結論:2026年8月改正後も多数回該当は使える
高額療養費の「多数回該当」は、2026年8月の見直し後も維持されます。
受診月を含む直近12か月の間に、高額療養費に該当した月が3か月以上あると、4か月目以降は自己負担限度額がさらに下がる仕組みです。長期療養者の負担を増やさないため、2026年8月診療分からの見直しでは、多数回該当の金額が据え置かれました。
ただし、治療が長く続いているだけで自動的に適用されるわけではありません。診療月、加入している保険者、被保険者・被扶養者の資格関係を確認する必要があります。
多数回該当の数え方
多数回該当は、月数で数えます。医療機関を受診した回数や、1か月の通院日数を数える制度ではありません。
基本の流れ
- ある診療月に高額療養費の対象になる
- 受診月を含む直近12か月の中で、該当月を確認する
- 該当月が3か月以上になった場合、4か月目から多数回該当を確認する
- 多数回該当の自己負担限度額を、その後の該当月に適用する
たとえば、2026年8月、9月、10月に高額療養費の対象になった場合、2026年11月が4回目の該当月になる可能性があります。実際には、保険者が支給実績や資格の状況を確認して判定します。
高額療養費の支給を受けた場合だけでなく、限度額適用認定証などを使って自己負担限度額を支払った場合も、該当月として扱われることがあります。協会けんぽの多数回該当の案内
2026年8月以降の主な多数回該当額
70歳未満の主な区分は次のとおりです。月額上限の計算に使う「総医療費」は、窓口で払う3割分ではなく、保険診療の10割分です。
| 年収換算の目安 | 標準報酬月額 | 通常の月額上限 | 多数回該当 |
|---|---|---|---|
| 約1,160万円〜 | 83万円以上 | 270,300円+(総医療費−901,000円)×1% | 140,100円 |
| 約770万〜約1,160万円 | 53万〜79万円 | 179,100円+(総医療費−597,000円)×1% | 93,000円 |
| 約370万〜約770万円 | 28万〜50万円 | 85,800円+(総医療費−286,000円)×1% | 44,400円 |
| 〜約370万円 | 26万円以下 | 61,500円 | 44,400円 |
| 住民税非課税 | 区分により判定 | 36,900円 | 24,600円 |
年収はあくまで目安です。会社員は標準報酬月額、国民健康保険などは課税所得や旧ただし書き所得などで判定されるため、年収だけで多数回該当の金額を決めないでください。
年間上限ができても、多数回該当はなくならない
2026年8月診療分からは、8月から翌年7月までの年間上限も設けられました。
2つの制度は役割が違います。
- 多数回該当:直近12か月の中で高額療養費に該当した月が3か月以上ある人の、4か月目以降の月額負担を軽くする
- 年間上限:8月から翌年7月までの自己負担を合計し、年間の負担に上限を設ける
毎月の医療費が高く、多数回該当の条件に当てはまる人は、多数回該当と年間上限の両方を確認します。年間上限があるからといって、毎月の上限が自動的に多数回該当額になるわけではありません。
年齢・所得・医療費から現在の月額上限と年間上限の目安を確認する場合は、高額療養費上限チェックツールを使えます。多数回該当は過去の該当月と保険者の情報が必要なため、ツールでは自動確定せず、選択した場合の目安として表示します。
保険者が変わると、回数を引き継げない場合がある
多数回該当で特に注意したいのが、転職・退職・扶養変更・国保への切替です。
協会けんぽの案内では、国民健康保険や健康保険組合から協会けんぽへ加入した場合など、保険者が変わったときは多数回該当の月数に通算されないと説明されています。また、退職して被保険者から被扶養者に変わった場合など、資格関係が変わったときも月数を通算できない場合があります。
たとえば、健康保険組合で8月・9月・10月に高額療養費の対象になっていても、11月に協会けんぽへ移った場合、8〜10月の実績がそのまま新しい保険者の多数回該当に引き継がれるとは限りません。
保険者が変わったときは、次の資料を持って新しい保険者へ確認してください。
- これまでの高額療養費の支給決定通知
- 限度額適用認定証を使った月の領収書
- 保険資格が変わった日が分かる資料
- 世帯の被保険者・被扶養者の変更履歴
「同じ家族だから合算できる」「同じ病気の治療だから回数を引き継げる」とは限りません。判定は病名ではなく、保険者と資格の状況を中心に行われます。
70歳以上は外来の数え方に注意
70歳以上では、外来・個人の上限と、入院を含む世帯の上限を分けて確認します。
入院を含む世帯の高額療養費では、多数回該当が適用される区分があります。一方、70歳以上75歳未満の高齢受給者について、通院の限度額だけで高額療養費を受けた回数は、多数回該当の数え方で別の扱いがあります。
70歳以上の人は、「外来で上限を超えた月」と「世帯の入院を含む上限を超えた月」を同じ回数として数えず、加入先の保険者に確認してください。
2027年8月から予定されている変更
2026年8月の改正では、多数回該当の金額は維持されます。
一方、2027年8月からは、標準報酬月額15万円以下などの区分で、多数回該当の金額が34,500円となる見直しが予定されています。2026年8月〜2027年7月の制度と、2027年8月以降の制度を混ぜないようにしてください。
将来の診療月については、加入先の保険者や厚生労働省の最新資料で確認します。公開記事の表を保存したままにせず、制度改正の施行時期に合わせて更新する必要があります。
多数回該当を確認する手順
窓口で多数回該当が反映されていなくても、後日保険者への申請で差額が支給される場合があります。医療機関でその場の上限額が確認できなかった場合は、通常額を支払って終わりにせず、これまでの支給決定通知・限度額適用認定証を使った月の領収書・資格変更日が分かる資料を保険者へ示し、申請方法を確認してください。保険者が変わった場合は、通算可否も同時に確認します。
- 診療月ごとに、保険診療の自己負担額を一覧にする
- 高額療養費に該当した月と、限度額適用認定証を使った月を分けて記録する
- 受診月を含む直近12か月で、該当月が3か月以上あるか確認する
- その期間に保険者や被保険者・被扶養者の資格が変わっていないか確認する
- 4回目以降の月額上限を保険者に確認する
入院や高額な治療が続く場合は、医療機関の相談窓口にも早めに相談してください。高額療養費の支給申請、限度額適用認定証、マイナ保険証の利用方法は、それぞれ確認する窓口が異なる場合があります。
まとめ
高額療養費の多数回該当は、2026年8月改正後も使えます。受診月を含む直近12か月で高額療養費に該当した月が3か月以上ある場合、4か月目以降の自己負担限度額が下がる仕組みです。
ただし、保険者や資格が変わると、過去の該当月を通算できない場合があります。年間上限とは別の制度なので、月額上限、年間上限、多数回該当を分けて確認してください。
公式資料・相談先
※制度内容は2026年8月9日時点で確認できる公表資料をもとに整理しています。多数回該当の該当月、通算の可否、支給額、必要書類は加入している保険者へ確認してください。

