介護保険の特定福祉用具購入費|年10万円・対象10品目・申請方法

介護保険の特定福祉用具購入費|年10万円まで、対象品と申請方法 医療・介護

介護保険の特定福祉用具購入費は、要支援・要介護認定を受けた人が、排泄や入浴などに使う対象用具を購入したとき、購入費の7~9割が介護保険から支給される制度です。

「年10万円もらえる制度」ではありません。4月から翌年3月までの購入費について、税込み10万円が保険給付の計算対象になる上限です。自己負担割合が1割なら最大9万円、2割なら最大8万円、3割なら最大7万円が給付されます。

対象品を買っても、指定を受けていない販売店から購入すると支給されません。ネット通販やホームセンターで先に買わず、ケアマネジャー、地域包括支援センター、福祉用具専門相談員へ相談してから商品を選びましょう。

購入前に確認する6項目

確認項目 確認する内容
介護認定 購入日に要支援1・2または要介護1~5の認定が有効か
利用場所 本人が居宅で使用するための購入か
対象品 介護保険の特定福祉用具10品目に当たるか
販売店 特定福祉用具販売の指定を受けた事業者か
年度残額 4月から翌年3月までの10万円枠がいくら残っているか
支払方法 全額を払う償還払いか、自己負担分だけ払う受領委任払いか

介護保険負担割合証で、本人の自己負担が1割・2割・3割のどれかも確認します。購入時点で認定申請中、入院中、施設入所中などの場合は、市区町村に対象になるか確認してください。

対象は要支援1・2、要介護1~5の認定を受けた人

主な対象は、次の条件を満たす人です。

  • 介護保険の要支援1・2または要介護1~5と認定されている
  • 認定の有効期間内に対象用具を購入している
  • 居宅での日常生活の自立や介護者の負担軽減に必要な用具である
  • 指定特定福祉用具販売事業者から購入している
  • 市区町村が必要な購入と認める

要介護認定をまだ受けていない人は、先に認定申請が必要です。本人にケアマネジャーが付いていない場合は、市区町村の介護保険窓口や地域包括支援センターへ相談してください。

年10万円は購入費の上限、給付は最大7万~9万円

支給限度基準額は、同一年度の対象購入費10万円です。本人の負担割合に応じて、給付額は次のようになります。

自己負担割合 10万円購入した場合の自己負担 最大給付額
1割 1万円 9万円
2割 2万円 8万円
3割 3万円 7万円

10万円を超える商品も購入できますが、超過部分は全額自己負担です。たとえば15万円の商品を1割負担の人が購入した場合、給付は最大9万円、本人が支払う金額は6万円です。

15万円 − 最大給付9万円 = 自己負担6万円

10万円の枠は4月1日から翌年3月31日まで

特定福祉用具購入費の年度は、毎年4月1日から翌年3月31日までです。1月から12月ではありません。

限度額の範囲内なら、複数の対象用具を購入できます。たとえば1割負担の人が同じ年度に6万円の商品を購入し、その後5万円の商品を購入した場合、2回目は残っている4万円分だけが保険給付の計算対象です。

購入 購入額 10万円枠の対象額 1割負担の場合の給付
1回目 6万円 6万円 5万4,000円
2回目 5万円 残り4万円 3万6,000円
合計 11万円 10万円 9万円

2回目の購入額5万円のうち、枠を超えた1万円には介護保険が適用されません。この例で2回目に本人が支払う実質負担は、対象額4万円の1割である4,000円と、超過分1万円を合わせた1万4,000円です。

介護保険で購入できる対象10品目

対象品目 主な例・注意点
腰掛便座 ポータブルトイレ、補高便座など
自動排泄処理装置の交換可能部品 尿や便の経路となる部品など。装置本体とは別
排泄予測支援機器 排尿の機会を知らせる機器。追加書類が必要
入浴補助用具 入浴用いす、浴槽用手すり、浴槽内いす、入浴台、すのこ、介助ベルト
簡易浴槽 工事を伴わず、容易に移動できる浴槽
移動用リフトのつり具の部分 つり具部分のみ。リフト本体は含まない
固定用スロープ 持ち運びを前提とせず、主に敷居などの段差を解消するもの
歩行器 歩行車を除く
単点杖 松葉づえを除く
多点杖 複数の接地点で身体を支える杖

