---|---|
| 契約社員・パート等を正社員に転換したい | 正社員化コース |
| 短時間労働者を社会保険に加入させ、労働時間や収入を増やしたい | 短時間労働者労働時間延長支援コース |
| 非正規雇用労働者の基本給を引き上げたい | 賃金規定等改定コース |
事業主と労働者が申請前に確認すること
- 正社員転換日が決まっているか
- 転換前6か月の雇用契約・就業規則・賃金台帳がそろっているか
- 正社員転換前日までにキャリアアップ計画を提出できるか
- 転換後の正規雇用区分に昇給と賞与または退職金制度があるか
- 転換後6か月分の賃金が、転換前6か月分より3%以上増える見込みか
- 支給申請先と、6か月分の賃金支払日から2か月以内という期限を確認したか
労働者が正社員化を希望していても、助成金を使うか、いつ転換するかを決めるのは勤務先の事業主です。まずは人事・労務担当者に、キャリアアップ計画の提出予定、転換後の雇用区分、賃金の扱いを確認してください。
公式資料・相談先
厚生労働省は、キャリアアップ助成金について、各コースの実施日の前日までにキャリアアップ計画等を作成・提出する流れを案内しています。支給申請の様式や支給金額は取組を行った日によって変わるため、正社員化を決めた後ではなく、転換前に令和8年度版パンフレット・Q&A・申請様式を確認し、対象労働者の雇用契約、転換日、賃金台帳、6か月後の継続雇用を記録しておいてください。最終的な該当判断は管轄の都道府県労働局へ相談します。厚生労働省「キャリアアップ助成金」、厚生労働省「申請様式ダウンロード」
- 厚生労働省「キャリアアップ助成金」
- 厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内(令和8年度版)」
- 厚生労働省「正社員化コースのご案内(令和8年4月8日版)」
- 厚生労働省「キャリアアップ助成金Q&A(令和8年7月29日版)」
- 厚生労働省「申請様式(令和8年4月8日以降の取組)」
- 厚生労働省「短時間労働者労働時間延長支援コース」
- 雇用関係助成金ポータル
- GビズID
申請先や個別の対象判定は、事業所所在地を管轄する都道府県労働局またはハローワークに相談してください。制度の支給額・様式・要件は見直されることがあるため、実際に取り組む前に最新資料を確認します。
あわせて確認したい記事
この記事の確認日:2026年8月2日
人材開発支援助成金|従業員の訓練
更新日:2026年8月2日
人材開発支援助成金は、従業員に仕事に関係する訓練を受けさせる事業主を支援する制度です。研修費用だけでなく、訓練中の賃金の一部が対象になるコースもあります。
ただし、労働者本人に直接支給される給付金ではありません。事業主が訓練計画を先に提出し、訓練の実施記録や支払いを確認できる書類をそろえて申請します。
この記事では、令和8年度の制度を、利用を検討しやすい「人材育成支援コース」を中心に整理します。デジタル研修や事業転換のためのリスキリングなど、別コースを選ぶ場合の見分け方も確認できます。
先に確認するポイント
| 確認項目 | 令和8年度のポイント |
|---|---|
| 誰が申請するか | 従業員を雇用する事業主、事業主団体など。労働者個人が直接申請する制度ではありません。 |
| 何が対象か | 職務に直接関係する訓練。人材育成訓練では、原則10時間以上のOFF-JTが基本です。 |
| 助成の内容 | 訓練経費の助成に加え、所定労働時間中に受講した訓練の賃金助成が対象になるメニューがあります。 |
| 最初にすること | 訓練開始日の6か月前から1か月前までに、職業訓練実施計画届を提出します。 |
| 訓練後の期限 | 原則として、訓練終了日の翌日から2か月以内に支給申請します。 |
| 令和8年度の注意点 | 経費助成を申請する場合、「受講料等の価格設定に関する疎明書(様式第28号)」の提出が必要です。 |
助成金を使うからといって研修費が最初から無料になるわけではありません。申請前に、訓練の内容、対象者、計画届の期限、訓練機関への支払い方法を確認してください。
人材開発支援助成金とは
厚生労働省の人材開発支援助成金は、事業主などが雇用する労働者に、職務に関連する専門的な知識や技能を習得させるための訓練を計画に沿って行った場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部などを助成する制度です。
対象になるのは、会社が従業員の育成のために行う訓練です。個人が自分で講座を申し込んで受講する場合の一般的な教育訓練給付金とは、申請者も制度の仕組みも異なります。
| 制度 | 主な申請者 | 支援の考え方 |
|---|---|---|
