育休中等業務代替支援コース2026|手当3/4・新規雇用81万円

育児休業中の業務分担と引き継ぎを示すイラスト 仕事・失業

育児休業や育児短時間勤務を利用する従業員の仕事を周囲が引き受け、会社が代替者へ手当を支給した場合、2026年度(令和8年度)の両立支援等助成金を申請できる可能性があります。育児休業中の業務代替手当は、会社が支給した手当総額の4分の3が基本で、助成上限は月10万円・最長24か月です。

この「育休中等業務代替支援コース」を受け取るのは、休業する従業員本人ではなく、業務を代替する体制を整えた事業主です。育児休業給付や育児時短就業給付とは、対象者も申請先も異なります。

制度名両立支援等助成金・育休中等業務代替支援コース
主な対象育休・育児短時間勤務中の業務代替体制を整えた事業主
育休中の手当支給業務体制整備経費2万~20万円+代替手当の4分の3(上限月10万円、最長24か月)
短時間勤務中の手当支給業務体制整備経費3万~20万円+代替手当の4分の3(上限月3万円)
代替要員の新規雇用業務代替期間に応じ9万~81万円(認定事業主は11万~99万円)
申請先本社等の所在地を管轄する都道府県労働局

育休中等業務代替支援コースは3区分

区分会社の取組対象事業主
手当支給等(育児休業)育休取得者の仕事を周囲の従業員が代替し、会社が代替手当を支給全事業主
手当支給等(短時間勤務)短時間勤務で減った業務を周囲の従業員が代替し、会社が代替手当を支給全事業主
新規雇用(育児休業)育休取得者の代替要員を新たに雇用、または派遣で受け入れ常時雇用する労働者が300人以下の特定事業主

2026年度は、手当支給等の2区分について事業主の労働者数要件が撤廃されました。新規雇用も、業種にかかわらず常時雇用する労働者が300人以下の事業主へ対象が広がっています。

さらに、育児休業中の業務代替手当について、助成の算定対象となる期間が最長12か月から最長24か月へ延長されました。新規雇用には「1年以上」の区分が追加され、通常81万円、プラチナくるみん認定事業主は99万円です。

育休中の代替手当は月10万円・最長24か月

育児休業取得者の業務を既存の従業員が代替し、会社が代替者の賃金を増額した場合は、次の2つを合計して申請します。

  1. 業務体制整備経費:6万円。育児休業が1か月未満なら2万円。労務コンサルティングを外部の専門事業者へ委託した場合は20万円
  2. 業務代替手当:代替者へ支給した手当総額の4分の3。助成上限は月10万円、代替期間24か月分まで

プラチナくるみん認定事業主は、業務代替手当の助成率が5分の4になります。外部専門家への委託による業務体制整備経費20万円と、月10万円を24か月受ける場合の上限を単純合算すると260万円です。ただし、実際の支給額は会社が代替者へ支給した手当総額、代替期間、申請時期などで決まります。

育休7日以上と代替手当の事前規定が必要

手当支給等(育児休業)の主な要件は次のとおりです。育休が始まってから慌てて手当制度を作っても、対象にならない可能性があります。

  • 対象労働者が7日以上の育児休業を取得している
  • 休業者の業務を、会社が雇用する1人以上の従業員が代替している
  • 業務の休止・廃止、手順の見直し、マニュアル作成など、業務効率化に取り組んでいる
  • 代替業務に応じて賃金を増額する制度を、労働協約または就業規則へ定めている
  • 制度に基づき、業務代替期間中の代替者の賃金を実際に増額している
  • 育児休業制度と育児短時間勤務制度を就業規則等へ定めている
  • 一般事業主行動計画を策定・届出・公表・周知している

業務の見直しと賃金制度は、業務代替期間の開始日までに実施します。就業規則に「会社が必要と認めた場合に手当を支給する」とだけ書くのではなく、対象となる代替業務、手当額の計算方法、支給期間などを確認できる形にしておく必要があります。

育児休業が1か月以上の場合は、原則として原職等への復帰と、復帰後3か月以上の継続雇用も必要です。育休開始から復帰後までの出勤簿、賃金台帳、業務分担表をつなげて確認できるようにしておきます。

