高額療養費2026・2027年改正|所得別上限・年間上限・多数回該当

高額療養費について、自己負担・上限額・申請先を確認する図 医療・介護

高額療養費は、1か月の医療費の自己負担が所得・年齢ごとの上限を超えたとき、超えた分が払い戻される制度です。今回の見直しは2段階で、2026年8月に月額上限の見直しと年間上限の新設、2027年8月に所得区分の細分化が行われます。

この記事の結論

受診月が2026年7月以前、2026年8月から2027年7月、2027年8月以降のどこに当たるかで、使う上限表が変わります。2027年8月からは、年収約200万円未満の課税世帯の多数回該当が月44,400円から34,500円へ下がります。

まず確認|自分はどの仕組みを見るべきか

3つは別の仕組みです。どれか1つだけを見ても、正しい負担額は分かりません。

Q1 今月の医療費の自己負担が高額になりましたか?

なったまず月額上限を確認します。所得区分ごとに1か月の自己負担限度額が決まっています。

Q2 受診月を含む直近12か月で、高額療養費に該当した月が3か月以上ありますか?

ある4か月目から多数回該当で月額上限が下がります。ただし保険者が変わると月数を通算できない場合があります。転職・退職・扶養変更があった方は必ず確認してください。
ない多数回該当は使えません。Q3へ進みます。

Q3 8月から翌年7月までの自己負担の合計が大きくなっていますか?

なっている2026年8月から新設された年間上限を確認します。
年間上限ができたからといって、毎月の上限が自動的に多数回該当の額になるわけではありません。月額上限・年間上限・多数回該当の3つを分けて確認してください。
月額上限の計算に使う「総医療費」は、窓口で払う3割分ではなく保険診療の10割分です。
  1. 3つの仕組みの違い
  2. 月額上限|所得区分ごとの1か月の限度額
    1. 2026年8月改正の3つの要点
    2. 高額療養費 上限チェック
      1. 試算結果
    3. 70歳未満の主な月額・年間上限
    4. 多数回該当は4回目以降の上限を下げる
    5. 70歳以上は外来の年間上限も確認する
    6. 対象になる費用・ならない費用
    7. マイナ保険証なら窓口の支払いを抑えられる場合がある
    8. 治療後の申請と必要書類
    9. 高額療養費と他の制度を混同しない
    10. 公式資料・相談先
    11. 関連記事
  3. 年間上限|2026年8月から翌年7月まで
    1. 結論:年間上限は8月診療分から翌年7月診療分まで
    2. 2026年1月〜7月の医療費は最初の年間上限に入る?
    3. 1月から12月ではない理由
    4. 月額上限と年間上限は別々に確認する
    5. 70歳以上の外来年間上限も8月〜翌年7月
    6. 年間上限に入る費用・入らない費用
    7. 年間上限に達したら自動で返金される?
    8. まとめ
    9. 公式資料・相談先
  4. 高額療養費は2026年8月と2027年8月に2段階で変わる
  5. 2027年8月からの月額上限はいくら?
    1. 同じ年収帯でも月額上限が変わる
  6. 年収約200万円未満の課税世帯は多数回該当が34,500円に
  7. 70歳以上は外来だけの上限にも注意
  8. 2027年1月から予定される標準報酬月額の特例とは
  9. 多数回該当|4回目以降は上限が下がる
    1. 結論:2026年8月改正後も多数回該当は使える
    2. 多数回該当の数え方
      1. 基本の流れ
    3. 2026年8月以降の主な多数回該当額
    4. 年間上限ができても、多数回該当はなくならない
    5. 保険者が変わると、回数を引き継げない場合がある
    6. 70歳以上は外来の数え方に注意
    7. 多数回該当を確認する手順
    8. まとめ
    9. 公式資料・相談先
  10. 受診月ごとに使う上限表を確認する
  11. よくある質問
    1. 2027年8月から全員の負担が上がりますか?
    2. 2026年8月からの年間上限は、1月から12月までですか?
    3. 高額療養費は自動的に振り込まれますか?
  12. まとめ
  13. 公式資料・相談先