| 人材開発支援助成金 | 従業員を雇う事業主など | 会社が計画的に行う訓練の経費・賃金などを助成 |
| 教育訓練給付金 | 雇用保険の受給資格を満たす労働者など | 本人が指定講座を受講した費用の一部を給付 |
7コースのうち、どれを選ぶか
人材開発支援助成金には、令和8年度の厚生労働省案内で7つのコースがあります。訓練の目的が「社員の通常研修」なのか、「デジタル人材育成」なのか、「新事業やDXのための学び直し」なのかで、確認するパンフレットが変わります。
| コース | 向いている訓練・制度 | 主な助成の形 |
|---|---|---|
| 人材育成支援コース | 10時間以上のOFF-JT、新卒者等のOJT・OFF-JT、正社員化を目指す有期契約労働者の訓練、中高年齢者の実習型訓練 | 訓練経費、訓練中の賃金、OJT実施費 |
| 教育訓練休暇等付与コース | 有給教育訓練休暇制度を導入し、労働者が休暇を取って訓練する場合 | 制度導入に対する定額助成 |
| 人への投資促進コース | 高度デジタル人材、大学院、定額制研修、自発的訓練、長期教育訓練休暇など | 訓練経費、賃金、制度導入など |
| 事業展開等リスキリング支援コース | 新しい事業、DX・GX、企業内の人事・人材育成計画に伴う訓練 | OFF-JTの経費・賃金。令和8年度末までの時限措置 |
| 建設・障害者向けのコース | 建設労働者の認定訓練・技能実習、障害者の職業能力開発 | 対象が限られるため、専用資料で確認 |
この記事では、最も一般的な社員研修を想定して人材育成支援コースを詳しく扱います。サブスク型研修やDX研修などは、対象コースの詳細版パンフレットを確認してから計画を作成してください。
人材育成支援コースの助成額
人材育成支援コースには、通常のOFF-JTを対象とする人材育成訓練のほか、OJTとOFF-JTを組み合わせる訓練があります。以下は令和8年度版パンフレットの主な助成率・助成額です。
| 訓練メニュー | 経費助成 | 賃金助成 | OJT実施助成 |
|---|---|---|---|
| 人材育成訓練 | 正規45%(賃金要件等で60%) 有期契約等70%(要件で85%) | 1人1時間800円 要件を満たすと1,000円 大企業は400円・500円 | なし |
| 認定実習併用職業訓練 | 45%(大企業30%) 要件を満たすと60%(45%) | 1人1時間800円 要件を満たすと1,000円 大企業は400円・500円 | 1人1コース20万円 要件で25万円 大企業は11万円・14万円 |
| 有期実習型訓練 | 75% 要件を満たすと100% | 1人1時間800円 要件を満たすと1,000円 大企業は400円・500円 | 1人1コース10万円 要件で13万円 大企業は9万円・12万円 |
| 中高年齢者実習型訓練 | 60%(大企業45%) 要件を満たすと75%(60%) | 1人1時間800円 要件を満たすと1,000円 大企業は400円・500円 | 1人1コース10万円 要件で13万円 大企業は9万円・12万円 |
賃金要件等による加算は、訓練修了後の賃金を訓練前と比べて5%以上上昇させた場合、または資格等手当を就業規則などに定めて支給し、その支給前後で賃金が3%以上上昇した場合などに適用されます。単に研修を修了しただけで加算されるわけではありません。
また、eラーニングや通信制の訓練は経費助成が中心で、賃金助成の対象外となる場合があります。受講形態を先に確認してください。
訓練経費の上限はいくらか
人材育成訓練の経費助成には、1人1訓練あたりの限度額があります。助成率を掛けた金額が、そのまま無制限に支給されるわけではありません。
| 1人1訓練の実訓練時間 | 中小企業 | 大企業 |
|---|---|---|
| 10時間以上100時間未満 | 15万円 | 10万円 |
| 100時間以上200時間未満 | 30万円 | 20万円 |
| 200時間以上 | 50万円 | 30万円 |
eラーニングや通信制で標準学習時間が定められていない訓練は、原則として10時間以上100時間未満の区分で扱われます。人材育成支援コース全体の支給限度額は、1事業所・1事業主団体などの一年度あたり1,000万円です。
対象になる事業主・労働者・訓練
| 確認対象 | 主な条件 |
|---|---|
| 事業主 | 雇用保険の適用事業所の事業主であること。雇用関係助成金の共通要件も満たす必要があります。 |
| 社内の準備 | 職業能力開発推進者を選任し、事業内職業能力開発計画を策定して従業員に周知することが基本です。 |
| 対象労働者 | 申請事業主の雇用保険適用事業所で働く雇用保険被保険者が基本です。 |
