業務改善助成金2026|賃上げ・設備投資の対象、上限、申請期限

助成金・補助金

業務改善助成金2026(令和8年度)は、事業場内最低賃金を引き上げ、生産性向上につながる設備投資などを行う中小企業・小規模事業者を支援する制度です。この記事では、50円・70円・90円コースの助成上限、助成率、対象設備、申請期間、交付決定前に購入してはいけない注意点をまとめます。

確認日:2026年8月2日
令和8年度の厚生労働省資料をもとに整理しています。都道府県別の地域別最低賃金の発効日や予算残額によって、申請期限・受付状況が変わることがあります。申請前に、必ず厚生労働省の公式ページで最新の様式と申請先を確認してください。

先に確認したいポイント

確認項目 令和8年度の概要
何を支援する制度か 事業場内最低賃金の引き上げと、生産性向上につながる設備投資など
賃上げコース 対象労働者1人あたり50円・70円・90円のいずれか
助成率 事業場内最低賃金が1,050円未満なら4/5、1,050円以上なら3/4
申請開始 2026年9月1日
申請締切 地域別最低賃金の発効日前日と2026年11月30日の早い方
事業完了 交付決定を受けた年度の1月31日まで(令和8年度なら2027年1月31日)

この制度は、申請すれば先にお金を受け取れる給付金ではありません。原則として、交付決定を受けてから設備を導入し、賃上げなどを実施し、実績報告を行った後に助成金が支給されます。交付決定前に購入・契約した設備は対象外になり得るため、発注を急がないことが重要です。

業務改善助成金とは

業務改善助成金は、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げるとともに、機械設備の導入、業務システムの導入、専門家による業務改善支援などを行う事業者を支援する制度です。

ここでいう事業場内最低賃金は、事業場で働く労働者の時間給のうち、最も低い賃金を指します。都道府県の地域別最低賃金と同じものではありません。申請前に、事業場ごとに賃金台帳や雇用契約書を確認し、誰の賃金が最低かを整理しておきましょう。

助成額は、次のうち少ない方です。

  • 助成対象経費に助成率を掛けた額
  • 賃上げする労働者数とコースによって決まる助成上限額

たとえば、90円コースで対象労働者が8人、事業場内最低賃金が1,050円未満の場合、上限は450万円です。助成対象経費が600万円なら、4/5を掛けた額は480万円ですが、上限額が450万円のため、助成額の上限は450万円になります。

対象になる事業場・労働者

主な確認事項は次のとおりです。

  • 制度上の中小企業・小規模事業者に該当すること
  • 申請する事業場に、賃金を支払っている労働者がいること
  • 事業場内最低賃金を、選択したコースの額以上引き上げること
  • 賃上げと設備投資を、交付決定後に行うこと
  • 対象労働者について、雇用保険の加入状況、勤務時間、雇入れからの期間などの要件を満たすこと

令和8年度は、対象労働者について、原則として雇用保険の被保険者で、週20時間以上働き、申請時点で雇入れ後6か月を経過していることが確認ポイントになります。対象労働者の範囲や除外される労働者は、申請時の交付要綱・申請様式で必ず確認してください。

従業員がいない事業場は、賃上げの確認ができないため対象になりません。また、対象労働者の一部だけをコース額以上に引き上げるのでは足りない場合があります。賃上げ対象者を一覧にし、引上げ前後の時間給を計算しておくと安全です。

50円・70円・90円コースの助成上限

コースは、対象労働者1人あたりの賃上げ額です。対象労働者が複数いる場合は、カウントした労働者全員について、選んだコース額以上の引き上げが必要です。対象者数には、事業場内最低賃金の労働者だけでなく、賃上げによって最低賃金を下回ることになる一定範囲の労働者が含まれる場合があります。

以下の表は、令和8年度リーフレットの助成上限です。左欄は事業場規模30人未満の事業者、右欄は右記以外の事業者です。

50円コース

賃上げ対象労働者数 事業場規模30人未満 右記以外
1人 40万円 30万円
2~3人 70万円 40万円
4~5人 70万円 70万円
6~7人 90万円 90万円
8人以上 110万円 110万円
10人以上(特例事業者) 130万円 130万円

70円コース

賃上げ対象労働者数 事業場規模30人未満 右記以外
1人 50万円 40万円
2~3人 100万円 50万円
4~5人 130万円 130万円
6~7人 180万円 180万円
8人以上 230万円 230万円
10人以上(特例事業者) 300万円 300万円

90円コース

賃上げ対象労働者数 事業場規模30人未満 右記以外
1人 100万円 90万円
2~3人 240万円 150万円
4~5人 270万円 270万円
6~7人 360万円 360万円
8人以上 450万円 450万円
10人以上(特例事業者) 600万円 600万円

※「10人以上(特例事業者)」の上限は、一般の8人以上の行とは別の特例です。特例事業者の要件を満たすかどうかは、賃金水準や物価高等の要件を含めて公式資料で確認してください。

助成率は4/5または3/4

助成率は、申請する事業場内最低賃金によって異なります。

申請時の事業場内最低賃金 助成率
1,050円未満 4/5(80%)
1,050円以上 3/4(75%)

助成率を掛ける対象は、交付要綱で認められる助成対象経費です。見積書に含まれる費用がすべて対象になるとは限らないため、設備の目的、導入効果、既存設備との関係を説明できるようにしておきましょう。

対象になりやすい設備投資

対象経費は、事業場内最低賃金の引き上げと生産性向上につながるものです。令和8年度リーフレットには、次のような例が示されています。

  • POSレジや在庫管理など、業務を効率化する機器・システム
  • 顧客管理システムや予約・受注管理システム
  • 荷物の積み下ろしなどを効率化する、リフト付き特殊車両
  • 顧客回転率や作業の流れを改善するための専門家による業務改善指導