3つの仕組みの違い

仕組み内容どう効くか
月額上限所得区分ごとに決まる、1か月の自己負担限度額毎月の負担に上限がかかる
年間上限
(2026年8月〜)
8月から翌年7月までの自己負担を合計した上限1年を通した負担に上限がかかる
多数回該当受診月を含む直近12か月で高額療養費に該当した月が3か月以上あると、4か月目以降の月額上限が下がる長期療養が続く人の毎月の負担を軽くする

この3つは別々の仕組みで、どれか1つだけを見ても正しい負担額は分かりません。年間上限ができたからといって、毎月の上限が自動的に多数回該当の額になるわけではありません。毎月の医療費が高い人は、月額上限・年間上限・多数回該当の3つを分けて確認してください。

  • 月額上限の計算に使う「総医療費」は、窓口で払う3割分ではなく保険診療の10割分です
  • 年収はあくまで目安です。会社員は標準報酬月額、国民健康保険などは課税所得や旧ただし書き所得で判定されます
  • 転職・退職・扶養変更などで保険者が変わると、多数回該当の月数を通算できない場合があります

月額上限|所得区分ごとの1か月の限度額

高額療養費は、2026年8月診療分から月額上限の見直しと年間上限の新設が始まりました。ただし、年収だけで区分が決まるわけではありません。会社員は標準報酬月額、国民健康保険は旧ただし書き所得などで判定されるため、最終的には加入している保険者へ確認してください。

制度の対象は保険診療です。差額ベッド代、入院時の食事代、先進医療など保険外の費用は、高額療養費の計算に入りません。

2026年8月改正の3つの要点

  • 2026年8月診療分から、所得区分に応じて月額の自己負担限度額を見直す
  • 2026年8月から翌年7月までを1年として、年間上限を設ける
  • 長期療養者向けの多数回該当は、2026年度は金額を維持する

年間上限は、月ごとの自己負担額を積み上げて判定します。上限に達した後の負担が自動的に窓口で止まるとは限らず、保険者からの還付・償還払いになる場合があります。

高額療養費 上限チェック

年齢・所得区分・保険診療の総医療費から、2026年8月診療分以降の月額上限と年間上限の目安を確認します。

対象期間:2026年8月診療分〜2027年7月診療分

年収目安は補助表示です。実際は標準報酬月額や課税所得などで判定されます。
窓口で払う3割分ではなく、保険診療の総額を入力します。
実際の割合は年齢・所得・加入制度で確認してください。
70歳未満は世帯単位で計算します。
同じ保険者での実績などが必要です。自動判定ではありません。

試算結果

窓口負担の概算
月額上限の目安
年間上限の目安

この結果は目安です。世帯合算、複数の医療機関、健康保険組合・国保・後期高齢者医療の判定、公費助成、差額ベッド代・食事代などは別途確認が必要です。

この記事内の計算ツールについて

現在掲載している計算ツールは、2026年8月から2027年7月までの上限を確認するためのものです。2027年8月以降は所得区分が細分化されるため、ツールの結果をそのまま使わず、上の2027年表と加入先保険者の案内を確認してください。

70歳未満の主な月額・年間上限

年収換算の目安標準報酬月額月額上限多数回該当年間上限
約1,160万円~83万円以上27万300円+(総医療費-90万1,000円)×1%14万100円168万円
約770万~約1,160万円53万~79万円17万9,100円+(総医療費-59万7,000円)×1%9万3,000円111万円
約370万~約770万円28万~50万円8万5,800円+(総医療費-28万6,000円)×1%4万4,400円53万円
~約370万円26万円以下6万1,500円4万4,400円53万円
住民税非課税区分により判定3万6,900円2万4,600円29万円

「総医療費」は窓口で払った3割分ではなく、保険診療の10割分です。年収はあくまで目安で、国保などは判定方法が異なります。また、年収約200万円未満などの区分では、2027年8月以降に年間上限41万円を適用して償還払いとする経過的な扱いがあります。