| 訓練内容 | 対象労働者の職務に直接関連する知識・技能を身につける訓練であること。 |
| 記録 | 訓練カリキュラム、実施時間、出席・受講状況、修了、賃金、領収書などを確認できること。 |
| 費用負担 | 支給申請までに事業主が訓練経費を全額負担していること。実質的な返金や負担軽減があると対象外になり得ます。 |
事業内職業能力開発計画や職業能力開発推進者は、計画届の提出までに準備する必要があります。後から作ればよいと考えず、研修会社を決める前に社内の担当者と確認してください。
申請から受給までの流れ
| 時期 | 事業主が行うこと |
|---|---|
| 訓練を決める前 | 目的、対象者、訓練時間、受講形態、費用、賃金助成の対象時間を確認し、コースを選びます。 |
| 訓練開始の6か月前から1か月前 | 職業訓練実施計画届と必要書類を、事業所所在地を管轄する労働局へ提出します。 |
| 訓練期間中 | 計画どおりに実施し、受講状況、勤務・賃金、変更内容を記録します。 |
| 訓練終了後 | 訓練経費を支払い、領収書、訓練実施状況、賃金台帳などをそろえます。 |
| 訓練終了日の翌日から2か月以内 | 支給申請書と必要書類を労働局へ提出します。期限は厳守です。 |
計画届を提出しただけで支給が確定するわけではありません。令和7年度以降は、計画提出時と支給申請時の書類整理に伴い、支給・不支給の審査は支給申請後に一括して行われます。
電子申請を使う場合は、雇用関係助成金ポータルから手続きします。GビズIDが必要で、計画届を電子申請していない場合は、その後の変更届や支給申請を電子申請で行えない扱いがあるため、最初の提出方法をそろえてください。
令和8年5月14日からの価格設定の疎明書
令和8年5月14日付けの支給要領改正により、訓練計画届をいつ提出したかにかかわらず、一定の未決定案件で経費助成を申請する場合は、「受講料等の価格設定に関する疎明書(様式第28号)」の提出が必要になりました。
| 確認点 | 扱い |
|---|---|
| 対象になりやすい案件 | 令和8年5月14日時点で支給・不支給決定がされておらず、今後支給申請するもの。 |
| 何を確認する書類か | 受講料などの価格設定が、助成金を利用する事業主だけ不自然に高くなっていないかなどを確認します。 |
| 経費助成を申請しない場合 | 様式第28号は提出不要です。 |
| 電子申請の場合 | 令和8年8月2日現在、改正に対応した画面は準備中のため、案内に従い「その他」の必要書類として添付します。 |
訓練機関から「助成金を使えば実質無料」「いったん払っても後で全額返金する」と説明された場合は注意が必要です。事業主が訓練経費を全額負担していない場合、助成金の要件を満たしません。不自然な返金や営業協力費などを含む提案は、契約前に労働局へ相談してください。
対象外になりやすいケース
| ケース | なぜ注意が必要か |
|---|---|
| 訓練開始後に計画届を出す | 原則の提出期間を過ぎるため、支給対象にならない可能性があります。 |
| 仕事内容との関係が説明できない研修 | 職務に直接関連する訓練という要件を満たせない可能性があります。 |
| 10時間未満の通常OFF-JT | 人材育成訓練の基本要件から外れる可能性があります。 |
| eラーニングの受講記録が残っていない | 開始・終了、進捗、修了、学習時間などを確認できる資料が必要です。 |
| 訓練機関から返金や実質的な割引を受ける | 事業主が全額負担したことにならず、経費助成の対象外になり得ます。 |
| 訓練内容や日程を変更したのに届出をしない | 変更内容によっては、訓練実施日の前日までなどに変更届が必要です。 |
| 支給申請を後回しにする | 訓練終了日の翌日から2か月以内という期限を過ぎると申請できません。 |
キャリアアップ助成金との違い
非正規雇用労働者の育成と正社員化を考えている場合、人材開発支援助成金の有期実習型訓練と、キャリアアップ助成金の正社員化コースが候補になることがあります。
| 制度 | 中心となる目的 | 確認すること |
|---|---|---|
| 人材開発支援助成金 | 職務に必要な訓練を実施すること | 訓練時間、OJT・OFF-JT、計画届、受講記録、経費 |
| キャリアアップ助成金 | 非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善 | 転換前の雇用区分、就業規則、賃金、転換後の申請期限 |
正社員化を中心に確認したい場合は、キャリアアップ助成金2026の記事もあわせて確認してください。制度の目的や要件が重なる部分はありますが、同じ訓練・同じ費用について二重に助成されるとは限らないため、申請前に労働局へ確認するのが安全です。
