地震後、建物に貼られた赤・黄・緑の紙は、り災証明書ではありません。
赤・黄・緑は、余震による倒壊や外壁の落下などから人を守るための「被災建築物応急危険度判定」です。公的支援の申請に使う「り災証明書」、住家以外の被害を届け出たことを示す「被災届出証明書」、保険会社が行う地震保険の損害認定とは、目的も判定基準も異なります。
令和8年熊本地震について、熊本県の応急危険度判定活動は2026年8月12日に終了しました。一方、熊本市では、住家のり災証明書を窓口とマイナポータルで申請できます。
赤や黄色の紙が貼られた人も、何も貼られていない人も、公的支援にり災証明書が必要なら別に申請してください。
2026年8月24日時点の結論
| 確認したいこと | 現在の扱い |
|---|---|
| 赤・黄・緑の応急危険度判定 | 熊本県内の判定活動は8月12日に終了 |
| 住家のり災証明書 | 熊本市は窓口・マイナポータルで申請可能 |
| 熊本市の窓口時間 | 月~金曜の午前9時~午後4時(祝日を除く) |
| 一部損壊の写真判定 | 条件を満たせば窓口で即日交付される場合がある |
| 現地調査後の交付 | 準備ができた人から市が個別に連絡 |
| 判定に納得できない場合 | り災証明書を受け取った後、二次調査・再調査を申請できる |
| 被災届出証明書 | 住家り災証明の対象外となる建物・家財などで確認 |
熊本市の公式ページには、2026年8月24日時点で令和8年熊本地震に関するり災証明書の申請期限が掲載されていません。ただし、今後期限が設定される可能性があります。写真と必要書類を準備し、先延ばしにせず申請してください。
熊本市以外の市町村では、申請先、必要書類、受付時間、自己判定方式の扱いが異なります。被災した住宅がある市町村の公式案内を確認してください。
まず確認|自分は何を申請すればいいか
Q1 被害を受けたのは、住んでいる家(住家)ですか?
Q2 建物に赤・黄・緑の紙が貼られていますか?
いない熊本県の判定活動は2026年8月12日に終了しました。り災証明書の申請には影響しません。
Q3 地震保険に加入していますか?
混同しやすい4つの「判定」の違い
地震のあとに出てくる4つの判定は、実施する主体も目的もすべて別です。ひとつでも取り違えると、受けられる支援を逃します。
| 応急危険度判定 (赤・黄・緑の紙) |
り災証明書 | 被災届出証明書 | 地震保険の損害認定 | |
|---|---|---|---|---|
| 誰が判定するか | 応急危険度判定士 (自治体が実施) |
市町村 | 市町村 (届出を受理) |
保険会社 |
| 何のための判定か | 余震による二次災害から 人を守る |
公的支援の申請に使う住家の被害程度の認定 | 住家以外の被害を 届け出た事実の証明 |
保険金の支払額を決める |
| いつ行われるか | 地震直後 熊本県は2026年8月12日に終了 |
申請してから調査 | 申請時 | 保険会社へ連絡してから |
| 結果の区分 | 危険(赤)/要注意(黄)/調査済(緑) | 全壊・大規模半壊・中規模半壊・半壊・準半壊・一部損壊など | 被害程度の認定はしない | 全損・大半損・小半損・一部損 |
| 自分で申請するか | 不要(自治体が実施) | 必要 | 必要 | 必要(保険会社へ連絡) |
特に間違えやすい3点:
①赤い紙は「危険」の表示であって、全壊認定でも解体命令でもありません。
②紙が貼られていてもいなくても、り災証明書は別に申請が必要です。
③り災証明書が全壊でも、地震保険が自動的に全損になるとは限りません。
赤・黄・緑、り災証明書、地震保険は別の判定
| 制度・書類 | 目的 | 結果 | 主な確認先 |
|---|---|---|---|
| 被災建築物応急危険度判定 | 余震などによる二次災害を防ぐ | 危険(赤)・要注意(黄)・調査済(緑) | 市町村の建築・防災担当 |