多数回該当は4回目以降の上限を下げる

直近12か月の間に高額療養費に該当した月が3か月以上あると、4か月目以降は多数回該当の限度額が適用されます。2026年8月の改正では、長期療養者への配慮として多数回該当の金額を維持しました。

同じ世帯でも、加入先の医療保険、年齢、所得区分によって判定が変わります。過去の高額療養費の支給月と保険者を記録しておくと、4回目の判定を確認しやすくなります。

70歳以上は外来の年間上限も確認する

70歳以上は、世帯単位の月額上限に加え、外来(個人ごと)の特例があります。2026年8月からは、一般所得の外来上限を月2万2,000円、年間21万6,000円とする区分など、年齢・所得区分ごとの見直しが行われました。住民税非課税区分にも外来の年間上限があります。

70歳以上の世帯は、年齢、課税所得、年金収入、医療保険の種類が同じ世帯員でも一致しないことがあります。表の年収目安だけで判断せず、保険者に「世帯」「外来個人」「年間」のどの上限かを聞いてください。

対象になる費用・ならない費用

  • 対象:健康保険が適用される診察、検査、手術、薬、入院料など
  • 対象外:差額ベッド代、入院時の食事・生活療養費、保険外診療、文書料、先進医療の技術料など
  • 世帯合算:同じ医療保険に加入する世帯員の自己負担を合算できる場合がある

世帯合算の対象となる自己負担には、医療機関・薬局ごとの基準や70歳未満の合算ルールがあります。医療費の領収書をまとめ、同じ保険者に確認してください。

マイナ保険証なら窓口の支払いを抑えられる場合がある

マイナ保険証を利用し、医療機関がオンライン資格確認に対応している場合、限度額情報の提供に同意すれば、窓口支払いを自己負担限度額までに抑えられる場合があります。対応していない医療機関や、保険外費用がある場合は別途支払いが必要です。

マイナ保険証を使わない場合は、加入先の保険者へ限度額適用認定証などの手続きを確認します。入院や高額な治療が決まった時点で、医療機関の相談窓口と保険者へ連絡してください。

治療後の申請と必要書類

  1. 加入している健康保険(健保組合、協会けんぽ、国保、後期高齢者医療など)を確認する
  2. 診療月ごとの領収書、医療費通知、世帯員の自己負担額を整理する
  3. 保険者へ高額療養費の支給申請を行う
  4. 年間上限や多数回該当がある場合は、対象期間と過去の支給月を確認する

申請書、領収書、保険者が指定する振込先資料などが必要になります。請求期限や添付書類は保険者で確認し、医療費の領収書は捨てずに保管してください。

高額療養費と他の制度を混同しない

高額療養費は、保険診療の自己負担を月・年単位の上限で軽減する制度です。介護サービスの自己負担は別の高額介護サービス費、医療と介護を合算する場合は高額医療・高額介護合算療養費で確認します。支給前の資金繰りが問題なら、高額医療費貸付制度が利用できる保険者もありますが、貸付であり給付ではありません。

公式資料・相談先

医療と介護の負担を合算する場合は、高額医療・高額介護合算療養費も確認してください。支給前の医療費を借りる制度は、高額医療費貸付制度です。


関連記事

年間上限|2026年8月から翌年7月まで

結論:年間上限は8月診療分から翌年7月診療分まで

高額療養費の年間上限は、暦年の1月から12月で計算する制度ではありません。

2026年8月診療分からの計算期間は、次の12か月です。

計算期間 対象となる診療月
最初の期間 2026年8月診療分〜2027年7月診療分
次の期間 2027年8月診療分〜2028年7月診療分

厚生労働省は、月ごとの自己負担額が積み上がって年間上限に達した後は、それを超える部分を保険者から還付できる仕組みとして案内しています。厚生労働省の制度案内

2026年1月〜7月の医療費は最初の年間上限に入る?