短時間勤務中の代替手当は月3万円が上限

3歳未満の子を養育する従業員が育児短時間勤務制度を1か月以上利用し、そのために増えた仕事を周囲の従業員が代替した場合も対象になります。

  1. 業務体制整備経費:3万円。外部の専門事業者へ労務コンサルティングを委託した場合は20万円
  2. 業務代替手当:代替者へ支給した手当総額の4分の3。助成上限は月3万円

助成対象となるのは、子が3歳になるまでの期間です。申請は利用開始後の初回だけで終わらず、制度利用が続く場合は1年ごとに行います。

  • 短時間勤務前と比べ、1日の所定労働時間を原則として平均1時間以上短縮している
  • 対象者が制度利用開始日と支給申請日に雇用保険被保険者である
  • 短縮された業務の一部または全部を、会社が雇用する従業員が代替している
  • 業務効率化、代替手当制度の規定、実際の賃金増額を行っている
  • 短時間勤務の利用日、始業・終業時刻、代替者の勤務と手当額を確認できる

所定労働時間を短くした事実だけでは足りません。誰がどの業務を引き受け、どの期間についていくら賃金を増額したかを、業務分担表と賃金台帳で説明できることが重要です。

代替要員の新規雇用は9万~81万円

育休中に代替した期間通常の支給額プラチナくるみん認定事業主
7日以上14日未満9万円11万円
14日以上1か月未満13.5万円16.5万円
1か月以上3か月未満27万円33万円
3か月以上6か月未満45万円55万円
6か月以上1年未満67.5万円82.5万円
1年以上81万円99万円

この区分は、育児休業取得者の仕事を代替する人を新たに雇い入れた場合、または派遣労働者を受け入れた場合に利用できます。2026年度は対象が、業種を問わず常時雇用する労働者300人以下の特定事業主へ広がりました。

  • 代替要員は、育休取得者の業務を実際に代替している
  • 代替要員の所定労働時間が、原則として育休取得者の2分の1以上である
  • 代替要員を育休開始日の前日から6か月前以降に新規雇用・派遣受入している
  • 育児休業が7日以上あり、代替期間も7日以上ある
  • 1か月以上の育児休業では、原職等への復帰と復帰後3か月以上の継続雇用を確認できる

代替要員は正社員である必要はなく、育休取得者の復帰後も雇用を続けることができます。ただし、単に人を採用しただけでは対象にならず、育休取得者の業務を代替した期間と勤務実績を確認できる書類が必要です。

有期雇用労働者は10万円加算

対象となる育休取得者または短時間勤務制度利用者が有期雇用労働者で、所定の要件を満たす場合は、1人当たり10万円が加算されます。業務代替期間が1か月未満の場合は、この加算の対象になりません。

育児休業等に関する情報公表加算は2万円です。「両立支援のひろば」で男性・女性の育児休業取得割合と男女別の平均取得日数を公表するなど、所定の要件を満たした場合に1回限り申請できます。いずれも加算だけを単独で受け取ることはできません。

申請期限は育休期間と区分で変わる

区分申請時期の主な考え方
育休中の手当支給・育休1か月未満育児休業終了日の翌日から2か月以内
育休中の手当支給・育休1か月以上育休開始から1か月経過後に初回申請。1年を超える場合は追加申請があり、復帰後3か月継続雇用した後にも申請
短時間勤務中の手当支給利用開始から1か月経過後に初回申請。利用が続く場合は1年ごとに申請
新規雇用・育休1か月未満育児休業終了日の翌日から2か月以内
新規雇用・育休1か月以上復帰後3か月以上継続雇用した期間の翌日から2か月以内

育児休業を分割取得した場合や、短時間勤務の利用を中断・再開した場合は、申請期間の起算日が複雑になります。特に育休が1か月以上続く手当支給区分は、育休中と復帰後に申請が分かれます。最初の申請時期を逃さないよう、育休開始前に管轄労働局へ確認してください。

郵送申請は消印日ではなく、労働局への到着日で期限を判定します。簡易書留など配達記録が残る方法を使い、期限内必着で提出します。

支給人数は1年度10人、初回から5年間

3区分を合計して、1事業主につき1年度10人まで申請できます。申請できる期間は、初回の対象者が支給要件を満たした時点から5年間です。通常の最大支給可能人数は50人となります。

くるみん認定またはトライくるみん認定を受けた事業主には、年度10人の上限にかかわらず、令和12年度まで延べ50人を限度とする特例があります。特例を使うには、最初の対象者が要件を満たす日までに認定を受けている必要があります。