申請前チェックリスト
| チェック | 確認する内容 |
|---|---|
| □ | 訓練の目的と、受講者の職務との関係を説明できる |
| □ | 人材育成支援、人への投資、リスキリングなど、適切なコースを選んだ |
| □ | 職業能力開発推進者の選任と事業内職業能力開発計画の周知を確認した |
| □ | 訓練開始日の6か月前から1か月前の計画届提出期間に間に合う |
| □ | 受講案内、カリキュラム、料金体系、訓練機関の情報を保存した |
| □ | 令和8年度の様式第28号が必要か確認した |
| □ | 受講料を返金・割引なしで事業主が負担する契約になっている |
| □ | 出席・受講・修了、賃金、領収書を保管できる |
| □ | 訓練終了日の翌日から2か月以内に支給申請できる |
公式資料・申請先
人材開発支援助成金は、訓練を計画に沿って実施した事業主に訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度で、7コースごとに要件と提出書類が異なります。厚生労働省の現行ページでは、令和8年5月14日以降の支給申請で受講料等の価格設定に関する疎明書が必要となる場合や、8月3日以降のeラーニング様式の更新が案内されています。訓練開始前にコース別の最新パンフレット・支給要領を確認し、計画届、契約・受講料資料、出席・修了記録をそろえて、管轄労働局へ相談してください。厚生労働省「人材開発支援助成金」、厚生労働省「過去のパンフレット一覧(令和8年度版を含む)」
制度はコースや訓練形態によって細かい要件が異なります。申請前に、必ず該当コースの最新版パンフレットを確認し、判断に迷う場合は事業所所在地を管轄する労働局へ相談してください。
- 厚生労働省「人材開発支援助成金」
- 令和8年度版 人材育成支援コース詳細版パンフレット(令和8年5月14日版)
- 令和8年度版 人への投資促進コース詳細版パンフレット(令和8年5月14日版)
- 令和8年度版 事業展開等リスキリング支援コース詳細版パンフレット(令和8年5月14日版)
- 厚生労働省「人材開発支援助成金の申請書類」
- 雇用関係助成金ポータル
- GビズID
- 厚生労働省「事業主への助成金」
確認日:2026年8月2日。申請時は、提出時点で公開されている様式・パンフレット・労働局の案内を確認してください。
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- 個人事業主・法人が使える補助金の選び方
- 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金2026
業務改善助成金|賃上げと設備投資
2026年度の業務改善助成金は、2026年9月1日に交付申請の受付が始まります。申請できるのは、事業場内最低賃金を50円・70円・90円以上引き上げる計画と、生産性向上のための設備投資等の計画を立て、交付決定を受けてから実施する事業者です。先に機械を購入したり契約したりすると、原則として対象外になります。
この記事では、2026年度の対象、助成率、上限額、申請期限、設備投資の範囲、交付決定前に避ける行動を整理します。
2026年度の申請期間と完了期限
| 項目 | 2026年度の扱い |
|---|---|
| 交付申請の受付開始 | 2026年9月1日 |
| 申請期限 | 地域別最低賃金の発効日の前日、または2026年11月30日の早い日 |
| 賃金引上げ期間 | 2026年9月1日から、上記の早い日まで |
| 事業完了期限 | 交付決定年度の1月31日。やむを得ない理由が認められれば3月31日まで延長される場合あり |
都道府県の地域別最低賃金の発効日によって締切が変わります。11月30日まで必ず申請できるとは限らないため、所在地の労働局の案内を確認してください。予算の範囲内で交付され、申請期間内に募集が終了する場合もあります。
業務改善助成金は「賃上げ+設備投資」の制度
支援の対象は、従業員の賃金を引き上げるだけの費用ではありません。事業場内最低賃金を一定額以上引き上げ、生産性向上に役立つ機械設備の導入や、国家資格者によるコンサルティングなどを行った費用の一部が助成されます。
申請は会社全体ではなく、工場や店舗などの事業場ごとです。事業場内最低賃金が2026年度の地域別最低賃金未満であること、中小企業・小規模事業者であること、解雇や賃金引下げなどの不交付事由がないことを確認します。従業員がいない事業場は対象になりません。
50円・70円・90円コースの上限
上限額は、賃金の引上げ額、引き上げる労働者数、事業場の規模で変わります。代表的な上限は次のとおりです。
