この記事の情報基準日:2026年9月24日
2026年10月8日:公式資料を再確認し、対象条件と手続きの補足を加えました。
2026年10月1日から、自営業やフリーランスの人が子育てをしている間、国民年金保険料を払わなくてよい「育児免除」が始まりました。
会社員には以前から、育休中の厚生年金保険料が免除される仕組みがありました。自営業・フリーランス・農業者など国民年金だけに加入している人には、従来から「産前産後免除」がありました。単胎では4か月、多胎では6か月の免除です。今回の育児免除で、その先の子どもが1歳になるまでの期間もカバーされます。
ポイントは3つです。
- 所得制限はなく、父も母も対象(夫婦とも自営業なら2人とも免除)
- 免除された月も「保険料を納めた月」として、将来の年金額は減らない
- 施行前に生まれた子も対象。2026年10月分以降に免除の対象期間があるか確認する
育児免除を受けると、月17,920円(2026年度)の国民年金保険料が免除され、その期間は納付したものとして年金額に反映されます。対象になりそうな人は、届出が必要かを確認してください。
育児免除は第1号被保険者が対象で、所得制限はない
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式な位置づけ | 国民年金第1号被保険者の育児期間に係る保険料免除 |
| 開始日 | 2026年(令和8年)10月1日 |
| 根拠法 | 子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律(令和6年法律第47号、2024年6月12日公布) |
| 対象者 | 1歳未満の子を養育する国民年金第1号被保険者(実父母・養父母) |
| 所得制限 | なし |
| 免除期間 | 父・養父母:最長12か月/出産した母:産前産後免除に続く9か月 |
| 年金額への反映 | 保険料納付済期間として扱う(満額反映) |
| 手続き | 市区町村の国民年金窓口に届出(郵送可)、またはマイナポータルで電子申請 |
| 財源 | 子ども・子育て支援金 |
出典:日本年金機構「国民年金保険料の育児免除制度」、厚生労働省「育児期間の国民年金保険料免除制度」
対象になる人・ならない人
対象になる人
国民年金の第1号被保険者で、1歳未満の子を育てている人が対象です。第1号被保険者は、日本に住む20歳以上60歳未満の人で、厚生年金の加入者(第2号)や、その扶養配偶者(第3号)に当てはまらない人です。たとえば次のような人が当てはまります。
- 自営業者、個人事業主、フリーランス
- 農業・漁業に従事している人
- 学生
- 無職の人、失業中の人
実子・養子を育てる人の基本条件は、次のとおりです。
- 子と法律上の親子関係がある(実子または養子)
- 子と住民票上の住所が同じ
- 子が1歳未満である
法律上の実子・養子に加え、特別養子縁組の監護期間にある子や、養子縁組里親に委託されている子なども含まれます。該当する人は、必要書類を窓口へ確認してください。
養育などの条件を満たせば、所得に関係なく免除を受けられます。
夫婦とも第1号なら2人とも対象
条件を満たす親は、それぞれ育児免除を受けられます。夫婦ともに自営業で第1号被保険者なら、父と母の両方が対象です。月17,920円×2人分の保険料負担がなくなります。
対象外になる人
| 区分 | 主な人 | 育児免除 | 代わりの制度 |
|---|---|---|---|
| 第2号被保険者 | 会社員、公務員 | 対象外 | 厚生年金の育児休業等保険料免除 |
| 第3号被保険者 | 会社員・公務員に扶養されている配偶者 | 対象外 | もともと保険料の自己負担なし |
| 任意加入被保険者 | 60歳以上で任意加入している人など | 対象外 | なし |
※補足:夫が会社員(第2号)、妻がフリーランス(第1号)という家庭では、妻は育児免除、夫は会社の育休保険料免除(育休を取った場合)と、それぞれ別の制度を使うことになります。
免除される期間
父・養父母と、出産した母で免除の開始時期が異なる
免除の開始時期と期間は、親の立場に応じて次の表で確認してください。
