自立支援医療の「精神通院医療」は、精神科や心療内科への通院でかかる診察代や薬代の負担を軽くする制度です。治療費が心配なときは、通院先や自治体の窓口へ相談してください。
対象になる通院医療費は、一般に3割負担の人なら原則1割になります。所得や治療の状況によって、1か月の自己負担上限も設定されます。
精神障害者保健福祉手帳を持っていなくても申請できます。
情報基準日:2026年10月8日
自立支援医療には、精神通院・更生・育成の3種類がある
自立支援医療は、対象となる治療の医療費を軽くする公費負担医療です。生活費の給付や、返済が必要な貸付とは別の制度です。
認定では、会社員、自営業、フリーランスなどの働き方ではなく、病状、治療、所得などを確認します。
表は横にスクロールできます。
| 種類 | 主な対象 | 治療の範囲 |
|---|---|---|
| 精神通院医療 | 精神疾患で通院治療を続ける人 | 外来・薬・デイケア・訪問看護等 |
| 更生医療 | 18歳以上で身体障害者手帳があり、障害を除去・軽減する治療を受ける人 | 人工透析など、効果が期待できる認定された治療 |
| 育成医療 | 18歳未満で身体に障害があり、治療で改善が期待できる子など | 認定された手術などの治療 |
このページでは精神通院医療を詳しく説明します。身体の障害の治療については、市区町村へ「更生医療か育成医療の対象ですか」と相談してください。
精神通院医療では精神障害者保健福祉手帳は必須ではありませんが、更生医療には身体障害者手帳の要件があります。利用する制度の種類を確認して申請してください。厚生労働省の3種類の説明
今日できること:通院先の受付や精神保健福祉士へ「自立支援医療を使えるか相談したい」と伝え、住民票のある市区町村の障害福祉窓口へ必要書類を確認してください。
自立支援医療(精神通院医療)とは
精神疾患のため、入院ではなく通院による治療を続ける必要がある人の医療費を軽くする公費負担医療制度です。うつ病、躁うつ病、統合失調症、不安障害、PTSD、依存症、認知症、てんかんなどが対象になり得ます。
指定自立支援医療機関の医師が、通院治療を継続する必要がある状態と判断し、自治体が認定します。病名に加えて、治療を続ける必要性も確認されます。
3割負担と1割負担の支払額を比べる
たとえば、その月の対象医療費が合計1万円なら、3割負担では3,000円、1割負担では1,000円です。医療費が3万円なら、9,000円から3,000円になります。
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| その月の対象医療費 | 3割負担 | 自立支援医療の1割負担 |
|---|---|---|
| 10,000円 | 3,000円 | 1,000円 |
| 30,000円 | 9,000円 | 3,000円 |
| 70,000円 | 21,000円 | 7,000円 |
実際の支払いは保険診療分、自治体の上乗せ助成、自己負担上限などで変わります。
月額上限が設定される人もいる
1割負担になった後も、所得に応じて月の上限が設けられます。
判定に使う「世帯」は、原則として受診する本人と同じ公的医療保険に加入する人を単位にします。住民票上の世帯とは異なります。
| 主な所得区分 | 負担上限月額の目安 |
|---|---|
| 生活保護世帯 | 0円 |
| 市町村民税非課税・本人収入が一定以下 | 2,500円 |
| 市町村民税非課税・上記以外 | 5,000円 |
| 課税世帯で「重度かつ継続」に該当 | 所得に応じ5,000円、10,000円または20,000円 |
課税世帯で「重度かつ継続」に該当しない場合は、1割負担にはなっても、この制度独自の月額上限が設定されない場合があります。
一定所得以上で「重度かつ継続」に該当しない人は、対象外になる場合もあります。最終的な区分と金額は受給者証で確認してください。
「重度かつ継続」は病名や治療の必要性などで判定される
