入院中の食事代は、所得区分などの条件を満たすと減額を受けられます。食事代の自己負担は、診療費の上限を定める高額療養費とは別に扱います。
2026年6月1日から、一般の食事療養標準負担額は1食550円です。住民税非課税等の減額区分では1食270円、長期入院の要件を満たす場合は220円、低所得Ⅰ・区分Ⅰでは130円となります。自分に適用される区分と、申請が必要かを加入先の医療保険に確認してください。
最終確認日:2026年9月1日。この記事は主に「入院時食事療養費」の食事代を扱います。65歳以上で医療療養病床に入院する場合などの「入院時生活療養費」や、介護施設の食費とは区別してください。
出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」、協会けんぽ「入院時食事療養費・入院時生活療養費」
2026年6月以降、1食いくら負担する?
| 入院時食事療養費の主な区分 | 1食の標準負担額 | 先に確認すること |
|---|---|---|
| 一般 | 550円 | 下の減額区分や特例に該当しないか |
| 住民税非課税等の減額区分で、過去1年間の入院が90日以内 | 270円 | 加入保険の低所得・非課税の認定 |
| 上記の区分で、過去1年間の入院が90日を超える長期該当 | 220円 | 対象となる入院日数と追加申請 |
| 低所得Ⅰ・区分Ⅰに該当 | 130円 | 年齢や所得など、この区分固有の要件 |
| 指定難病・小児慢性特定疾病の対象患者で、一般区分の特例に該当 | 330円 | 疾病に関する認定と所得区分 |
1日の標準負担額は3食分が上限です。表では、自分の所得区分や疾病の認定に合う欄を確認してください。精神病床の長期入院に関する経過措置など、別の扱いもあります。
「90日を超える」は、日数では91日以上です。91日目から自動で切り替わる扱いではありません。220円の適用には、対象区分として認定されていた期間と、申請後の適用開始日も関わります。
「非課税等の区分」は、加入先に判定を確認してください。国保は世帯主・加入者の課税状況、協会けんぽは被保険者の非課税情報など、調べる範囲が異なり、年収だけでは決まりません。低所得Ⅰ・区分Ⅰには、非課税に加えて固有の要件があります。
出典:大阪市「入院するとき」、協会けんぽ「健康保険限度額適用・標準負担額減額認定申請書」
30日間・毎日3食の場合の計算例
すべての日に3食提供され、同じ区分が30日間適用されると仮定すると、食事代は次の計算になります。診療費、差額ベッド代、日用品代などは含みません。
| 1食の金額 | 計算 | 食事代の合計 |
|---|---|---|
| 550円 | 550円×3食×30日 | 49,500円 |
| 270円 | 270円×3食×30日 | 24,300円 |
| 220円 | 220円×3食×30日 | 19,800円 |
| 130円 | 130円×3食×30日 | 11,700円 |
550円と270円では、この条件で25,200円の差があります。実際に払う食事代は、食数、認定日、対象期間で変わります。この試算は区分による違いを示すもので、申請時の返金額を示すものではありません。
高額療養費で食事代が戻らないのはなぜ?