入りません。

2026年8月から始まる最初の計算期間は、2026年8月診療分からです。2026年1月〜7月診療分を、2026年8月〜2027年7月の年間上限に足して計算するわけではありません。

ただし、2026年1月〜7月の診療分が高額療養費の対象にならないという意味ではありません。診療を受けた月の制度と所得区分に基づいて、月額上限や多数回該当を確認します。

「年間上限の計算期間」と「診療月ごとの高額療養費の申請期限」は別です。過去の領収書を整理するときは、診療月ごとに分けて保管してください。

1月から12月ではない理由

高額療養費の年間上限は、医療保険の所得区分や外来特例などを、毎年の判定時期に合わせて計算する仕組みです。基準日は原則として7月31日で、翌年7月までの1年間を一つの期間として確認します。

そのため、一般的な税金の計算期間である1月〜12月や、会社の年度とは区切りが違います。

「2026年に支払った医療費の合計」を知りたいときは、医療費控除の計算と混同しないようにしてください。医療費控除は原則として1月〜12月に実際に支払った医療費を税金の計算で扱う制度で、高額療養費の年間上限とは別制度です。

月額上限と年間上限は別々に確認する

年間上限があるからといって、毎月の窓口負担が最初から年間上限の12分の1になるわけではありません。

まず診療月ごとに、年齢・所得区分・総医療費・世帯合算・多数回該当を使って月額の上限を判定します。そのうえで、2026年8月から翌年7月までの負担を合計し、年間上限を超えた分があるかを保険者が確認します。

たとえば、70歳未満で年収換算約370万円〜約770万円の区分は、2026年8月診療分から月額上限が「85,800円+(総医療費−286,000円)×1%」、年間上限が53万円です。月額上限の計算や多数回該当の適用を飛ばして、単純に医療費の1年分を合計するわけではありません。

年齢・所得・医療費を入力して確認したい場合は、主力記事の高額療養費上限チェックツールを使えます。ただし、世帯合算や加入保険者ごとの判定までは自動で確定できないため、結果は目安として見てください。

70歳以上の外来年間上限も8月〜翌年7月

70歳以上には、入院を含む世帯の上限とは別に、外来・個人で見る年間上限があります。

2026年8月診療分から2027年7月診療分までの例では、一般区分の外来は月額22,000円、年間上限21万6,000円、住民税非課税・低所得者Ⅱは月額11,000円、年間上限9万6,000円です。低所得者Ⅰの外来は月額8,000円で、外来個人の年間上限は設定されていません。

ここで注意したいのは、70歳以上の外来・個人の年間上限と、入院を含む世帯の年間上限を同じものとして扱わないことです。外来だけなのか、入院を含む世帯全体なのかで、確認する上限が変わります。

年間上限に入る費用・入らない費用

年間上限の計算で確認する中心は、公的医療保険が適用される診療の自己負担です。次の費用は、領収書で分けて確認します。

  • 差額ベッド代
  • 入院時の食事療養費・生活療養費
  • 先進医療の技術料など保険外の費用
  • 自由診療
  • 診断書や文書料など、保険給付の対象外となる費用

病院や薬局に支払った合計額が、そのまま年間上限の計算対象になるわけではありません。

年間上限に達したら自動で返金される?

年収換算約200万円未満(標準報酬月額15万円以下)の区分には、年間上限41万円と償還払いの注記があります。厚生労働省の令和8年8月改正資料では、この区分に該当することが確認できた人について、年間上限41万円を適用し、令和9年8月以降に償還払いとする扱いが示されています。対象になるか、申請時期や支給方法は加入先の保険者へ確認してください。

保険者が年間上限に達したことを把握できる場合でも、窓口でその場に反映されるとは限りません。後日、支給申請や精算の案内が届く場合もあります。

確認先は、加入している健康保険です。会社の健康保険組合、協会けんぽ、国民健康保険、後期高齢者医療制度などで、申請書・添付書類・支給時期が異なることがあります。

申請前に、次の資料をそろえておくと確認が進みます。

  1. 2026年8月〜2027年7月の診療月ごとの領収書
  2. 保険診療分と保険外費用を分けたメモ
  3. 世帯内で同じ医療保険に加入する人の自己負担額
  4. 多数回該当になった月と、当時の保険者
  5. 保険者から届いた支給決定通知や医療費のお知らせ