商品の名称に「介護用」「福祉用具」と書かれていても、厚生労働省が定める種目・機能に当てはまらなければ対象外です。対象商品の型番や商品コードまで販売事業者に確認してください。

固定用スロープ・歩行器・杖は貸与と購入を選べる

2024年4月から、次の4種類は福祉用具貸与と特定福祉用具販売の選択制になりました。

  • 固定用スロープ
  • 歩行器(歩行車を除く)
  • 単点杖(松葉づえを除く)
  • 多点杖

福祉用具専門相談員またはケアマネジャーが、貸与と購入それぞれのメリット・デメリットを説明し、医師や専門職の意見、本人の身体状況、利用期間の見通しなどを踏まえて提案します。

比較 貸与 購入
費用 毎月の貸与費用の1~3割 購入費の1~3割。年度10万円枠を使用
身体状況の変化 交換・変更を相談しやすい 買い替えは原則として再給付されない
保守 事業者による点検等を受けやすい 販売後の修理・点検条件を購入前に確認
長期使用 利用が長いと支払総額が増える 長く同じ商品を使うなら購入が合う場合がある

購入を選んだ場合も、販売事業者の福祉用具専門相談員が特定福祉用具販売計画を作成し、目標の達成状況を確認します。必要に応じて使用状況の確認、使い方の指導、修理などを依頼できるかも確認してください。

指定販売事業者以外から買うと支給されない

介護保険を使うには、都道府県などから特定福祉用具販売の指定を受けた事業者から購入する必要があります。

インターネット通販やホームセンターの商品がすべて対象外という意味ではありません。販売元の事業所が指定を受け、福祉用具専門相談員による説明や販売計画の作成など、介護保険の手続きに対応できるかが判断材料です。

注文画面に「介護保険対応」と書かれているだけでは判断せず、事業所番号、指定自治体、申請書類の作成可否を購入前に確認してください。指定事業者は介護サービス情報公表システムや市区町村の一覧で探せます。

支払いは償還払いと受領委任払いの2種類

支払方法 購入時に払う金額 給付の受取先
償還払い いったん購入費全額 申請後、本人へ7~9割を払い戻し
受領委任払い 原則として自己負担1~3割と上限超過分 保険給付分を販売事業者が受領

介護保険は償還払いが原則です。受領委任払いを利用できるか、事前申請が必要か、対応できる販売事業者はどこかは自治体によって異なります。

購入費全額の立て替えが難しい人は、購入前に受領委任払いの有無を市区町村と販売事業者へ確認してください。購入後に支払方法を変更できない場合があります。

特定福祉用具は、購入前に指定事業者と対象種目・自治体の事前確認を済ませます。介護保険の特定福祉用具販売は、いったん全額を支払ってから市区町村へ申請する償還払いが原則で、4月から翌年3月までの購入費は原則10万円が支給限度基準額です。固定用スロープ・歩行器(歩行車を除く)・単点杖・多点杖は貸与との選択制の対象があるため、購入を決める前にケアマネジャーと自治体へ確認してください。厚生労働省「福祉用具・住宅改修」

申請に必要な主な書類

自治体によって書式は異なりますが、一般的には次の書類を提出します。

  • 介護保険居宅介護・介護予防福祉用具購入費支給申請書
  • 本人名義の領収書
  • 購入商品の名称、価格、型番が分かるパンフレットやカタログの写し
  • 特定福祉用具販売計画書または福祉用具サービス計画書
  • 振込先口座を確認できるもの
  • 介護保険被保険者証、負担割合証など自治体が指定するもの

領収書の宛名を「上様」にすると受理されないことがあります。購入者本人の氏名、商品名、支払日、金額、販売事業者名が確認できる形で発行してもらいましょう。

排泄予測支援機器は追加書類を確認

排泄予測支援機器を申請する場合、通常の書類に加えて、医学的な所見を確認できる書類や、販売事業者が作成する確認書を求められることがあります。

医学的所見には、要介護認定時の主治医意見書、サービス担当者会議での医師の所見、ケアマネジャーが医師から確認した内容、診断書などが使われます。必要書類は自治体で異なるため、購入前に販売事業者と介護保険窓口へ確認してください。

