資格を取りたい、仕事に必要なスキルを学びたい。でも、受講料が高くて迷っている。そんなときに確認したい制度が、雇用保険の「教育訓練給付金」です。
教育訓練給付金は、厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練を受講・修了した人に、本人が支払った教育訓練経費の一部が支給される制度です。ただし、資格講座やオンライン講座なら何でも対象になるわけではありません。
この記事でわかること
- 教育訓練給付金の3つの区分と支給額
- 自分が対象になるかを確認するポイント
- 対象講座の探し方
- 受講開始前と修了後に必要な手続き
- 支給対象にならないことがある費用と注意点
先に結論
受講料を支払う前に、次の3点を確認してください。
- 受講する講座が、厚生労働大臣の指定講座であること
- 自分が雇用保険の加入期間などの受給要件を満たしていること
- 区分によっては、受講開始前にキャリアコンサルティングと受給資格確認を済ませること
特に、特定一般教育訓練と専門実践教育訓練は、訓練前キャリアコンサルティングを受けたうえで、受講開始日の2週間前までにハローワークで受給資格確認を行う必要があります。受講料を先に支払ってから確認するのではなく、最初に制度の対象かを確認することが大切です。
教育訓練給付金は3種類
教育訓練給付金は、講座のレベルや目的に応じて「一般教育訓練」「特定一般教育訓練」「専門実践教育訓練」に分かれます。支給割合、上限額、受講前後の手続きは同じではありません。
| 区分 | 主な目的 | 基本の支給内容 | 追加支給など |
|---|---|---|---|
| 専門実践教育訓練 | 中長期的なキャリア形成 | 教育訓練経費の50% 年間上限40万円 |
資格取得・就職などの条件を満たすと70%。さらに修了後の賃金が受講開始前より5%以上上昇すると80%。年間上限はそれぞれ56万円、64万円 |
| 特定一般教育訓練 | 早期の再就職・キャリア形成 | 教育訓練経費の40% 上限20万円 |
資格取得・就職などの条件を満たすと50%、上限25万円 |
| 一般教育訓練 | 雇用の安定・就職の促進 | 教育訓練経費の20% 上限10万円 |
大きな追加支給はありません |
専門実践教育訓練の70%・80%、特定一般教育訓練の50%は、すべての講座に自動で適用されるわけではありません。講座の種類、受講開始日、資格取得、就職、賃金上昇などの条件を確認してください。
また、支給額が4,000円を超えない場合は支給されない扱いがあります。実際に計算する教育訓練経費の範囲も確認しましょう。
対象になる人の基本的な条件
区分によって細かな違いがありますが、主な確認項目は次のとおりです。
- 受講開始日に雇用保険の被保険者である、または離職後1年以内であること
- 雇用保険に加入していた期間が、原則として3年以上あること
- 初めて教育訓練給付を受ける場合は、一般教育訓練・特定一般教育訓練は1年以上、専門実践教育訓練は2年以上で対象になる場合があること
- 過去に教育訓練給付を受けた人は、前回の受講開始日以降の加入期間など、別の条件があること
- 厚生労働大臣の指定講座を、指定期間内に受講開始すること
- 講座ごとの修了認定基準を満たすこと
離職後の期間や過去の受給歴によって判断が変わるため、ここだけで「必ず対象」とは判断できません。受講開始予定日と講座名を用意し、住所を管轄するハローワークで支給要件照会を行うのが安全です。
対象講座の探し方
厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」で、現在指定を受けている講座を検索できます。
確認するときは、学校名だけでなく、次の項目を見ます。
- 講座の正式名称
- 教育訓練給付金の区分
- 講座の指定期間
- 受講開始日が指定期間内に入っているか
- 受講料と入学料
- 修了認定の条件
- 資格取得や就職による追加支給の対象か
「教育訓練給付金が使えるスクール」と書かれていても、検討しているコースや受講開始日まで対象とは限りません。広告ではなく、厚生労働省の検索システムで最終確認してください。
申請の流れ
1.受講したい講座を検索する
講座名と指定期間を、教育訓練講座検索システムで確認します。
2.ハローワークで受給要件を確認する
一般教育訓練の場合は、受講開始予定日時点の受給資格と講座の指定状況について、支給要件照会を利用できます。必要書類をそろえて、本人の住所を管轄するハローワークへ提出します。電話による照会は受け付けられていません。
