人材開発支援助成金2026|研修費・賃金助成の対象と申請期限

助成金・補助金

更新日:2026年8月2日

人材開発支援助成金は、従業員に仕事に関係する訓練を受けさせる事業主を支援する制度です。研修費用だけでなく、訓練中の賃金の一部が対象になるコースもあります。

ただし、労働者本人に直接支給される給付金ではありません。事業主が訓練計画を先に提出し、訓練の実施記録や支払いを確認できる書類をそろえて申請します。

この記事では、令和8年度の制度を、利用を検討しやすい「人材育成支援コース」を中心に整理します。デジタル研修や事業転換のためのリスキリングなど、別コースを選ぶ場合の見分け方も確認できます。

先に確認するポイント

確認項目 令和8年度のポイント
誰が申請するか 従業員を雇用する事業主、事業主団体など。労働者個人が直接申請する制度ではありません。
何が対象か 職務に直接関係する訓練。人材育成訓練では、原則10時間以上のOFF-JTが基本です。
助成の内容 訓練経費の助成に加え、所定労働時間中に受講した訓練の賃金助成が対象になるメニューがあります。
最初にすること 訓練開始日の6か月前から1か月前までに、職業訓練実施計画届を提出します。
訓練後の期限 原則として、訓練終了日の翌日から2か月以内に支給申請します。
令和8年度の注意点 経費助成を申請する場合、「受講料等の価格設定に関する疎明書(様式第28号)」の提出が必要です。

助成金を使うからといって研修費が最初から無料になるわけではありません。申請前に、訓練の内容、対象者、計画届の期限、訓練機関への支払い方法を確認してください。

人材開発支援助成金とは

厚生労働省の人材開発支援助成金は、事業主などが雇用する労働者に、職務に関連する専門的な知識や技能を習得させるための訓練を計画に沿って行った場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部などを助成する制度です。

対象になるのは、会社が従業員の育成のために行う訓練です。個人が自分で講座を申し込んで受講する場合の一般的な教育訓練給付金とは、申請者も制度の仕組みも異なります。

制度 主な申請者 支援の考え方
人材開発支援助成金 従業員を雇う事業主など 会社が計画的に行う訓練の経費・賃金などを助成
教育訓練給付金 雇用保険の受給資格を満たす労働者など 本人が指定講座を受講した費用の一部を給付

7コースのうち、どれを選ぶか

人材開発支援助成金には、令和8年度の厚生労働省案内で7つのコースがあります。訓練の目的が「社員の通常研修」なのか、「デジタル人材育成」なのか、「新事業やDXのための学び直し」なのかで、確認するパンフレットが変わります。

コース 向いている訓練・制度 主な助成の形
人材育成支援コース 10時間以上のOFF-JT、新卒者等のOJT・OFF-JT、正社員化を目指す有期契約労働者の訓練、中高年齢者の実習型訓練 訓練経費、訓練中の賃金、OJT実施費
教育訓練休暇等付与コース 有給教育訓練休暇制度を導入し、労働者が休暇を取って訓練する場合 制度導入に対する定額助成
人への投資促進コース 高度デジタル人材、大学院、定額制研修、自発的訓練、長期教育訓練休暇など 訓練経費、賃金、制度導入など
事業展開等リスキリング支援コース 新しい事業、DX・GX、企業内の人事・人材育成計画に伴う訓練 OFF-JTの経費・賃金。令和8年度末までの時限措置
建設・障害者向けのコース 建設労働者の認定訓練・技能実習、障害者の職業能力開発 対象が限られるため、専用資料で確認

この記事では、最も一般的な社員研修を想定して人材育成支援コースを詳しく扱います。サブスク型研修やDX研修などは、対象コースの詳細版パンフレットを確認してから計画を作成してください。

人材育成支援コースの助成額

人材育成支援コースには、通常のOFF-JTを対象とする人材育成訓練のほか、OJTとOFF-JTを組み合わせる訓練があります。以下は令和8年度版パンフレットの主な助成率・助成額です。

訓練メニュー 経費助成 賃金助成 OJT実施助成
人材育成訓練 正規45%(賃金要件等で60%)
有期契約等70%(要件で85%)
1人1時間800円
要件を満たすと1,000円
大企業は400円・500円
なし
認定実習併用職業訓練 45%(大企業30%)
要件を満たすと60%(45%)
1人1時間800円
要件を満たすと1,000円
大企業は400円・500円
1人1コース20万円
要件で25万円
大企業は11万円・14万円
有期実習型訓練 75%
要件を満たすと100%
1人1時間800円
要件を満たすと1,000円
大企業は400円・500円
1人1コース10万円
要件で13万円
大企業は9万円・12万円
中高年齢者実習型訓練 60%(大企業45%)
要件を満たすと75%(60%)
1人1時間800円
要件を満たすと1,000円
大企業は400円・500円
1人1コース10万円
要件で13万円
大企業は9万円・12万円

賃金要件等による加算は、訓練修了後の賃金を訓練前と比べて5%以上上昇させた場合、または資格等手当を就業規則などに定めて支給し、その支給前後で賃金が3%以上上昇した場合などに適用されます。単に研修を修了しただけで加算されるわけではありません。

また、eラーニングや通信制の訓練は経費助成が中心で、賃金助成の対象外となる場合があります。受講形態を先に確認してください。

訓練経費の上限はいくらか

人材育成訓練の経費助成には、1人1訓練あたりの限度額があります。助成率を掛けた金額が、そのまま無制限に支給されるわけではありません。

1人1訓練の実訓練時間 中小企業 大企業
10時間以上100時間未満 15万円 10万円
100時間以上200時間未満 30万円 20万円
200時間以上 50万円 30万円

eラーニングや通信制で標準学習時間が定められていない訓練は、原則として10時間以上100時間未満の区分で扱われます。人材育成支援コース全体の支給限度額は、1事業所・1事業主団体などの一年度あたり1,000万円です。

