傷病手当金と障害年金は、組み合わせによって支給調整が必要です。まず確認したいのは「障害基礎年金だけか、障害厚生年金もあるか」「同じ病気・けがによる給付か」「対象期間が重なっているか」の3点です。年金が決まったから一律に傷病手当金が止まる、という扱いではありません。
情報確認日:2026年10月12日。この記事は協会けんぽの案内を中心に整理しています。加入している健康保険の窓口で、自分の年金と傷病手当金の決定内容を確認してください。
最初に年金の種類と傷病の関係を確認
協会けんぽは、同一または関連する傷病について障害厚生年金や障害手当金を受ける場合、傷病手当金との調整が必要と案内しています。一方、傷病手当金と異なる傷病による障害厚生年金、または障害基礎年金だけを受けている場合は、この年金との調整は行われません。もちろん、傷病手当金そのものの支給要件は別に満たす必要があります。
「障害年金」という呼び方だけでは判別できません。年金証書や決定通知で給付名を確認し、併せて病名・原因・支給開始時期を保険者に伝えましょう。
調整対象なら、年金と傷病手当金の日額を比べる
調整対象の障害厚生年金では、年金の日額と傷病手当金の日額を比較します。年金の日額が傷病手当金より少ない場合は差額を支給し、年金の日額が同額以上なら、その期間の傷病手当金は支給されません。年金の日額は、調整対象となる年額を360で割って計算します。
比較に使う年額は、障害厚生年金に、同じ支給事由の障害基礎年金が支給される場合はその額を加えた合計です。この合計年額を360で割った日額と、傷病手当金の日額を比べます。障害基礎年金だけを受ける場合には、この調整は行われません。
出典:協会けんぽ「電子申請FAQ」(No.10-001〜10-005:傷病手当金の調整)。
協会けんぽ愛媛支部の説明を基にした単純な例では、傷病手当金が1日4,000円、調整に使う年金年額が126万円なら、126万円÷360=3,500円。傷病手当金は差額の1日500円になります。年額180万円なら日額5,000円となり、傷病手当金の支給はありません。実際にどの年金額を合算するか、どの期間を調整するかは決定通知で確認してください。
出典:協会けんぽ愛媛支部「傷病手当金を受給されている皆様へ」
遡及支給は「振込月」より「対象期間」が大事
障害年金が過去の期間にさかのぼって決まった場合、すでに受け取った傷病手当金の期間と重なることがあります。調整対象なら再計算が必要となり、傷病手当金の過払い分について返還が生じる場合があります。
年金の一括入金額だけを見て、自分で返還額を計算しきろうとしないでください。年金の支給開始時期、改定の有無、傷病手当金の支給期間をそろえて、加入先の健康保険へ早めに連絡します。返還額の通知が出るまで、重複が疑われる分の使途を決めずに確認すると家計を整理しやすくなります。
窓口にはこの順番で伝える
- 加入する健康保険と、傷病手当金の支給済み・申請中の期間。
- 決まった年金の正式名称と、対象となった傷病。
- 年金の支給開始年月、年額、過去分の支給の有無。
- 必要な届出・添付書類と、次回の傷病手当金申請の書き方。
手元には年金証書・決定通知・年額の改定通知、傷病手当金の支給決定通知を用意します。送付する書類の範囲は保険者の案内に従いましょう。障害手当金は一時金です。同じ傷病について受ける場合、傷病手当金の額の合計が障害手当金の額に達する日まで支給されない扱いがあるため、年金の『年額÷360』の例で計算せず、保険者に対象期間を確認してください。
出典:協会けんぽ「電子申請FAQ」(No.10-001〜10-005:傷病手当金の調整)。
よくある疑問
年金を請求中でも連絡した方がよい?
次回の傷病手当金申請にどう記載するか、先に保険者へ確認しておくと、決定後の手続きを進めやすくなります。請求中であることと、年金が決定済みであることを分けて伝えてください。
退職後の老齢年金も同じ記事で判断できる?
退職後に傷病手当金を継続受給している場合の老齢年金には別の調整があります。障害年金の扱いをそのまま当てはめず、年金の種類と在職・退職の状況を確認しましょう。


