2026年の年末調整では、本人と家族の年間収入から所得金額を見積もり、令和8年分の申告書の該当欄へ記入します。今年の計算欄を使い、基礎控除、家族の扶養、生命保険料控除の新しい特例を確認してください。前年の申告書から数字を写す前に、今年の条件と照合します。
給与の「収入金額」は、税金や社会保険料を引く前の課税対象の金額です。「所得金額」は、給与収入から給与所得控除などを差し引いて計算します。この記事では、今年の変更点と、各申告書に記入する内容を順に説明します。
情報確認日:2026年10月3日。2026年12月に行う通常の年末調整を中心に、国税庁の令和8年分資料を確認しています。
2026年分は、基礎控除・給与所得控除・扶養の所得要件などが変わる
2026年分の所得税では、基礎控除、給与所得控除、扶養親族などの所得要件が改正されます。さらに、23歳未満の扶養親族がいる人の、新契約の一般生命保険料控除に特例が設けられています。
| 確認する項目 | 2026年分のポイント |
|---|---|
| 基礎控除 | 本人の合計所得金額により控除額が変わる。全員一律104万円ではない |
| 給与所得控除 | 2026・2027年分の最低保障額は74万円。実際の所得金額は当年の計算欄で求める |
| 扶養親族・同一生計配偶者など | 合計所得金額62万円以下へ。給与だけなら収入136万円以下が目安 |
| 一般生命保険料控除 | 23歳未満の扶養親族がいる場合、新生命保険料の控除が最高6万円。3区分合計は最高12万円のまま |
「年収178万円」は、給与だけでほかに所得がない場合に、給与所得控除74万円と基礎控除104万円を合わせた所得税の目安です。家族を税法上の扶養にできる年収、健康保険・厚生年金の扶養、住民税の非課税基準は、それぞれの条件で判断します。
制度を横断して判断するときは、年収の壁2026年版で、それぞれの基準と確認先を分けてください。
毎月の給与と年末調整に反映される時期
基礎控除などの改正は原則2026年12月1日施行で、2026年分以後の所得税に適用されます。国税庁は、給与から毎月天引きする所得税の事務(源泉徴収)は2026年11月まで変わらず、12月の年末調整で年間の税額を精算すると案内しています。
2027年1月以後に支払われる給与には改正後の源泉徴収税額表を使います。毎月の給与明細と、年末調整での年間税額の精算を、それぞれ確認してください。国税庁の改正案内で施行時期を確認できます。
勤務先の書類提出期限が10月や11月に設定されることもあります。その期限は、勤務先が年末調整を処理するための期限です。配布された令和8年分の書類と会社の説明に従い、12月の年末調整用に必要な情報を先に届けてください。
申告書の名前から、記入する内容を見分ける
紙では複数の申告書が1枚にまとめられていたり、社内システムでは画面ごとに分かれていたりします。各欄の控除の名前を見て、記入する内容を確認してください。
| 申告書・記入欄 | 何を確認して書くか |
|---|---|
| 扶養控除等(異動)申告書 | 家族の氏名・生年月日・所得見込み、障害者・ひとり親・勤労学生などの該当状況 |
| 基礎控除申告書 | 本人の給与収入、給与所得、給与以外の所得、合計所得の見積額と基礎控除額 |
| 配偶者控除等申告書 | 配偶者の所得見込み、本人の所得、配偶者の年齢などから控除額を判定 |
| 特定親族特別控除申告書 | 19歳以上23歳未満の一定の親族の所得見込みと控除額 |
| 所得金額調整控除申告書 | 給与収入850万円超の場合などの、23歳未満の扶養親族・特別障害者等の要件 |
| 保険料控除申告書 | 生命保険・地震保険、自分で払った社会保険料等、生命保険料の特例の対象親族 |
| 住宅借入金等特別控除申告書 | 住宅ローン控除の2年目以降など、該当する人の必要事項 |
勤務先から令和9年分の扶養控除等申告書も同時に求められる場合は、令和8年分の年末調整用と、翌年の給与計算用を区別してください。どの年の収入見込みを聞かれているか、各用紙・画面の年分を確認してください。
住宅ローン控除は最初の年には原則確定申告が必要です。初年度は確定申告の準備を進め、年末調整で使える年と手続きを勤務先へ確認してください。書類ごとの役割は国税庁の当年の手順で確認できます。
給与の「収入金額」と「所得金額」は別に書く
給与の収入金額は、税金や社会保険料を引く前の課税対象の給与・賞与を合計した金額です。給与明細では、銀行に入った手取り額と、課税対象の支給額を区別してください。非課税となる通勤手当などを含めるか分からない場合は、給与明細の課税支給額や給与担当者の案内で確認してください。
給与所得は、その給与収入から給与所得控除などを差し引いて求めます。基礎控除や生命保険料控除は、その後の計算で使います。申告書の給与所得の欄には、それらを差し引く前の金額を記入してください。