「重度かつ継続」は、病名や継続的な治療の必要性などで判定されます。統合失調症、うつ病・躁うつ病などの気分障害、認知症等の脳機能障害、依存症、てんかんなどは対象になり得ます。
一定の経験を持つ医師が、計画的・集中的な精神医療を継続して必要と判断した場合や、医療保険の高額療養費で多数回該当となった場合も、対象になることがあります。
該当するかは、診断書を作成する医師や自治体へ確認してください。
対象になる費用
受給者証に記載された指定自立支援医療機関で、認定された精神疾患の通院治療として行われる保険診療が対象です。
- 精神科・心療内科などの外来診療
- 精神疾患の治療に必要な検査・薬
- 登録した薬局で受け取る処方薬
- 精神科デイケア・ショートケア
- 医師の指示による精神科訪問看護
詳しくは自立支援医療で使える費用・使えない費用に整理しています。
薬局は受給者証への登録が必要
院外処方の薬代も、指定自立支援医療機関である薬局が受給者証に記載されていれば対象になります。
病院だけ登録して薬局を申請していなかった場合や、転居・営業時間の都合で別の薬局を使った場合は、1割が適用されないことがあります。
病院や薬局を変えるときは、先に市区町村の窓口で変更申請をしてください。変更前の受診分へさかのぼって適用されないのが原則です。
訪問看護・デイケアの条件
訪問看護ステーションやデイケアも、指定自立支援医療機関として登録され、主治医が精神疾患の治療上必要と判断したものが対象です。
介護保険の訪問看護や、精神疾患と関係のない目的で利用するサービスなどは、扱いが異なります。
利用開始前に、主治医、訪問看護ステーション、市区町村の担当窓口へ「自立支援医療の対象として受給者証に載るか」を確認してください。
対象にならない費用
精神科の入院医療、精神疾患と関係のない病気やけがの治療、保険外のカウンセリング、診断書料、差額ベッド代、交通費などは対象外です。
受給者証に記載されていない病院・薬局を利用した場合も、原則として軽減されません。
申請の流れ
- 通院先の医師、受付、精神保健福祉士へ制度を利用したいと相談する
- 市区町村の障害福祉課・保健福祉課などで申請書と必要書類を確認する
- 診断書、医療保険情報、所得確認書類、マイナンバー確認書類などを用意する
- 利用する病院・薬局・訪問看護ステーションを記入して申請する
- 受給者証が届いたら、受診のたびに自己負担上限額管理票と一緒に提示する
申請前に支払った医療費へさかのぼって適用することは原則できません。治療費が苦しいと感じた段階で、書類が全部そろうのを待たずに窓口へ相談してください。
必要書類、受給者証が届く前の受診、更新については自立支援医療の申請・更新の記事で説明しています。
申請に必要なもの
一般的には次の書類を用意します。
- 自立支援医療費支給認定申請書
- 指定医療機関の医師が作成した診断書
- 医療保険の加入関係を確認できる書類
- 同じ医療保険世帯の課税・非課税状況を確認できる書類
- 非課税世帯では、障害年金など本人収入を確認できる書類
- マイナンバーと本人確認の書類
- 利用する病院、薬局、訪問看護ステーションの名称・所在地が分かるもの
自治体が税情報を確認できる場合は、課税証明書などを省略できることがあります。
精神障害者保健福祉手帳と同時に申請するときや、更新時に病状・治療方針が変わっていないときは、診断書を省略できる場合もあります。
適用は原則として申請日から
新規申請は、市区町村が申請を受理した日からの適用が基本です。申請前に支払った診察代や薬代へ、後からさかのぼって適用することは原則できません。
郵送申請では、消印日ではなく自治体への到着日を申請日とする自治体もあります。
診断書の準備に時間がかかるときは、書類をそろえている段階で市区町村へ相談してください。仮受付が可能かどうかは、自治体によって異なります。
受給者証が届く前に受診するとき
受給者証の交付には時間がかかることがあります。申請時に渡された本人控えや受付票を持参し、病院と薬局へ「自立支援医療を申請中です」と伝えてください。