| 立場 | 免除の開始 | 免除の終了 | 最長 |
|---|---|---|---|
| 父親、養父母、産前産後免除を受けない母 | 子を養育することになった月 | 子の1歳の誕生日の前月 | 12か月 |
| 出産した母(産前産後免除あり) | 産前産後免除が終わった翌月 | 産前産後免除が終わった翌月から数えて9か月目 | 9か月 |
出産した母は、産前産後免除が終わった翌月から9か月を数え、そのうち制度開始後の対象月を確認してください。実際の免除期間は、届出後の通知で確かめます。
出産した母親は、先に「産前産後免除」(出産予定月の前月から4か月、双子など多胎の場合は3か月前から6か月)を受け、そのあとを育児免除が引き継ぐ形になります。単胎の場合、合計で13か月分の保険料が免除されます。
具体例:2027年5月に子が生まれる場合
日本年金機構の例示では、子の出生日が2027年(令和9年)5月1日の場合、父親の育児免除期間は2027年5月から2028年4月の12か月です。
同じ家庭で母親も第1号被保険者なら、次のようになります。
| 期間 | 母親 | 父親 |
|---|---|---|
| 2027年4月〜7月 | 産前産後免除(4か月) | 育児免除(5月から) |
| 2027年8月〜2028年4月 | 育児免除(9か月) | 育児免除 |
| 合計 | 13か月 | 12か月 |
※補足:母の欄は、産前産後免除(出産予定月の前月から4か月)のルールをあてはめて編集部で作成したものです。
制度開始前に生まれた子も、2026年10月分から対象になる場合がある
制度開始前に生まれた子も、対象期間のうち2026年10月分以降が免除されます。父親や養父母などは、子の1歳の誕生日の前月分までです。産前産後免除を受けた実母は、それに続く9か月のうち、10月分以降の期間を確認してください。
父親(または産前産後免除を受けていない親)の場合の目安は次のとおりです。
| 子の生まれ月 | 育児免除される月 | 月数 |
|---|---|---|
| 2025年10月以前 | 2026年10月分の免除対象期間なし | 0 |
| 2025年11月 | 2026年10月 | 1か月 |
| 2025年12月 | 2026年10月〜11月 | 2か月 |
| 2026年1月 | 2026年10月〜12月 | 3か月 |
| 2026年2月 | 2026年10月〜2027年1月 | 4か月 |
| 2026年3月 | 2026年10月〜2027年2月 | 5か月 |
| 2026年4月 | 2026年10月〜2027年3月 | 6か月 |
| 2026年5月 | 2026年10月〜2027年4月 | 7か月 |
| 2026年6月 | 2026年10月〜2027年5月 | 8か月 |
| 2026年7月 | 2026年10月〜2027年6月 | 9か月 |
| 2026年8月 | 2026年10月〜2027年7月 | 10か月 |
| 2026年9月 | 2026年10月〜2027年8月 | 11か月 |
| 2026年10月以降 | 生まれた月から12か月 | 12か月 |
出産した母親の場合は、産前産後免除の期間(出産予定月の前月から4か月)が優先されます。たとえば2026年6月に出産した母親は、産前産後免除が5月〜8月、育児免除は2026年10月〜2027年5月の8か月です(9月分は制度開始前のため対象外)。
※補足:表は、日本年金機構の「令和8年10月1日以降、子が1歳になる誕生日の前月までの期間が育児免除に該当」という説明を基に編集部が作成した目安です。実際の免除期間は、届出後の通知で確認してください。
免除を受けても年金は減らない
「納めた月」として計算される
育児免除を受けた月は、保険料を納めた月として扱われます。この扱いを「保険料納付済期間」と呼びます。
通常の全額免除では、その月の年金額への反映は、保険料を納めた場合の2分の1です。育児免除を受けた月は、納めた場合と同じ額が反映されます。
2026年度の額で、免除される保険料と年金への反映を試算
2026年度の老齢基礎年金の満額は年847,300円で、これは40年(480か月)すべて納めた場合の金額です。1か月分の納付で、将来の年金は年額約1,765円増える計算になります。