まとめ

高額療養費の年間上限は、1月〜12月ではなく、8月診療分から翌年7月診療分までで計算します。

2026年8月診療分からの最初の期間は、2026年8月〜2027年7月です。2026年1月〜7月診療分は、この最初の年間上限には入りません。

ただし、月額上限、多数回該当、世帯合算、70歳以上の外来年間上限は別に確認が必要です。年齢・所得・保険者・診療月を整理し、最終的には加入先の保険者へ確認してください。

公式資料・相談先

高額療養費は2026年8月と2027年8月に2段階で変わる

時期 主な変更 確認したい人
2026年8月から 月額上限を見直し。8月から翌年7月までの年間上限を新設 高額な治療を受ける人、治療が長期にわたる人
2027年1月から 療養・育児・介護との両立で報酬が大幅に下がった人について、標準報酬月額の特例的な取扱いを開始予定 勤務時間を短縮し、給与が大きく下がった会社員など
2027年8月から 所得区分を細分化。年収約200万円未満の課税世帯は多数回該当を引き下げ 現在の所得区分の境目に近い人、年収約200万円未満の課税世帯

2026年8月の見直しでは、月ごとの上限だけでなく、毎年8月から翌年7月までを1年とする年間上限が設けられました。月ごとの負担が積み上がって年間上限を超えた場合は、保険者から還付を受けられます。

2027年8月の見直しでは、負担能力をより細かく反映するため、所得区分が細分化されます。現在の大きな所得区分の中でも、標準報酬月額や所得によって月額上限が分かれるため、2026年の表をそのまま使わないよう注意が必要です。

2027年8月からの月額上限はいくら?

次の表は、2027年8月以降の70歳未満の上限です。健康保険の標準報酬月額と、国民健康保険の旧ただし書所得を併記しています。

年収の目安 健康保険の標準報酬月額 国保の旧ただし書所得 1~3回目の月額上限 多数回該当 年間上限
約1,650万円以上127万円以上1,356万円超342,000円+(医療費-1,140,000円)×1%140,100円168万円
約1,410万~約1,650万円103万~121万円1,110万~1,356万円303,000円+(医療費-1,010,000円)×1%
約1,160万~約1,410万円83万~98万円901万~1,110万円270,300円+(医療費-901,000円)×1%
約1,040万~約1,160万円71万~79万円809万~901万円209,400円+(医療費-698,000円)×1%93,000円111万円
約950万~約1,040万円62万~68万円679万~809万円194,400円+(医療費-648,000円)×1%
約770万~約950万円53万~59万円600万~679万円179,100円+(医療費-597,000円)×1%
約650万~約770万円44万~50万円410万~600万円110,400円+(医療費-368,000円)×1%44,400円53万円
約510万~約650万円36万~41万円313万~410万円98,100円+(医療費-327,000円)×1%
約370万~約510万円28万~34万円210万~313万円85,800円+(医療費-286,000円)×1%
約260万~約370万円20万~26万円127万~210万円69,600円
約200万~約260万円16万~19万円86万~127万円65,400円
約200万円未満15万円以下86万円以下61,500円34,500円41万円
住民税非課税住民税非課税世帯36,900円24,600円29万円

※「医療費」は保険診療分の総医療費です。差額ベッド代、入院時の食事代、先進医療の技術料などは原則として高額療養費の対象外です。多数回該当は、直近12か月で高額療養費に3回該当した場合の4回目以降の上限です。

同じ年収帯でも月額上限が変わる

たとえば2026年8月から2027年7月までは、年収約370万~約770万円の月額上限は「85,800円+1%」です。2027年8月からは、この区分が次の3つに分かれます。

  • 年収約370万~約510万円:85,800円+1%
  • 年収約510万~約650万円:98,100円+1%
  • 年収約650万~約770万円:110,400円+1%

そのため、同じ「年収約370万~約770万円」の範囲でも、2027年8月以降は上限が同じではありません。一方で、この3区分の多数回該当は月44,400円、年間上限は53万円です。

