厚生年金に加入して働きながら老齢厚生年金を受けている人は、賃金と年金額に応じて、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止になる場合があります。
退職して厚生年金の資格を失うと、原則として退職日の翌月分から年金額が見直されます。これを「退職改定」といいます。
ただし、退職日の翌日にすぐ年金が振り込まれるわけではありません。年金は後払いで、偶数月に前月分と前々月分が支払われます。勤務先から日本年金機構への資格喪失届の提出時期や処理状況によって、実際の振込への反映が後になることもあります。
退職改定で変わる2つのこと
退職改定では、主に次の2点が見直されます。
- 在職老齢年金による支給停止がなくなり、老齢厚生年金が全額支給される
- これまで年金額に反映されていなかった厚生年金加入期間を追加し、年金額を再計算する
2026年度は、在職老齢年金の基準額が月65万円です。老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計が65万円を超えると、超えた額の2分の1が老齢厚生年金から支給停止されます。
退職後は賃金がなくなるため、この在職による停止が外れます。老齢基礎年金は、もともと在職老齢年金の支給停止対象ではありません。
いつから見直される?
70歳未満で厚生年金に加入しながら老齢厚生年金を受けていた人が退職し、1カ月を経過したときは、退職日の翌月分から年金額が見直されます。
たとえば、8月31日に退職し、9月1日に厚生年金の資格を喪失した場合、原則として9月分から見直しの対象です。9月分と10月分は、通常なら12月の年金支払いに含まれます。
一方、8月15日に退職した場合も、支給停止額の変更時期は原則として退職日の翌月である9月分です。
実際の処理状況は「ねんきんネット」や年金事務所で確認できます。勤務先の資格喪失届が未提出、または処理中の場合は、反映まで時間がかかることがあります。
1カ月以内に再就職した場合
退職しても、1カ月以内に別の会社へ再就職し、再び厚生年金に加入した場合は、原則として退職改定による年金額の再計算は行われません。
「いったん退職したから、支給停止が必ず解除される」とは限らない点に注意してください。転職先での標準報酬月額や賞与を含めて、在職老齢年金が再計算されます。
65歳以上で働き続ける場合は在職定時改定
65歳以上70歳未満で厚生年金に加入しながら老齢厚生年金を受けている人は、退職しなくても、毎年9月1日を基準に年金額が見直されます。これを「在職定時改定」といいます。
前年9月から当年8月までの厚生年金加入期間が追加され、10月分から年金額へ反映されます。
| 状況 | 見直しの仕組み | 主な反映時期 |
|---|---|---|
| 働き続ける65歳以上70歳未満 | 在職定時改定 | 毎年10月分から |
| 70歳未満で退職し1カ月経過 | 退職改定 | 退職日の翌月分から |
| 70歳に到達 | 70歳到達時の改定 | 70歳到達月の翌月分から |
加給年金・振替加算の手続きが必要な場合
退職改定によって厚生年金の加入期間が20年以上となった場合、条件を満たす配偶者や子がいれば、加給年金額が加算されることがあります。また、配偶者側の振替加算に影響する場合もあります。
この場合は別途手続きが必要になることがあります。自動で加算されると思い込まず、年金事務所へ確認してください。
年金が増えていないときの確認順
- 退職日と厚生年金の資格喪失日
- 退職後1カ月以内に再就職していないか
- 勤務先が資格喪失届を提出したか
- 年金振込通知書・年金額改定通知書
- ねんきんネットの年金記録
年金額が変わったかどうかは、銀行口座の入金額だけでなく、通知書の控除前金額も確認します。介護保険料や住民税などの特別徴収額が変わると、手取り額だけでは年金本体の増減が分かりにくいためです。
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公的資料
- 日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」