いったん通常の負担割合で支払い、受給者証が届いた後に、医療機関や薬局で精算できる場合があります。
精算方法や期限は自治体・医療機関によって異なります。領収書と明細書を保管してください。
受給者証を受け取ったら
受給者証が届いたら、氏名、有効期間、自己負担上限月額、病院・薬局・訪問看護ステーションを確認してください。
受診時には受給者証と自己負担上限額管理票を提示し、複数の利用先で支払った額を管理票へ記入してもらいます。月の累計が上限に達した後は、その月の対象医療について原則追加負担はありません。
有効期間と更新
受給者証の有効期間は1年以内です。継続する場合は更新が必要で、おおむね有効期限の3か月前から申請できます。
病状や治療方針に変更がなければ、診断書は2回に1回省略できる場合があります。
転院、薬局・訪問看護の変更、引っ越し、健康保険の変更があったときも手続きが必要です。変更前に市区町村へ相談してください。
病院を変えなくても、薬局や訪問看護を変えるときは受給者証の変更対象になり得ます。自立支援医療の軽減は、受給者証に記載された指定自立支援医療機関での医療に限られます。
新しい病院・薬局・訪問看護事業者が指定機関かを確認し、利用前に市区町村へ変更申請と適用開始日を確認してください。紹介状を受け取っただけでは、登録先は自動で変わりません。厚生労働省の制度案内
変更手続きが必要なとき
転院、薬局や訪問看護ステーションの変更、住所・氏名・健康保険の変更があったときは、市区町村へ届け出てください。
新しい医療機関を利用してから変更申請しても、受診済みの費用にさかのぼって適用されないのが原則です。
制度全体と負担上限は精神科の通院費が高い人へ|自立支援医療の総合案内、対象になる費用は薬局・訪問看護・デイケアも対象になるかの記事で確認できます。
非課税世帯の収入基準と、2027年3月までの特例
非課税世帯の月額2,500円と5,000円を分ける本人収入の基準は、年金額の改定に合わせて変わります。2026年7月以降、横浜市は本人収入82万6,500円以下を月2,500円と案内しています。
障害年金など税金がかからない収入も判定に含まれます。受診者が18歳未満の場合は、保護者の収入で判断します。横浜市の現行説明
市町村民税所得割23万5,000円以上の一定所得世帯でも、「重度かつ継続」に該当する人は、月額上限2万円で対象になる経過的特例があります。公表されている期限は2027年3月31日です。
2027年4月以降の利用については、期限の延長や受給者証の扱いを自治体へ確認してください。厚生労働省の特例期限
受給者証・病院・薬局の変更は、利用する日に間に合うよう相談する
受給者証に登録していない薬局を使うときは、変更申請の日を確認してください。横浜市では指定薬局に限り、調剤当日中の変更申請でも対象になると案内しています。
当日申請の扱いは横浜市の案内です。別の薬局を使う必要が生じたら、その日のうちに自治体と薬局へ連絡し、自分の自治体での扱いを確認してください。横浜市の薬局変更の案内
障害年金や傷病手当金は生活費の支援で、自立支援医療とは目的が異なります。受給している給付を申請時に申告し、所得の判定や他の医療費助成との調整を窓口へ確認してください。
治療費に加えて食費・家賃も苦しいときは、生活困窮者自立支援窓口や福祉事務所にも相談できます。
治療費が苦しいときは、通院先や福祉窓口へ相談する
診察や薬を自己判断で中断すると、症状が悪化することがあります。支払いが難しいときは、主治医や病院の医療ソーシャルワーカー・精神保健福祉士へ「治療費が払えず困っている」と伝えてください。
相談先には、市区町村の障害福祉窓口や精神保健福祉センターもあります。
自立支援医療以外にも、自治体独自の医療費助成、高額療養費、生活保護の医療扶助、無料低額診療事業などを案内してもらえる場合があります。
公式情報
※情報基準日:2026年10月8日。所得区分、必要書類、指定医療機関、自治体独自の助成は、お住まいの市区町村の案内を確認してください。