年収約200万円未満の課税世帯は多数回該当が34,500円に

2027年8月から、年収約200万円未満の課税世帯は、多数回該当の月額上限が44,400円から34,500円へ9,900円下がります。引き下げ率は25%です。

項目 2026年8月~2027年7月 2027年8月以降
1~3回目の月額上限61,500円61,500円
多数回該当44,400円34,500円
年間上限要件に該当することを確認後、41万円を適用し、2027年8月以降に償還払い41万円

健康保険では標準報酬月額15万円以下、国民健康保険では旧ただし書所得86万円以下が目安です。「年収200万円未満」という表現だけで自己判断せず、保険者に所得区分を確認してください。

70歳以上は外来だけの上限にも注意

70歳以上には、世帯単位の月額上限とは別に、外来受診について個人ごとの上限があります。2027年8月以降、一般所得・住民税非課税区分の外来上限は次のようになります。

年収・所得区分の目安 外来の個人上限 外来の年間上限
年収約260万~約370万円28,000円216,000円
年収約200万~約260万円28,000円216,000円
年収約200万円未満22,000円216,000円
住民税非課税13,000円96,000円
住民税非課税で所得が一定以下8,000円

現役並み所得の人は外来だけの特例ではなく、世帯単位の月額上限で計算します。70歳以上は窓口負担割合や世帯構成による判定もあるため、資格確認書やマイナポータルで保険者を確認し、詳細を問い合わせるのが確実です。

2027年1月から予定される標準報酬月額の特例とは

会社員などの高額療養費の所得区分は、原則として標準報酬月額を基に判定します。療養、育児または介護と仕事を両立するために勤務時間を短縮し、報酬が大幅に減った人については、2027年1月から標準報酬月額を特例的に扱う制度が始まる予定です。

給与が下がっても、通常の標準報酬月額がすぐに変わらなければ、高額療養費の上限が以前の高い所得区分のままになることがあります。この特例の対象になり得る人は、勤務先の社会保険担当者と加入先の健康保険組合・協会けんぽなどに、対象要件と必要な手続を確認してください。

多数回該当|4回目以降は上限が下がる

結論:2026年8月改正後も多数回該当は使える

高額療養費の「多数回該当」は、2026年8月の見直し後も維持されます。

受診月を含む直近12か月の間に、高額療養費に該当した月が3か月以上あると、4か月目以降は自己負担限度額がさらに下がる仕組みです。長期療養者の負担を増やさないため、2026年8月診療分からの見直しでは、多数回該当の金額が据え置かれました。

ただし、治療が長く続いているだけで自動的に適用されるわけではありません。診療月、加入している保険者、被保険者・被扶養者の資格関係を確認する必要があります。

多数回該当の数え方

多数回該当は、月数で数えます。医療機関を受診した回数や、1か月の通院日数を数える制度ではありません。

基本の流れ

  1. ある診療月に高額療養費の対象になる
  2. 受診月を含む直近12か月の中で、該当月を確認する
  3. 該当月が3か月以上になった場合、4か月目から多数回該当を確認する
  4. 多数回該当の自己負担限度額を、その後の該当月に適用する

たとえば、2026年8月、9月、10月に高額療養費の対象になった場合、2026年11月が4回目の該当月になる可能性があります。実際には、保険者が支給実績や資格の状況を確認して判定します。

高額療養費の支給を受けた場合だけでなく、限度額適用認定証などを使って自己負担限度額を支払った場合も、該当月として扱われることがあります。協会けんぽの多数回該当の案内

2026年8月以降の主な多数回該当額

70歳未満の主な区分は次のとおりです。月額上限の計算に使う「総医療費」は、窓口で払う3割分ではなく、保険診療の10割分です。

年収換算の目安 標準報酬月額 通常の月額上限 多数回該当
約1,160万円〜 83万円以上 270,300円+(総医療費−901,000円)×1% 140,100円
約770万〜約1,160万円 53万〜79万円 179,100円+(総医療費−597,000円)×1% 93,000円
約370万〜約770万円 28万〜50万円 85,800円+(総医療費−286,000円)×1% 44,400円
〜約370万円 26万円以下 61,500円 44,400円
住民税非課税 区分により判定 36,900円 24,600円