見積もりには、既に受け取った分だけでなく、年末までに支払われる給与・賞与の予定も含めます。支給日が決まっていて2027年1月に支払われる給与は、2026年12月に働いた分でも通常2027年分です。令和8年分年末調整Q&Aは、この支給日による区分を説明しています。
給与を2か所以上から受けている人は、全ての勤務先の給与収入を合計してから、給与所得を計算してください。基礎控除申告書で見積もる際も、他の勤務先の給与を含めます。
給与だけの記入例
次は2026年12月の年末調整用で、給与以外の所得、所得金額調整控除、特定支出控除がない人の例です。家族の扶養判定に用いる所得の整理にも使えます。
| 年間の給与収入見込み | 給与所得の見込み | 計算の考え方 |
|---|---|---|
| 120万円 | 46万円 | 120万円-74万円 |
| 136万円 | 62万円 | 136万円-74万円 |
| 178万円 | 104万円 | 178万円-74万円 |
| 200万円 | 126万円 | 200万円-74万円 |
| 400万円 | 276万円 | 当年の計算欄で、400万円÷4=100万円、100万円×3.2-44万円 |
たとえば給与収入200万円だけの人は、基礎控除申告書の給与所得の「収入金額」に200万円、「所得金額」に126万円を記入します。給与以外の所得がなければ、合計所得の見積額も126万円です。その合計所得に応じて基礎控除を判定します。
給与所得控除の計算式は、年収で変わります。端数処理も含めて、令和8年分の基礎控除等申告書の記載例・計算欄を使ってください。給与所得控除の公式案内にも当年の表と端数処理の注意があります。
副業の売上、公的年金、不動産などがある場合は、それぞれの所得計算が必要です。給与以外の収入は、それぞれの所得を計算したうえで、給与所得以外の欄へ記入してください。年末調整で扱う範囲と、別に確定申告が必要かも確認します。
基礎控除は合計所得の見積額で判定する
2026年分の居住者の基礎控除は、合計所得489万円以下の場合104万円、489万円超655万円以下の場合67万円、655万円超2,350万円以下の場合62万円です。さらに高い所得では段階的に減り、2,500万円超では0円となります。
基礎控除申告書では、本人の給与所得と給与以外の所得を合計します。この「合計所得金額」を判定欄へ当てはめて、控除額を求めてください。
2025年分は所得区分によって95万円、88万円、68万円などでした。今年の区分・控除額を使って判定してください。非居住者などは適用が異なるため、国税庁・基礎控除と勤務先の案内を確認してください。
家族の扶養判定は年齢・生計・所得をそろえる
家族の収入が給与だけなら、2026年分の136万円以下は、合計所得62万円以下に対応する目安です。扶養控除には、年齢などの要件もあります。16歳未満の子は、所得要件を満たしていても、通常の扶養控除の対象外です。
改正により新しく扶養の要件を満たす親族がいる場合は、会社に提出した扶養控除等申告書の内容を見直し、異動を届けます。別居の家族も、生計を一にしていることなどの要件を確認します。国税庁の扶養控除Q&Aでは、住所が異なる場合の扱いも説明しています。
19歳以上23歳未満の一定の親族は、合計所得62万円を超えて123万円以下なら特定親族特別控除の対象になる場合があります。給与だけなら収入136万円超197万円以下に対応しますが、所得により控除額が変わります。年齢と所得見込みを、当年の申告書の判定欄へ当てはめてください。
配偶者の控除も、配偶者の所得だけでなく本人の所得などを使います。本人・配偶者・子など、各人の所得を整理し、該当する申告書の欄へ記入してください。
23歳未満の扶養親族がいる人の生命保険料控除
2026・2027年分は、23歳未満の扶養親族を有する場合、新生命保険料に係る一般生命保険料控除が最高6万円となります。この特例で上限が増えるのは、一般生命保険料控除です。介護医療保険料・個人年金保険料の各上限と、3区分を合わせた最高12万円の上限は変わりません。
特例に該当する新生命保険料の控除額は、年間保険料3万円以下なら全額、3万円超6万円以下なら保険料の半分に1万5,000円を加えた額、6万円超12万円以下なら4分の1に3万円を加えた額、12万円超なら6万円です。
たとえば対象の新生命保険料を年間8万円払った場合、特例の一般生命保険料控除額は5万円です。通常の新契約の計算なら4万円となるところを、特例の計算欄で判定します。控除額は、税金を計算する前の所得から差し引く金額です。実際に軽くなる税額とは区別してください。国税庁・生命保険料控除に計算方法があります。
保険料控除申告書で確認する欄