対象になる事業主・労働者・訓練

確認対象 主な条件
事業主 雇用保険の適用事業所の事業主であること。雇用関係助成金の共通要件も満たす必要があります。
社内の準備 職業能力開発推進者を選任し、事業内職業能力開発計画を策定して従業員に周知することが基本です。
対象労働者 申請事業主の雇用保険適用事業所で働く雇用保険被保険者が基本です。
訓練内容 対象労働者の職務に直接関連する知識・技能を身につける訓練であること。
記録 訓練カリキュラム、実施時間、出席・受講状況、修了、賃金、領収書などを確認できること。
費用負担 支給申請までに事業主が訓練経費を全額負担していること。実質的な返金や負担軽減があると対象外になり得ます。

事業内職業能力開発計画や職業能力開発推進者は、計画届の提出までに準備する必要があります。後から作ればよいと考えず、研修会社を決める前に社内の担当者と確認してください。

申請から受給までの流れ

時期 事業主が行うこと
訓練を決める前 目的、対象者、訓練時間、受講形態、費用、賃金助成の対象時間を確認し、コースを選びます。
訓練開始の6か月前から1か月前 職業訓練実施計画届と必要書類を、事業所所在地を管轄する労働局へ提出します。
訓練期間中 計画どおりに実施し、受講状況、勤務・賃金、変更内容を記録します。
訓練終了後 訓練経費を支払い、領収書、訓練実施状況、賃金台帳などをそろえます。
訓練終了日の翌日から2か月以内 支給申請書と必要書類を労働局へ提出します。期限は厳守です。

計画届を提出しただけで支給が確定するわけではありません。令和7年度以降は、計画提出時と支給申請時の書類整理に伴い、支給・不支給の審査は支給申請後に一括して行われます。

電子申請を使う場合は、雇用関係助成金ポータルから手続きします。GビズIDが必要で、計画届を電子申請していない場合は、その後の変更届や支給申請を電子申請で行えない扱いがあるため、最初の提出方法をそろえてください。

令和8年5月14日からの価格設定の疎明書

令和8年5月14日付けの支給要領改正により、訓練計画届をいつ提出したかにかかわらず、一定の未決定案件で経費助成を申請する場合は、「受講料等の価格設定に関する疎明書(様式第28号)」の提出が必要になりました。

確認点 扱い
対象になりやすい案件 令和8年5月14日時点で支給・不支給決定がされておらず、今後支給申請するもの。
何を確認する書類か 受講料などの価格設定が、助成金を利用する事業主だけ不自然に高くなっていないかなどを確認します。
経費助成を申請しない場合 様式第28号は提出不要です。
電子申請の場合 令和8年8月2日現在、改正に対応した画面は準備中のため、案内に従い「その他」の必要書類として添付します。

訓練機関から「助成金を使えば実質無料」「いったん払っても後で全額返金する」と説明された場合は注意が必要です。事業主が訓練経費を全額負担していない場合、助成金の要件を満たしません。不自然な返金や営業協力費などを含む提案は、契約前に労働局へ相談してください。

対象外になりやすいケース

ケース なぜ注意が必要か
訓練開始後に計画届を出す 原則の提出期間を過ぎるため、支給対象にならない可能性があります。
仕事内容との関係が説明できない研修 職務に直接関連する訓練という要件を満たせない可能性があります。
10時間未満の通常OFF-JT 人材育成訓練の基本要件から外れる可能性があります。
eラーニングの受講記録が残っていない 開始・終了、進捗、修了、学習時間などを確認できる資料が必要です。
訓練機関から返金や実質的な割引を受ける 事業主が全額負担したことにならず、経費助成の対象外になり得ます。
訓練内容や日程を変更したのに届出をしない 変更内容によっては、訓練実施日の前日までなどに変更届が必要です。
支給申請を後回しにする 訓練終了日の翌日から2か月以内という期限を過ぎると申請できません。

キャリアアップ助成金との違い

非正規雇用労働者の育成と正社員化を考えている場合、人材開発支援助成金の有期実習型訓練と、キャリアアップ助成金の正社員化コースが候補になることがあります。

制度 中心となる目的 確認すること
人材開発支援助成金 職務に必要な訓練を実施すること 訓練時間、OJT・OFF-JT、計画届、受講記録、経費
キャリアアップ助成金 非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善 転換前の雇用区分、就業規則、賃金、転換後の申請期限

正社員化を中心に確認したい場合は、キャリアアップ助成金2026の記事もあわせて確認してください。制度の目的や要件が重なる部分はありますが、同じ訓練・同じ費用について二重に助成されるとは限らないため、申請前に労働局へ確認するのが安全です。

申請前チェックリスト

チェック 確認する内容
訓練の目的と、受講者の職務との関係を説明できる
人材育成支援、人への投資、リスキリングなど、適切なコースを選んだ
職業能力開発推進者の選任と事業内職業能力開発計画の周知を確認した
訓練開始日の6か月前から1か月前の計画届提出期間に間に合う
受講案内、カリキュラム、料金体系、訓練機関の情報を保存した
令和8年度の様式第28号が必要か確認した
受講料を返金・割引なしで事業主が負担する契約になっている
出席・受講・修了、賃金、領収書を保管できる
訓練終了日の翌日から2か月以内に支給申請できる

公式資料・申請先

制度はコースや訓練形態によって細かい要件が異なります。申請前に、必ず該当コースの最新版パンフレットを確認し、判断に迷う場合は事業所所在地を管轄する労働局へ相談してください。

確認日:2026年8月2日。申請時は、提出時点で公開されている様式・パンフレット・労働局の案内を確認してください。

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