退職前後のお金の手続き|住民税・退職金の税金・有給消化と離職日

退職後の住民税はいつまで払う?前年所得・一括徴収・納付書の見方 仕事・失業

退職の前後で発生するお金の手続きのうち、見落とされやすい3つをまとめました。住民税、退職金の税金、有給消化中の離職日です。

まず確認|自分に関係するのはどれか

退職の前後で見落とされやすい3つです。

Q1 退職金を受け取りますか(受け取りましたか)?

受け取る「退職所得の受給に関する申告書」を提出したか確認してください。出さないと一律の税率で源泉徴収され、確定申告が必要になります。勤続年数に応じた退職所得控除があるため、多くの場合は税負担が軽くなります。

Q2 有給休暇を消化してから退職しますか?

消化する離職日は「最終出勤日」ではありません。有給消化を含めた雇用契約の終了日です。ここを取り違えると、雇用保険の被保険者期間や健康保険の資格喪失日の判断を誤ります。

Q3 退職した年の翌年の住民税に備えていますか?

まだ前年の所得に対して課税されるため、収入がない年に納付書が届きます。退職時点では請求が来ないので忘れられがちです。退職時に資金を確保しておいてください。退職時期によっては最後の給与から一括徴収される場合もあります。
備えている納付書が届いたら期限内に納めてください。放置すると延滞金がかかります。
この3つは退職してからでは間に合わないものが含まれます。退職を決めた段階で確認してください。

3つの確認ポイント

項目いつ発生するか見落とすとどうなるか
退職後の住民税退職の翌年も納付が続く。前年の所得に対して課税されるため収入がない年にまとまった納付書が届く。放置すると延滞金がかかる
退職金の税金退職時。「退職所得の受給に関する申告書」の提出有無で源泉徴収が変わる申告書を出さないと一律の税率で源泉徴収され、確定申告が必要になる
有給消化中の離職日退職前。最終出勤日と離職日がずれる雇用保険の被保険者期間や健康保険の資格喪失日の判断を誤る

特に住民税は、退職時点では請求が来ないため忘れられがちです。前年の所得に対して課税される仕組みなので、退職して収入がなくなった翌年に納付書が届きます。退職時に資金を確保しておくことをおすすめします。

  • 退職時期によっては、住民税を最後の給与から一括徴収される場合があります
  • 退職金は勤続年数に応じた退職所得控除があり、多くの場合は税負担が軽くなります
  • 離職日は「最終出勤日」ではなく、有給消化を含めた雇用契約の終了日です

退職後の住民税|前年所得・一括徴収・納付書

退職後に住民税の納付書が届くのは、退職した年の所得に対する住民税が、翌年度に課税されるためです。

住民税は、原則として前年1月から12月までの所得をもとに計算され、翌年6月から翌々年5月まで給与から特別徴収されます。退職して今の収入がなくても、前年の給与所得に対する税額は残ります。

「退職時に残りを一括で払ったから、翌年の納付書は間違い」とは限りません。退職時に一括徴収するのは、すでに決まっている年度の残額です。翌年度の住民税は、前年の所得をもとに別に決まります。

退職時に残る住民税

給与から引かれている住民税は、通常、6月から翌年5月までの12回に分けて納めます。

退職すると、まだ給与から引いていない残額を次の方法で納めます。

退職時期一般的な扱い
6月から12月残額を普通徴収に切り替えるか、本人の申出で一括徴収することがある
翌年1月から4月5月末までに支払われる給与・退職手当等が残額を上回る場合、原則として一括徴収
5月その年度の最終月に近いため、未徴収額や給与支給日を勤務先・自治体が確認

実際の扱いは、退職日、給与・退職金の支払予定、自治体の手続きによって変わります。最後の給与からいくら差し引かれるかは、勤務先の給与担当者へ確認してください。

翌年度の住民税は別に届く

たとえば、2026年10月に退職した場合を考えます。

  1. 2026年10月時点では、2025年の所得に対する住民税を納めている
  2. 2026年10月の退職時に、2026年5月までの年度の残額を精算する
  3. 2026年1月から12月の所得をもとに、2027年度の住民税が決まる
  4. 2027年6月ごろから、納税通知書による普通徴収などで納める