入院中の食事は、患者が払う標準負担額と、医療保険が医療機関へ支払う入院時食事療養費で賄う仕組みです。この食事代の自己負担は、高額療養費の対象から除かれています。
病院の請求書では、保険診療の自己負担と食事代を分けて確認してください。医療費の上限に達していても食事代は別にかかるため、食事代の請求があるだけでは誤請求とは判断できません。食事の減額が適用されているかも病院に聞いてください。
保険診療や休業中の収入も含めて確認したい場合は、医療費が高い・病気で働けないときの支援一覧を参照してください。
マイナ保険証があっても、申請が必要な場合がある
マイナ保険証を使う人も、加入先に申請の要否を確認してください。通常の減額区分と、90日を超える長期入院の認定では、必要な手続きが違います。
国保:通常の減額と90日超の長期該当は別に確認
大阪市国保では、オンライン資格確認が利用できる医療機関でマイナ保険証などを提示する場合、通常の減額認定証の申請は不要と案内しています。一方、市民税非課税世帯として認定されていた期間の入院が直近12か月で90日を超え、食事代をさらに減額する場合は、マイナ保険証を使う人も区役所への申請が必要です。
出典:大阪市「入院するとき(入院時食事療養費・入院時生活療養費)」
協会けんぽ:低所得者は減額認定証の申請を確認
協会けんぽは、被保険者が低所得者に該当する場合、マイナ保険証を使う場合でも「限度額適用・標準負担額減額認定証」を申請するよう案内しています。一般の「限度額適用認定証」と申請書が異なるので、名称を確認してください。
健康保険組合、共済、後期高齢者医療に加入している人は、それぞれの加入先に申請方法を聞いてください。国保や協会けんぽの手順とは違う場合があります。
90日を超える入院で220円を適用するには
220円の適用には、対象の所得区分に該当することと、入院日数を証明する書類を添えた申請が必要です。入院が長引いただけでは自動で変わりません。
横浜市の後期高齢者医療では、過去12か月のうち「低所得者2」と判定されていた期間の入院日数が91日以上の場合を220円の区分としています。75歳になって後期高齢者医療へ移った人などは、それまで加入していた医療保険で低所得者2相当だった期間も対象になる場合があります。
転院した人や、入院中に保険が変わった人は、病院ごとの入退院日と当時の所得区分をまとめて相談してください。認定前の期間も含め、どの入院日数を数えられるかを加入先に聞いてください。
申請先・必要書類・期限の確認順
- 資格確認書やマイナポータルで、保険者名と現在の加入資格を確かめる。
- 病院の会計窓口で、請求されている1食の金額と食数を聞く。
- 保険者に、所得区分の確認、減額認定の申請、長期該当の申請が必要か尋ねる。
- 申請書と必要書類を提出し、減額を始められる日・有効期限を確認する。
- 病院へ認定内容を伝え、支払い済みなら差額支給の手続きも確認する。
| 準備するものの例 | 使う場面 |
|---|---|
| 資格情報、本人確認書類、保険者所定の申請書 | 申請者・加入先の確認 |
| 非課税証明書など | 所得区分の確認。情報連携で省略できる場合がある |
| 入院期間が分かる領収書・請求書など | 90日超の長期該当の確認 |
| 振込先の分かるもの | 差額の払い戻しを申請する場合 |
| 委任状、代理人の本人確認書類 | 家族などが代理申請する場合 |
協会けんぽは電子申請と郵送を案内しています。非課税証明書は情報照会で省略できる場合がありますが、照会できないときなどは提出を求められます。減額認定証の有効期間は、申請月の初日から次に到来する7月末日までが基本です。
減額の開始日と、払い戻しの期限は、加入先に早めに確認してください。全国一斉の募集締切はありません。和泉市の国保は、長期該当の申請や差額支給に領収書などが必要と案内し、食事代を支払った翌日から2年を経過すると還付できないとしています。「いつから減額されるか」「既に払った分は対象か」も聞いてください。
医療療養病床・介護施設の食費とは別に考える
65歳以上で医療療養病床に入院する場合などは、食事と居住費を扱う「入院時生活療養費」の区分です。医療の必要性や所得によって負担が変わり、居住費もかかる場合があります。入院費を見積もるときは、上の食事代の表に加え、生活療養費の区分も確認してください。
また、特養、老健、介護医療院などの介護保険施設では、医療保険ではなく介護保険の食費・居住費軽減を確認します。施設入所の費用は、介護保険の負担限度額認定に整理しています。
よくある疑問
住民税が非課税なら130円になりますか?
130円は、低所得Ⅰ・区分Ⅰに該当する人の金額です。非課税等の区分の中でも、年齢や所得によって金額が違います。自分がどの区分に認定されるか、加入先に確認してください。
入院が90日を超えたら、過去の食事代もすべて下がりますか?
減額される期間は、対象の日数、所得区分、申請日、適用開始日によって決まります。最初の入院日にさかのぼって一律220円にする扱いではありません。
認定証を出せずに通常の食事代を払った場合は?
領収書を保管し、病院と保険者へ差額の精算・支給が可能か相談してください。返金できるかは、認定の状況や支払日を基に判断されます。
食事代を含めて支払いが難しい場合は、病院の患者相談窓口へ事情を伝えてください。受診費用そのものが不安なときは、無料低額診療の対象・相談先も確認できます。
この記事は公式資料を基にした一般的な制度案内です。認定の可否・適用開始日・必要書類は加入先が判断します。申請時は最新の案内を確認してください。
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