国民年金保険料の追納|免除・納付猶予・学生納付特例の後に確認する条件と手続き

年金・社会保険

国民年金保険料の免除・納付猶予・学生納付特例を受けた期間は、後から保険料を納める「追納」ができます。ただし、いつでも、誰でも、同じ金額で納められるわけではありません。

先に確認したいのは、次の4点です。

  1. その期間が免除・納付猶予・学生納付特例の承認期間か
  2. 追納の期限である10年以内に入っているか
  3. 3年度目以降の追納で加算額が付くか
  4. 追納した場合と、生活費を優先する場合のどちらが自分に合うか

追納は給付金ではなく、過去に免除・猶予された国民年金保険料を後から納める制度です。将来の老齢基礎年金を増やす手続きなので、家計を圧迫してまで一括で納めるものとは限りません。まず対象期間と金額を確認し、納めるかどうかを判断します。

免除・納付猶予・学生納付特例で、追納しない場合の違い

追納を考えるときは、承認された制度によって、現在の年金記録への反映が違う点を確認します。

制度 追納しない場合の扱い 追納した場合
全額免除 受給資格期間には入り、老齢基礎年金には一定割合が反映される 満額納付に近づく
一部免除 免除後に納めるべき一部保険料を納めていれば、残りの免除部分が対象になる 免除部分を後から納められる場合がある
納付猶予 受給資格期間には入るが、追納しない限り年金額には反映されない その期間分が年金額に反映される
学生納付特例 受給資格期間には入るが、追納しない限り年金額には反映されない その期間分が年金額に反映される

一部免除には特に注意が必要です。免除後に自分で納めるべき一部保険料を納めていない場合、その期間は追納できません。まず、免除の承認通知や納付記録を確認します。

単なる未納の期間は、免除・猶予の承認を受けた期間の追納とは扱いが異なります。「未納の保険料も追納できる」と一括りにせず、納付記録を確認してください。

日本年金機構は、納付猶予や学生納付特例の期間について、追納しないと老齢基礎年金の年金額に反映されない一方、受給資格期間としては計算されると説明しています。制度の違いは、次の記事でも整理しています。

追納すると、年金はいくら増える?

日本年金機構の案内では、1年分を追納した場合、全額免除の期間なら老後の年金が年間で約1万円、納付猶予や学生納付特例の期間なら年間で約2万円増える目安が示されています。実際の増額は、対象期間や制度、追納する月数によって変わります。

追納する保険料は、承認された当時の保険料に、時期によっては加算額を加えた金額です。令和8年度中に追納する場合の、追納する免除・猶予部分の1か月分の例は次のとおりです。

対象の年度 全額免除・納付猶予・学生納付特例 4分の3免除 半額免除 4分の1免除
令和5年度 16,770円 12,580円 8,380円 4,190円
令和6年度 16,980円 12,730円 8,490円 4,240円
令和7年度 17,510円 13,130円 8,750円 4,380円

この表は日本年金機構が示す「令和8年度中に追納する際の保険料額」の一部です。実際の納付額は、追納申込後に届く納付書で確認してください。古い期間には加算額が付く場合もあるため、表の金額だけで総額を計算しないようにします。

また、追納した保険料は社会保険料控除の対象になります。ただし、税金が必ず同じ額だけ減るわけではなく、所得や控除の状況によって税額への影響は変わります。控除証明書などの書類は、確定申告や年末調整に備えて保管します。

追納できるのは、承認された月の前10年以内

追納できるのは、追納が承認された月の前10年以内にある免除・納付猶予・学生納付特例の期間です。10年を過ぎると、その期間は原則として追納できません。

注意したいのは、「免除や猶予を受けた年度から10年」ではなく、対象となる月と追納申込時点で期限を確認することです。複数年度にまたがる人は、対象月ごとに追納できるかを年金事務所で確認します。

さらに、免除・納付猶予の承認を受けた期間の翌年度から数えて3年度目以降に追納する場合、当時の保険料に経過期間に応じた加算額が上乗せされます。10年以内であっても、早い時期に追納した方が加算額を抑えられる場合があります。

日本年金機構は、承認期間が複数ある場合、原則として古い期間から納めるよう案内しています。ただし、免除の期間と納付猶予・学生納付特例の期間が混在している人は、納付順について年金事務所に相談してください。