| り災証明書 | 公的支援に使う住家被害の程度を証明する | 全壊・大規模半壊・中規模半壊・半壊・準半壊・一部損壊など | 被災した住宅がある市町村 |
| 被災届出証明書 | 住家り災証明の対象外となる被害を届け出た事実を証明する | 被害程度の認定ではなく、届出の証明 | 市町村の指定窓口 |
| 地震保険の損害認定 | 保険金の支払いを判断する | 全損・大半損・小半損・一部損 | 加入している保険会社・代理店 |
赤い紙が貼られても、り災証明書で全壊と認定されたわけではありません。反対に、緑の紙だから公的支援の対象外と決まったわけでもありません。
それぞれ別の手続きとして進めます。
熊本県の応急危険度判定は8月12日に終了
熊本県は、令和8年熊本地震の翌日となる7月29日から、要請があった市町へ判定士を派遣しました。7市町と熊本市の判定箇所について、8月12日にすべての判定活動を終了しています。
8月12日現在の速報値は次のとおりです。
| 市町村 | 判定棟数 | 危険・赤 | 要注意・黄 | 調査済・緑 |
|---|---|---|---|---|
| 熊本市 | 2,253棟 | 117棟 | 347棟 | 1,789棟 |
| 八代市 | 2,214棟 | 479棟 | 355棟 | 1,380棟 |
| 宇土市 | 47棟 | 6棟 | 6棟 | 35棟 |
| 宇城市 | 2,250棟 | 583棟 | 515棟 | 1,152棟 |
| 美里町 | 292棟 | 62棟 | 85棟 | 145棟 |
| 嘉島町 | 145棟 | 7棟 | 11棟 | 127棟 |
| 氷川町 | 1,895棟 | 486棟 | 264棟 | 1,145棟 |
| 芦北町 | 457棟 | 29棟 | 85棟 | 343棟 |
| 合計 | 9,553棟 | 1,769棟 | 1,668棟 | 6,116棟 |
数字は速報値で、変更される場合があります。また、活動終了後に建物の状態が安全になったという意味ではありません。余震、雨、片付け作業などで傾きや亀裂が広がった場合は、自分で建物へ入らず、市町村の建築・防災担当へ相談してください。
赤・黄・緑の紙は何を意味する?
被災建築物応急危険度判定は、地震直後に建築物を応急的に調べ、二次災害を防ぐ制度です。
| 色 | 表示 | 受け止め方 |
|---|---|---|
| 赤 | 危険 | 立入りは危険。自分の判断で入らない |
| 黄 | 要注意 | 立ち入る場合に十分な注意が必要。紙に書かれた注記を確認する |
| 緑 | 調査済 | 応急的な調査が済んだことを示す。将来にわたる安全保証ではない |
紙には、建物の傾き、外壁や瓦の落下、周囲の建物の倒壊など、注意すべき理由が記載される場合があります。色だけでなく、書かれた内容も確認してください。
赤の場合は、通帳、薬、印鑑などを取りに戻りたい場合でも、先に市町村や消防へ相談します。写真を撮るために危険な建物へ入ってはいけません。
赤紙でも全壊や取り壊しが決まったわけではない
応急危険度判定は、地震直後の限られた調査で、人命に関わる危険を知らせるものです。赤い「危険」の紙は、り災証明書の全壊認定ではなく、解体命令でもありません。
建物を修理できるか、解体が必要かは、建築士などによる詳しい調査や所有者の判断、公的支援の要件を踏まえて検討します。
危険な建物には入らず、次の手続きを並行して進めてください。
- 安全な場所から建物と被害箇所を撮影する
- 市町村へ住家のり災証明書を申請する
- 加入している保険会社へ被害を連絡する
- 修理・解体前に必要な写真、見積書、申請条件を確認する
熊本市でり災証明書を申請できる人
熊本市の住家り災証明書は、災害で実際に住んでいた住宅に被害を受けた世帯が対象です。所有者か賃借人かにかかわらず、被災時に住んでいた世帯の世帯主が申請できます。
マンションの共用部分に被害を受けた場合は、管理組合などが申請できます。管理組合名と代表者が分かる管理規約、総会議事録などが必要です。
