家族の介護に直面した労働者が、介護休業や短時間勤務などを利用して働き続けられるようにした中小企業は、2026年度(令和8年度)の両立支援等助成金を申請できる可能性があります。介護休業から職場復帰させた場合は1人40万円、休業が連続15日以上なら60万円です。
この助成金を受け取るのは労働者本人ではなく、制度を整備・運用した中小企業事業主です。労働者本人が休業中の収入を補う制度は介護休業給付であり、申請先や要件が異なります。
| 制度名 | 両立支援等助成金・介護離職防止支援コース |
|---|---|
| 対象 | 仕事と介護の両立支援に取り組む中小企業事業主 |
| 主な支給額 | 介護休業40万~60万円、両立支援制度20万~40万円、介護休暇の有給化30万~50万円 |
| 主な利用要件 | 介護休業は連続5日以上、両立支援制度は原則合計20日以上 |
| 申請先 | 本社等の所在地を管轄する都道府県労働局 |
2026年度は4つの支援区分
| 区分 | 主な要件 | 支給額 |
|---|---|---|
| 介護休業 | 連続5日以上の介護休業を取得し、職場復帰後3か月以上継続雇用 | 40万円 連続15日以上は60万円 |
| 介護両立支援制度 | 制度を導入し、対象労働者が原則合計20日以上利用 | 1制度導入:20万円(30万円) 2制度以上導入:25万円(40万円) |
| 業務代替支援 | 介護休業・短時間勤務をする労働者の業務を代替する体制を整備 | 新規雇用:20万円(30万円) 休業の代替者へ手当:5万円(10万円) 短時間勤務の代替者へ手当:3万円 |
| 介護休暇制度有給化支援 | 時間単位・中抜け可能な有給の介護休暇を導入し、10時間以上利用 | 30万円 年10日以上付与は50万円 |
介護両立支援制度の括弧内は、対象制度を合計60日以上利用した場合の額です。業務代替支援の括弧内は、介護休業が連続15日以上の場合の額です。介護休業、介護両立支援制度、業務代替支援は、それぞれ1事業主5人まで。介護休暇制度有給化支援は1事業主1回限りです。
さらに、所定の雇用環境整備を4項目すべて行うと10万円の環境整備加算があります。介護休業または介護両立支援制度の対象者が有期雇用労働者である場合は、所定の条件を満たすと10万円の有期雇用労働者加算を申請できます。いずれも1事業主1回限りで、加算だけを単独申請することはできません。
対象になるのは中小企業事業主
介護離職防止支援コースは、中小企業事業主のみが対象です。中小企業の範囲は、業種ごとの資本金または常時雇用する労働者数で判定します。雇用保険の適用事業主であることに加え、雇用関係助成金に共通する要件も満たす必要があります。
- 介護休業や短時間勤務などを就業規則等に明記している
- 制度内容、申出手続き、賃金の取り扱いを労働者へ周知している
- 対象労働者と面談し、仕事と介護の両立支援プランを作成している
- 対象労働者を支給申請日まで雇用保険被保険者として継続雇用している
- 出勤簿、賃金台帳、制度利用申出書などで実績を確認できる
常時雇用する労働者が10人未満で、就業規則の作成・届出をしていない事業場でも、制度を明文化して労働者へ周知していれば対象になり得ます。ただし「育児・介護休業法に準拠する」とだけ書くのでは足りず、対象制度の内容や取り扱いを具体的に定めます。
介護休業は連続5日以上、復帰後3か月の雇用が必要
介護休業の支援は、対象労働者が連続5日以上の介護休業を取得し、原則として元の職務または原職相当職へ復帰した場合が対象です。連続15日以上の介護休業なら、支給額は40万円から60万円に上がります。
- 仕事と介護の両立支援プランによる支援方針を社内へ周知する
- 対象労働者と面談し、希望や介護の状況をプランへ記録する
- プランに基づき、業務の整理・引き継ぎを実施する
- 介護休業と所定労働時間短縮等の措置を休業開始前に規定する
- 職場復帰後にフォロー面談を実施する
- 復帰後3か月以上継続雇用し、その期間の5割以上就業する
申請期限は、介護休業終了日の翌日から3か月が経過する日の翌日から2か月以内です。郵送は消印ではなく、労働局への到着日が期限内でなければなりません。
介護両立支援制度は5種類
| 対象制度 | 主な利用要件 |
|---|---|
| 時差出勤制度 | 所定労働時間を変えず、始業・終業時刻を1時間以上変更して合計20日以上利用 |
| 介護のための短時間勤務制度 | 1日の所定労働時間を1時間以上短縮し、合計20日以上利用 |
| 介護のための在宅勤務制度 | 勤務日・始業終業時刻を業務日報等で確認でき、合計20日以上利用 |
| 介護のためのフレックスタイム制度 | 介護目的の利用実績を確認でき、合計20日以上利用 |
| 介護サービス費用補助制度 | 利用開始から6か月間に、本人負担額の5割程度以上または10万円以上を会社が補助 |
時間や勤務場所を調整する4制度は、制度利用開始から1年以内に所定労働日ベースで合計20日以上の利用が必要です。合計60日以上なら支給額が増えます。介護サービス費用補助制度は、利用開始から6か月間の補助実績で判定します。