年収はあくまで目安です。会社員は標準報酬月額、国民健康保険などは課税所得や旧ただし書き所得などで判定されるため、年収だけで多数回該当の金額を決めないでください。

年間上限ができても、多数回該当はなくならない

2026年8月診療分からは、8月から翌年7月までの年間上限も設けられました。

2つの制度は役割が違います。

  • 多数回該当:直近12か月の中で高額療養費に該当した月が3か月以上ある人の、4か月目以降の月額負担を軽くする
  • 年間上限:8月から翌年7月までの自己負担を合計し、年間の負担に上限を設ける

毎月の医療費が高く、多数回該当の条件に当てはまる人は、多数回該当と年間上限の両方を確認します。年間上限があるからといって、毎月の上限が自動的に多数回該当額になるわけではありません。

年齢・所得・医療費から現在の月額上限と年間上限の目安を確認する場合は、高額療養費上限チェックツールを使えます。多数回該当は過去の該当月と保険者の情報が必要なため、ツールでは自動確定せず、選択した場合の目安として表示します。

保険者が変わると、回数を引き継げない場合がある

多数回該当で特に注意したいのが、転職・退職・扶養変更・国保への切替です。

協会けんぽの案内では、国民健康保険や健康保険組合から協会けんぽへ加入した場合など、保険者が変わったときは多数回該当の月数に通算されないと説明されています。また、退職して被保険者から被扶養者に変わった場合など、資格関係が変わったときも月数を通算できない場合があります。

たとえば、健康保険組合で8月・9月・10月に高額療養費の対象になっていても、11月に協会けんぽへ移った場合、8〜10月の実績がそのまま新しい保険者の多数回該当に引き継がれるとは限りません。

保険者が変わったときは、次の資料を持って新しい保険者へ確認してください。

  • これまでの高額療養費の支給決定通知
  • 限度額適用認定証を使った月の領収書
  • 保険資格が変わった日が分かる資料
  • 世帯の被保険者・被扶養者の変更履歴

「同じ家族だから合算できる」「同じ病気の治療だから回数を引き継げる」とは限りません。判定は病名ではなく、保険者と資格の状況を中心に行われます。

70歳以上は外来の数え方に注意

70歳以上では、外来・個人の上限と、入院を含む世帯の上限を分けて確認します。

入院を含む世帯の高額療養費では、多数回該当が適用される区分があります。一方、70歳以上75歳未満の高齢受給者について、通院の限度額だけで高額療養費を受けた回数は、多数回該当の数え方で別の扱いがあります。

70歳以上の人は、「外来で上限を超えた月」と「世帯の入院を含む上限を超えた月」を同じ回数として数えず、加入先の保険者に確認してください。

多数回該当を確認する手順

窓口で多数回該当が反映されていなくても、後日保険者への申請で差額が支給される場合があります。医療機関でその場の上限額が確認できなかった場合は、通常額を支払って終わりにせず、これまでの支給決定通知・限度額適用認定証を使った月の領収書・資格変更日が分かる資料を保険者へ示し、申請方法を確認してください。保険者が変わった場合は、通算可否も同時に確認します。

  1. 診療月ごとに、保険診療の自己負担額を一覧にする
  2. 高額療養費に該当した月と、限度額適用認定証を使った月を分けて記録する
  3. 受診月を含む直近12か月で、該当月が3か月以上あるか確認する
  4. その期間に保険者や被保険者・被扶養者の資格が変わっていないか確認する
  5. 4回目以降の月額上限を保険者に確認する

入院や高額な治療が続く場合は、医療機関の相談窓口にも早めに相談してください。高額療養費の支給申請、限度額適用認定証、マイナ保険証の利用方法は、それぞれ確認する窓口が異なる場合があります。

まとめ

高額療養費の多数回該当は、2026年8月改正後も使えます。受診月を含む直近12か月で高額療養費に該当した月が3か月以上ある場合、4か月目以降の自己負担限度額が下がる仕組みです。