3.特定一般・専門実践は受講開始前の手続きをする
特定一般教育訓練と専門実践教育訓練では、訓練前キャリアコンサルティングを受け、ジョブ・カードの交付を受けたうえで、受講開始日の2週間前までに受給資格確認を行います。
4.受講・修了する
指定講座を受けただけでは支給されません。出席、課題、修了試験など、教育訓練施設が定めた修了認定基準を満たす必要があります。
5.必要書類を保管する
一般教育訓練では、支給申請書、修了証明書、領収書、本人・住所確認書類、個人番号確認書類、振込先の確認書類などが必要になります。講座から受け取った書類や領収書は、申請まで保管してください。
6.期限内にハローワークへ申請する
- 一般教育訓練:修了日の翌日から原則1か月以内
- 特定一般教育訓練:修了日の翌日から1か月以内
- 専門実践教育訓練:受講開始日から6か月ごとの期間の末日の翌日から1か月以内、または修了日の翌日から1か月以内
資格取得や就職による追加支給は、別の申請期限があります。修了後に資格を取った、就職したという場合も、改めてハローワークに確認してください。
支給対象にならないことがある費用
教育訓練経費は、原則として本人が教育訓練施設に支払った入学料と受講料です。次のような費用は、支給対象に含まれないことがあります。
- 検定試験の受験料
- 必ずしも必要ではない補助教材費
- 補講費
- 講座の行事参加費
- 通学などの交通費
- パソコンなどの器材費
- クレジット会社への手数料
- 申請時点で未納の金額
割引を受けた場合は割引後の金額が基準になります。講座会社や販売代理店からキャッシュバック、無料のパソコン、受講料の還元を受ける場合は、教育訓練経費から差し引いて申請しなければならない場合があります。
よくある勘違い
「対象講座なら、申し込んだ時点で給付される」
給付は原則として、受講・修了後の申請です。専門実践教育訓練などは受講中に申請する場合もありますが、講座を申し込んだだけでは支給されません。
「資格講座なら全部対象になる」
対象は厚生労働大臣の指定講座です。資格名が同じでも、講座や指定期間が異なれば対象外になることがあります。
「受講料の全額が計算対象になる」
入学料と受講料が中心で、試験料、交通費、パソコン代などは対象外になることがあります。給付率を受講料全体にそのまま掛ける前に、対象経費を確認してください。
申請前のチェックリスト
- 厚生労働大臣の指定講座か
- 講座の区分と指定期間を確認したか
- 雇用保険の加入期間を確認したか
- 過去3年以内に教育訓練給付を受けていないか
- 特定一般・専門実践なら訓練前キャリアコンサルティングを予約したか
- 受講開始日の2週間前までの受給資格確認に間に合うか
- 入学料・受講料・対象外費用を分けて確認したか
- 修了証明書と領収書を保管できるか
- 修了後1か月以内の申請期限をカレンダーに入れたか
相談先
教育訓練給付金の受給要件や申請先は、住所を管轄するハローワークです。講座を申し込む前に、講座名、受講開始予定日、雇用保険の加入状況を伝えて確認してください。
まとめ
教育訓練給付金は、資格取得やリスキリングの費用を軽くできる制度です。ただし、重要なのは「給付率が高い講座を探すこと」だけではありません。
- 自分が対象か
- 講座が指定講座か
- 受講開始前の手続きが必要か
- どの費用が対象か
- いつまでに申請するか
この5点を順番に確認してください。最終的な受給資格と申請期限は、最新の公式資料と住所を管轄するハローワークで確認しましょう。
公式情報
- 厚生労働省:教育訓練給付金
- 厚生労働省:教育訓練給付金の手続の流れ
- ハローワークインターネットサービス:教育訓練給付金
- 厚生労働省:Q&A~一般教育訓練給付金~
- 厚生労働省:教育訓練給付制度の対象となる講座の受講を希望される方
確認日:2026年8月2日。制度の数値、対象講座、必要な加入期間、受給資格確認の期限は変更されることがあります。受講料を支払う前に、最新の公式資料と管轄ハローワークで確認してください。
教育訓練・再就職・受給中の病気など、学び直しや受給中に確認する制度の全体像は、「【2026年版】退職・休業時に確認する雇用保険制度」で時系列に整理しています。
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