2026年の所得が給与だけで、退職後に収入がなくても、2026年1月から退職日までの給与所得があれば、2027年度の住民税が発生する可能性があります。

いくら払うかは退職前の給与だけで決まらない

住民税額は、前年所得だけでなく、給与所得控除、扶養、医療費控除、配偶者控除、寄附金控除などの条件にも影響されます。自治体ごとの税率や均等割、森林環境税も確認が必要です。

退職前の給与明細だけを使って、翌年度の住民税を正確に見積もることはできません。源泉徴収票、控除の状況、納税通知書をそろえて、住所地の市区町村に確認します。

住民税と退職金の税金は分けて考える

退職金にかかる税金は、毎月の給与に対する住民税とは別に、退職所得として計算されるのが一般的です。退職金を受け取るときに所得税と住民税が差し引かれる場合があります。

一方、退職後に届く住民税の納税通知書は、主に給与や年金など、前年の通常の所得に対するものです。納付書の年度と所得の対象期間を見て、退職金の税金と二重に考えないようにします。

退職後に確認する書類

  • 退職前の給与明細
  • 住民税の特別徴収税額通知書
  • 最終給与の控除明細
  • 源泉徴収票
  • 市区町村から届いた納税通知書・納付書
  • 退職金の源泉徴収票・特別徴収票

納付書を放置すると、延滞金や差し押さえの対象になることがあります。支払いが難しい場合は、納期限前に市区町村の税担当窓口へ相談してください。分割や猶予の可否は自治体の審査になります。

関連記事

公的資料

  • 横浜市「退職後の住民税は…」
退職後の住民税は…
  • 東京都主税局「個人住民税」
個人住民税|暮らしと税金|東京都主税局
東京都主税局の個人住民税(暮らしと税金)のページです。
  • 東京都主税局「個人住民税と特別徴収について」
個人住民税と特別徴収について|個人住民税の特別徴収推進ステーション
東京都主税局における個人住民税の特別徴収推進ステーションの個人住民税と特別徴収についてのページです。

普通徴収の納期限は自治体ごとに異なりますが、東京都主税局の案内では年4回(例として第1期6月、第2期8月、第3期10月、第4期1月)に分けて納めます。納税通知書に記載された自治体の期別・納期限を優先し、退職時に一括徴収した年度の残額と、翌年度に届く納付書を分けて管理してください。東京都主税局の案内など、居住自治体の通知を確認します。

退職金の税金|退職所得申告書と控除額

退職金は、毎月の給与と同じ方法で課税されるわけではありません。退職によって一時に受け取る退職手当等は、原則として退職所得として他の所得と分けて税額を計算します。

退職金を受け取るときに最初に確認したいのが、「退職所得の受給に関する申告書」です。正式な書類名は長いですが、勤務先から案内されたら、退職金の支払を受ける時までに、退職金の支払者へ提出します。

申告書を提出しないとどうなるか

居住者が退職所得の受給に関する申告書を提出しない場合、支払者は原則として退職手当等の金額に20.42%の税率を掛けて所得税等を源泉徴収します。

これは、最終的な税額が20.42%になるという意味ではありません。退職所得控除を使った計算よりも多く源泉徴収されている場合は、確定申告によって還付を受けられる可能性があります。

退職金を受け取る前に申告書を出せるなら、勤務先の案内に従って提出する方が、受取時の過大な源泉徴収を避けやすくなります。

退職所得控除の計算

一般的な退職所得控除額は、勤続年数で次のように計算します。

勤続年数退職所得控除額
20年以下40万円×勤続年数。ただし80万円未満の場合は80万円
20年超800万円+70万円×(勤続年数-20年)

勤続年数に1年未満の端数がある場合は、1年として数えます。障害者になったことが直接の原因で退職した場合は、控除額に100万円を加算できることがあります。

一般的な計算では、退職所得の金額は次の式で求めます。

退職所得の金額 =(退職手当等の収入金額-退職所得控除額)×1/2

計算例

勤続30年で退職金が1,600万円の場合、退職所得控除額は次のとおりです。

  • 800万円+70万円×(30年-20年)=1,500万円
  • 退職金との差額:1,600万円-1,500万円=100万円
  • 一般的な退職所得の金額:100万円×1/2=50万円