同じ育休で他の両立支援コースも併用できる

厚生労働省の2026年度Q&Aでは、同じ労働者の同じ育児休業について、育休中等業務代替支援コースと出生時両立支援コース、または育児休業等支援コースを併用できるとしています。

同じ子について、育休中の手当支給または新規雇用の対象となった従業員が、その後に育児短時間勤務を利用した場合は、短時間勤務中の手当支給も対象になり得ます。ただし、各コース・各区分の要件と申請期限をそれぞれ満たす必要があります。

申請に必要な主な書類

  • 育休中等業務代替支援コース支給申請書
  • 支給要件確認申立書
  • 育児休業・育児短時間勤務・原職等復帰の規定を確認できる就業規則、労働協約
  • 育児休業申出書、短時間勤務申出書
  • 対象者と代替者の労働条件通知書、雇用契約書
  • 出勤簿、タイムカード、勤務シフト、賃金台帳
  • 業務の見直し・効率化と代替分担を確認できる資料
  • 代替手当制度と実際の増額支給を確認できる資料
  • 新規雇用日、派遣受入期間、代替業務を確認できる書類
  • 一般事業主行動計画策定届、公表・周知を確認できる資料

申請先は、人事労務管理の機能を持つ本社等の所在地を管轄する都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)です。登記上の本店所在地と異なる場合があります。電子申請は雇用関係助成金ポータルから行えます。

申請までの流れ

  1. 育児休業・育児短時間勤務と原職等復帰の規定を確認する
  2. 休業者・制度利用者の業務を棚卸しし、休止・効率化・標準化を検討する
  3. 業務代替者と代替する業務を決める
  4. 代替手当制度を就業規則等へ規定し、対象者へ周知する
  5. 必要に応じて代替要員を新規雇用、または派遣で受け入れる
  6. 育休・短時間勤務期間中の業務代替と賃金増額を記録する
  7. 区分ごとの申請時期に、必要書類を都道府県労働局へ提出する

不支給につながりやすい確認漏れ

  • 業務代替が始まった後に手当制度を規定した
  • 代替者へ手当を支給したが、賃金台帳に項目や金額が明示されていない
  • 業務を引き継いだだけで、業務の休止・効率化・標準化を検討していない
  • 育休期間または短時間勤務の利用期間が最低要件に達していない
  • 新規雇用者が育休取得者の仕事を代替した記録がない
  • 1か月以上の育休後に原職等へ復帰していない、または復帰後3か月の雇用実績を確認できない
  • 初回・年次・復帰後の申請時期を取り違えた
  • 郵送書類が申請期限までに労働局へ到着していない

この助成金は、育休取得者がいることだけで支給される制度ではありません。業務の見直し、代替者の特定、賃金増額、勤務実績を一続きの記録で示せるようにすることが、申請準備の中心です。

公式情報・申請先

あわせて確認したい記事

※本記事は2026年8月24日時点の厚生労働省公式情報をもとに作成しています。支給の可否は、事業主の規模、制度の規定時期、育休・短時間勤務と業務代替の実績、手当の支給状況、過去の受給歴、雇用関係助成金の共通要件などを含めて都道府県労働局が判断します。申請前に最新の支給要領・申請様式をご確認ください。

次に確認すること

制度は、対象・金額・期限・申請先の4点がそろって初めて動けます。次のページで残りを確認してください。

迷ったときの相談先

最終的な支給の可否・金額は、お住まいの市区町村の窓口、年金事務所、ハローワークなどの公的機関が判断します。当サイトは公式情報をもとに整理していますが、申請前に必ず窓口でご確認ください。制度の内容は変更されることがあります。

この記事の調査・編集について

調査・執筆・編集確認:カネさん(給付金プラス運営者)

2021年3月から、給付金・助成金・公的支援制度の情報発信を行っています。記事は、制度の実施機関が公開する案内・募集要項・申請書、所管省庁の法令・通知・公表資料、実施機関の公式FAQを確認して作成しています。AIは調査と構成の補助に使うことがありますが、公開前に運営者が公式資料と照合しています。

本文中の「確認日」は、その時点で公式資料を確認した日付です。最終更新日は記事冒頭に表示しています。制度改正や受付終了が判明した場合は、公開済みの記事も修正・追記します。

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