ただし、保険者や資格が変わると、過去の該当月を通算できない場合があります。年間上限とは別の制度なので、月額上限、年間上限、多数回該当を分けて確認してください。

公式資料・相談先

受診月ごとに使う上限表を確認する

  1. 受診月を確認する
    2026年7月以前、2026年8月~2027年7月、2027年8月以降で上限表が異なります。
  2. 年齢を確認する
    70歳未満と70歳以上では、所得区分や外来上限の扱いが異なります。
  3. 加入している保険者を確認する
    健康保険組合、協会けんぽ、共済組合、国民健康保険、後期高齢者医療制度のいずれかを確認します。
  4. 所得区分を確認する
    会社員は標準報酬月額、国保は旧ただし書所得、70歳以上は課税所得などが判定に使われます。
  5. 多数回該当と年間上限を確認する
    長期治療では月額上限だけでなく、直近12か月の該当回数と、8月から翌年7月までの累計額も確認します。

よくある質問

2027年8月から全員の負担が上がりますか?

全員が同じように上がるわけではありません。所得区分の細分化により月額上限が上がる区分がある一方、年収約200万円未満の課税世帯は多数回該当が34,500円へ下がります。年間上限と多数回該当の金額も合わせて確認する必要があります。

2026年8月からの年間上限は、1月から12月までですか?

いいえ。高額療養費の年間上限は、毎年8月から翌年7月までの合計で判定します。暦年や年度とは異なります。

高額療養費は自動的に振り込まれますか?

保険者によって案内や手続が異なります。マイナ保険証による限度額情報の提供や限度額適用認定証を利用すれば、窓口負担を月額上限までに抑えられる場合があります。払い戻しや年間上限の扱いは、加入先の保険者へ確認してください。

まとめ

高額療養費制度は、2026年8月に月額上限の見直しと年間上限の新設、2027年8月に所得区分の細分化が行われます。受診月と所得区分を取り違えると、上限額を誤って判断しかねません。

特に確認したいのは、2027年8月から年収約200万円未満の課税世帯の多数回該当が34,500円へ下がること、70歳以上は外来の個人上限も変わること、そして2027年1月から勤務時間短縮などで報酬が大幅に下がった人向けの特例が予定されていることです。治療が長期にわたる場合は、月額上限だけでなく、多数回該当と年間上限も保険者へ確認しましょう。

公式資料・相談先

  • 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
  • 厚生労働省「高額療養費制度の見直しについて(令和8年8月診療分から)」
  • 全国健康保険協会(協会けんぽ)「高額療養費」
  • 加入している健康保険組合・国民健康保険の窓口

制度内容は2026年9月1日時点。出典:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」厚生労働省「高額療養費制度の見直しについて」厚生労働省「医療保険制度改正法が成立しました」

次に確認すること

制度は、対象・金額・期限・申請先の4点がそろって初めて動けます。次のページで残りを確認してください。

迷ったときの相談先

最終的な支給の可否・金額は、お住まいの市区町村の窓口、年金事務所、ハローワークなどの公的機関が判断します。当サイトは公式情報をもとに整理していますが、申請前に必ず窓口でご確認ください。制度の内容は変更されることがあります。

この記事の調査・編集について

調査・執筆・編集確認:カネさん(給付金プラス運営者)

2021年3月から、給付金・助成金・公的支援制度の情報発信を行っています。記事は、制度の実施機関が公開する案内・募集要項・申請書、所管省庁の法令・通知・公表資料、実施機関の公式FAQを確認して作成しています。AIは調査と構成の補助に使うことがありますが、公開前に運営者が公式資料と照合しています。

本文中の「確認日」は、その時点で公式資料を確認した日付です。最終更新日は記事冒頭に表示しています。制度改正や受付終了が判明した場合は、公開済みの記事も修正・追記します。

記事の誤り、古くなった情報、リンク切れを見つけた場合は、お問い合わせフォームからご連絡ください。内容を確認のうえ修正します。なお、最終的な支給の可否・金額は、市区町村の窓口、年金事務所、ハローワークなどの公的機関が判断します。

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