| 免除月数 | 払わずに済む保険料(2026年度額) | 将来の年金への反映(年額) | 通常の全額免除だった場合 |
|---|---|---|---|
| 9か月 | 161,280円 | 約15,890円 | 約7,940円 |
| 12か月 | 215,040円 | 約21,180円 | 約10,590円 |
| 13か月 | 232,960円 | 約22,950円 | 約11,470円 |
※補足:2026年度の満額(847,300円)と保険料月額(17,920円)をもとに編集部で試算。年金額は毎年度改定されるため、実際の金額とは異なります。
未納の月は年金額に反映されず、障害基礎年金や遺族基礎年金の受給要件にも影響するおそれがあります。育児免除の対象になる人は、届出をして免除期間を確認してください。
付加保険料・国民年金基金も続けられる
育児免除中も、付加保険料(月400円)を納められます。付加年金は「200円×納付月数」が年金の年額に上乗せされる仕組みです。育児免除中に納めた分も反映されます。国民年金基金への加入も続けられます。
付加年金や国民年金基金のしくみは「国民年金を増やす3つの方法」で解説しています。
産前産後免除・通常の免除との違い
| 項目 | 育児免除(新設) | 産前産後免除 | 全額免除(通常) | 厚生年金の育休免除 |
|---|---|---|---|---|
| 対象 | 第1号の父母 | 第1号の出産した母 | 所得が基準以下の第1号 | 第2号(会社員等) |
| 期間 | 子が1歳まで(最長12か月) | 出産予定月の前月から4か月 | 原則1年ごとに申請 | 育休期間中 |
| 所得制限 | なし | なし | あり | なし |
| 年金額への反映 | 全額(納付扱い) | 全額(納付扱い) | 2分の1 | 全額 |
| 追納 | 不要 | 不要 | 10年以内なら可能 | 不要 |
すでに通常の免除や納付猶予、学生納付特例の承認を受けている月でも、育児免除の条件を満たせば、届出によって育児免除の期間として扱ってもらえます。通常の全額免除は年金額に2分の1が反映されます。納付猶予や学生納付特例は、追納しなければ年金額に反映されません。育児免除は納付した期間として反映されるので、対象の人は届出してください。
窓口・郵送・マイナポータルで育児免除を届け出る
届出先と方法
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| 市区町村の窓口 | 住民登録をしている市区町村の国民年金担当窓口に届書を提出 |
| 郵送 | 上記の窓口あてに郵送で提出できる |
| マイナポータル | 2026年10月1日以降、スマートフォン等から電子申請できる |
育児免除の届出は、2026年10月1日以降に行ってください。9月中は受付前です。
必要なもの
- マイナンバーカード、または基礎年金番号がわかるもの(年金手帳・基礎年金番号通知書など)
- 状況により、戸籍謄本や住民票(窓口で求められた場合)
日本年金機構は、戸籍謄本や住民票は原則として任意とし、審査を早めたい場合に添付するよう案内しています。
親や子が外国籍の場合や、特別養子縁組の監護期間にある子、里親に委託された子などでは、親子関係を確認する書類の添付が必要です。自分のケースに必要な書類を窓口へ確認してください。
届出の期限
育児免除の届出には期限(時効)がなく、子が1歳を過ぎた後でも、対象期間にさかのぼって届け出られます。保険料を納めた後は還付などの手続きが増え、時間がかかる場合があります。対象になったら、早めに届け出てください。
すでに保険料を払っている場合
免除される月の保険料を、口座振替や前納ですでに納めている場合は、他の月へ充てる「充当」か、返金する「還付」の扱いになります。前納割引を受けている人は、どちらの扱いになるかを窓口へ確認してください。
手続きの流れ
- 自分が第1号被保険者かどうかを確認する(ねんきんネットや国民年金保険料の納付書で確認できる)
- 2026年10月1日以降に、マイナポータルか市区町村の窓口で届出をする
