ひとり親が資格取得や子どもの進学、転居の費用で困ったときは、自治体のひとり親支援窓口に相談できます。
指定講座の受講費を支える「自立支援教育訓練給付金」と、学費や生活費などを借りる「母子父子寡婦福祉資金」は、返済の扱いが違います。
受講費の給付を受けるには、受講を始める前に自治体の講座指定を受けることが基本です。
貸付の審査や振込にも時間がかかります。学校への申込み、支払いや転居契約を確定する前に、ひとり親支援窓口へ相談してください。
この記事では、受講費の給付とひとり親向けの貸付を説明します。資格を取る間の毎月の生活費の給付は、高等職業訓練促進給付金の記事で詳しく解説しています。
制度確認日:2026年10月8日。国の制度を基に、自治体の取扱い例も確認しています。事業の実施、講座の指定、申請期限は居住地の窓口で確認してください。
自立支援教育訓練給付金は受講費の60%、追加条件で85%まで
対象は、20歳未満の子を扶養する母子家庭の母・父子家庭の父です。就職に役立つ指定講座を修了すると、受講費の一部を受け取れます。
表は横にスクロールできます。
| 講座・条件 | 給付率 | 上限 |
|---|---|---|
| 一般・特定一般教育訓練等 | 対象経費の60% | 20万円 |
| 専門実践教育訓練 | 対象経費の60% | 修学年数×40万円、最大160万円 |
| 専門実践を修了し、1年以内に資格取得・就職等の条件を満たす | 対象経費の85% | 修学年数×60万円、最大240万円 |
85%の支給は、60%に85%をさらに上乗せする意味ではありません。
雇用保険の教育訓練給付金を受けられる人には、原則としてその支給額との差額を支給します。支給額が1万2,000円以下の場合は対象外です。
受講を考えている人は、対象経費や追加給付の条件を窓口へ確認してください。学校が請求する教材費や交通費などには、対象経費に含まれないものもあります。
出典:こども家庭庁「母子家庭自立支援給付金及び父子家庭自立支援給付金事業」。
受講前に、自立に向けた計画と講座指定を相談する
国の案内では、自立支援プログラムの策定など、自立に向けた計画づくりの支援を受けることが要件です。
就業経験、技能、資格、地域の仕事の状況から、希望する講座の受講が適職に就くために必要と認められることなども求められます。
雇用保険の教育訓練給付の指定講座が基本です。自治体が地域の事情に応じて対象にする講座もあります。
受講を考えている人は、講座名、学校名、開講日、修了日、費用が分かる資料を持って、事前指定の申請方法を窓口へ確認してください。
受講中に子どもが20歳になっても、修了まで対象を継続できる取扱いがあります。相談時には、受講開始時の資格や、子どもの年齢が変わる時期も窓口へ伝えてください。
申請の流れは、自治体への事前相談、計画支援、受講前の講座指定、受講・修了、給付申請です。
申請する人は、給付申請の締切と、専門実践の追加支給の申請を別に確認してください。受講開始後に初めて相談した場合や、講座が対象外だった場合には、支給を受けられないことがあります。
主な確認書類は、戸籍等のひとり親であることを示す資料、講座案内、講座指定関係、受講費の領収書、修了証明、雇用保険給付の支給額が分かるものです。必要書類は自治体が案内します。雇用保険の教育訓練給付金の記事も併せて確認してください。
母子父子寡婦福祉資金は、使い道ごとに申し込む貸付
母子・父子家庭の親と子、寡婦、父母のいない児童などを支える公的貸付です。
母子・父子家庭では、原則として20歳未満の児童を扶養していることなどが確認されます。寡婦等の区分や、子が借りる場合の要件は別にあります。
主な実施主体は都道府県・指定都市・中核市です。相談は市区町村のひとり親支援窓口や、自治体の母子・父子自立支援員から始められます。窓口が県になる地域もあります。
表は横にスクロールできます。
| 困っている費用 | 主な資金名 | 相談時に持っていく資料 |
|---|---|---|
| 子の学費・入学時の支度 | 修学資金・就学支度資金 | 学校・学費・入学日が分かるもの |
