高額療養費支給申請書の書き方|協会けんぽの記入例・必要書類

高額療養費支給申請書の書き方を示す図解 医療・介護

高額療養費の支給申請書を書くときは、いきなり医療機関名や金額を書き始めるのではなく、最初に診療日に加入していた医療保険と診療年月を確認します。協会けんぽ、健康保険組合、国民健康保険では様式や添付書類が違うためです。

協会けんぽの申請書では、被保険者情報、振込先、診療月、受診者、医療機関・薬局、窓口で支払った保険診療分などを記入します。複数月をまとめて請求する場合も、申請書は診療年月ごとに必要です。

この記事では、2026年9月3日時点の協会けんぽの現行案内を中心に、紙の申請書の書き方、電子申請、必要書類、国民健康保険での違い、差し戻されやすい箇所を順番に整理します。

最初に確認する申請先と記入欄

最初に、診療日に加入していた医療保険を確認してください。次の表は、協会けんぽの申請書と手元の資料を対応させたものです。

申請書の欄と確認する資料
記入欄 手元で確認するもの
1ページ目:記号・番号、申請者資格情報のお知らせやマイナポータル。記号・番号を記入する場合、マイナンバーは不要
1ページ目:振込先申請者名義の口座。相続人請求では公金受取口座は利用不可
2ページ目:診療年月支払った月ではなく、診療を受けた月
2ページ目:受診者・医療機関領収書などにある受診者名、医療機関名・所在地
2ページ目:診療期間・支払額その月の保険診療分。食事代・差額ベッド代などは除く
過去分の診療年月申請月以外で、高額療養費を受けた直近の診療年月を確認

注:協会けんぽの様式を対象にした記入補助です。別の保険者の申請書には、そのまま当てはめないでください。

確認日:2026年9月4日

現在は国民健康保険に加入していても、診療時点では協会けんぽだった場合、原則として当時加入していた協会けんぽ支部が申請先です。転職や退職を挟んでいる人は、資格情報のお知らせ、マイナポータルの資格情報、退職時の書類などで加入期間を確認します。

申請期限は、原則として診療月の翌月1日から2年です。期限の具体的な数え方は、高額療養費の申請期限はいつまで?2年の起算日・遡り申請で確認できます。

協会けんぽの申請書は2ページで1件

協会けんぽへの紙の申請は、診療月ごとに申請者情報と診療内容をそろえます。加入先が別の健康保険組合や市区町村の国保なら、その保険者の様式を使ってください。記入欄や添付書類は、提出時に公式の申請書ページから確認します。

1ページ目|被保険者情報と振込先を書く

被保険者の記号・番号

資格情報のお知らせやマイナポータルの健康保険資格情報を見て、記号と番号を記入します。協会けんぽは、記号・番号を記入した場合、マイナンバーの記入は不要と案内しています。

マイナンバーを書くと、番号確認書類と本人確認書類が必要になる場合があります。まず記号・番号を確認し、分からないときだけ加入していた支部へ問い合わせる方が、添付書類を減らせます。

被保険者氏名・住所・連絡先

申請する被保険者の氏名を、カナと漢字の両方で記入します。被扶養者が入院した場合でも、申請者欄には原則として被保険者の情報を書き、実際に治療を受けた人は2ページ目に記入します。

被保険者が亡くなった後に相続人が請求する場合は、申請する相続人の氏名を記入し、続柄が分かる戸籍謄本等を添付します。通常の本人申請と必要書類が異なるため、提出前に支部へ確認してください。

日中に連絡がつく電話番号を書いておくと、不明点があった場合の確認が進みやすくなります。住所や氏名が資格情報と違う場合は、先に変更手続きの要否を確認します。

公金受取口座を使うか選ぶ

振込先は原則として申請者名義の口座です。公金受取口座を使えるのは被保険者本人の申請で、相続人による請求には使えません。相続人が請求する場合は、相続人名義の口座と必要な戸籍書類などを確認してください。現行様式にない「受取代理人欄」を探す必要はありません。代理人による書類提出と、給付を受け取る口座の名義は別の確認事項です。

  • 公金受取口座を希望する:希望欄を選び、画面または様式の案内に従う
  • 希望しない:金融機関名、支店名、預金種別、口座番号、口座名義を記入する

ゆうちょ銀行を指定する場合は、記号・番号ではなく、振込用の店名と口座番号を求められることがあります。通帳やアプリの「他金融機関からの振込用」情報を確認してください。

2ページ目|診療年月と診療内容を書く

診療年月

高額療養費は、毎月1日から末日までの暦月単位で計算します。2026年8月15日から9月10日まで入院した場合は、「2026年8月分」と「2026年9月分」を分けて申請します。