カーポート、倉庫、門扉、家財などは、住家のり災証明書の対象外です。これらは後述する被災届出証明書を確認します。
店舗、事業所、工場、農林水産業関係は住家と窓口が異なります。熊本市では、事業者関係は商業金融課、農林水産業関係は農業支援課が案内しています。
熊本市は窓口とマイナポータルで申請できる
熊本市では、窓口またはマイナポータルから申請できます。
窓口は、各区役所福祉課と総合出張所です。住んでいる区以外の窓口でも申請できます。通常の受付時間は、月曜から金曜の午前9時から午後4時までです。祝日は除きます。
窓口申請では、被害認定調査を申し込み、市が現地調査を行います。調査と交付準備が完了した人から、市が個別に連絡します。通常は申請した窓口で証明書を受け取ります。
遠方へ避難して窓口へ行けない場合は、申請前に熊本市の窓口へ相談してください。
マイナポータルの「自己判定方式」を選ぶ前に確認
マイナポータル申請では、マイナンバーカードと被害写真を用意します。
熊本市の案内では、現地調査を希望する場合、申請画面にある自己判定方式のチェックを入れずに進みます。チェックを入れると、写真による自己判定方式で「準半壊に至らない(一部損壊)」として証明書が発行されます。
自己判定方式は、被害が軽微で、一部損壊という結果に申請者が同意できる場合の簡素化手続きです。半壊以上の可能性がある、基礎や柱の損傷が分からない、判定区分を自分で決められないという場合は、自己判定方式を選ぶ前に自治体へ確認してください。
内閣府の資料でも、写真だけで明らかに一部損壊と判断できない場合や、申請者が結果に同意できない場合は、通常の現地調査を行うとされています。
申請前に撮っておく写真
- 建物の全景(できれば4方向から)
- 被害箇所の寄りの写真(ひび、傾き、瓦や外壁の落下箇所)
- 建物の表札・住所が分かるもの
- 室内の被害(家財を含む)
- 浸水がある場合は浸水した高さが分かるもの
安全が最優先です。赤い紙が貼られた建物には、写真のために立ち入らないでください。安全な場所から撮影できる範囲で構いません。
申請時に用意する書類と写真
熊本市の案内を基に、申請前に確認するものを整理します。
| 書類・資料 | 必要になる場面 |
|---|---|
| 申請書 | 窓口申請 |
| 本人確認書類 | 運転免許証、マイナンバーカードなど |
| 被害写真 | 自己判定方式や写真による一部損壊の申請では必須 |
| 修繕見積書・領収書 | 写真判定の資料として使用できる場合がある |
| 生活の本拠を示す資料 | 住民票の住所と被災住所が異なる場合。光熱水費の領収書など |
| 委任状 | 本人・同一世帯員以外が交付を受ける場合 |
| 管理規約・総会議事録など | マンション共用部分を管理組合が申請する場合 |
| 住宅の外観写真 | 必須ではないが、建物の所在地確認と調査が進めやすくなる |
通常の現地調査を申し込む場合、被害写真が一律の必須書類とは限りません。それでも、修理や片付け前の写真は、被害認定、保険、修理制度の確認に使えるため残してください。
撮影するのは、次の箇所です。
- 建物全体が分かる外観を複数の方向から撮る
- 屋根、外壁、基礎、柱、窓などの被害を、全体と近景で撮る
- 室内は部屋全体と被害箇所の両方を撮る
- 浸水した場合は、メジャーなどを添えて浸水痕の高さを撮る
- 赤・黄・緑の紙と、紙に書かれた注意事項を撮る
- 修理や撤去の前後、見積書、契約書、領収書を残す
安全な場所から撮影し、危険な建物には入らないでください。
一部損壊は写真確認で即日交付される場合がある
熊本市では、現地調査を希望せず、一部損壊の判定でよい場合、被害写真などを窓口で確認して即日交付する扱いがあります。
ただし、資料が不足している場合や、聞き取りだけでは被害を確認できない場合は、当日発行されないことがあります。「窓口へ行けば必ず即日」ではありません。
