2026年の「年収の壁」は、税金と社会保険で基準も適用時期も異なります。178万円は本人の所得税、169万円は配偶者控除等、106万円・130万円は社会保険の目安です。税の基準は2026年8月7日、社会保険の変更は9月23日に公的資料で確認しました。
2026年の主な年収の壁
| 目安 | 主な制度 | ポイント |
|---|---|---|
| 178万円 | 本人の所得税 | 給与収入だけで、ほかに所得がない場合の課税最低限。令和8年分から適用され、年末調整の実務変更は2026年12月からです。 |
| 169万円 | 配偶者控除・配偶者特別控除 | 一定の要件を満たす場合、配偶者側が38万円の控除を受けられる給与収入の目安です。 |
| 106万円前後 | 勤務先の社会保険 | 月額8.8万円以上の賃金要件は2026年10月1日に撤廃済み。週20時間以上など、勤務先の規模や働き方による加入条件は残ります。 |
| 130万円 | 健康保険の被扶養者・国民年金第3号 | 年間収入見込みが原則130万円以上になると扶養から外れる基準。106万円側の加入要件に該当する人は、そちらが先に適用されます。 |
178万円:本人の所得税がかかり始める目安
令和8年度税制改正で、給与所得控除の最低保障額と基礎控除が引き上げられました。給与収入だけで、ほかに所得がない人は、2026年分から年収178万円以下なら所得税等がかかりません。
改正は原則2026年12月1日に施行され、2026年分の所得税に適用されます。11月までは、勤務先が毎月の給与から税金を差し引く事務は変わりません。勤務先は年末調整で改正を反映します。
169万円:配偶者側が38万円の控除を受けられる目安
給与収入が169万円以下で、本人と配偶者の所得などの要件を満たすと、配偶者側が38万円の配偶者控除または配偶者特別控除を受けられます。以前の記事の160万円は、2026年分の基準へ訂正しました。
169万円を超えた後は、配偶者特別控除が段階的に減る場合があります。控除を受ける側の合計所得が900万円を超えた場合も、控除額が縮小します。
住民税:110万円という目安は自治体などで変わる
住民税には「均等割」と「所得割」があり、それぞれ非課税の基準が違います。
2026年の収入を基に課税される2027年度は、給与収入が119万円以下で、ほかに所得がない人の所得割は非課税になります。
均等割の非課税基準は、自治体、扶養人数、本人の状況などで変わります。年収110万円という目安が自分に当てはまるか、お住まいの市区町村で確認してください。
106万円:2026年10月1日に賃金要件を撤廃
2026年9月時点では、原則として厚生年金保険の被保険者数51人以上の企業等で働く短時間労働者が、週20時間以上、所定内賃金月額8.8万円以上、学生ではないなどの要件を満たすと、勤務先の健康保険・厚生年金に加入します。この月額8.8万円が年収約106万円に当たります。
月額8.8万円以上という賃金要件は、2026年10月1日に撤廃されました。
週20時間以上、学生ではないなどの条件は残ります。企業規模要件は2027年10月から段階的に拡大されるため、勤務先の規模と労働時間を人事・総務に確認してください。106万円の壁の変更点と確認手順で詳しく整理しています。
短時間労働者のうち、最低賃金の減額特例の許可を受け、所定内賃金が月額8.8万円未満の人は、原則として加入対象外です。この対象者は、勤務先を通じて日本年金機構へ申し出ることで加入できます。
130万円:家族の健康保険の扶養に入るかの判断基準
勤務先の社会保険に入る106万円側の要件に当てはまらない人は、家族の健康保険の扶養基準を確認してください。年間収入見込みが原則130万円以上になると、健康保険の被扶養者や国民年金第3号被保険者から外れる可能性があります。
2026年4月1日以降、給与収入だけの人には、労働条件通知書などの契約内容から年間収入を見込む新しい認定方法が始まりました。見込み額が130万円未満で、ほかの要件も満たす場合は、原則として被扶養者として扱います。
賞与と諸手当も賃金に含めます。契約期間が1年未満の場合や、シフト・手当額が不明確な場合などは、この方法を使えないことがあります。
健康保険の扶養基準には年齢などによる違いもあります。この認定方法では、60歳以上の人や一定の障害がある人は180万円未満、配偶者を除く19歳以上23歳未満の人は150万円未満が基準です。自分の対象区分は、家族が加入する健康保険の窓口に確認してください。
働き方を決めるときの確認順
178万円・169万円という税の目安と、106万円・130万円の社会保険の基準は別制度です。国税庁は、ほかに所得がない人の給与収入178万円以下では所得税等がかからない例と、配偶者特別控除の169万円以下という目安を示しています。国税庁「家族と税」
働き方を決めるときは、税金の条件に加え、勤務先の社会保険に入る条件と家族の健康保険の扶養基準を、勤務先と保険者に確認してください。
- 勤務先の従業員数と、週の所定労働時間を確認する
- 勤務先の社会保険に加入する条件を人事・総務に確認する
- 健康保険の扶養認定は、扶養者の加入先へ確認する
- 税金は年収だけでなく、給与以外の所得や各種控除も確認する
勤務先の配偶者手当・家族手当には、会社独自の収入要件がある場合があります。税金や社会保険とは別に、就業規則で要件を確認してください。
公的資料
- 国税庁:令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等
- 国税庁:家族と税
- 財務省:令和8年度税制改正の大綱の概要
- 厚生労働省:「年収の壁」への対応
- 日本年金機構:短時間労働者への社会保険の適用拡大
- 日本年金機構:労働契約内容による年間収入での被扶養者の認定
更新履歴
2026年9月23日:日本年金機構の最新案内に合わせ、106万円側の賃金要件の時期と勤務先規模を確認し、詳説記事へリンクしました。
2026年8月7日:配偶者控除等の満額ラインを160万円から169万円に訂正。住民税の均等割と所得割を分け、178万円の適用時期、106万円要件の撤廃予定、130万円の新しい扶養認定を追記しました。
調査・編集確認:カネさん
税制の確認:2026年8月7日/社会保険の確認:2026年9月23日
賃金要件の撤廃、住民税の適用年度、健康保険の扶養基準の補足確認:2026年10月9日。