同じ品目の再購入は原則1回、例外は事前相談

同一年度に同じ品目をもう一度購入しても、原則として介護保険の給付対象になりません。年度が変われば無条件で同じ物を買い直せる、という制度でもありません。

ただし、次のような事情がある場合は例外的に認められることがあります。

  • 通常の使用による劣化・破損で使えなくなった
  • 本人の身体状況が大きく変わり、現在の用具では対応できない
  • 用途や機能が異なる用具を追加する合理的な理由がある

自治体が写真、破損状況、福祉用具販売計画書、身体状況の説明を確認して判断します。再購入してから相談するのではなく、必ず事前に市区町村へ確認してください。

対象外になりやすい費用

  • 指定特定福祉用具販売事業者以外から購入した商品
  • 介護保険の対象種目・機能に当てはまらない一般用品
  • 医療機関や介護保険施設で使うことを目的とした商品
  • 合理的な理由がない同一品目の再購入
  • 修理代、配送料、対象外機能の追加費用
  • 年度の支給限度基準額10万円を超える部分

浴室の手すりを壁へ取り付ける、段差を工事で解消するなど、住宅に固定する工事は特定福祉用具購入費ではなく、介護保険の住宅改修費を確認します。

申請期限は購入代金の支払い翌日から2年が目安

介護保険給付を申請する権利には時効があります。自治体の案内では、購入代金を完済した日の翌日から2年を申請期限としている例があります。

ただし、2年あるから後回しにしてよいわけではありません。領収書の紛失、認定期間や指定事業者の確認、年度枠の判定で手続きが難しくなるため、購入後は速やかに申請してください。期限の起算日は市区町村へ確認します。

申請の流れ

  1. ケアマネジャー、地域包括支援センター、福祉用具専門相談員へ相談する
  2. 対象品目、指定販売事業者、年度の残額を確認する
  3. 貸与との選択対象なら、購入・貸与の説明を受ける
  4. 償還払いまたは受領委任払いを選ぶ
  5. 指定販売事業者から商品を購入し、領収書を受け取る
  6. 販売計画書、パンフレット、申請書などをそろえる
  7. 住民票のある市区町村の介護保険窓口へ申請する
  8. 支給決定通知と振込額を確認する

福祉用具購入費は、高額介護サービス費や住宅改修費とは別の制度です。どの制度を使うか迷う場合は、商品を注文する前に相談してください。

公式情報

特定福祉用具購入費は、指定された販売事業者から対象用具を購入し、いったん全額を支払った後、市区町村へ申請して保険給付分の払い戻しを受ける償還払いが原則です。4月から翌年3月までの購入費に対する支給限度基準額は原則10万円で、購入前にケアマネジャーや市区町村へ対象品目・指定事業者・申請方法を確認してください。対象外の通販購入や、同一種目の再購入は扱いが異なることがあります。厚生労働省「特定福祉用具販売」

※制度内容は2026年8月11日時点。受領委任払い、申請書式、追加書類、再購入の判断は市区町村によって異なります。購入前に本人の保険者である市区町村へ確認してください。


親の介護が始まったときに確認したい相談先、介護保険、休業制度、費用軽減は、「親の介護が始まったときの支援一覧」で順番に整理しています。

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次に確認すること

制度は、対象・金額・期限・申請先の4点がそろって初めて動けます。次のページで残りを確認してください。

迷ったときの相談先

最終的な支給の可否・金額は、お住まいの市区町村の窓口、年金事務所、ハローワークなどの公的機関が判断します。当サイトは公式情報をもとに整理していますが、申請前に必ず窓口でご確認ください。制度の内容は変更されることがあります。

この記事の調査・編集について

調査・執筆・編集確認:カネさん(給付金プラス運営者)

2021年3月から、給付金・助成金・公的支援制度の情報発信を行っています。記事は、制度の実施機関が公開する案内・募集要項・申請書、所管省庁の法令・通知・公表資料、実施機関の公式FAQを確認して作成しています。AIは調査と構成の補助に使うことがありますが、公開前に運営者が公式資料と照合しています。

本文中の「確認日」は、その時点で公式資料を確認した日付です。最終更新日は記事冒頭に表示しています。制度改正や受付終了が判明した場合は、公開済みの記事も修正・追記します。

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