実際の所得税・住民税は、所得税率、住民税、他の退職手当等、特例の有無で変わります。この計算例だけで手取り額を断定しないでください。

特別な計算になる場合

次の場合は、一般的な計算式だけでは判断できません。

  • 勤続年数5年以下の役員等の退職手当
  • 勤続年数5年以下の役員等以外で、控除後の残額が300万円を超える退職金
  • 同じ年に複数の退職手当等を受け取る場合
  • 確定拠出年金や企業年金の一時金を受け取る場合
  • 過去に別の退職手当等を受け取っている場合

複数の退職金がある人は、前年以前の退職手当等の源泉徴収票を求められることがあります。退職所得申告書の記載方法が分からない場合は、支払者、税務署、税理士へ確認します。

同じ年に2か所以上から退職金等を受け取る人:後に支払う会社等へ出す「退職所得の受給に関する申告書」には、先に受け取った退職手当等の支払者名・金額・源泉徴収税額・支払日・勤続年数などを記入し、その「退職所得の源泉徴収票」を添付します。複数の支払者へ同時に申告書を出すときは、提出順位の記載も必要です。国税庁の案内を確認し、支払者ごとの提出順を先に整理してください。

退職後に源泉徴収票を保管する

退職所得の源泉徴収票等は、退職後1か月以内に受給者へ交付されます。退職金を受け取った年に医療費控除や寄附金控除などで確定申告をする場合は、退職所得を含めて申告が必要になることがあります。

退職所得は、年金生活者支援給付金、健康保険の扶養認定、住民税非課税判定などで扱いが同じとは限りません。退職金を受け取ったから給付の対象外、または対象になると決めつけず、各制度の判定方法を確認します。

退職金を受け取る前の確認項目

  1. 退職金の支払予定日
  2. 勤続年数の数え方
  3. 退職所得申告書の提出先と提出期限
  4. 同じ年に別の退職一時金があるか
  5. 退職所得の源泉徴収票が交付される時期

関連記事

公的資料

退職所得の受給に関する申告書は、退職手当等を受け取る時までに支払者へ提出します。提出しない場合は退職手当等に20.42%の税率で源泉徴収が行われ、退職所得控除を反映した本来の税額との差額を確定申告で精算することがあります。複数の退職金、役員退職金、同一年中の他の所得がある場合は計算が変わるため、支給前に勤務先と税務署へ確認してください。国税庁「退職所得の受給に関する申告」

  • 国税庁「退職所得の受給に関する申告(退職所得申告)」
A2-29 退職所得の受給に関する申告(退職所得申告)|国税庁
  • 国税庁「No.2725 退職所得となるもの」
No.2725 退職所得となるもの|国税庁
  • 国税庁「No.2732 退職手当等に対する源泉徴収」
No.2732 退職手当等に対する源泉徴収|国税庁
  • 国税庁「退職金と税」
退職金と税|国税庁

有給消化中の退職|離職日はいつになるか

退職前に残っている有給休暇を使う場合、「最後に会社へ行った日」と「退職日」は同じとは限りません。

たとえば、8月1日を最後の出勤日とし、8月2日から8月30日まで有給休暇を使い、8月31日付で退職する場合、雇用契約が終わる日は8月31日です。雇用保険の離職日も、原則として雇用契約が終了した8月31日になります。

8月31日の翌日である9月1日が、雇用保険や健康保険の資格を失う日です。

最終出勤日と離職日を分ける

確認する日付は3つあります。

日付意味
最終出勤日実際に勤務した最後の日。有給休暇の開始日より前になることがある
退職日・離職日雇用契約が終了する日。離職票には離職年月日が記載される
資格喪失日離職日の翌日。雇用保険や健康保険の資格を失う日

雇用保険の基本手当を申請するときは、最終出勤日ではなく、離職票に記載された離職日を確認します。事業主は、離職の事実、離職年月日、離職理由などを確認できる資料をもとに、資格喪失届や離職証明書を提出します。

65歳の境目にも影響する

65歳の誕生日の前後で退職する場合は、実際に最後に出勤した日ではなく、離職日が重要です。

雇用保険では、誕生日の前日に満年齢へ達するため、離職日が65歳未満か65歳以上かで、基本手当と高年齢求職者給付金の扱いが変わることがあります。有給消化の予定を入れるときは、最後の出勤日だけで判断しないでください。

