情報確認日:2026年10月15日
石綿を扱う仕事などに従事して退職した人は、作業歴・年数や胸部の所見が交付要件に当たれば、健康管理手帳で指定医療機関の健康診断を年2回、無料で受けられます。病気を発症した人だけの制度ではありません。手帳は自動交付ではなく、従事歴の証明などを添えて都道府県労働局へ申請します。
石綿による病気の早期発見のための手帳
厚生労働省の案内では、石綿を製造・取り扱う業務など、がん等の重大な健康障害を生じるおそれのある仕事を離れた人に、一定の条件で健康管理手帳を交付します。手帳の交付後は、指定された医療機関で、定められた項目の健康診断を受ける仕組みです。
石綿健康被害救済制度の医療費・療養手当や、病気の業務上認定を受けて請求する労災給付とは目的が異なります。手帳を持っているだけで、それらの認定や治療費の支給が決まるわけではありません。
在職中の石綿業務等の健康診断は、事業者が行う仕組みがあります。まだ働いている人は現在の勤務・過去の配置を会社へ伝え、会社が行う健診と、離職時以降の手帳による健診を分けて相談してください。
直接扱った人と、周辺で作業した人の条件は違う
交付条件は主に次の3つの経路です。単に古い建物の中で勤務したことがあるだけで、全員が対象になるわけではありません。
| 経路 | 石綿についての主な条件 |
|---|---|
| 胸部所見による申請 | 両肺野の石綿による不整形陰影、または石綿による胸膜肥厚がある。直接業務・周辺業務が対象 |
| 特定の直接業務の従事歴 | 石綿製造、保温材・耐火被覆材等の張付け・補修・除去、吹付けや吹付け建物等の解体・破砕などに1年以上従事し、初めて石綿の粉じんにさらされた日(ばく露日)から10年以上経過 |
| その他の直接業務の従事歴 | 上記以外の石綿を取り扱う作業に10年以上従事 |
従事年数による経路は、対象の石綿作業に継続して従事した人について判断します。直接は扱わず、粉じんにさらされる周辺の作業をした人は、同じ年数だけでこの経路に当てはめることはできません。胸部所見による経路の対象となるかを相談します。
複数の直接業務を経験した場合は、所定の合算方法があります。特定業務の月数を10倍し、その他の直接業務の月数を足して120か月以上、かつ初めて石綿の粉じんにさらされた日(ばく露日)から10年以上という条件です。公式例では、特定業務6か月とその他の業務6年なら、60か月+72か月=132か月になります。作業区分の判定を含むため、本人の記憶だけで期間を確定せず、職歴を労働局へ示してください。
まず作業歴と会社の証明を集める
厚生労働省の様式集には、健康管理手帳交付申請書(安衛則様式第7号)、従事歴申告書、石綿用の事業者証明・本人申立・同僚証明の様式があります。
基本となるのは、申請書、学校卒業後からの職歴を記す従事歴申告書、石綿業務に従事したことを示す事業者の証明です。会社が変わっている場合も、どこで何を何年間扱ったかを時系列にしておきます。静岡労働局の申請資料では、年数で申請する場合は該当する全事業場の証明、胸部所見による場合は最後の該当事業場の証明を案内しています。
胸部所見による申請では、医師の診断書やエックス線・CTの画像等が必要です。従事歴の年数で申請する経路と、追加資料を混同しないでください。画像撮影や診断書取得を自費で手配する前に、必要な資料と利用できる既存健診結果を申請先へ確認します。
廃業した会社の証明を取れない場合は、すぐに断念する必要はありません。本人申立書と、同じ時期に従事した同僚2人以上の証明を使う方法があります。同僚の証明も難しいときは、当時の健康診断結果、社会保険の記録、給与・雇用関係の資料など、手元の客観資料を示して労働局へ相談してください。
退職時と、退職後に条件を満たした場合で申請先が変わる
神奈川労働局の案内では、離職の際に既に交付要件を満たしている場合は、対象業務を行った事業場の所在地を管轄する労働局へ申請します。事業場が複数なら、最も新しい該当事業場の管轄です。
離職した後で初めて交付要件を満たした場合は、本人の住所地を管轄する労働局が申請先になります。転居している人は、退職日、対象業務の最後の勤務先、条件を満たした時期を伝えると、提出先を確認できます。
手帳の交付前に、近所の医療機関で自由に受けた健診がすべて無料になる制度ではありません。交付時に指定される医療機関、予約方法、持参する手帳、健診項目を確認してください。健診受診に伴う旅費も所定の請求対象になる場合がありますが、書類の提出方法などは交付を受けた労働局の案内に従います。
症状が出たときは健診日を待たない
息切れ、胸の痛み、長引くせきなど体調の変化があれば、次の定期健診を待たず医療機関へ相談し、石綿に関する作業歴を伝えてください。急な強い息苦しさなど緊急性があるときは救急対応が優先です。手帳による健診は、症状がある人の診断・治療を置き換えるものではありません。
住所・氏名の変更には書替え、紛失・損傷には再交付の手続きがあります。死亡した場合は手帳の返還が必要です。手帳、交付通知、受診先の連絡先と従事歴の控えを一緒に保管しておくと、転居や家族の手続きにも役立ちます。
参照資料
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執筆・検証:カネさん(政経プラスチャンネル運営)+ ChatGPT