| 親・子の資格取得 | 技能習得資金・修業資金 | 資格、受講期間、費用の資料 |
| 就職準備 | 就職支度資金 | 就職予定、必要経費の見積り |
| 病気や失業中などの生活 | 医療介護資金・生活資金 | 診断、収支、失業等の資料 |
| 住まい・引っ越し | 住宅資金・転宅資金 | 工事・賃貸契約の見積り |
| 事業・子の結婚 | 事業開始・事業継続・結婚資金 | 事業計画、必要経費等 |
これらは12種類の資金です。使い道ごとに、対象者、限度額、据置期間、返済期間が定められています。
複数の費用を、用途を問わず一つの生活費として借りることはできません。
出典:内閣府男女共同参画局「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度」、岐阜県の2026年度案内。岐阜県の窓口や審査方法は自治体の取扱い例です。
利子・保証人・親子の返済義務を確認する
子の修学資金・就学支度資金などには、無利子の区分があります。
親向けの資金などは、連帯保証人を立てると無利子、立てない場合は年1.0%となる区分があります。資金名と借りる人によって条件が違います。
返済は、一定の据置期間を経てから始まります。返済期間は資金によって異なり、進学資金と転宅資金でも違います。
申し込む人は、返済開始月、毎月等の返済額、総額、遅れたときの扱いが分かる計画を確認してください。
岐阜県の案内では、親が子の修学資金等を借りる場合、子も連帯借受人となり、返済義務を負います。保証人が不要でも、子が返済義務を負う場合があります。
どの地域で申し込む場合も、誰が借受人・連帯借受人・連帯保証人になるかを窓口へ聞いてください。
自治体は、家計、必要額、返済の見込み、他制度の利用などを審査します。対象家庭でも、貸付には審査が必要です。
相談する人は、給付・減免で賄える部分と、なお不足する額を示すと、相談を進めやすくなります。
奨学金や授業料減免を受けると貸付額が調整されることがある
高等教育の修学支援新制度の給付奨学金や授業料・入学金減免などを受けると、同じ学費に対する貸付限度額や返済が調整されることがあります。
内閣府の案内では、修学支援を受けた場合に、その相当額について支援を受けた日から6か月以内に償還義務が生じる扱いも示されています。採用が後から決まった場合も、自治体へ速やかに連絡してください。
借りる人は、既に支払った費用が対象になるか、必要な時期までに振込が間に合うかも事前に確認してください。
戸籍、所得資料、見積書・学費通知等をすべて集める前に、借りたい資金の必要書類を窓口へ聞きましょう。
高等職業訓練促進資金貸付は、入学50万円・就職20万円以内
高等職業訓練促進給付金を活用して資格取得を目指すひとり親に、入学準備金50万円以内、就職準備金20万円以内を貸し付ける制度です。
給付金の認定だけで、自動的に貸付が行われるわけではありません。
返済免除の対象になるには、養成機関を修了し資格を取得したうえで、原則1年以内に資格を生かして就職し、貸付を受けた都道府県・指定都市の区域内等で5年間引き続き働くことが条件です。
借りた人は、必要な届出・就業証明を提出して、返済免除の手続きを行います。
退学、資格を取れなかった場合、対象外の仕事に就いた場合、早期退職等では返済が必要になることがあります。病気等による猶予・免除の扱いも含め、実施主体に条件を聞いてください。
利子、保証人、貸付を受けられる時期、免除に該当しない場合の返済開始・期間は、申込先の規程によります。
入学準備金を申し込む人は、入学前に申請期限を確認してください。申請を入学後まで待つと、締切に間に合わない場合があります。
出典:こども家庭庁「高等職業訓練促進給付金のご案内」、内閣府男女共同参画局「ひとり親家庭の方への就業支援」。
窓口では「いつ、何に、いくら必要か」を伝える
相談する人は、家庭の事情、希望する学校や仕事、必要額、支払期限、受給中・申請中の制度を窓口へ伝えてください。
受講費、子の学費、毎月の生活費を分けて書くと、給付と貸付それぞれの担当へつなぎやすくなります。
毎月の養育の支援は児童扶養手当、長期訓練中の生活費は高等職業訓練促進給付金で確認できます。