単に高価な機械を買うだけではなく、導入によってどの作業が短縮され、どのように賃上げと結び付くのかを申請書で説明する必要があります。導入前の作業時間、処理件数、待ち時間などを記録しておくと、計画と実績を説明しやすくなります。

特例事業者とパソコン・タブレットの扱い

事業場内最低賃金が1,050円未満で、物価高等の影響によって一定の要件を満たす事業者は、特例事業者として扱われる場合があります。令和8年度は、直近6か月の利益率の平均が前年同期と比べて3ポイント以上低下していることなど、追加の確認事項があります。

特例事業者では、公式リーフレットの要件を満たす場合に限り、新しいパソコン、スマートフォン、タブレット、周辺機器などが対象経費に含まれ得ます。パソコン等を対象にする場合は、事業場内最低賃金を1,100円以上とすることや、新規取得に限ることなど、追加の条件があります。単なる買い替えや私用と区別できないものは認められない可能性もあるため、購入前に必ず申請先へ確認してください。

なお、令和8年度は、特殊用途車両を除く普通自動車が対象外になっています。車両を導入する計画がある場合は、車種と用途を申請前に確認しましょう。

令和8年度の申請期間と完了期限

申請期間

申請は2026年9月1日から始まります。締切は、次のうち早い方です。

  • 申請する都道府県の地域別最低賃金が発効する日の前日
  • 2026年11月30日

地域別最低賃金の発効日は都道府県ごとに異なります。全国一律で11月30日まで申請できるとは限らないため、所在地の発効日を確認してください。また、予算の上限に達すると、締切日前に受付が終了することがあります。

賃上げと事業完了

賃上げの実施期間も、原則として2026年9月1日から地域別最低賃金の発効日前日までです。地域別最低賃金に合わせて賃上げする場合は、発効日前日までに引き上げを完了させる必要があります。

設備の納品・支払い、賃上げ、その他の事業完了に必要な手続きは、交付決定を受けた年度の1月31日までに完了させます。令和8年度の交付決定なら、基本の完了期限は2027年1月31日です。やむを得ない事情があり、事前に理由を示して認められた場合に限り、3月31日まで延長できる場合があります。

申請から受給までの流れ

  1. 事業場ごとに最低賃金、対象労働者、賃上げ額を確認する
  2. 導入する設備と、生産性向上の効果を整理する
  3. 見積書、賃金台帳、就業規則など、必要書類をそろえる
  4. 都道府県労働局など、指定された申請先へ交付申請する
  5. 交付決定を受けてから、設備の契約・導入と賃上げを行う
  6. 納品、支払い、賃金引き上げを確認し、実績報告を行う
  7. 助成額の確定後、請求手続きをして助成金を受け取る

電子申請はJグランツを利用できます。電子申請には、原則としてGビズIDプライムが必要です。GビズIDの取得に時間がかかる場合があるため、電子申請を予定している事業者は早めに準備しましょう。

申請書の提出先、紙申請の可否、見積書の取り方、賃上げの確認方法は、都道府県によって案内が分かれることがあります。公式ページから所在地の申請先を確認してください。

対象外になりやすいケース

  • 交付決定前に、設備を購入・契約・導入している
  • 選んだコース額に満たない賃上げになっている
  • 対象労働者の一部だけを引き上げ、他の対象者の賃金が条件を満たしていない
  • 設備投資と賃上げの関係、生産性向上の効果を説明できない
  • 通常の買い替えや、事業場で使うことが確認できない機器を申請している
  • 地域別最低賃金の発効日や事業完了期限を過ぎている
  • 同じ事業場で年度内に複数回申請している

特に多い失敗は、採択・交付決定を待たずに発注してしまうことです。業者との相談や見積取得は早めに進めても、契約・発注・購入のタイミングは、交付決定後かどうかを必ず確認してください。

ほかの助成金との違い

給付金プラスで紹介している他の制度と目的が異なります。

制度 主な目的 向いているケース
業務改善助成金 事業場内最低賃金の引き上げと設備投資 賃上げと業務効率化を同時に進めたい
キャリアアップ助成金 非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善 雇用形態の転換や賃金規定の改定を行いたい
人材開発支援助成金 職業訓練にかかる経費や訓練中の賃金 従業員の研修・訓練を行いたい

キャリアアップ助成金2026人材開発支援助成金2026と併用できるかは、経費や賃上げ内容の重複、各制度の要件によって判断されます。重複受給を前提に計画せず、申請先に確認してください。

申請前チェックリスト

  • □ 申請する事業場に労働者がいる
  • □ 事業場内最低賃金と地域別最低賃金を区別して確認した
  • □ 50円・70円・90円のどのコースにするか決めた
  • □ 対象労働者全員の引き上げ前後の時間給を計算した
  • □ 対象設備が生産性向上と賃上げにつながると説明できる
  • □ 交付決定前に発注・購入しない計画になっている
  • □ 所在地の地域別最低賃金の発効日を確認した
  • □ 2026年11月30日より前に締め切られないか確認した
  • □ 交付決定年度の1月31日までに納品・支払い・賃上げを終えられる
  • □ 電子申請の場合はGビズIDプライムを準備した

公式資料・申請先

令和8年度の条件、上限額、対象経費、申請様式は更新される場合があります。申請前に、次の公式資料を確認してください。

設備投資の内容や賃上げ対象者の判断に迷う場合は、申請先の都道府県労働局へ相談してから申請書を作成しましょう。申請前の確認が、交付決定前の購入や対象外経費の計上を防ぎます。

補助金・助成金の準備全般については、補助金申請前にGビズID・Jグランツで準備するものも参考にしてください。

タイトルとURLをコピーしました