返済が難しいと感じたら、延滞する前に銀行へ連絡してください
令和8年熊本地震の被災者について、金融機関には、住宅ローンなどの返済猶予や返済条件の変更、必要書類の簡略化など、柔軟に対応するよう要請が出ています。
返済猶予や借金の減額・免除は自動ではありません。まず、借入先の銀行、信用金庫、信用組合などへ相談してください。
2026年7月29日、財務省九州財務局と日本銀行熊本支店は、令和8年熊本地震で災害救助法が適用された熊本県内の被災者に対し、金融上の措置を講じるよう金融機関へ要請しました。
この記事では、通帳や印鑑をなくした方、住宅ローンなどの返済が難しくなった方に向けて、銀行へ相談できることを分かりやすく整理します。
最終確認:2026年7月30日。実際の取扱いは金融機関や契約内容によって異なります。
まず確認|銀行へ相談できること
| 困っていること | 相談できる対応 |
|---|---|
| 通帳・証書・印鑑をなくした | 別の方法で本人確認を行い、預金を払い戻せる場合があります |
| 定期預金を途中で解約したい | 事情に応じて期限前の払戻しを相談できます |
| 紙幣や硬貨が汚れた・破れた | 銀行などで引換えを相談できます |
| 住宅ローンなどを払えない | 返済猶予や返済条件の変更を相談できます |
| り災証明書がまだ届かない | 被害写真による確認や、り災証明書の後日提出が認められる場合があります |
| 証券会社に預けた資産を確認したい | 印鑑や有価証券の紛失、売却・解約代金の払戻しを相談できます |
これらは金融機関に対する要請です。すべての方に同じ条件が適用されるわけではありませんが、被災したことを伝えて相談する根拠になります。
通帳・印鑑・本人確認書類をなくした方
通帳や届出印鑑が見つからなくても、あきらめる必要はありません。金融機関には、被災状況を踏まえた方法で本人からの申出だと確認し、払戻しに応じるよう要請されています。
窓口へ連絡するときは、分かる範囲で次の情報を伝えてください。
- 氏名、生年月日、現在連絡が取れる電話番号
- 被災前の住所と、現在いる場所
- 支店名、口座の種類、口座番号
- なくしたもの――通帳、印鑑、キャッシュカード、本人確認書類
- 必要な金額と使い道
本人確認の方法や払戻し限度額は、金融機関によって異なります。いきなり店舗へ行かず、営業状況と必要なものを電話で確認すると安心です。
住宅ローンなどの返済が難しい方
家や勤務先が被害を受け、今月から返済が難しくなることがあります。金融機関には、既存の融資について、返済猶予などの貸付条件変更を検討するよう要請されています。
相談は延滞前が原則です
引落日に残高が足りなくなる前に、「熊本地震で収入や住まいに被害があり、返済について相談したい」と借入先へ連絡してください。
返済猶予のほか、返済期間の延長や毎月の返済額の見直しなどを相談できる場合があります。ただし、利息がなくなるとは限らず、返済期間を延ばすと総支払額が増えることもあります。
条件変更を受ける前に、次の点を紙に書いて確認してください。
- 猶予される期間
- 猶予中の利息の扱い
- 毎月の返済額と最終返済日
- 条件変更後の総支払額
- 必要書類と提出期限
返済の見通しが立たない場合の「債務整理ガイドライン」
返済猶予だけでは生活再建が難しい場合は、自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインを利用できる可能性があります。
災害救助法が適用された自然災害で被災した個人や個人事業者が、一定の条件を満たした場合に、破産などの法的な倒産手続きによらず、金融機関との話し合いによって住宅ローンなどの減額や免除を目指す制度です。
利用できた場合の主な特徴
- このガイドラインによる債務整理は、個人信用情報に登録されません
- 弁護士などの「登録支援専門家」が無料で手続きを支援します
- 被災状況や生活状況により、預貯金など財産の一部を手元に残せる場合があります
減額・免除が必ず認められる制度ではありません。債務の内容、収入、保険金、支援金、財産などを確認したうえで、債権者との合意が必要です。また、個人信用情報に登録されないことと、将来の新規借入れの審査に必ず通ることは別です。
最初の相談先
住宅ローンなどを借りている金融機関へ、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインを相談したい」と伝えてください。
九州財務局|自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン
り災証明書がまだない場合
金融機関の手続きでり災証明書を求められても、市町村の発行状況を踏まえ、被害写真などで先に確認し、り災証明書を後から提出できるよう配慮することが要請されています。
家、家財、車、店舗、仕事道具などの写真を残し、修理見積書、休業や収入減少が分かる書類、避難先のメモをまとめておいてください。
銀行へ電話するときの伝え方
そのまま読める相談例
「令和8年熊本地震で自宅(または勤務先)が被災しました。今後の住宅ローンの返済が難しくなるため、返済猶予や条件変更について相談したいです。り災証明書は申請中ですが、被害写真はあります」
返済の見通しが立たない場合は、「自然災害の債務整理ガイドラインについても説明を受けたい」と付け加えてください。
「借金を消せる」という勧誘に注意
災害後は、「申請すれば必ずローンが免除される」「手続きを代行する」と言って、先に高額な手数料を求める業者が現れることがあります。
ガイドラインの最初の相談先は、借入先の金融機関です。SNS広告や突然の電話から契約せず、金融機関、九州財務局、法テラスなどの公的な窓口を利用してください。
相談先
- 借入先・預金先の金融機関――通帳紛失、払戻し、返済猶予、債務整理ガイドライン
- 九州財務局 金融調整官:096-353-6351
- 日本銀行熊本支店 総務課:096-359-9513
- 法テラス熊本:0570-078365(平日 午前9時~午後5時)
法テラス熊本の通常の無料法律相談は、収入・資産が一定基準以下の方が対象で、予約が必要です。2026年7月30日時点では、令和8年熊本地震について資力を問わない被災者法律相談が始まったとの公式発表は確認できていません。
カネさんからひとこと
災害で収入が減っても、住宅ローンや借金の請求は自動では止まりません。だからこそ、払えなくなってからではなく、払えなくなる見込みが出た段階で相談することが大切です。
「まだ、り災証明書がない」「通帳や印鑑がない」という場合も、被害写真や本人確認の別の方法で対応してもらえる可能性があります。まず電話で被災したことを伝えてください。