一部損壊より重い被害の可能性がある場合は、早さだけで自己判定方式を選ばず、現地調査を申し込むか窓口へ相談してください。り災証明書の判定区分によって、対象となる支援が変わる場合があります。
交付の連絡と二次調査・再調査
現地調査を申し込んだ場合、熊本市は調査と交付準備が完了した人から個別に連絡します。受け取りには、本人確認書類と、市から送られる「調査完了のお知らせ」、申請時に不足していた書類が必要です。
一次調査の結果に納得できない場合は、り災証明書を受け取った後、二次調査・再調査を申請できます。
再調査を考える場合は、次の資料を保管してください。
- 交付されたり災証明書
- 被害箇所の写真と撮影日
- 応急危険度判定の紙
- 建築士や修理業者の調査記録・見積書
- 被害が広がったことが分かる写真
再調査の結果、最初の判定と同じになる場合もあります。申請方法と提出資料は、交付窓口へ確認してください。
被災届出証明書は「届出をした事実」の証明
熊本市では、住家り災証明書の対象とならない建物や家財などについて、被害の届出があったことを証明する被災届出証明書を交付しています。
被災届出証明書は、全壊・半壊といった被害程度を認定する書類ではありません。提出先の制度や保険会社が、その書類で受け付けるかを先に確認してください。
申請先は各区役所福祉課・総合出張所です。郵送する場合は、申請書と、110円切手を貼って住所・宛名を書いた返信用封筒を、住んでいる区の福祉課へ送ります。
地震保険の判定は保険会社が行う
地震保険では、契約内容と損害状況を基に、保険会社が全損・大半損・小半損・一部損などを判定します。
日本損害保険協会も、地震保険の損害認定と自治体が交付するり災証明書では目的が異なると案内しています。り災証明書が全壊でも地震保険が自動的に全損になるとは限らず、赤い紙だけで保険金額が決まることもありません。
修理や片付けを始める前に、加入している保険会社または代理店へ連絡し、必要な写真と確認手順を聞いてください。
り災証明書を受け取った後に確認する支援
り災証明書は、受け取っただけで給付金が自動的に振り込まれる書類ではありません。支援制度ごとに申請が必要です。
確認する制度は、被害区分、世帯状況、住宅の修理・再建方法によって変わります。
制度によっては、修理や解体に着手する前の申請・確認が必要です。見積書が出た段階で、自治体と保険会社へ相談してください。
り災証明書についてよくある質問
赤い紙があれば、り災証明書の申請は不要ですか?
必要です。赤・黄・緑の紙は応急危険度判定で、り災証明書とは別です。公的支援に証明書が必要なら市町村へ申請してください。
緑の紙なら、り災証明書は申請できませんか?
緑は応急的な調査が済んだことを示すもので、公的な住家被害認定ではありません。住宅に被害があり、支援などで証明書が必要なら申請できます。
賃貸住宅でも申請できますか?
熊本市では、住宅の所有にかかわらず、被災時に住んでいた世帯の世帯主が申請できます。建物所有者と入居者では必要とする証明や手続きが異なることがあるため、窓口へ確認してください。
写真がなければ申請できませんか?
通常の現地調査を希望する場合、熊本市は被害写真を一律の必須書類としていません。ただし、自己判定方式や写真による一部損壊の申請では写真が必要です。写真がない場合も、まず窓口へ相談してください。
熊本市では、自分が住む区以外でも申請できますか?
申請できます。熊本市は、各区福祉課と総合出張所で、住んでいる区以外からの申請も受け付けています。
り災証明書の申請期限はいつですか?
2026年8月24日時点の熊本市公式ページでは、令和8年熊本地震の申請期限を確認できません。期限がないという意味ではないため、最新の公式ページを確認し、必要なら早めに申請してください。
判定結果に納得できない場合はどうしますか?
一次調査のり災証明書を受け取った後、二次調査・再調査を申請できます。写真や見積書など、被害状況を確認できる資料を持って交付窓口へ相談してください。