月またぎの計算は、高額療養費は月またぎでどうなる?入院が2か月にまたがる計算で整理しています。

療養を受けた人

実際に病院や薬局を利用した人の氏名と生年月日を記入します。被扶養者の子どもや配偶者が受診した場合は、その人の情報を書きます。

医療機関・薬局の名称

領収書や医療費のお知らせを見ながら、病院、診療所、歯科、薬局の名称と所在地を記入します。同じ月に複数の医療機関を利用した場合は、様式の記入欄に分けて書き、欄が足りないときは2ページ目を続紙として使います。

薬局分は、処方せんを出した医療機関の外来分と合わせて計算される場合があります。自分で対象外と判断せず、同じ月の領収書をまとめて確認します。

病気・ケガの別と診療期間

申請書の「病気」「ケガ」を選び、医療機関ごとの診療期間を記入します。入院・外来の区分は高額療養費の計算を整理するときに必要ですが、現行の協会けんぽ様式には独立した選択欄はありません。医療機関の記入欄が足りないときは、2ページ目を続紙として使えます。業務上・通勤途中のけがや、交通事故など第三者の行為によるけがでは、労災保険や第三者行為届など別の確認が必要になる場合があります。

診療期間

対象月の中で診療を受けた期間を記入します。月をまたぐ場合も、申請する月の範囲だけを書きます。

窓口で支払った自己負担額

記入する中心は、公的医療保険が適用された診療の自己負担額です。病院へ支払った総額を、そのまま写すとは限りません。

費用記入・確認の考え方
保険診療の自己負担高額療養費の計算対象として確認する
入院時の食事代原則として高額療養費の対象外
差額ベッド代原則として対象外
先進医療の技術料保険外部分は原則として対象外
診断書・文書料原則として対象外
自治体などの医療費助成分実際の窓口負担と助成内容を申告する

領収書の「保険適用」「一部負担金」などの欄を見ても分からない場合は、医療機関または保険者へ確認してください。対象外費用は、高額療養費の対象外は何?差額ベッド代・食事代・先進医療で詳しく説明しています。

公費助成があるときの添付書類

子ども医療費助成、ひとり親家庭等医療費助成、障害者医療費助成、指定難病などにより窓口負担が軽くなっている場合は、制度名と実際に支払った金額を確認します。

協会けんぽは、公的制度による助成で窓口負担が減額されている人について、助成対象となった診療の領収書コピーを添付書類として案内しています。助成を受けていないように書くと、後で支給額の調整が必要になるおそれがあります。

多数回該当の欄は同じ保険の加入期間を確認する

申請書には、過去の高額療養費該当月を記入する欄があります。対象月を含む過去12か月以内に3回以上、自己負担限度額を超えた月があると、4回目から多数回該当の上限が適用される場合があるためです。

ただし、保険者や加入状態が変わった場合は、それまでの該当月を通算できないことがあります。次の変更がある方は、過去の支給決定通知と加入期間を支部へ伝えて確認してください。

  • 国民健康保険や別の健康保険組合に加入していた期間
  • 被保険者から被扶養者、または被扶養者から被保険者へ変わる前の期間
  • 被扶養者が別の被保険者の扶養へ移る前の期間

転職、退職、扶養変更がある場合は、過去の支給決定通知を並べて加入先へ確認してください。制度改正後の多数回該当と所得区分は、高額療養費2026・2027年改正で確認できます。

添付書類は全員同じではない

協会けんぽの案内では、申請状況によって次の書類が必要になります。

該当する状況主な添付書類
低所得区分で情報照会を希望しない対象年度の非課税証明書等
公費による医療費助成を受けた助成対象診療の領収書コピー
被保険者が死亡し相続人が請求続柄が分かる戸籍謄本等
記号・番号ではなくマイナンバーを記入番号確認書類と本人確認書類
代理人が申請書類を提出委任状や代理人の本人確認書類など

通常の申請で領収書が必ず添付書類になるとは限りませんが、記入金額の確認や追加照会に備えて保管してください。保険者、助成制度、申請者の状況によって追加書類を求められることがあります。

出典:協会けんぽ「健康保険高額療養費支給申請書」

電子申請なら入力漏れを確認しやすい

協会けんぽは、高額療養費の電子申請を案内しています。スマートフォンやパソコンから、加入者情報、口座情報、申請情報を入力し、必要に応じて書類画像をアップロードします。

電子申請では、提出先支部を自分で選ぶ必要はありません。入力漏れのシステムチェックがあり、申請後の処理状況も確認できます。

一方、電子申請ではマイナンバーが記載された画像をアップロードできないなど、紙と添付方法が異なる点があります。画面に表示される最新の案内を確認してください。

紙で提出する場合は、加入していた協会けんぽ都道府県支部へ郵送します。支部は資格情報のお知らせやマイナポータルで確認できます。

出典:協会けんぽ「電子申請サービス操作ガイド」

国民健康保険は市区町村の様式を使う

協会けんぽの申請書を、市区町村の国民健康保険へそのまま提出することはできません。国保では、住んでいる市区町村が定める申請書と案内を使います。

たとえば大阪市は、国民健康保険の高額療養費支給申請について、支給申請書に加えて申立書(同意書)を案内しています。PDFのほか入力可能なファイル、記入例も公開しています。