同じ労働者について、同一の介護両立支援制度で申請できるのは1回です。同一の対象家族について異なる制度を利用した場合は、合計2回まで支給対象になり得ます。ただし、利用した制度ごとに改めて面談し、別の仕事と介護の両立支援プランを作成する必要があります。
介護休暇の有給化は2026年度の新設支援
2026年度は、介護休暇制度有給化支援が新設されました。法律上の介護休暇を無給のまま置くだけでは対象になりません。次の条件を満たす有給休暇として、対象労働者が利用を始める前に就業規則等へ定めます。
- 年次有給休暇とは別に取得できる
- 年次有給休暇と同等の賃金を支払う
- 時間単位または時間未満単位で取得できる
- 始業・終業時刻と連続しない中抜け利用ができる
- 1日の所定労働時間を変更せず利用できる
支給申請日までに、雇用保険被保険者が有給の介護休暇を合計10時間以上利用している必要があります。同じ対象家族を介護する配偶者または親族も同じ会社で働いている場合は、両者の利用時間を合算できます。
支給額は、1年度に5日以上10日未満を付与する制度なら30万円、10日以上付与する制度なら50万円です。申請期間は、利用時間が10時間に達した日の翌日から2か月以内です。
業務代替支援は新規雇用と手当支給で分かれる
介護休業取得者の業務を代替する人を新たに雇用・派遣受入した場合は20万円、介護休業が連続15日以上なら30万円です。既存の労働者が業務を代替し、会社が手当を支給した場合は5万円、連続15日以上の休業なら10万円です。
介護短時間勤務を合計15日以上利用した労働者の業務を既存労働者が代替し、手当を支給した場合は3万円です。手当支給等を申請する場合は、手当制度を就業規則等へ規定するだけでなく、業務の見直し・効率化も実施し、誰がどの業務を代替したか確認できる書類を残します。
申請期限は支援区分で異なる
| 区分 | 申請期間の考え方 |
|---|---|
| 介護休業 | 休業終了日の翌日から3か月経過後、その翌日から2か月以内 |
| 時差出勤・短時間勤務・在宅勤務・フレックス | 20日または60日に達した日の翌日を起算日とし、1か月経過後の翌日から2か月以内 |
| 介護サービス費用補助 | 利用開始後6か月経過日の翌日を起算日とし、1か月経過後の翌日から2か月以内 |
| 介護休暇制度有給化支援 | 利用時間が10時間に達した日の翌日から2か月以内 |
業務代替支援は、介護休業・短時間勤務の期間、新規雇用か手当支給かによって申請期間が変わります。該当区分の手引きで起算日を確認してください。申請先は、人事労務管理の機能を持つ本社等の所在地を管轄する都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)です。
申請に必要な主な書類
- 両立支援等助成金支給申請書
- 支給要件確認申立書
- 介護休業・介護両立支援制度を確認できる就業規則、労使協定
- 仕事と介護の両立支援プラン(面談シート兼用)
- 介護休業・制度利用の申出書
- 出勤簿、タイムカード、勤務シフト、賃金台帳
- 対象家族が要介護状態であることを確認できる書類
- 対象労働者の雇用契約書、労働条件通知書
- 業務代替者、新規雇用、手当支給、業務見直しを確認できる書類
介護保険被保険者証を提出する場合は、保険者番号や被保険者等記号・番号をマスキングします。要介護認定が申請時までに出ていない場合は、自治体へ提出した要介護認定の申請書類などで確認できる場合があります。
申請までの流れ
- 介護休業・介護両立支援制度を就業規則等へ明記し、労働者へ周知する
- 介護に直面した労働者と面談し、必要な休業・勤務制度を確認する
- 仕事と介護の両立支援プランを作成する
- 業務の整理、引き継ぎ、代替体制を整える
- 対象労働者が介護休業または両立支援制度を利用する
- 復帰・継続雇用・利用日数など、申請区分ごとの要件を確認する
- 区分ごとの申請期間内に都道府県労働局へ提出する
不支給につながりやすい確認漏れ
- 対象者が制度を使い始めた後に就業規則を整備した
- 面談・プラン作成・業務引き継ぎを後からまとめて作成した
- 介護休業が連続5日に達していない
- 両立支援制度の利用日数や勤務時間を記録していない
- 介護休暇を有給化したが、時間単位・中抜け可能などの条件を満たしていない
- 復帰後3か月の就業実績や原職等への復帰を確認できない
- 申請書の到着が期限を過ぎた
制度名が同じでも、支給額・必要日数・起算日は申請区分によって違います。「介護だから同じ期限」と扱わず、最初にどの区分を申請するか決めてから記録をそろえてください。
公式情報・申請先
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※本記事は2026年8月24日時点の厚生労働省公式情報をもとに作成しています。支給の可否は、制度の規定、利用実績、対象家族の状態、過去の受給歴、雇用関係助成金の共通要件などを含めて都道府県労働局が判断します。申請前に最新の支給要領・申請様式をご確認ください。