| コース | 引上げる人数 | 30人未満 | その他 |
|---|---|---|---|
| 50円以上 | 1人 | 30万円 | 40万円 |
| 50円以上 | 8人以上 | 110万円 | 110万円 |
| 70円以上 | 1人 | 40万円 | 50万円 |
| 70円以上 | 8人以上 | 230万円 | 230万円 |
| 90円以上 | 1人 | 90万円 | 100万円 |
| 90円以上 | 8人以上 | 450万円 | 450万円 |
| 90円以上 | 10人以上 | 600万円 | 600万円 |
10人以上の区分は、特例事業者が10人以上の労働者を引き上げる場合に限られます。設備投資額に助成率を掛けた額と上限額を比べ、低い方が助成額です。2026年度の最大上限は、90円コース・10人以上の600万円です。
助成率は事業場内最低賃金で決まる
- 引上げ前の事業場内最低賃金が1,050円未満:4分の5
- 引上げ前の事業場内最低賃金が1,050円以上:4分の3
たとえば設備投資が600万円で助成率4分の5なら計算上は480万円ですが、コースの上限が450万円なら助成額は450万円です。設備投資の全額が戻る制度ではありません。
引上げ対象の労働者を数えるときの注意
引き上げる労働者は、事業場内最低賃金の労働者だけでなく、賃金を引き上げた結果として最低賃金を追い抜かれる労働者が含まれる場合があります。ただし、申請コースと同額以上の引上げが必要です。
2026年度の案内では、引上げ対象は週所定労働時間20時間以上の雇用保険加入者が基本です。また、雇入れ後6か月を経過した労働者の事業場内最低賃金を引き上げる必要があります。パート・アルバイトを含め、労働条件通知書と賃金台帳で確認してください。
対象になりやすい設備投資と特例
対象経費は、生産性向上や労働能率の増進に資する設備投資等です。例として、POSレジ、在庫管理機器、リフト付き特殊車両、顧客管理システム、国家資格者による業務フロー見直しなどがあります。
特例事業者のうち、原材料費高騰などで申請前6か月平均の利益率が前年同期より3%ポイント以上低下している場合は、助成対象経費が広がり、新規のパソコン・スマートフォン・タブレット等が認められることがあります。就業規則に引上げ後の事業場内最低賃金を定めるなど、追加要件があります。
申請から受給までの順番
- 事業場内最低賃金、地域別最低賃金、対象労働者を確認する
- 50円・70円・90円コースと設備投資の計画を決める
- 交付申請書、賃金資料、見積書などを管轄の都道府県労働局へ提出する
- 交付決定を受ける
- 決定後に賃金引上げと設備投資を実施する
- 事業実績を報告し、支給申請を行う
紙申請は都道府県労働局、電子申請はJグランツを使います。電子申請にはGビズIDプライムが必要ですが、2026年度のJグランツ受付は厚生労働省ページで後日案内される予定です。準備だけ先に進め、申請開始日と受付状況を確認してから提出します。
交付決定前にやってはいけないこと
- 助成対象設備を購入・納品・支払いする
- 契約を締結して、キャンセルできない状態にする
- 申請した賃金引上げや設備を、許可なく変更する
- 地域別最低賃金の発効日に間に合わない賃金改定を行う
交付決定後に納品、支払い、賃金引上げを行い、計画変更が必要になったら先に管轄労働局へ相談します。
厚生労働省の令和8年度案内では、交付申請の受付は9月1日開始、申請期限は地域別最低賃金の発効日の前日または11月30日の早い日、事業完了期限は交付決定年度の1月31日です。設備の納品・支払・賃金引上げを完了期限までに終える必要があるため、最低賃金の発効日と納品予定日を先に確認し、交付決定前の発注・契約・購入を避けてください。厚生労働省「業務改善助成金」
公式資料・申請先
助成金と申請期限を比較するときは、申請期限カレンダーも確認してください。正社員化を検討している場合は、キャリアアップ助成金とは目的と要件が異なります。
※制度内容は2026年8月9日時点。助成可否、上限額、対象経費、地域別最低賃金の発効日、受付状況は申請時点で変わる場合があります。最終確認は管轄の都道府県労働局で行ってください。
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公式情報
- 厚生労働省「キャリアアップ助成金」
- 厚生労働省「人材開発支援助成金」
- 厚生労働省「業務改善助成金」
- 各都道府県労働局・ハローワーク
※本記事は2026年8月25日時点で確認できる厚生労働省の公表資料をもとに整理しています。支給額・要件・申請期限は年度途中で変更されることがあります。申請前に必ず最新の要領と管轄の労働局へご確認ください。


