不妊治療、月経に伴う症状、更年期の不調と仕事を両立できる制度を整えた中小企業は、2026年度(令和8年度)の両立支援等助成金を申請できる可能性があります。対象は事業主で、不妊治療・月経・更年期の3区分について、それぞれ30万円が1回ずつ支給されます。
休暇制度を作っただけでは支給されません。対象者が休暇、時差出勤、短時間勤務、在宅勤務などの制度を利用開始から1年以内に合計5日(回)以上利用し、5回目の利用日の翌日から2か月以内に申請する必要があります。制度の規定と両立支援担当者の選任は、利用開始前に済ませます。
| 制度名 | 両立支援等助成金・不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース |
|---|---|
| 対象 | 雇用環境を整備し、対象制度を労働者に利用させた中小企業事業主 |
| 支給額 | 不妊治療・月経・更年期の各区分30万円 |
| 必要な利用 | 対象労働者1人が、制度利用開始から1年以内に合計5日(回)以上 |
| 申請期限 | 合計5日(回)を経過した日の翌日から2か月以内 |
| 申請先 | 本社等の所在地を管轄する都道府県労働局 |
3つの区分でそれぞれ30万円
| 区分 | 対象となる取組 | 支給額 |
|---|---|---|
| 不妊治療 | 不妊治療を受ける労働者が利用できる両立支援制度を導入・運用 | 30万円 |
| 女性の健康課題対応(月経) | 月経やPMSなどに起因する症状へ対応する支援制度を導入・運用 | 30万円 |
| 女性の健康課題対応(更年期) | 更年期の心身の不調へ対応する支援制度を導入・運用 | 30万円 |
各区分は1事業主につき1回限りです。同じ会社でも、不妊治療、月経、更年期について、それぞれ最初の対象者が要件を満たせば各区分を申請できます。ただし30万円が自動的に支給される制度ではなく、区分ごとに規定整備、担当者選任、利用実績、申請書類が必要です。
対象になるのは中小企業事業主
申請できるのは、雇用保険の適用事業主で、中小企業事業主の範囲に該当する会社や個人事業主です。中小企業の基準は、業種ごとに資本金または常時雇用する労働者数で判断します。
- 対象となる休暇・勤務制度を労働協約または就業規則に定めている
- 制度の申請手続きや賃金の取り扱いまで明文化している
- 制度の内容を労働者へ周知している
- 労働者の相談に対応する両立支援担当者を選任している
- 対象者を制度利用開始日から申請日まで雇用保険被保険者として雇用している
対象制度は正社員だけに限定できません。雇用形態を問わず利用できる制度として整備する必要があります。不妊治療の制度は男女を問わず利用できることが要件です。更年期への制度は少なくとも女性が利用できる必要があり、厚生労働省は全労働者が利用できる制度を望ましい例として示しています。
対象になる6種類の制度
| 制度 | 主な内容 |
|---|---|
| 休暇制度 | 不妊治療、月経に伴う症状、更年期の不調に対応する休暇 |
| 所定外労働制限制度 | 対象者に残業をさせない制度 |
| 時差出勤制度 | 所定労働時間を変えずに始業・終業時刻を繰り上げ・繰り下げ |
| 短時間勤務制度 | 1日の所定労働時間を1時間以上短縮 |
| フレックスタイム制 | 一定期間の総労働時間内で始業・終業時刻を本人が決定 |
| 在宅勤務等 | 会社の指示のもと、自宅などで勤務できる制度 |
6種類すべてを導入する必要はなく、1種類以上で申請できます。通院日の時差出勤と在宅勤務を組み合わせるなど、自社の業務と労働者の必要に合う制度を選びます。
通常の年次有給休暇は、助成金の対象となる休暇制度に含まれません。月経についても、労働基準法上の生理休暇をそのまま設けただけでは対象外ですが、年次有給休暇と同等の給与を支給する有給の生理休暇は対象になり得ます。失効した年次有給休暇を積み立て、不妊治療に利用できる制度も対象例です。
制度は利用開始日の前日までに規定する
対象労働者が制度を使い始めてから就業規則を変更しても、原則として助成対象になりません。各制度の内容、利用手続き、利用中の賃金の取り扱いを、制度利用開始日の前日までに労働協約または就業規則へ定めます。