証明書の「一般」「介護医療」「個人年金」と「新・旧」を確認し、それぞれの欄へ記入してください。特例の対象者は「年齢23歳未満の扶養親族」欄も記入します。対象親族が2人以上いるときは、そのうち1人を記載すればよいと公式様式に示されています。
この特例での扶養親族は、本人と生計を一にする23歳未満の一定の親族で、通常の12月の年末調整では所得見積額62万円以下が条件です。配偶者は含まれません。16歳未満の子も対象になり得ます。
共働きの夫婦について、この特例は同じ子の扶養控除をどちらが受けるかとは別に、双方が適用を受けることができます。ただし、それぞれ控除対象の保険料を払っていることなどが前提です。保険料は、それぞれが実際に支払った分を申告してください。
新契約と旧契約が両方ある人は、当年の様式の該当欄で合算・上限を計算してください。詳しい記入欄と親族の条件は令和8年分保険料控除申告書の表・裏面にあります。
年の途中で退職した人・申告後に見積もりが変わった人
年の途中で退職した人は、一定の場合を除き、その勤務先で年末調整を受けられません。年内に再就職した人は、前職の源泉徴収票を新しい勤務先へ提出して通算できるかを確認します。
2026年の最後の給与が11月30日以前で、その時点で年末調整を受けた場合、基礎控除等の改正がその年末調整に反映されないことがあります。改正後の控除を受けるには、国税庁の令和8年度改正Q&Aを確認し、確定申告などの必要な手続きを検討してください。
同じく11月30日以前の年末調整では、保険料控除申告書の特例対象親族の所得要件について、公式案内の読み替えが必要です。11月30日以前の扱いは、保険料控除申告の手続案内を勤務先と確認してください。
申告後に賞与や家族の収入が変わったときは、勤務先へ変更を伝えてください。年末調整後でも再計算できる場合があるため、訂正を受け付ける期限と必要書類を、給与担当者へ確認してください。再調整が難しい場合は、源泉徴収票を使って確定申告する方法があります。
提出前と源泉徴収票を受け取った後の確認
提出前には、次の順で見直してください。
- 各書類・入力画面が令和8年分か、翌年分かを確認する。
- 本人と家族の給与・賞与を年末まで見積もり、複数勤務先を含めて集計する。
- 手取り額と課税給与、給与収入と給与所得を取り違えていないか確認する。
- 家族の生年月日、生計、給与以外の所得も確認する。
- 保険料の区分と証明書を照合し、生命保険料の特例欄の記入漏れを確認する。
- 社内締切と、見積もり変更・証明書の後日提出を伝える方法を確認する。
源泉徴収票を受け取ったら、支払金額、扶養親族などの記載、生命保険料控除などが反映されているかを確認してください。控除証明書を再発行した場合、最初の証明書と同じ支払分を二重に数えていないかも見直します。
「2026年分所得税」の変更と「2026年度住民税」は別です。2026年度住民税は原則2025年中の所得を基に決まります。住民税非課税世帯向け給付金には、対象となる年度と世帯の条件があります。給付の判定は、住民税非課税世帯の確認方法で指定年度と世帯条件を確認してください。
よくある質問
会社の入力画面が前年と同じに見える場合は?
給与担当者に、2026年分の控除計算に対応しているかと、生命保険料の特例対象親族を登録する場所を尋ねてください。前年と同じ画面に見える場合も、今年の条件で入力します。
給与収入が178万円以下なら書類を出さなくてよい?
書類の提出は必要です。基礎控除を年末調整で適用するための申告書など、勤務先が必要とする書類を提出してください。ほかの所得、税金、社会保険についても、それぞれの手続きを確認します。
保険料控除証明書がまだない場合は?
保険会社に発送・電子交付・再発行の状況を確認し、社内締切までに給与担当者へ連絡してください。証明書の後日提出や年末調整の再計算など、扱える方法を相談します。申告する金額は、保険会社の証明書などで確認してください。
確認した一次資料
- 国税庁|令和8年分年末調整のしかた・手順
- 国税庁|昨年と比べて変わった点(令和8年分・PDF)
- 国税庁|令和8年度税制改正による基礎控除の引上げ等
- 国税庁|令和8年度税制改正Q&A(PDF)
- 国税庁|基礎控除
- 国税庁|給与所得控除
- 国税庁|扶養控除Q&A
- 国税庁|基礎控除等申告書の記載例(令和8年分・PDF)
- 国税庁|生命保険料控除
- 国税庁|給与所得者の保険料控除の申告
- 国税庁|令和8年分保険料控除申告書(PDF)
- 国税庁|令和8年分年末調整Q&A
個別の控除は、収入の種類、家族の年齢、勤務先での年末調整の有無で変わります。判断に迷う欄は給与担当者、税務署、税理士へ確認してください。
執筆・検証:カネさん(政経プラスチャンネル運営)+ ChatGPT。AIは構成・論点整理・出典確認を補助しています。