自治体によっては、対象世帯へ申請書を送付したり、一度の申出で次回以降の申請を簡素化したりする制度があります。次の点を自治体の案内で確認してください。

  • 申請書が郵送されるのか、自分でダウンロードするのか
  • 窓口、郵送、オンラインのどれで提出できるか
  • 領収書、資格情報、口座情報、本人確認書類の要否
  • 世帯主以外が申請するときの委任状
  • 次回以降の申請を簡素化できるか

出典:大阪市西区「郵送等でできる国民健康保険に関するお手続き」

差し戻しを防ぐ提出前チェック

  1. 診療日に加入していた保険者の最新様式を使っている
  2. 診療年月を記入し、複数月を1件にまとめていない
  3. 被保険者と実際に療養を受けた人を書き分けている
  4. 医療機関、薬局、入院・通院を領収書と照合した
  5. 食事代、差額ベッド代などを保険診療分と分けた
  6. 公費助成を受けた場合は制度名と実負担額を確認した
  7. 公金受取口座を使うか、振込先口座を書くかを選んだ
  8. 口座名義のカナ、支店名、口座番号を通帳等と照合した
  9. 多数回該当の月は同じ保険・同じ加入状態か確認した
  10. 必要な添付書類をそろえ、提出書類のコピーを残した

郵送前に、申請書全体をスマートフォンで撮影しておくと、問い合わせ時に内容を確認できます。郵送先、受付期限、書類不足の場合の扱いも、期限が近いときは保険者へ確認してください。

よくある疑問

家族の医療費は誰が申請しますか?

同じ健康保険の被扶養者分は、原則として被保険者が申請します。療養を受けた人の欄に家族の氏名・生年月日を書きます。家族が別の健康保険に加入している場合は、同じ申請書へまとめられないことがあります。

家族分の合算条件は、高額療養費の世帯合算|家族の医療費をまとめる条件で確認してください。

領収書をなくしたら申請できませんか?

協会けんぽの通常申請では、レセプト情報で確認するため領収書を常に添付するとは限りません。ただし、公費助成を受けた場合などは領収書コピーが必要です。紛失した場合は、医療費のお知らせや支払記録を用意し、代替書類を保険者へ確認してください。

申請書を提出してからいつ振り込まれますか?

医療機関から提出されるレセプトの審査後に支給額を計算するため、診療月から3か月以上かかることがあります。書類不備や公費助成との調整があると、さらに時間がかかる場合があります。

詳しくは、高額療養費はいつ振り込まれる?申請から支給までの期間を確認してください。

限度額適用後でも申請書は必要ですか?

一つの医療機関での窓口負担がすでに上限までに抑えられ、ほかに合算する支払いがなければ、追加の払い戻しがない場合があります。一方、別の病院・薬局、家族分、入院と外来などを合算すると上限を超える場合は、申請が必要になることがあります。

マイナ保険証との違いは、限度額適用認定証は必要?マイナ保険証との違いで説明しています。

まとめ|保険者と対象月を確認してから書く

高額療養費支給申請書は、診療日に加入していた保険者の最新様式を使い、診療年月ごとに記入します。協会けんぽでは、1ページ目に被保険者情報と振込先、2ページ目に診療年月、受診者、医療機関、窓口負担などを書きます。

提出前に確認したいのは、被扶養者分の申請者、複数月の分け方、保険診療分と対象外費用、公費助成、多数回該当、口座情報です。提出前チェックを使い、コピーを残してから申請してください。

この記事は公式資料を基にした一般的な記入案内です。実際の様式、必要書類、支給額、受付方法は、加入している医療保険者が確認・決定します。

公式資料

次に確認すること

制度は、対象・金額・期限・申請先の4点がそろって初めて動けます。次のページで残りを確認してください。

迷ったときの相談先

最終的な支給の可否・金額は、お住まいの市区町村の窓口、年金事務所、ハローワークなどの公的機関が判断します。当サイトは公式情報をもとに整理していますが、申請前に必ず窓口でご確認ください。制度の内容は変更されることがあります。

この記事の調査・編集について

調査・執筆・編集確認:カネさん(給付金プラス運営者)

2021年3月から、給付金・助成金・公的支援制度の情報発信を行っています。記事は、制度の実施機関が公開する案内・募集要項・申請書、所管省庁の法令・通知・公表資料、実施機関の公式FAQを確認して作成しています。AIは調査と構成の補助に使うことがありますが、公開前に運営者が公式資料と照合しています。

本文中の「確認日」は、その時点で公式資料を確認した日付です。最終更新日は記事冒頭に表示しています。制度改正や受付終了が判明した場合は、公開済みの記事も修正・追記します。

記事の誤り、古くなった情報、リンク切れを見つけた場合は、お問い合わせフォームからご連絡ください。内容を確認のうえ修正します。なお、最終的な支給の可否・金額は、市区町村の窓口、年金事務所、ハローワークなどの公的機関が判断します。

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