- 誰が利用できるか
- どのような事情で利用できるか
- 申請方法と申請期限
- 休暇が有給か無給か
- 短時間勤務中の賃金計算
- 利用期間や利用回数
常時雇用する労働者が10人未満で、就業規則を作成・届出していない事業場でも、制度を明文化して全労働者へ周知すれば対象になり得ます。ただし、実際の運用が規定内容と違う場合は支給対象になりません。
両立支援担当者の選任も利用開始前に
会社は、労働者の相談に応じる両立支援担当者を選任します。不妊治療、月経、更年期について、制度の案内や相談対応を行う担当者です。対象者が制度を使い始める日の前日までに選任してください。
担当者は事業主や社内の労働者に限らず、社会保険労務士、産業医、保健師、看護師などの外部専門家も選任できます。制度利用者の健康情報は機微な個人情報です。相談内容を共有する範囲、記録の保管場所、本人への説明をあらかじめ決め、申請に必要な範囲を超えて収集しない運用が必要です。
1人が合計5日(回)利用する
支給要件を満たすには、対象労働者1人が、制度利用開始日から1年以内に合計5日(回)以上利用します。複数の従業員の利用回数を足して5回にすることはできません。
- 休暇制度を5日利用する
- 時差出勤を3回、在宅勤務を2回利用する
- 短時間勤務、残業免除、在宅勤務などを組み合わせて5回利用する
時間単位の利用も可能ですが、5日(回)に分けて利用する必要があります。同じ日に同じ制度を始業時と終業時に使っても1回です。同じ日に別々の制度を使った場合は、それぞれ1回として数えられます。
申請期限は5回目の翌日から2か月以内
申請期間は、対象労働者の制度利用が合計5日(回)に達した日の翌日から2か月以内です。不妊治療、月経、更年期の各区分で同じ考え方です。
郵送の場合は、消印ではなく労働局への到着日が期限内である必要があります。5回目の利用日を確認したら、出勤簿、利用申出書、賃金台帳などをそろえ、余裕を持って申請してください。
申請に必要な主な書類
- 両立支援等助成金支給申請書
- 支給要件確認申立書
- 対象制度を確認できる労働協約・就業規則・労使協定
- 両立支援担当者の選任日、役職、氏名が分かる書類
- 制度の利用申出書、休暇簿、出勤簿、タイムカード
- 対象労働者の雇用保険被保険者番号が分かる書類
- 制度利用期間の賃金台帳
- 初めて雇用関係助成金を申請する場合は口座関係書類
審査で疑義が生じた場合は、不妊治療の受診日、治療期間、病院名などを確認する書類を求められることがあります。診断書や領収書が常に一律必須という意味ではありません。申請先の労働局が示す最新の提出書類一覧を確認してください。
申請までの流れ
- 導入する休暇・勤務制度を決める
- 制度内容と賃金の取り扱いを就業規則等に定める
- 労働者へ制度を周知する
- 両立支援担当者を選任する
- 対象労働者からの申出に基づき制度を利用させる
- 利用開始から1年以内に合計5日(回)の実績を確認する
- 5回目の翌日から2か月以内に都道府県労働局へ申請する
申請先は、人事労務管理の機能を持つ本社等の所在地を管轄する都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)です。登記上の本店所在地と異なる場合があります。
不支給につながりやすい確認漏れ
- 制度利用後に就業規則を整備した
- 両立支援担当者の選任日が利用開始後になっている
- 複数の労働者の利用回数を合算している
- 通常の年次有給休暇だけを対象実績としている
- 申請日時点で対象者が雇用保険被保険者ではない
- 郵送書類の到着が2か月の期限を過ぎた
就業規則の文言だけでなく、実際に利用できる状態になっていたかが確認されます。制度導入時から利用申出、勤務実績、賃金計算まで記録をつなげておくことが大切です。
公式情報・申請先
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※本記事は2026年8月24日時点の厚生労働省公式情報をもとに作成しています。支給の可否は、制度の規定、利用実績、過去の受給歴、共通要件などを含めて都道府県労働局が判断します。申請前に最新の支給要領・申請様式をご確認ください。


