2026年の「年収の壁」は、税金と社会保険で基準も適用時期も異なります。特に、所得税の178万円、配偶者控除等の169万円、社会保険の106万円・130万円を同じ意味で扱わないことが大切です。2026年8月7日時点の公的資料で整理します。
2026年の主な年収の壁
| 目安 | 主な制度 | ポイント |
|---|---|---|
| 178万円 | 本人の所得税 | 給与収入だけで、ほかに所得がない場合の課税最低限。令和8年分から適用され、年末調整の実務変更は2026年12月からです。 |
| 169万円 | 配偶者控除・配偶者特別控除 | 一定の要件を満たす場合、配偶者側が38万円の控除を受けられる給与収入の目安です。 |
| 106万円前後 | 勤務先の社会保険 | 現在は月額8.8万円以上などが加入要件。賃金要件は2026年10月に撤廃予定です。 |
| 130万円 | 健康保険の被扶養者・国民年金第3号 | 年間収入見込みが原則130万円以上になると扶養から外れる基準。106万円側の加入要件に該当する人は、そちらが先に適用されます。 |
178万円:本人の所得税がかかり始める目安
令和8年度税制改正により、給与所得控除の最低保障額と基礎控除が引き上げられました。給与収入だけでほかに所得がない場合、2026年分から年収178万円以下なら所得税等はかかりません。
改正の施行は原則2026年12月1日で、2026年分の所得税に適用されます。11月までの毎月の源泉徴収事務は変わらず、年末調整で反映されます。「毎月の給与から直ちに税が引かれなくなる」という意味ではありません。
169万円:配偶者側が38万円の控除を受けられる目安
給与収入が169万円以下で、本人と配偶者の所得などの要件を満たす場合、配偶者側は38万円の配偶者控除または配偶者特別控除を受けられます。以前の記事に記載していた160万円は、2026年分の最新基準ではありません。
169万円を超えると控除が直ちにゼロになるわけではなく、配偶者特別控除が段階的に減る場合があります。また、控除を受ける側の合計所得が900万円を超えると控除額が縮小します。
住民税は「110万円」と一律に言えません
住民税には「均等割」と「所得割」があり、非課税の基準は同じではありません。国税庁の案内では、給与収入だけでほかに所得がない場合、2026年分の改正後の計算で年収119万円以下なら住民税の所得割はかかりません。
一方、均等割の非課税基準は自治体、扶養人数、本人の状況などで変わります。そのため、「住民税は全国一律で年収110万円から」と断定せず、お住まいの市区町村で確認してください。
106万円:2026年10月に賃金要件を撤廃予定
2026年8月時点では、従業員50人超の企業で働く短時間労働者が、週20時間以上、所定内賃金月額8.8万円以上、学生ではないなどの要件を満たすと、勤務先の健康保険・厚生年金に加入します。この月額8.8万円が年収約106万円に当たります。
厚生労働省は、月額8.8万円以上という賃金要件を2026年10月に撤廃予定と案内しています。撤廃後も、週20時間以上などの要件は残り、企業規模要件は段階的に縮小されます。勤務先の規模や労働時間で判断してください。
130万円:被扶養者の収入基準は残ります
勤務先の社会保険に入る106万円側の要件に該当しない人でも、年間収入見込みが原則130万円以上になると、健康保険の被扶養者や国民年金第3号被保険者から外れる可能性があります。
2026年4月1日以降、給与収入だけの人は、労働条件通知書などの契約内容から見込まれる年間収入が130万円未満で、ほかの要件も満たす場合、原則として被扶養者として扱う新しい認定方法が始まりました。賞与や諸手当も賃金に含まれます。契約期間が1年未満、シフトや手当額が不明確などの場合は、この方法を使えないことがあります。
働き方を決めるときの確認順
178万円・169万円という税の目安と、106万円・130万円の社会保険の基準は別制度です。国税庁は、ほかに所得がない場合の給与収入178万円以下では所得税等がかからない例や、配偶者特別控除の判定に169万円以下の目安を示していますが、社会保険の扶養認定や勤務先の加入要件を満たすかは別に確認します。給与だけで「扶養から外れない」と判断せず、税と健康保険・厚生年金を分けて勤務先と保険者へ確認してください。国税庁「家族と税」
- 勤務先の従業員数と、週の所定労働時間を確認する
- 勤務先の社会保険に加入する条件を人事・総務に確認する
- 健康保険の扶養認定は、扶養者の加入先へ確認する
- 税金は年収だけでなく、給与以外の所得や各種控除も確認する
勤務先の配偶者手当・家族手当には会社独自の収入要件がある場合があります。税金や社会保険の基準とは別に就業規則を確認してください。
公的資料
- 国税庁:令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等
- 国税庁:家族と税
- 財務省:令和8年度税制改正の大綱の概要
- 厚生労働省:「年収の壁」への対応
- 日本年金機構:労働契約内容による年間収入での被扶養者の認定
更新履歴
2026年8月7日:配偶者控除等の満額ラインを160万円から169万円に訂正。住民税の均等割と所得割を分け、178万円の適用時期、106万円要件の撤廃予定、130万円の新しい扶養認定を追記しました。
調査・編集確認:カネさん
最終確認:2026年8月7日