健康保険・厚生年金の手続きも変わる

健康保険と厚生年金の資格喪失日は、原則として退職日の翌日です。月末退職か、月末の前日以前の退職かによって、資格喪失月や保険料の扱いが変わることがあります。

退職日を会社と合意した後に有給消化の予定だけを変更する場合と、退職日そのものを変更する場合では、手続きの影響が違います。健康保険、厚生年金、雇用保険、退職金の支給条件を確認してから変更してください。

退職後の健康保険には、任意継続、国民健康保険、家族の被扶養者という選択肢があります。任意継続は退職日の翌日から20日以内という短い期限があるため、資格喪失証明書が必要かどうかも早めに確認します。

有給休暇を使うときの注意

年次有給休暇は、退職日を過ぎてから請求できません。退職前に残日数を使い切ることはできますが、会社との引き継ぎや退職日の合意を含め、早めに調整します。

退職間際の年休については、会社が時季変更権を行使できない場面があります。一方、会社から退職日を遅らせる提案を受けた場合に応じるかどうかは、労働者が判断します。会社の就業規則と退職届の記載を確認し、口頭だけで日付を変えないことが大切です。

退職前にそろえる書類

  • 退職届または退職辞令
  • 有給休暇の取得予定表
  • 雇用契約書・就業規則
  • 離職票、離職証明書
  • 健康保険資格喪失証明書
  • 退職日と最終出勤日が分かる勤務先の説明

離職票の離職年月日が合意した退職日と違う場合は、署名する前に勤務先へ確認します。解決しない場合は、住所地を管轄するハローワークへ相談してください。

関連記事

公的資料

  • 厚生労働省「年次有給休暇」
年次有給休暇|しっかり学ぼう!働くときの基礎知識|確かめよう労働条件|厚生労働省
年次有給休暇制度の基本から実務まで完全解説。付与要件・日数、時季指定権、計画年休、使用者の5日付与義務まで、労基法39条の全体像を分かりやすく説明します。
  • 厚生労働省「雇用保険被保険者離職証明書についての注意」

https://www.mhlw.go.jp/content/000763185.pdf

  • 厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」
Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~

有給消化中も雇用保険の資格は退職日まで続きます。離職票の「賃金支払基礎日数」には、有給休暇を取得した日も含まれ、半日でも1日として数えます。受給資格の被保険者期間や離職票の内容を確認するときは、出勤簿だけでなく年休の取得日数も照合してください。ハローワークの離職証明書記載例

公式情報・相談先

  • 国税庁「退職金を受け取ったとき(退職所得)」
  • 総務省「個人住民税」
  • お住まいの市区町村の住民税担当課
  • 勤務先の給与担当・ハローワーク

※本記事は2026年8月25日時点で確認できる公表資料をもとに整理しています。税額や納付方法は個別の状況で変わります。手続き前に市区町村の窓口や税務署へご確認ください。

次に確認すること

制度は、対象・金額・期限・申請先の4点がそろって初めて動けます。次のページで残りを確認してください。

迷ったときの相談先

最終的な支給の可否・金額は、お住まいの市区町村の窓口、年金事務所、ハローワークなどの公的機関が判断します。当サイトは公式情報をもとに整理していますが、申請前に必ず窓口でご確認ください。制度の内容は変更されることがあります。

この記事の調査・編集について

調査・執筆・編集確認:カネさん(給付金プラス運営者)

2021年3月から、給付金・助成金・公的支援制度の情報発信を行っています。記事は、制度の実施機関が公開する案内・募集要項・申請書、所管省庁の法令・通知・公表資料、実施機関の公式FAQを確認して作成しています。AIは調査と構成の補助に使うことがありますが、公開前に運営者が公式資料と照合しています。

本文中の「確認日」は、その時点で公式資料を確認した日付です。最終更新日は記事冒頭に表示しています。制度改正や受付終了が判明した場合は、公開済みの記事も修正・追記します。

記事の誤り、古くなった情報、リンク切れを見つけた場合は、お問い合わせフォームからご連絡ください。内容を確認のうえ修正します。なお、最終的な支給の可否・金額は、市区町村の窓口、年金事務所、ハローワークなどの公的機関が判断します。

仕事・失業
カネさんをフォローする
タイトルとURLをコピーしました