- 日本年金機構から届く通知で、免除期間を確認する
- 口座振替・前納をしている場合は、充当・還付の内容を確認する
一部の実母は自動で切り替わるため、届いた通知を確認する
次の条件を満たす実母は、育児免除の届出が不要とされています。
- 産前産後免除を受けている実母で、
- 産前産後免除の期間が2026年9月以降に終わり、
- その後も子を養育していることを日本年金機構が確認できる場合
日本年金機構がマイナンバーによる情報連携で親子関係や住所を確認し、自動で育児免除に切り替える仕組みです。たとえば2026年7月以降に出産し、産前産後免除の届出をしている母親が当てはまります。
一方、次の人は自分で届出が必要です。
- 父親(夫婦とも第1号の場合の夫など)
- 養父母
- 産前産後免除を受けていない母親
- 産前産後免除が2026年8月以前に終わった母親
※補足:自動で切り替わったかは、ねんきんネットや日本年金機構からの通知で確認してください。扱いが分からない場合は、年金事務所へ問い合わせます。
免除が終わるとき・届出が必要なとき
通知された免除期間が満了すると、通常の保険料の納付に戻ります。期間満了だけなら、終了の届出は不要です。父親や養父母などは子の1歳の誕生日の前月まで、産前産後免除を受けた実母は、その免除が終わった翌月から9か月を数えて、終了月を確認してください。
一方、1歳になる前に次のような変化があった場合は、育児免除の条件を満たさなくなるため届出が必要です。
- 子と住所が別になった
- 親子関係がなくなった(離縁など)
- 会社に就職して厚生年金に加入した(第2号被保険者になった)
※補足:第2号被保険者になると、国民年金保険料はそもそも個別に納付しなくなります。就職時の手続きは会社を通じて行われます。
よくある質問
Q. 育休を取っていなくても対象ですか?
育児休業を取ることは条件ではありません。仕事を続ける自営業者やフリーランスも、1歳未満の子と同居して養育するなどの条件を満たせば対象です。
Q. 所得が高くても免除されますか?
免除されます。育児免除には所得制限がありません。
Q. 夫が会社員、妻がフリーランスです。対象はどちらですか?
妻が第1号被保険者なら、妻が育児免除の対象です。会社員の夫は第2号被保険者なので育児免除の対象外ですが、育児休業を取れば、会社を通じて厚生年金保険料の免除を受けられます。
Q. 2026年4月生まれの子がいます。いまから使えますか?
使えます。2026年10月1日の時点で1歳未満なので、2026年10月分から2027年3月分までの最大6か月が対象です(父親の場合)。10月1日以降に届出をしてください。
Q. 9月までの分もさかのぼって免除されますか?
されません。育児免除が適用されるのは、制度が始まった2026年10月分以降です。9月分までの保険料は、通常どおりの扱いになります。
Q. 学生で子育てをしています。学生納付特例と育児免除、どちらがいいですか?
年金額への反映では、条件を満たす人の育児免除が有利です。育児免除の月は、納付した月として年金額に反映されます。学生納付特例の月は、後から追納した場合に反映されます。
Q. 国民健康保険料も免除されますか?
育児免除は国民年金保険料の制度です。国民健康保険料には、別に「出産前後の保険料の減額」(出産予定月の前月から4か月分の所得割・均等割を減額)の制度があります。お住まいの市区町村の国民健康保険担当窓口に確認してください。
※補足:国民健康保険料の産前産後期間の減額は2024年1月から実施されている別制度です。
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公式情報・問い合わせ先
- 日本年金機構「国民年金保険料の育児免除制度」
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手続きの相談は、お住まいの市区町村の国民年金担当窓口、または最寄りの年金事務所で受け付けています。
更新履歴
- 2026年9月24日:2026年10月1日の制度開始にあわせて全面改訂(生まれ月別の早見表、年金額への反映の試算、届出不要の条件、Q&Aを追加)