追納した方がよい人、急いで決めない方がよい人

追納を検討しやすい人

  • 10年の期限が近い対象期間がある
  • 将来の老齢基礎年金を少しでも増やしたい
  • 追納しても、当面の生活費や家賃、医療費に無理がない
  • 社会保険料控除の対象になる支払いを整理したい
  • 免除・納付猶予・学生納付特例の期間が長く、将来の年金額への影響を確認したい

特に期限が近い期間は、追納申込書を出してから納付書が届くまでの時間も考えます。期限直前に申し込むと、期限までに納められない場合があると日本年金機構も注意しています。

まず家計を優先した方がよい人

  • 追納すると、毎月の生活費が不足する
  • 医療費や住居費など、近い時期に大きな支出がある
  • 追納のために高い利息の借入れを考えている
  • 追納することで、利用中の給付や保険料軽減の判定が変わらないか気になる

追納は、生活を崩してまで行う必要がある手続きではありません。全期間を一括で納めるか迷う場合は、対象期間と見込額を整理し、年金事務所で一部の期間だけ追納できるか、どの順序がよいかを確認します。給付や保険料軽減制度への影響は制度ごとに扱いが違うため、自治体や各制度の窓口にも確認します。

なお、日本年金機構は、老齢基礎年金を受け取ることができる人は追納できないと案内しています。繰上げ受給などに該当する人は、受給開始前でも自己判断せず、年金事務所で確認してください。

追納の手続きは、申込書を年金事務所へ提出する

手続きは、次の順に進めます。

1. 追納する期間を確認する

免除・納付猶予・学生納付特例の承認通知、年金記録、ねんきんネットなどで、承認された月と制度の種類を確認します。一部免除の場合は、先に納めるべき一部保険料を納めているかも確認します。

2. 追納申込書を用意する

申請用紙は、日本年金機構の「国民年金保険料 追納申込書」から入手できます。ねんきんネットの画面で申込書を作成し、印刷することもできます。ただし、ねんきんネットで作成しただけでは電子申請にならず、印刷した届書を年金事務所へ提出する必要があります。

3. 年金事務所へ提出する

提出先は、近くの年金事務所です。窓口のほか、郵送でも手続きできます。街角の年金相談センターでは追納の手続きはできないため、提出先を間違えないようにします。

マイナンバーを使って窓口で提出する場合は、マイナンバーカードを提示します。カードがない場合は、マイナンバーを確認できる書類と、運転免許証などの本人確認書類が必要です。郵送の場合は、必要書類の写しを添付します。

4. 届いた納付書で納める

申込書を提出すると、日本年金機構から納付書が届きます。納付書を使い、金融機関、郵便局、コンビニエンスストア、Pay-easy、スマートフォンアプリなどで納めます。

追納は、口座振替、クレジットカード、ねんきんネットを使った納付書不要の納付には対応していません。納付書が届く前に、通常の国民年金保険料の支払い方法で納めようとしないでください。

申込み前に用意しておきたいもの

年金事務所へ相談・提出するときは、次のものを手元に置くと確認が進みます。

  • 基礎年金番号が分かる書類
  • 免除・納付猶予・学生納付特例の承認通知
  • 追納したい対象月の一覧
  • すでに一部免除分を納めたことが分かる記録
  • マイナンバー確認書類と本人確認書類
  • すでに届いている納付書や領収証

「何年分を追納すればよいか」だけでなく、「どの制度の期間か」「期限がいつか」を確認します。免除と納付猶予・学生納付特例が混ざっている場合は、納付順を自己判断せず、年金事務所に尋ねるのが安全です。

まとめ|まず対象月と期限を確認する

国民年金保険料の追納は、免除・納付猶予・学生納付特例を受けた期間の保険料を後から納め、将来の老齢基礎年金を増やす手続きです。

確認の順番は次のとおりです。

  1. 承認された制度と対象月を確認する
  2. 追納できる10年以内の期間か確認する
  3. 3年度目以降の加算額が付くか確認する
  4. 生活費を圧迫しない範囲で、納める期間と順番を決める
  5. 追納申込書を年金事務所へ提出する
  6. 届いた納付書で支払う

追納しないと年金額に反映されない期間がある一方、家計を削ってまで納める必要があるとは限りません。対象月、追納額、期限を確認してから、自分の生活と将来の年金の両方を見て判断してください。

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